くふうカンパニーホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

くふうカンパニーホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

同社は東証グロース市場に上場しており、「毎日の暮らし」「ライフイベント」「投資・インキュベーション」の3事業を展開しています。当期は主力事業でのコスト削減や組織再編を進めたものの、のれん減損損失等の計上により減収となり、親会社株主に帰属する当期純損益は赤字に転落しました。


※本記事は、株式会社くふうカンパニーホールディングス の有価証券報告書(第4期、自 2024年10月1日 至 2025年9月30日、2025年12月22日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. くふうカンパニーホールディングスってどんな会社?


生活情報メディア「トクバイ」や家計簿アプリ「Zaim」など、暮らしやライフイベント領域のWebサービスを多数展開する企業グループです。

(1) 会社概要


2021年にロコガイドとくふう中間持株会社の共同株式移転により設立され、東証マザーズ(現グロース)に上場しました。その後、グループ内の組織再編を積極的に進め、2022年には持株会社体制を強化、2023年にはZaim等を統合したくふうAIスタジオを発足させました。2024年12月に現在の商号へ変更しています。

同社グループの連結従業員数は549名、単体では50名です。筆頭株主は創業者で代表執行役の穐田誉輝氏で、第2位は個人株主、第3位は資産管理会社と思われる法人です。創業者が過半数の株式を保有しており、オーナーシップの強い経営体制となっています。

氏名 持株比率
穐田 誉輝 65.10%
閑歳 孝子 2.39%
OCEAN 1.24%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性1名の計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表執行役は穐田誉輝氏が務めています。社外取締役比率は44.4%です。

氏名 役職 主な経歴
穐田 誉輝 取締役
代表執行役収益事業、投資事業管掌
カカクコム及びクックパッドの代表を歴任。2021年より同社代表執行役。くふうキャピタル等のグループ会社代表も兼務し、2025年より現職。
菅間 淳 取締役
執行役グループ経営管理管掌
公認会計士。証券会社を経てクックパッド執行役などを歴任。2021年より同社取締役兼執行役。グループ経営管理を担当。


社外取締役は、熊坂賢次(慶應義塾大学環境情報学部名誉教授)、橋岡宏成(ヴァスコ・ダ・ガマ法律会計事務所パートナー弁護士)、清水千弘(一橋大学大学院教授)、本間浩輔(立教大学大学院客員教授)です。

2. 事業内容


同社グループは、「毎日の暮らし事業」「ライフイベント事業」および「投資・インキュベーション事業」を展開しています。

(1) 毎日の暮らし事業


チラシ・買い物情報サービス「トクバイ」やオンライン家計簿サービス「Zaim」など、日常生活に密着したWebサービスを提供しています。生活者であるユーザーに対して、地域のお得情報や家計管理ツールなどを提供しています。

収益は主に、掲載店舗からの有料掲載料やユーザーからのプレミアム会員費などで構成されています。運営は主に株式会社くふうカンパニー(旧ロコガイドおよび旧くふうAIスタジオが統合)が行っています。

(2) ライフイベント事業


住宅・不動産情報の「オウチーノ」や結婚式場情報の「みんなのウェディング」など、住まいや結婚といった人生の大きなイベントに関するメディアやサービスを提供しています。また、住宅系フランチャイズ事業や結婚式プロデュース事業も手掛けています。

収益は、加盟店からの会費、メディアへの広告掲載料、結婚式プロデュースの施行料などから得ています。運営は株式会社くふう住まいコンサルティング、株式会社くふう住まい、株式会社くふうウェディングなどが担っています。

(3) 投資・インキュベーション事業


子ども向け社会体験アプリ「ごっこランド」や富裕層向けコンサルティング、地域情報メディア、スポーツアミューズメント施設など、新規事業開発や投資事業を行っています。グループの将来の成長を牽引する多様な事業が含まれます。

収益源は、アプリ内の広告協賛金、不動産仲介手数料、施設利用料、投資収益など多岐にわたります。運営は株式会社キッズスター、株式会社Seven Signatures International、株式会社くふうしずおか、株式会社ゴールドエッグス、株式会社くふうキャピタルなどが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近2期間の業績を見ると、売上収益は減少傾向にあります。第4期においては、売上高が約141億円まで縮小しました。利益面では、経常利益は5億円前後で横ばいを維持していますが、第4期に多額の特別損失(減損損失等)を計上した影響などにより、親会社所有者帰属当期損益は赤字に転落しています。

