BCC 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

BCC 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証グロース市場に上場する同社は、IT営業アウトソーシング事業およびヘルスケアビジネス事業を展開しています。第12期はソリューション事業やヘルスケア支援事業が伸長し増収となりましたが、人材採用・育成への投資やリスキリング事業の費用増等により各利益は損失となり、赤字転落しました。


指定された構成とルールに基づき、BCC株式会社の企業分析記事を作成しました。

BCC転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態


※本記事は、BCC株式会社 の有価証券報告書(第12期、自 2024年10月1日 至 2025年9月30日、2025年12月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. BCCってどんな会社?


同社は、大手IT企業向けの営業支援を行うアウトソーシング事業と、介護レクリエーション等のヘルスケア事業を展開する企業です。

(1) 会社概要


2002年に前身となる営業創造が大阪で設立され、2014年に現在の事業主体となる同社が設立されました。2016年にはグループ会社を統合し現商号へ変更、2021年7月に東京証券取引所マザーズ(現グロース)へ上場を果たしました。2025年5月にはグッドデジタルを完全子会社化し、DX支援領域を強化しています。

同社(単体)の従業員数は242名です。筆頭株主は創業社長である伊藤一彦氏で発行済株式の24.30%を保有しています。第2位は証券金融会社である日本証券金融、第3位は個人株主の山上豊氏となっています。

氏名 持株比率
伊藤一彦 24.30%
日本証券金融 6.50%
山上 豊 5.89%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性1名の計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長は伊藤一彦氏が務めています。取締役6名のうち2名が社外取締役であり、社外取締役比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
伊藤 一彦 代表取締役社長 日本電気、セントメディアを経て、2002年営業創造(現BCCホールディングス)設立。2014年同社設立・代表取締役社長就任。2016年より現職。
岡林 靖朗 取締役副社長管理本部長 セントメディア、ジェイズ・コミュニケーション等を経て、2006年営業創造入社。2014年同社取締役。2022年より現職。
安原 弘之 専務取締役事業統括本部長兼コーポレート推進本部長 日本電気、インテル、日本オラクル等を経て、2005年営業創造入社。2014年同社代表取締役社長、2019年専務取締役。2024年より現職。
小出 契太 取締役コーポレート推進本部長代理 ジェイズ・コミュニケーションを経て、2007年営業創造入社。2016年同社執行役員。2021年取締役就任。2024年より現職。


社外取締役は、江越博昭(元アルプス技研代表取締役副社長)、松嶋依子(弁護士法人梅ヶ枝中央法律事務所入所)です。

2. 事業内容


同社グループは、「IT営業アウトソーシング事業」、「ヘルスケアビジネス事業」および「その他」事業を展開しています。

IT営業アウトソーシング事業


大手IT企業の営業部門強化を目的として、同社で教育された営業人材を派遣する「営業アウトソーシング事業」と、中小企業向けにIT機器販売やネットワーク構築を行う「ソリューション事業」を提供しています。主な顧客は大手IT企業や中小企業です。

収益は、大手IT企業からの派遣契約に基づく対価や業務請負料、および中小企業への機器販売代金やサービス利用料から得ています。運営は主にBCCが行っています。

ヘルスケアビジネス事業


自治体等と連携したヘルスケア関連施設の運営受託や企業の参入支援を行う「ヘルスケア支援事業」と、Webサイト「介護レク広場」や資格制度「レクリエーション介護士」を運営する「介護レクリエーション事業」を展開しています。顧客は自治体、企業、介護関係者です。

収益は、施設の運営受託費、企業のプロモーション支援料、資格講座の手数料や研修費等から得ています。運営はBCCおよび一般社団法人日本アクティブコミュニティ協会が行っています。

その他の事業


中小事業者や起業家の育成支援、経営戦略支援クラウド「bizcre」の提供、および異業種からのIT営業職への転職を支援するリスキリングサービス「Merry Mew」等を展開しています。

収益は、経営支援サービスの利用料や、リスキリング・転職支援サービスに関連する収入等から得ています。運営は主にBCCおよびグッドデジタルが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は増加傾向にあり、事業規模は拡大しています。一方で利益面では、第11期に減益となり、第12期には営業損失、経常損失、当期純損失を計上し赤字に転落しました。積極的な人材採用や育成への投資が先行している状況です。

項目 2021年9月期 2022年9月期 2023年9月期 2024年9月期 2025年9月期
売上高 11億円 11億円 13億円 14億円 15億円
経常利益 1.1億円 0.5億円 0.7億円 0.1億円 -0.9億円
利益率(%) 10.1% 4.4% 5.1% 0.4% -6.3%
当期利益(親会社所有者帰属) 0.8億円 0.3億円 0.5億円 -0.1億円 -0.7億円

(2) 損益計算書


売上高は前期比で増加しましたが、売上原価および販売費及び一般管理費の増加率が売上高の伸びを上回りました。特に販管費の増加が著しく、これが営業損失の主な要因となっています。

