タカヨシホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

タカヨシホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証グロース市場に上場し、地域の生産者と消費者を結ぶ農産物直売所「わくわく広場」の運営を行うシェアショップ事業を展開しています。2025年9月期の連結業績は、店舗数や登録生産者数の拡大により売上高に相当する営業収益は増収となりましたが、店舗閉鎖損失等の計上により親会社株主に帰属する当期純利益は減益となりました。


※本記事は、株式会社タカヨシホールディングス の有価証券報告書(第56期、自 2024年10月1日 至 2025年9月30日、2025年12月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. タカヨシホールディングスってどんな会社?


地域の生産者が直接商品を出品する直売所「わくわく広場」を全国のショッピングモール等で展開する企業です。

(1) 会社概要


1970年に千葉県木更津市で有限会社髙芳商事として設立され、2000年に農産物直売所事業を開始しました。2001年に「わくわく広場」1号店を開店し、2021年12月に東京証券取引所マザーズ市場(現グロース市場)へ上場を果たしました。2024年4月には持株会社体制へ移行し、現商号であるタカヨシホールディングスへ変更するとともに、事業会社として株式会社わくわく広場を設立しています。

2025年9月30日時点の従業員数は連結59名、単体18名です。筆頭株主は資産管理会社と見られるスプリングで、第2位は証券業務を行うSBI証券、第3位は代表取締役会長の髙品政明氏となっています。

氏名 持株比率
スプリング 40.03%
SBI証券 10.33%
髙品政明 10.30%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性1名の計10名で構成され、女性役員比率は10.0%です。代表取締役社長は黒田智也氏です。社外取締役比率は40.0%です。

氏名 役職 主な経歴
髙品 政明 代表取締役会長 1967年千葉トヨペット入社。1970年同社設立と同時に専務取締役就任。1979年代表取締役社長を経て、2022年4月より現職。
黒田 智也 代表取締役社長 2003年同社入社。営業部長、取締役営業統括部長、取締役営業本部長を経て、2022年4月より現職。
中村 忠輝 取締役執行役員開発本部長 1988年飯田百貨店(現コモディイイダ)入社。クイーンズ伊勢丹(現エムアイフードスタイル)を経て2018年同社入社。商品本部長等を経て2024年9月より現職。
飯久保 明 取締役執行役員管理本部長兼経営戦略室長 1991年ミニストップ入社。同社管理本部本部長等を経て2021年同社入社。管理本部長兼人事総務部長等を経て2025年6月より現職。
佐久間 好治 取締役執行役員営業本部長 2003年同社入社。財務経理部長、執行役員管理本部副本部長、執行役員経営戦略室長等を経て、2025年12月より現職。
木賣 一彦 取締役(常勤監査等委員) 1993年同社入社。産直部統括マネジャー、開発部マネジャー、商品部生産者支援課マネジャーを経て、2024年12月より現職。


社外取締役は、稲村幸仁(ちばぎん証券代表取締役会長)、恩田友紀子(ダロワイヨジャポン代表取締役社長)、棚橋泰友(カザーレ代表取締役社長)、宮原弘樹(弁護士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「シェアショップ事業」の単一セグメントで事業を展開しています。

シェアショップ事業


地域の農家や食品メーカー等の生産者に対して、同社グループの売場を販売場所として共有するシェアリングサービス「わくわく広場」を提供しています。主な顧客は、野菜・果実、弁当・惣菜、加工食品などを出品する地域の生産者と、それらを購入する一般消費者です。

収益は主に、出品された商品が販売された際に生産者から受け取る販売手数料によって構成されています。在庫リスクを負わない委託販売方式を基本とし、商品の納品や陳列は生産者が行います。運営は主に連結子会社のわくわく広場が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近2期間の業績を見ると、売上高に相当する営業収益は増加傾向にありますが、利益面では経常利益が微増にとどまり、当期純利益は減少しています。これは店舗閉鎖に伴う損失等が影響しているものと考えられます。

