※本記事は、CS-C の有価証券報告書(第14期、自 2024年10月1日 至 2025年9月30日、2025年12月19日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. CS-Cってどんな会社?
同社は、飲食店や美容室などのローカルビジネス向けに、マーケティング支援ツール「C-mo」の提供やコンサルティングを行う企業です。
■(1) 会社概要
2011年に設立された同社は、2014年に飲食店向けコンサルティングサービスを開始し、2018年には主力のSaaS型ツール「C-mo」をリリースしました。2021年にマザーズ(現グロース市場)へ上場を果たし、事業基盤を強化しています。2024年には子会社CS-Rを設立してリアル店舗事業(飲食店運営)へ本格参入し、2025年には株式会社プレディアを子会社化するなど、DX支援と実店舗運営の両輪で事業拡大を進めています。
現在、同社グループは連結で173名、単体で166名の従業員を擁しています。筆頭株主は創業者の椙原健氏が代表を務める資産管理会社で、第2位は椙原健氏本人、第3位は投資事業組合となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| スマイルプラス | 45.03% |
| 椙原 健 | 20.31% |
| 光通信KK投資事業有限責任組合 | 6.68% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性10名、女性0名の計10名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は椙原健氏が務めています。社外取締役比率は30.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 椙原 健 | 代表取締役社長 | スターフューチャーズ証券、ベンチャー・リンクを経て、2011年に同社を設立し代表取締役社長に就任。スマイルプラス代表取締役、CS-R代表取締役社長等を兼任し現職。 |
| 庄子 素史 | 取締役ローカルビジネス事業本部長兼 メディア事業部長 | 船井総合研究所を経て、ソーシャルワイヤー代表取締役社長を務める。2023年に同社入社、執行役員を経て2024年より現職。 |
| 宇田川 政幸 | 取締役テクノロジー本部長 | バーガーキング・ジャパン、ベンチャー・リンク、ネットプライスドットコム等を経て、2013年に同社入社。2015年より現職。 |
| 向田 光裕 | 取締役経営戦略本部長 | 有限責任監査法人トーマツ、シティグループ証券等を経て、fundbook取締役を務める。2023年に同社入社、執行役員を経て現職。 |
| 森田 大輔 | 取締役トラベル事業本部長兼 AI戦略本部長 | 光通信、SBMグルメソリューションズ等を経て、2013年に同社入社。同年7月より現職。 |
| 戸所 岳大 | 取締役CS-R代表取締役社長 | 店舗流通ネット代表取締役社長等を歴任。2024年に同社入社、執行役員を経て現職。CS-Rおよびプレディアの代表取締役社長を兼任。 |
| 福田 貴史 | 取締役 | KDDI、トランスコスモス、ディップ等を経て、グランディール代表取締役就任。2019年より同社社外取締役。 |
社外取締役は、福田貴史(グランディール代表取締役)、中山茂(TMI総合法律事務所弁護士)、山口満(山口公認会計士事務所所長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「ローカルビジネスDX」「リアル店舗」および「その他」事業を展開しています。
■(1) ローカルビジネスDX
SaaS型マーケティングツール「C-mo(シーモ)」や、コンサルティングとBPOを組み合わせた「C-mo Pro」を提供しています。飲食店、美容室、旅館・ホテルなどのローカルビジネス事業者を顧客とし、店舗のDX推進や業績向上を支援しています。
収益は主に、クライアント企業から受け取るツールの利用料(サブスクリプション)やコンサルティング料、広告運用代行手数料などから構成されています。運営は主に同社が行っています。
■(2) リアル店舗
同社グループ自らが飲食店などのローカルビジネスを運営する事業です。DX事業で培ったマーケティングノウハウや多店舗展開の知見を実店舗運営に活用し、そこで得られたデータを再びDX事業へ還元する相互補完を目指しています。
収益は、来店客への飲食提供やテイクアウト・デリバリー販売による代金です。運営は連結子会社のCS-Rおよびプレディアが行っています。
■(3) その他
報告セグメントに含まれない事業として、インバウンド客向けの飲食店・食体験予約サービス「JAPAN FOOD GUIDE」の運営や、サブリース事業などを展開しています。
収益は、メディア掲載料や予約手数料、サブリース賃料収入などが主な源泉です。運営は主に同社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
2025年9月期より連結財務諸表を作成しているため、過去との単純比較はできませんが、当期は売上収益32億円を計上しました。一方で、新規事業への投資やM&A関連費用などが影響し、経常段階から損失を計上しています。
| 項目 | 2025年9月期 |
|---|---|
| 売上収益(または売上高) | 32億円 |
| 経常利益 | -0.7億円 |
| 利益率(%) | -2.3% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -0.3億円 |
■(2) 損益計算書
