日本ビジネスシステムズ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

日本ビジネスシステムズ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証プライム市場に上場する日本ビジネスシステムズは、マイクロソフト製品を中心としたクラウドインテグレーションやライセンス販売を主力事業としています。2025年9月期は、企業のDX投資需要を背景にクラウド関連事業が好調に推移し、売上高1,726億円(前期比22.5%増)、経常利益74億円(同60.7%増)と大幅な増収増益を達成しました。


※本記事は、日本ビジネスシステムズ株式会社 の有価証券報告書(第35期、自 2024年10月1日 至 2025年9月30日、2025年12月18日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 日本ビジネスシステムズってどんな会社?


独立系クラウドインテグレーターとして、マイクロソフト製品を中心としたITソリューションや保守運用サービスを提供する企業です。

(1) 会社概要


1990年に設立され、2022年に東京証券取引所スタンダード市場へ上場しました。その後、2023年にノルウェーのCrayon Groupと業務提携し、2025年5月にはAI開発のAIexeを完全子会社化しました。2025年9月には東京証券取引所プライム市場への上場市場区分変更を果たしています。

同グループの連結従業員数は2,839名(単体2,759名)です。筆頭株主は代表取締役社長の資産管理会社である株式会社ロマネで、第2位は資本業務提携先でありシンクタンク・コンサルティング大手の株式会社三菱総合研究所です。創業家と提携先企業が主要株主となっています。

氏名 持株比率
ロマネ 40.71%
三菱総合研究所 14.67%
日本マスタートラスト信託銀行(株式付与ESOP信託口) 4.60%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性2名の計9名で構成され、女性役員比率は22.2%です。代表取締役社長は牧田幸弘氏です。社外取締役比率は66.7%です。

氏名 役職 主な経歴
牧田 幸弘 取締役社長(代表取締役) 1979年日本アイ・ビー・エム入社。1990年同社設立とともに代表取締役社長に就任し現職。
上坂 貴志 取締役専務執行役員 日本アイ・ビー・エム執行役員等を経てキンドリルジャパン社長を務めた後、2025年同社入社。同年12月より現職。
勝田 耕平 取締役常務執行役員 大阪国税局、青山監査法人、PwCあらた有限責任監査法人等を経て2019年同社入社。2023年12月よりCFO現職。


社外取締役は、島田直樹(株式会社ピー・アンド・イー・ディレクションズ代表)、森崎孝(株式会社三菱総合研究所会長)、朱純美(株式会社コアバリューマネジメント社長)、兒玉眞二(元株式会社アイ・テイー・ワン会長)、出口眞也(公認会計士出口眞也事務所所長)、柳澤美佳(第一東京弁護士会副会長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「クラウドインテグレーション事業」「クラウドサービス事業」「ライセンス&プロダクツ事業」の3つの報告セグメントおよび「その他」事業を展開しています。

(1) クラウドインテグレーション事業(CI)


企業のDX計画策定からクラウド基盤の設計・構築、アプリケーション開発までを一貫して支援しています。特にマイクロソフト社のAzure、Microsoft 365、Dynamics 365の導入・構築に強みを持ちます。

収益は、顧客企業からのシステム開発やインフラ構築に係る対価として受領します。運営は主に日本ビジネスシステムズが行っています。

(2) クラウドサービス事業(CS)


導入されたクラウド環境やオンプレミスを含むITインフラの保守・運用・改善を支援するマネージドサービスを提供しています。また、自社独自のクラウドサービスの提供も行っています。

収益は、顧客企業からの保守運用契約に基づく継続的なサービス対価(ストック型収益)として受領します。運営は主に日本ビジネスシステムズが行っています。

(3) ライセンス&プロダクツ事業(L&P)


マイクロソフト製品を中心としたクラウドライセンスやPC、サーバー等のIT関連機器を販売しています。企業のハイブリッドクラウド環境構築に必要な製品を調達し提供しています。

収益は、顧客企業へのライセンス販売や機器販売の対価として受領します。運営は主に日本ビジネスシステムズが行っています。

(4) その他


報告セグメントに含まれない事業として、不動産賃貸等を行っています。

収益は、賃貸料収入等から得ています。運営は日本ビジネスシステムズ等が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近3期間の業績を見ると、売上高は順調に拡大を続けています。利益面では2024年9月期に一時的な減少が見られましたが、2025年9月期には大幅な増益となり、過去最高益を更新しています。クラウド需要の拡大を背景に、成長軌道にあることが読み取れます。

項目 2023年9月期 2024年9月期 2025年9月期
売上高 1,128億円 1,409億円 1,726億円
経常利益 43億円 46億円 74億円
利益率(%) 3.9% 3.3% 4.3%
当期利益(親会社所有者帰属) 35億円 15億円 54億円