項目 2024年9月期 2025年9月期
売上高 14億円 15億円
売上総利益 5億円 5億円
売上総利益率(%) 38.5% 37.1%
営業利益 -0.2億円 -1.0億円
営業利益率(%) -1.3% -6.7%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が1.9億円(構成比30%)、支払手数料が0.9億円(同14%)、役員報酬が0.7億円(同11%)を占めています。売上原価においては、労務費が7.2億円(構成比78%)と大半を占めています。

(3) セグメント収益


IT営業アウトソーシング事業は増収ながらもセグメント利益は減少しました。ヘルスケアビジネス事業は増収し赤字幅が縮小しました。その他事業は売上が大きく伸びましたが、先行投資により損失が拡大しています。

区分 売上(2024年9月期) 売上(2025年9月期) 利益(2024年9月期) 利益(2025年9月期) 利益率
IT営業アウトソーシング事業 12億円 13億円 2.1億円 1.9億円 14.7%
ヘルスケアビジネス事業 1.6億円 1.6億円 -0.2億円 -0.1億円 -5.0%
その他 0.0億円 0.1億円 -0.2億円 -0.6億円 -689.9%
調整額 - - -1.9億円 -2.2億円 -
連結(合計) 14億円 15億円 -0.2億円 -1.0億円 -6.7%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


本業は赤字ですが、将来成長のため借入で投資を継続している「勝負型」です。

項目 2024年9月期 2025年9月期
営業CF -0.4億円 -0.9億円
投資CF -0.3億円 -0.6億円
財務CF -0.0億円 1.7億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は-12.2%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は55.8%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「創造・誠実・躍進」を企業理念として掲げています。この理念のもと、IT営業アウトソーシング事業やヘルスケアビジネス事業を拡大し、さらにヘルスケアDXによる新たな製品・サービスの創出を通じて、個人の健康状態に合わせた予防や治療による健康寿命の延伸を実現する社会の構築を目指しています。

(2) 企業文化


同社は「ヒトが活きるBusiness Creative」をコーポレートメッセージとして掲げています。人材を重要な経営資源と位置づけ、従業員の「働きがい」「働きやすさ」「成長の喜び」を向上させることを重視しています。また、内部統制システムにおいては「BCC Quality」を全社で共有し、企業価値の向上と業務の適正確保を図る文化を持っています。

(3) 経営計画・目標


同社は主な経営指標として、売上高成長率および経常利益を重視しています。また、事業別の重要指標として、IT営業アウトソーシング事業では「営業派遣配属人数」、ヘルスケアビジネス事業では「介護レクリエーション人数(介護レク広場会員数とレクリエーション介護士2級認定者数の合計)」を設定しています。

* 2030年9月期 売上高目標:60億円
* 2030年9月期 当期純利益目標:6億円

(4) 成長戦略と重点施策


同社は、持続的な成長のために継続的な事業投資を行い、強い組織構築と事業規模拡大を目指しています。特にIT営業アウトソーシング事業では、人材の確保・育成強化とリテンション施策による組織力の向上、デジタルマーケティングによる新規顧客開拓を推進します。

* 未経験者や若年層の積極採用と教育部門の強化によるIT営業人材の増加
* 「BM X(ビーエムクロス)」などの新サービス拡大によるストック型ビジネスの収益化
* ヘルスケア分野では、地域ヘルスケアDXの推進や自治体連携の深化による参入支援拡大
* ベンチャー企業との資本業務提携やM&Aによる新たなビジネスモデルの構築

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は人材を重要な経営資源と位置づけ、従業員の「働きがい」「働きやすさ」「成長の喜び」の向上を目指しています。スキルアップ支援やマネジメント人材育成、福利厚生の拡充、人事評価制度の改定などを推進しています。また、女性従業員比率が高く中途採用が中心であることから、女性の管理職登用や多様な働き方の整備にも注力しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年9月期 31.1歳 4.1年 3,537,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 28.6%
男性育児休業取得率 0.0%
男女賃金差異(全労働者) 75.7%
男女賃金差異(正規雇用) 74.7%
男女賃金差異(非正規雇用) 64.6%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 顧客の経営環境について


主力事業であるIT営業アウトソーシング事業は大手IT企業向け、ヘルスケアビジネス事業は介護施設運営企業向けにサービスを提供しています。IT業界や介護業界の市場環境の変化、法改正等により顧客企業の投資ニーズが急速に変動した場合、同社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 人材の獲得、確保、育成について


同社は小規模な組織であり事業活動において人材への依存度が大きいため、事業拡大には優秀な人材の継続的な確保と育成が不可欠です。労働市場の変化により必要な人材が獲得できない場合や、人材の流出、育成計画の遅れが生じた場合、サービスの提供に支障をきたし、経営成績に影響を与える可能性があります。

(3) 法的規制について


人材派遣サービスは労働者派遣法等の法的規制を受けており、法令違反等により許可の取消しや事業停止処分を受けた場合、事業運営に重大な支障が生じる可能性があります。また、関係法令の改正により事業に不利な変更が行われた場合も、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 情報セキュリティリスクについて


事業遂行において顧客企業の機密情報や個人情報を取り扱う場合があります。情報セキュリティ体制の強化に努めていますが、ウイルスや不正アクセス、人為的過失等により情報漏洩が発生した場合、損害賠償請求や社会的信用の失墜を招き、経営成績に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。