※本記事は、株式会社Waqoo の有価証券報告書(第20期、自 2024年10月1日 至 2025年9月30日、2025年12月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. Waqooってどんな会社?
化粧品D2C事業と再生医療領域のメディカルサポート事業を両輪に、美と健康のサービスを展開する企業です。
■(1) 会社概要
同社は2005年に設立され、コマース事業を開始しました。2014年に主力商品となる化粧品「HADA NATURE クレンジング」の販売を開始し、2021年に東京証券取引所マザーズ(現グロース)へ上場を果たしました。2022年にはSBCメディカルグループと業務提携契約を締結し、2025年12月には同社による公開買付けを経て子会社となる見込みです。
2025年9月30日時点で、連結従業員数は93名、単体では61名です。筆頭株主はSBCメディカルグループ取締役の相川佳之氏で、第2位は同社取締役会長の井上裕基氏、第3位は業務提携先であり今後の親会社となる見込みのSBCメディカルグループです。経営陣と提携先が主要株主を占める構成となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 相川 佳之 | 28.09% |
| 井上 裕基 | 10.97% |
| SBCメディカルグループ | 10.03% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性0名の計7名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は佐俣文平氏です。社外取締役比率は25.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 佐俣 文平 | 代表取締役社長海外事業部管掌 | 京都大学大学院医学研究科修了後、同大iPS細胞研究所研究員を経て、2019年セルプロジャパン設立し社長就任。2023年12月より現職。 |
| 井上 裕基 | 取締役会長 | 日本オラクル、アクセンチュア、サイバーエージェント等を経て、2007年同社代表取締役就任。2023年12月より現職。 |
| 中上 慶一 | 専務取締役D2C事業部管掌 再生医療事業部管掌 | 日本オラクル、インフォシスリミテッド、アクセンチュアを経て、2009年同社入社。2010年3月より現職。 |
社外取締役は、池上久(元吉野家ホールディングス常務・アークミール会長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「D2C事業」、「メディカルサポート事業」および「その他」事業を展開しています。
■D2C事業
デジタルマーケティングを活用し、オリジナルブランド化粧品の企画・開発・販売を行っています。主力ブランド「HADA NATURE(肌ナチュール)」シリーズや、育毛・発毛促進に特化した薬用炭酸ヘッドスパ育毛剤「sodatel(ソダテル)」などを、一般消費者向けに提供しています。
収益は、自社ECサイト等を通じた顧客からの商品購入代金(定期購入サービスを含む)によって構成されています。商品の企画・開発から販売までを自社で行う製販一体の体制(製造工程を除く)をとり、運営は同社が行っています。
■メディカルサポート事業
再生医療領域において、「血液由来加工」の受託加工サービスを展開するほか、独自技術を用いた化粧品や原材料の販売を行っています。主な顧客は、整形外科やAGA(男性型脱毛症)治療を行うクリニック、エステサロン等です。
収益は、提携医療機関からの加工受託料や、クリニック・エステサロン等への化粧品・原材料の卸販売代金からなります。運営は、受託販売サービスを行う同社と、製造技術・ノウハウを保有し製造を担う完全子会社のセルプロジャパン株式会社が連携して行っています。
■その他
上記報告セグメントに含まれない事業として、海外事業などを展開しています。
収益は当該事業に関連する売上等から構成されますが、全社売上に占める割合は僅少です。運営は同社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
2022年9月期から2025年9月期までの業績を見ると、売上高は一時減少したものの直近では回復傾向にあります。利益面では、2023年9月期に黒字転換を果たし、その後も営業利益・経常利益ともに黒字を維持しています。特に直近の2025年9月期は利益率が改善し、親会社株主に帰属する当期純利益も黒字化しています。
| 項目 | 2022年9月期 | 2023年9月期 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 27億円 | 17億円 | 19億円 | 20億円 |
| 経常利益 | -0.2億円 | 2.9億円 | 0.6億円 | 1.5億円 |
| 利益率(%) | -0.8% | 16.7% | 2.9% | 7.8% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -0.6億円 | 0.3億円 | -0.2億円 | 0.4億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間を比較すると、売上高は微増ながら、売上原価の増加を抑えつつ、販売費及び一般管理費を削減したことで、営業利益が大きく伸長しています。特に営業利益率は前期の2.9%から7.7%へと大幅に改善しており、収益性が高まっていることが読み取れます。
| 項目 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 19億円 | 20億円 |
| 売上総利益 | 15億円 | 16億円 |
| 売上総利益率(%) | 79.7% | 79.5% |
| 営業利益 | 0.6億円 | 1.5億円 |
| 営業利益率(%) | 2.9% | 7.7% |
販売費及び一般管理費のうち、給与及び手当等が4.1億円(構成比29%)、運賃及び荷造費が1.4億円(同10%)、広告宣伝費が1.4億円(同10%)、のれん償却額が1.2億円(同9%)を占めています。