(2) 損益計算書


売上高の大幅な増加に伴い、売上総利益も拡大しています。営業利益率は前期間と比較して改善しており、収益性が向上している傾向が見られます。

項目 2024年9月期 2025年9月期
売上高 1,409億円 1,726億円
売上総利益 146億円 179億円
売上総利益率(%) 10.3% 10.4%
営業利益 46億円 76億円
営業利益率(%) 3.3% 4.4%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が34億円(構成比33%)、賞与引当金繰入額が5億円(同5%)を占めています。

(3) セグメント収益


全セグメントで増収増益を達成しました。特に主力のライセンス&プロダクツ事業が売上・利益ともに大きく伸長し、全社業績を牽引しています。クラウドインテグレーション事業も高い利益成長を示し、収益性の向上が見られます。

区分 売上(2024年9月期) 売上(2025年9月期) 利益(2024年9月期) 利益(2025年9月期) 利益率
クラウドインテグレーション 236億円 277億円 30億円 50億円 18.2%
クラウドサービス 189億円 219億円 29億円 33億円 15.0%
ライセンス&プロダクツ 983億円 1,229億円 24億円 28億円 2.3%
その他 0.1億円 0.1億円 0.1億円 0.1億円 45.5%
調整額 -0.6億円 -0.5億円 -37億円 -36億円 -
連結(合計) 1,409億円 1,726億円 46億円 76億円 4.4%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社は、営業CFがプラス、投資CFがマイナス、財務CFがプラスであることから、営業で得た資金に加え、借入等の資金調達を行いながら積極的な投資を行っている「積極型」の企業です。

項目 2024年9月期 2025年9月期
営業CF -3億円 11億円
投資CF -77億円 -47億円
財務CF 61億円 31億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は22.6%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は36.4%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「優れたテクノロジーを、親しみやすく」を企業理念(Mission)とし、顧客に必要な技術を最適な形で届けることを目指しています。また、目指す姿(Vision)として「社会のデジタル変革をリードするNo.1クラウドインテグレーター」を掲げ、顧客のデジタル変革に貢献するパートナーを目指しています。

(2) 企業文化


行動指針(Value)として、「Customer First(お客さまの期待を超える)」「Diversity & Inclusion(一人ひとりの個性を大切に)」「Integrity(誠実かつ、ひたむきに)」「Passion for Technology(情熱を持ってテクノロジーを追求)」「Commitment to Growth(挑戦と成長)」の5つを定めています。

(3) 経営計画・目標


2028年9月期を最終年度とする中期的な経営目標として、以下の数値を掲げています。

* 売上高:1,900億円
* 営業利益:120億円
* 営業利益率:6.3%
* ROE:20.0%

(4) 成長戦略と重点施策


事業ポートフォリオの変革として、リセール事業からエンジニアリングサービスへのシフトを進め、利益率向上を目指しています。また、クラウドビジネスサービス、AIサービス、クラウドグローバルサービスの3つの戦略領域を強化し、顧客の内製化支援やAI活用のワンストップ支援、海外拠点でのクラウド活用支援を推進します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「徹底的に、社員ファースト」を掲げ、エンジニア不足の中で専門性の高い人材の採用・育成・定着に注力しています。実践的なOJTや独自研修に加え、HRBP機能の強化やエンゲージメント調査に基づく組織づくりを推進しています。また、健康経営を重要課題と位置づけ、社員がいきいきと働ける環境整備に取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年9月期 35.4歳 7.7年 6,418,159円


※平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 16.9%
男性育児休業取得率 65.3%
男女賃金差異(全労働者) 79.3%
男女賃金差異(正規) 79.5%
男女賃金差異(非正規) 67.5%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、課長級の女性割合(21.6%)、男性育児目的休暇取得率(98.1%)、エンゲージメントスコア(71)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 日本マイクロソフトとの関係に関するリスク


同社グループは日本マイクロソフトとの取引・協業により事業を拡大しており、提供サービスにおいても同社製品が大きな割合を占めています。契約内容や取引条件の変動などにより同社との関係に大きな変化が生じた場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 技術革新によるリスク


情報サービス業界は技術革新が著しく、AIやクラウド技術などの変化に対応する必要があります。急激な技術革新の方向性を予測・認識できない場合や、適時適切に対応できない場合、競争力が低下し業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 人材の確保及び育成に関するリスク


同社グループの成長は人材に大きく依存しています。優秀な技術者や管理者を採用・育成できない場合や、人材流出が想定以上に進んだ場合、事業運営に支障をきたし業績に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 情報システムに関するリスク


業務遂行のために社内情報システムを利用していますが、システム障害や外部からの不正アクセス、マルウェア感染などのセキュリティインシデントが発生した場合、業務効率の低下や信用の失墜を招き、業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。