デジタリフト 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

デジタリフト 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証グロース上場のデジタリフトは、統合デジタルマーケティング事業を展開する企業です。広告・コンサルティングとブランド・メディアの2領域を組み合わせ、顧客の課題解決を支援しています。2025年9月期は売上高が増加し、経常損益も黒字転換するなど、増収増益の業績となりました。


※本記事は、株式会社デジタリフト の有価証券報告書(第13期、自 2024年10月1日 至 2025年9月30日、2025年12月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. デジタリフトってどんな会社?

統合デジタルマーケティング事業を展開し、広告運用やSEO、制作などを通じて顧客のマーケティング課題を解決する企業です。

(1) 会社概要

2012年に株式会社電子広告社として設立され、2016年にフリークアウトの連結子会社となりました。2020年に現社名へ変更し、2021年に東京証券取引所マザーズへ上場しました。その後、meycoやウェブココルを子会社化するなど、M&Aを通じて事業領域を拡大しています。

連結従業員数は55名、単体従業員数は46名です。筆頭株主は創業者の百本正博氏で、第2位はその他の関係会社である株式会社フリークアウト・ホールディングスです。両者で発行済株式の約68%を保有しています。

氏名 持株比率
百本 正博 34.52%
フリークアウト・ホールディングス 33.54%
鈴木 智博 2.06%

(2) 経営陣

同社の役員は男性5名、女性2名、計7名で構成され、女性役員比率は28.6%です。代表取締役は百本 正博氏です。社外取締役比率は50.0%です。

氏名 役職 主な経歴
百本 正博 代表取締役 大広を経て、U・M・A取締役を経験。2012年11月に同社を設立し代表取締役に就任。2025年より子会社ウェブココル取締役を兼任。
田中 友幸 取締役 大広、電通、CRITEO等を経て、2024年11月に同社入社。Business Department統括執行役員を経て現職。子会社取締役も兼任。


社外取締役は、輿石 雅志(ドアーズ代表取締役社長)、金山 藍子(三浦法律事務所パートナー)です。

2. 事業内容

同社グループは、「統合デジタルマーケティング事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) 広告・コンサルティングサービス領域

デジタルマーケティングに関する広告配信の設計・設定、運用および改善診断、組織構築や内製化支援などのコンサルティングサービスを顧客企業に提供しています。顧客のニーズに合わせて柔軟に組み合わせた提案を行っています。

収益は、顧客企業から受け取る広告運用代行手数料やコンサルティングフィーなどが主な源泉となります。運営は主にデジタリフトが行っています。

(2) ブランド・メディアサービス領域

Webサイトや制作物の納品、SEOコンサルティング、Webメディアの運営などを行っています。グループ会社とのシナジーを活用し、顧客ニーズへの対応力を高めています。

収益は、制作物の納品や役務提供による対価、Webメディアからの収益などが源泉となります。運営はデジタリフトのほか、連結子会社のmeyco株式会社やウェブココル株式会社が行っています。

3. 業績・財務状況

同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移

直近の業績を見ると、売上高は30億円台で安定的に推移しています。利益面では、前期に一時的な損失を計上しましたが、当期は経常利益、当期利益ともに黒字転換を果たしました。利益率も改善傾向にあり、収益性が回復しています。

項目 2023年9月期 2024年9月期 2025年9月期
売上高 36億円 33億円 35億円
経常利益 1.1億円 -0.5億円 1.9億円
利益率 3.1% -1.5% 5.3%
当期利益(親会社所有者帰属) 0.6億円 -0.6億円 0.7億円

(2) 損益計算書

売上高は増加し、売上総利益率も大きく改善しています。これにより、営業利益は前期比で大幅に増加し、高い利益率を達成しました。コストコントロールと収益性の高い案件への注力が奏功していることが伺えます。

項目 2024年9月期 2025年9月期
売上高 33億円 35億円
売上総利益 8億円 11億円
売上総利益率 22.9% 32.4%
営業利益 0.3億円 1.9億円
営業利益率 1.0% 5.4%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が3.0億円(構成比31%)、支払手数料が1.9億円(同20%)を占めています。