項目 2024年9月期 2025年9月期
経常利益 9億円 9億円
利益率(%) -% -%
当期利益(親会社所有者帰属) 5億円 4億円

(2) 損益計算書


直近2期間の損益状況を見ると、売上総利益は安定して推移しています。販管費の増加などにより営業利益は横ばいの状態が続いています。

項目 2024年9月期 2025年9月期
売上総利益 73億円 73億円
売上総利益率(%) -% -%
営業利益 9億円 9億円
営業利益率(%) -% -%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が26億円(構成比40%)、地代家賃が16億円(同24%)を占めています。

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社は、本業で稼いだ資金をもとに借入金の返済を進めつつ、投資については手元資金の範囲内でコントロールしている「健全型」のキャッシュ・フロー状態にあります。

項目 2024年9月期 2025年9月期
営業CF 10億円 7億円
投資CF -6億円 -3億円
財務CF -4億円 -18億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は13.3%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は53.4%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「安心と笑顔が広がる世界をつくる」をビジョンに掲げています。プラットフォーム型でありながらリアルな店舗を有するという特徴的なビジネスモデルを磨き、他店では購入できない商品を揃えることで、顧客が目的を持って来店する「デスティネーションストア」の構築を目指しています。

(2) 企業文化


同社グループは社是として、「わが社は常に、お客様に支持され愛される企業でありたい」「わが社は常に、従業員、取引先、株主が共に繁栄できる企業でありたい」「わが社は常に、時代のニーズに対応できる企業でありたい」の3つを掲げています。変化に挑み続けるDNAを活かし、社会から必要とされる企業を目指す姿勢を重視しています。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、プラットフォーム成長の鍵として「場(店舗数)」と「ユーザー(登録生産者数)」の拡大を掲げ、これらを通じて「流通総額」の拡大を図る方針です。具体的な数値目標として、流通総額、店舗数、登録生産者数を重要な経営指標(KPI)として設定し、その伸長を注視しています。

(4) 成長戦略と重点施策


「場」の拡大に向けては、地域ドミナントの深化と未出店エリアへの拡大を並行して進める戦略をとっています。また、「ユーザー」の拡大に向けては、生産者への継続的なアプローチや、販売データの開示、物流システムの提案などを通じて出品意欲を高める施策を推進しています。さらに、小商圏における小規模店舗の展開や、高原野菜・産直果実の開拓などによる商品力の強化にも注力しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社グループは、継続的な成長の源泉である人財を重要な経営資源と位置づけ、中途採用を含めた優秀な社員の継続的な雇用と、成長機会の提供、教育・育成を実施しています。「地元の人の商品を、地元の人が、地元の人に売る」ことを目指し、地元のパートタイム従業員から契約社員・地域限定正社員への登用を推進することで、優秀な人財の確保を図っています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年9月期 40.8歳 10.3年 4,787,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 16.7%
男性育児休業取得率 0.0%
男女賃金差異(全労働者) 49.6%
男女賃金差異(正規雇用) 87.7%
男女賃金差異(非正規) 64.4%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 食の安全性について


店舗における出品商品の安全性についての責任は最終的に生産者が担いますが、店舗での温度管理等は同社グループが行っています。万が一、店舗に出品している生産者の商品が原因となり食中毒や健康被害が発生した場合、同社グループの信用の低下等を招き、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 農産物の市況変動について


主力商品の一つである野菜は、気候変動や天災による価格変動の影響を受けやすい商材です。同社グループは委託販売方式を採用しているため、野菜市況の変動による単価変動は営業収益及び利益に直接影響します。これに対し、農産物以外の商品の構成比を高める施策を進めていますが、野菜市況が低迷した場合は業績に影響が出る可能性があります。

(3) 天災による影響について


台風や地震等の天災が発生した場合、店舗設備や出店先の商業施設に被害が生じ、運営ができなくなるリスクがあります。また、生産者に被害が生じた場合、店舗への納品が減少する可能性もあります。全国展開によりリスク分散を図っていますが、特定地域で天災が生じた場合は業績に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 類似業種との競争について


農産物直売ビジネスやフードデリバリー、産直ECサイトなど、生産者にとっての出品の選択肢は増加しており、競争環境は厳しさを増しています。同社グループの店舗が販売力や採算性で差別化できず、生産者の流出や店舗売上の減少を招いた場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。