FCE 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

FCE 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所 スタンダード市場に上場する同社は、RPA等のDX推進事業および教育研修事業を展開しています。2025年9月期の業績は、売上高61億円(前年同期比21.8%増)、経常利益9.3億円(同30.9%増)となり、主力製品の導入拡大等を背景に増収増益を達成しました。


※本記事は、株式会社FCE の有価証券報告書(第9期、自 2024年10月1日 至 2025年9月30日、2025年12月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. FCEってどんな会社?


DX推進と教育研修を主軸に、RPA「Robo-Pat」や教育プログラム「7つの習慣J」などを展開する企業です。

(1) 会社概要


同社は2004年、株式会社FCエデュケーションとして設立され、「7つの習慣J」事業を開始しました。2017年にはRPAソフトウェア「Robo-Pat」の提供を開始し、同年ホールディングス体制へ移行。2022年に東京証券取引所スタンダード市場へ上場を果たしました。その後、2024年にグループ会社を吸収合併し、事業持株会社体制へと移行しています。

2025年9月30日現在、連結従業員数は264名、単体では229名です。筆頭株主は代表取締役社長の石川淳悦氏の資産管理会社で、第2位は資本業務提携先であるコンサルティング会社、第3位は資産管理業務を行う信託銀行です。

氏名 持株比率
デュケレ 34.11%
リンクアンドモチベーション 20.53%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口 4.70%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性1名の計10名で構成され、女性役員比率は10.0%です。代表取締役社長は石川 淳悦氏が務めています。社外取締役比率は42.9%です。

氏名 役職 主な経歴
石川 淳悦 代表取締役社長 飯島工業、ベンチャー・リンクを経て、FCエデュケーション(現同社)取締役、代表取締役会長等を歴任。2017年4月より現職。
尾上 幸裕 取締役 ベンチャー・リンク、FCエデュケーション転籍後、同社代表取締役社長等を歴任。2025年10月よりAIソリューション事業本部長。
永田 純一郎 取締役 ベンチャー・リンク、FCエデュケーション転籍後、AI insideマーケティング代表取締役を経て、2025年10月よりマーケティング本部長。
加藤 寛和 取締役 あらた監査法人、ロングブラックパートナーズ等を経て同社入社。2024年1月よりコーポレート本部長。


社外取締役は、辛坊 正記(元住友銀行ニューヨーク信託会社社長)、津田 晃(元野村證券代表取締役専務)、柴野 相雄(TMI総合法律事務所パートナー弁護士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「DX推進事業」「教育研修事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) DX推進事業


純国産RPAソフトウェア「Robo-Pat DX(ロボパット ディーエックス)」を開発・提供しています。プログラミング知識が不要で直感的に操作できる点が特徴で、主に中堅・中小企業の事務作業自動化や生産性向上を支援しています。

収益は主に、顧客企業および販売パートナーを通じて得られるライセンス利用料収入です。運営は同社(プロセス&テクノロジー事業本部)が行っています。

(2) 教育研修事業


世界的ベストセラー『7つの習慣』をベースにした子供向けプログラム「7つの習慣J」や、学習塾運営支援、インターナショナルスクール運営、企業向け人材育成プラットフォーム「Smart Boarding」などを提供しています。学校法人や学習塾、一般企業など幅広い顧客に対し、主体性や課題解決能力を育むサービスを展開しています。

収益は、学校法人や学習塾からのプログラム導入対価、企業からのサービス利用料や研修費などが中心です。運営は同社(エデュケーション事業本部、トレーニング・カンパニー事業本部)および連結子会社の株式会社日本コスモトピアが行っています。

(3) その他


「キングベアー出版」の名称で、一般消費者向けに『完訳 7つの習慣』等のビジネス書を出版しています。

収益は、出版取次店等からの発注を受けた書籍の納品に対する対価です。運営は同社(パブリッシング事業本部)が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は着実に増加傾向にあり、特に直近の成長が顕著です。利益面でも、経常利益および当期純利益ともに拡大基調を維持しており、高い利益率を確保しながら事業規模を拡大させています。