当期は売上総利益率が50%を超えていますが、販売費及び一般管理費の負担が重く、営業損失となっています。DX事業によるストック収益の積み上げがある一方で、リアル店舗事業の拡大や人件費等の先行投資が利益を圧迫している構造です。
| 項目 | 2025年9月期 |
|---|---|
| 売上高 | 32億円 |
| 売上総利益 | 18億円 |
| 売上総利益率(%) | 56.3% |
| 営業利益 | -0.8億円 |
| 営業利益率(%) | -2.4% |
販売費及び一般管理費のうち、給与手当が7億円(構成比38%)、支払手数料が2億円(同8%)を占めています。
■(3) セグメント収益
主力のローカルビジネスDX事業が売上の大半を占めており、グループ全体の収益基盤となっています。リアル店舗事業はM&A等により売上規模を拡大させていますが、その他事業とともに規模はまだ限定的です。
| 区分 | 売上(2025年9月期) |
|---|---|
| ローカルビジネスDX | 27億円 |
| リアル店舗 | 3億円 |
| その他 | 2億円 |
| 連結(合計) | 32億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
| 項目 | 2025年9月期 |
|---|---|
| 営業CF | 0.4億円 |
| 投資CF | -3.6億円 |
| 財務CF | 2.8億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は-4.6%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は67.7%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「かかわる“C”に次のステージを提供し、笑顔になっていただく」をミッションとしています。「かかわる“C”」とは、クライアント、地域社会、消費者、子供たちを指します。また、ローカルビジネスの活性化による社会貢献と、公益資本主義の浸透によりビジネスと社会貢献が両立する世界の確立を目指すビジョンを掲げています。
■(2) 企業文化
同社は「公益資本主義」を重視する文化を持っています。これは、会社経営で得た利益の一部を社会課題の解決へ再配分し、世の中の不均衡を是正するという考え方です。また、マーケティング、テクノロジー、コンサルティングスキルを武器に、店舗や街・地域の活性化を通じて消費者に楽しみを提供することを価値観としています。
■(3) 経営計画・目標
同社は、持続的な成長を通じた企業価値向上を目指し、事業拡大の観点から売上高を重要な経営指標としています。また、強固な経営基盤と高利益体質の構築に向け、営業利益および営業利益率も重視しています。特に、主要事業であるローカルビジネスDX事業においては、「C-mo」および「C-mo Pro」のストック売上高をKPIと位置づけ、安定収益の確保を図っています。
■(4) 成長戦略と重点施策
同社は、顧客満足度の向上と市場シェア拡大を重点課題とし、「C-mo」の機能強化やサポート体制の充実、直販・アライアンスの強化を進めています。また、既存の飲食・美容・旅行業界に加え、他業界への展開や新規ソリューションの創出を図ります。さらに、自社で飲食店を運営するリアル店舗事業を展開し、そこで得た知見をDX事業に還元することで、相互に成長する体制を強化しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は事業拡大のために優秀な人材の確保と育成が不可欠であると考えています。採用競争力の強化に向けて魅力ある職場環境の構築を推進するとともに、従業員の能力およびモチベーション向上を目的に、教育研修制度の充実、福利厚生の強化、人事制度の整備・運用を進める方針です。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均とほぼ同じ水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年9月期 | 32.6歳 | 4.1年 | 6,067,253円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、労働者に占める女性労働者の割合(48.0%)、うち正規雇用労働者(39.3%)、うちパート・有期労働者(66.7%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 市場環境と競争激化
デジタルマーケティング市場は成長途中であり、新規参入の増加による競争激化が予想されます。また、マーケティング予算の縮小や新たな規制導入などにより市場拡大が想定通り進まない場合、同社の業績に影響を及ぼす可能性があります。同社は独自開発ツールと蓄積データによる参入障壁の構築を図っています。
■(2) 新規事業の不確実性
同社は事業拡大のために新サービスや新規事業に積極的に取り組んでいますが、これらが当初の計画通りに進捗しないリスクがあります。特にリアル店舗事業など新たな領域への展開において、想定外の事象が発生した場合、投資回収が遅れ、業績に悪影響を与える可能性があります。
■(3) システム障害とセキュリティ
事業の根幹となるシステムや通信ネットワークに障害が発生した場合、サービスの提供が困難となり、業績や信用に影響を与えるリスクがあります。また、サイバー攻撃や不正アクセスによる情報漏洩リスクに対しても、セキュリティ管理体制の構築やサーバーの分散化などの対策を講じていますが、完全に回避できる保証はありません。



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