(3) セグメント収益

広告・コンサルティングサービス領域は横ばいで推移していますが、ブランド・メディアサービス領域が大きく伸長し、全体としての増収に寄与しています。

区分 売上(2024年9月期) 売上(2025年9月期)
広告・コンサルティングサービス領域 32億円 32億円
ブランド・メディアサービス領域 2億円 3億円
連結(合計) 33億円 35億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

営業CFはプラス、投資CFもプラス、財務CFはマイナスで、本業の儲けと資産売却等で借入返済を進める「改善型」です。

項目 2024年9月期 2025年9月期
営業CF -0.1億円 2.3億円
投資CF -1.8億円 0.2億円
財務CF 5.1億円 -3.5億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は16.3%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は32.0%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略

同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念

同社グループは、「カスタマーの意思決定を円滑に―デジタルの力でクライアントとエンドユーザー双方の利益をLIFTします―」という経営理念を掲げています。また、「User Experienceをデジタル技術で最適化する」というミッションのもと、エンドユーザーのデジタル上での顧客体験の最適化を目指しています。

(2) 企業文化

同社は、専門性と総合的なコンサルティング価値を提供できる人材を重視しています。年齢、性別、地域を問わず、経営理念やミッションに共感した人材を採用し、M&Aを通じてグループに加わった人材も含め、多様性を確保しています。また、リスク・コンプライアンス規程を制定し、高い倫理観に基づく法令遵守を徹底する文化を醸成しています。

(3) 経営計画・目標

同社グループは、売上高、売上総利益、営業利益、経常利益を重要な経営指標として位置付けています。インターネット広告市場の拡大や技術革新などの環境変化に対応し、収益規模の拡大と採算性の確保を目指しています。

(4) 成長戦略と重点施策

広告・コンサルティング領域ではクロスセルによる収益拡大と業務改善による生産性向上を図ります。ブランド・メディア領域ではグループシナジーの拡大とサービス拡充を進めます。また、既存事業とのシナジーが見込めるM&Aや、ミッション実現のための新規事業・スタートアップへの投資も積極的に行い、事業全体の成長を目指します。

5. 働く環境

同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針

専門性の高い人材の確保と定着を重視し、多様な人材の採用を進めています。人材育成では、役職者研修や専門チーム内のナレッジ共有、月1回の全社研修を実施しています。また、MBO(目標評価)による能力開発や、本人の意思に基づくジョブローテーションの導入、男性育休や時短勤務などの柔軟な働き方支援を通じてエンゲージメント向上を図っています。

(2) 給与水準・報酬設計

同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年9月期 38.8歳 3.0年 5,649,000円


※平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

(3) 人的資本開示

同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 17.6%
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全労働者) -
男女賃金差異(正規雇用) -
男女賃金差異(非正規) -


※女性管理職比率は2025年9月末時点の数値です。その他の指標については、有報に記載がありません。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、地方拠点の在籍社員比率(41.3%)、男性育休制度の利用平均月数(1.8か月)などです。

6. 事業等のリスク

事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 市場動向と景気変動の影響

デジタルマーケティング業界は景気動向の影響を受けやすい傾向があります。景気の悪化や広告予算の減額、市場規模の拡大鈍化が生じた場合、業績に悪影響を与える可能性があります。

(2) 技術革新への対応

インターネット関連分野は技術変化が激しく、新技術や新サービスが次々と登場します。環境変化への対応が遅れた場合の競争力低下や、新技術への多額の投資が必要となった場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 競合との競争激化

多くの競合企業が存在する中、同社はノウハウや人材を活かした高付加価値サービスで差別化を図っています。しかし、競合激化や優秀な人材の確保ができず十分な差別化が図れない場合、業績に影響を与える可能性があります。

(4) 法的規制の影響

インターネット広告や個人情報保護(GDPR含む)、景品表示法などの法的規制の影響を受ける可能性があります。法令違反や新たな規制の導入、既存法令の解釈変更などにより事業が制約を受けた場合、業績に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。