■(3) セグメント収益
D2C事業は広告投資抑制により減収減益となりましたが、メディカルサポート事業は営業体制強化による受注増や原材料販売の好調により大幅な増収増益を達成しました。結果として、メディカルサポート事業の成長がD2C事業の落ち込みをカバーし、全社での増収増益に寄与しています。
| 区分 | 売上(2024年9月期) | 売上(2025年9月期) | 利益(2024年9月期) | 利益(2025年9月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| D2C事業 | 13億円 | 10億円 | 4億円 | 3億円 | 30.9% |
| メディカルサポート事業 | 6億円 | 10億円 | 0.6億円 | 2億円 | 21.6% |
| その他 | 0.3億円 | 0.1億円 | - | - | - |
| 調整額 | - | - | -4億円 | -3億円 | - |
| 連結(合計) | 19億円 | 20億円 | 0.6億円 | 1.5億円 | 7.7% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社のキャッシュ・フローは、本業で稼いだ現金を投資に回しつつ、借入金の返済等も進めている「健全型」です。
| 項目 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 0.5億円 | 1.4億円 |
| 投資CF | -0.8億円 | -1.9億円 |
| 財務CF | 1.1億円 | -1.5億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は2.1%でグロース市場平均(2.9%)を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は65.1%でグロース市場平均(43.3%)を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、Mission(存在意義・使命)に「自国の未来に希望を創る」を、Vision(目指す姿・状態)に「細胞=人類(ヒト)の可能性を最大限に引き出し、悩める人に選択肢を提供する」を掲げています。D2C事業やメディカルサポート事業を通じて、顧客の期待を上回る商品やサービスを提供し、社会貢献を目指しています。
■(2) 企業文化
同社は、従業員が働きやすく、働きがいのある環境とカルチャーの浸透を競争力の源泉と捉えています。従業員のエンゲージメント向上や、貢献を称賛するカルチャーの醸成に取り組んでおり、全従業員が誇りを持ち、自ら率先して成長機会を掴めるような組織づくりを推進しています。
■(3) 経営計画・目標
同社は「高い成長性」と「企業価値の向上」を経営上の重要課題としており、成長性については売上高、企業価値の向上については営業利益および当期純利益を重視する指標として掲げています。具体的な数値目標は公表していませんが、D2C事業とメディカルサポート事業の両軸経営により成長を目指しています。
■(4) 成長戦略と重点施策
メディカルサポート事業では、組織運営の抜本的見直しや人材強化により、血液由来加工受託サービスの提携医院数増加と稼働率向上を図ります。また、サービスのアップグレードや原材料・化粧品卸販売の新規開拓を強化するとともに、医薬品取り扱い等の新規事業も検討します。D2C事業では、育毛剤「sodatel」の成長に向けた広告投資の最適化とCRM戦略によるLTV最大化を推進します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は「爆発的な成長」を目指すため、組織・事業の変化に適応できる強固な組織基盤の構築を掲げています。人事制度の刷新やエンゲージメント調査に基づく施策を通じ、従業員の働きがい向上とキャリア支援を実施しています。また、多様な人材の採用やリーダーシップ研修の充実により組織力を強化するとともに、女性比率の高さを踏まえた柔軟な働き方の推進や、健康管理などの社内環境整備にも注力しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年9月期 | 38.6歳 | 5.0年 | 5,870,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、年次有給休暇取得率(74%)、女性従業員の割合(65%超)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 美容・化粧品業界の競争環境
主要サービスが属する美容・化粧品業界は、成熟した国内市場での競争激化やグローバル企業の攻勢、異業種参入などにより環境が厳しさを増しています。競争に的確に対処できない場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 特定商品への依存について
D2C事業の売上の大半は、主力商品である「HADA NATURE クレンジング」および育毛剤「sodatel」が占めています。特定の商品への依存度が高い状況にあり、これらの販売が不振となった場合、財政状態および経営成績に影響を与える可能性があります。
■(3) 関連当事者取引に関するリスク
同社の親会社となる見込みのSBCメディカルグループ株式会社の取締役が出資する法人等との取引が存在します。取引の健全性・適正性を確保するガバナンス体制を構築していますが、これらが機能しない場合、事業や業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(4) 広告表現および法的規制について
医薬品医療機器等法や景品表示法などの法的規制を受けており、過去には措置命令を受けた経緯もあります。再発防止に努めていますが、規制の強化や解釈の相違による行政処分、または風評被害などが発生した場合、事業展開や業績に重大な影響を与える可能性があります。



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