※本記事は、Green Earth Institute株式会社 の有価証券報告書(第15期、自 2024年10月1日 至 2025年9月30日、2025年12月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. Green Earth Instituteってどんな会社?
微生物発酵技術を核に、バイオマス由来化学品の開発・ライセンスを行う技術開発型ベンチャーです。
■(1) 会社概要
2011年に設立され、RITE Bioprocessの特許実施権契約を締結して事業を開始しました。2018年にはライセンシーによるアミノ酸の製造販売が始まり、2021年に東証マザーズ(現グロース)へ上場しました。2025年には森空バイオリファイナリー合同会社を設立するなど事業拡大を進めています。
同社(単体)の従業員数は50名です。筆頭株主は株式会社SBI証券で、第3位には設立母体である公益財団法人地球環境産業技術研究機構と、2023年に資本業務提携を結んだ住友林業株式会社が同率で名を連ねています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 株式会社SBI証券 | 10.56% |
| 株式会社日本カストディ銀行(信託口) | 9.95% |
| 住友林業株式会社 | 7.93% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性8名、女性0名の計8名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役CEOは伊原 智人氏です。取締役5名のうち2名が社外取締役であり、社外取締役比率は40.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 伊原 智人 | 代表取締役CEO | 通商産業省入省、リクルートを経て2013年同社入社。同年より現職。 |
| 川嶋 浩司 | 取締役 | 日本長期信用銀行入行、同社出向を経て2016年入社。同年より現職。 |
| 浦田 隆治 | 取締役CFO | ベリングポイント、リクルート、RPAホールディングスを経て2019年入社。同年より現職。 |
社外取締役は、本庄孝志(元経済産業省大臣官房審議官)、別所信夫(元JSR取締役)です。
2. 事業内容
同社グループは、「バイオものづくり事業」を展開しています。
■バイオものづくり事業
同社は、コリネ型細菌を活用した高効率な発酵技術(バイオプロセス)をコア技術とし、バイオマス原料から化学品を製造する技術の開発を行っています。特定の製品を持たず、石油由来化学品をバイオマス由来へ転換したい企業や、より効率的な生産方法を求める企業を対象にソリューションを提供しています。
収益は、研究開発段階(Stage2)におけるパートナー企業からの「研究開発収入」と、商用化段階(Stage3)における「ライセンス一時金」「ロイヤリティ収入」および「製品販売収入」から構成されます。運営はGreen Earth Instituteが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は期間を通じて拡大傾向にあり、直近では10億円を超えています。利益面では、研究開発への先行投資により損失計上が続いていましたが、2025年9月期において経常利益および当期純利益ともに黒字転換を果たしました。
| 項目 | 2021年9月期 | 2022年9月期 | 2023年9月期 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 5.0億円 | 5.9億円 | 9.0億円 | 10.0億円 | 10.8億円 |
| 経常利益 | △0.6億円 | △1.1億円 | △1.1億円 | △1.4億円 | 1.6億円 |
| 利益率(%) | △12.7% | △19.5% | △12.1% | △13.8% | 14.6% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | △0.7億円 | △2.3億円 | △1.1億円 | △1.3億円 | 1.3億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の増加に伴い、売上総利益および売上総利益率が向上しています。営業損失は大幅に縮小しました。
| 項目 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 10.0億円 | 10.8億円 |
| 売上総利益 | 4.4億円 | 6.4億円 |
| 売上総利益率(%) | 44.1% | 59.7% |
| 営業利益 | △1.5億円 | △0.0億円 |
| 営業利益率(%) | △14.8% | △0.4% |
販売費及び一般管理費のうち、研究開発費が3.1億円(構成比48.0%)、給料手当が1.5億円(同22.7%)を占めています。また、売上原価においては外注費が2.5億円(構成比58.5%)を占めています。
■(3) セグメント収益
バイオものづくり事業の単一セグメントであるため、全社業績と同様に、研究開発案件の積み上げや公的プロジェクトの受託等により増収となっています。
| 区分 | 売上(2024年9月期) | 売上(2025年9月期) |
|---|---|---|
| バイオものづくり事業 | 10.0億円 | 10.8億円 |
| 連結(合計) | 10.0億円 | 10.8億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
本業・投資・財務いずれもマイナスで資金繰りが危機的となる「末期型」のキャッシュ・フローです。ただし、同社は当期純利益が黒字であり、営業CFのマイナスは売上債権等の増加要因も含まれる点に留意が必要です。
| 項目 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 0.0億円 | △0.5億円 |
| 投資CF | △0.8億円 | △1.6億円 |
| 財務CF | △0.5億円 | △0.1億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は6.2%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は71.0%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「グリーンテクノロジーを育み、地球と共に歩む」を経営理念(ミッション)として掲げています。創造的な技術力と提案力でバイオものづくり分野を牽引し、常識を変革する企業になることを目指しています。
■(2) 企業文化
石油を使わずバイオマスから化学品を作る「バイオエコノミー」と、資源の循環により持続的な社会を作る「サーキュラーエコノミー」の両方を同時に実現することを目指しています。持続可能な社会の実現を理念とし、技術開発に取り組む姿勢を重視しています。
■(3) 経営計画・目標
市場成長の初期段階において実績を積むことが優位性に繋がると考え、第一に売上高と営業外収益(バイオものづくり事業に関連する収益のみ)を経営指標としています。パイプラインの拡大を基盤とする販売実績の増加を目指しています。
■(4) 成長戦略と重点施策
ライセンス、自社販売、テクノロジーパッケージという3つの手法で収益化を図り、大型案件に集中して事業を展開します。また、バイオものづくり事業のプラットフォームを構築し、国等のプロジェクトも含めた事業に取り組み、社会実装を推進します。
今後3年間の中期目標として、以下を実施します。
* バイオ燃料生産技術の確立、バイオ樹脂原料の研究開発、海外企業との共同開発等の推進。
* 開発製品(バイオ燃料、新規アミノ酸等)の商用化。
* 商用化済製品からのロイヤリティ収益拡大。
* 内部統制システムの改定、人材確保、研究施設の拡張、認知度向上による体制強化。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
多様なバックボーンや経験を持った人材を採用し、研修や自己研鑽を通じて育成する方針です。また、リモートワークやストック・オプション、福利厚生等により、多様な人材が働きやすい環境を整備しています。特に技術開発型ベンチャーとして、優秀な研究者の確保を重視しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年9月期 | 47.7歳 | 3.8年 | 6,836,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は従業員規模が300人以下のため、有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 経済動向等の変動
企業向けに研究開発やライセンス付与を行っているため、景気の急速な悪化により事業者の新規事業や研究開発投資が減速した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) ライセンシーにおける販売
製品の販売活動はライセンシーに依存するため、当社でコントロールできず、業績予測と実績に乖離が生じる可能性があります。ライセンシーの事業状況の変動が業績に影響するリスクがあります。
■(3) カントリーリスク
アジア地域等で事業展開を行っており、予期せぬ法規制変更、政治的要因、為替変動、商習慣の違い等によるリスクがあります。これらが発生した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(4) 商用化における特定の対象製品にかかるリスク
特定のパイプラインにおける対象製品の需給が不可抗力(例:豚コレラによる飼料需要減)により大幅に変動した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。対象製品の多様化によりリスク軽減を図っています。



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