項目 2024年9月期 2025年9月期
売上高 155億円 141億円
経常利益 5.0億円 5.0億円
利益率(%) 3.2% 3.6%
当期利益(親会社所有者帰属) 2.6億円 -12億円

(2) 損益計算書


売上高は前期比で減少しましたが、売上原価の圧縮により売上総利益率は改善しています。営業利益は減少したものの、黒字を確保しています。一方、当期純損益は特別損失の影響で大幅なマイナスとなりました。

項目 2024年9月期 2025年9月期
売上高 155億円 141億円
売上総利益 81億円 78億円
売上総利益率(%) 52.3% 54.9%
営業利益 6.3億円 5.2億円
営業利益率(%) 4.1% 3.7%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が23億円(構成比32%)を占めています。

(3) セグメント収益


「毎日の暮らし事業」は組織再編による効率化を進めたものの減収となり、「ライフイベント事業」も住宅FC事業の納期長期化等の影響で減収となりました。「投資・インキュベーション事業」は投資事業の収益貢献縮小により大幅な減収減益となっています。

区分 売上(2024年9月期) 売上(2025年9月期) 利益(2024年9月期) 利益(2025年9月期) 利益率
毎日の暮らし事業 28億円 28億円 7.1億円 7.4億円 26.8%
ライフイベント事業 91億円 85億円 7.6億円 7.9億円 9.2%
投資・インキュベーション事業 36億円 29億円 5.6億円 4.2億円 14.5%
連結(合計) 155億円 141億円 6.3億円 5.2億円 3.7%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社は、本業の営業活動で現金を生み出しつつ、投資活動による支出を抑制し、借入金の返済などの財務活動を行っている「健全型」のキャッシュ・フロー状態にあります。

項目 2024年9月期 2025年9月期
営業CF -2.0億円 9.1億円
投資CF -5.0億円 -8.4億円
財務CF -12億円 -1.5億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は-25.1%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は48.5%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは「「くふう」で暮らしにひらめきを」を経営理念として掲げています。「毎日の暮らし」および「ライフイベント」において、ユーザーにとっての利便性や豊かさを最優先に考え、情報格差の解消や利便性の高いサービスづくりに取り組んでいます。

(2) 経営計画・目標


同社グループは、中期的な目標として各事業領域における事業成長を重視しており、EBITDA(利払い・税引き・償却前利益)を重要指標として位置付けています。具体的な数値目標等は記載されていません。

(3) 成長戦略と重点施策


グループ全体のブランド確立とサービス連携の強化を重点施策としています。各社のサービスブランド統合を推進し、共通ユーザーIDの導入によるワンストップサービス化を目指しています。また、AI技術を活用したデータ基盤の整備や、事業パートナー向けサービスの付加価値向上、経営者・起業家人材の採用・育成にも注力しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「毎日の暮らし」から「ライフイベント」まで幅広い領域へ事業を拡大するため、優秀な経営者や起業家人材の獲得と育成を重視しています。また、多様な価値観を持つ人材が活躍できる環境づくりや、失敗を恐れず挑戦できる組織風土の醸成に取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年9月期 37.2歳 2.3年 6,590,596円


※平均年間給与は基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性従業員比率(55%)、女性管理職比率(22%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) ユーザーニーズ対応の遅延


インターネット業界は変化が激しく、ユーザーニーズへの対応が遅れた場合、競争力が低下し事業に悪影響を及ぼす可能性があります。同社はユーザーファーストを徹底し、機能拡充や新規事業開発に努めています。

(2) プラットフォーマーの影響


検索サイトやスマートデバイスを提供する大手プラットフォーマーの事業戦略変更や規約改定等が、同社サービスの集客や収益性に影響を与える可能性があります。同社は動向を注視し、機動的な対応ができる体制構築を進めています。

(3) システム障害・セキュリティ


サービスへのアクセス集中やサイバー攻撃、自然災害等によりシステム障害が発生した場合、事業活動に支障が出る可能性があります。同社はシステムの冗長化やセキュリティ対策の強化を継続的に実施しています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。