項目 2021年9月期 2022年9月期 2023年9月期 2024年9月期 2025年9月期
売上高 35億円 38億円 42億円 50億円 61億円
経常利益 3億円 5億円 6億円 7億円 9億円
利益率(%) 9.2% 12.1% 13.8% 14.1% 15.2%
当期利益(親会社所有者帰属) 4億円 1億円 -0.8億円 14億円 7億円

(2) 損益計算書


売上高の増加に伴い売上総利益も順調に伸長しており、高い売上総利益率を維持しています。営業利益率も15%前後と高水準で推移しており、効率的な事業運営が行われていることが窺えます。

項目 2024年9月期 2025年9月期
売上高 50億円 61億円
売上総利益 35億円 41億円
売上総利益率(%) 69.0% 66.9%
営業利益 7億円 9億円
営業利益率(%) 14.4% 15.0%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が10億円(構成比30.7%)、賞与引当金繰入額が3億円(同8.9%)を占めています。

(3) セグメント収益


DX推進事業は「RPA Robo-Pat DX」の導入社数増加により大幅な増収増益となり、全社の成長を牽引しています。教育研修事業は連結子会社化の影響や「Smart Boarding」の拡大で増収となった一方、先行投資等の影響で減益となりました。

区分 売上(2024年9月期) 売上(2025年9月期) 利益(2024年9月期) 利益(2025年9月期) 利益率
DX推進事業 26億円 34億円 6億円 9億円 25.8%
教育研修事業 23億円 26億円 2億円 1億円 5.7%
その他 0.8億円 0.8億円 -0.1億円 -0.1億円 -
調整額 - - -0.9億円 -1億円 -
連結(合計) 50億円 61億円 7億円 9億円 15.0%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社は、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業である「健全型」です。

項目 2024年9月期 2025年9月期
営業CF 5億円 10億円
投資CF -8億円 -8億円
財務CF 11億円 -2億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は18.5%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は66.3%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「チャレンジあふれる未来をつくる」をパーパスに掲げ、「『主体性』×『生産性』で人的資本の最大化に貢献する」をミッションとしています。日本社会の問題をビジネスで解決し、関わる人々の可能性を引き出すことで、社会の未来を切り拓く新事業創造企業を目指しています。

(2) 企業文化


「社会の課題をビジネスで解決する」をコンセプトとし、一人ひとりが企業家マインドを持って未来を創り出す「アントレプレナーファーム(企業家集団)FCE」というカルチャーを重視しています。また、全社員を「コンサルタント」として育成し、顧客の根本的な課題解決を支援することを強みとしています。

(3) 経営計画・目標


同社は継続的な成長による企業価値向上を図るため、「連結売上高」「連結経常利益」および「連結経常利益率」を重要な経営指標としています。事業規模の拡大だけでなく収益性も重視しており、事業別にはRPAやeラーニング等の導入社数をKPIとして設定しています。

(4) 成長戦略と重点施策


DX推進事業では、機能拡充や認知度向上に加え、代理店網の強化など販売体制の拡充により地方展開を加速させます。教育研修事業では、コンテンツのオンライン化や「Smart Boarding」の拡販、グループ商材のクロスセルを推進し、収益の安定化と成長の両立を目指します。また、AI関連機能の開発や新規事業への投資も積極的に行います。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「3年で10年分の成長」をコンセプトに、独自の育成プログラムや環境を提供し、「全社員コンサルタント化」を推進しています。社員の「働きやすさ」や「やりがい」の向上に努めており、「働きがいのある会社ランキング」で13年連続ベストカンパニーを受賞するなど、人材育成と組織開発に注力しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年9月期 37.8歳 5.6年 5,809,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 15.4%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 79.6%
男女賃金差異(正規雇用) 82.0%
男女賃金差異(非正規雇用) 76.9%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 教育事業に関するリスク

少子化による学齢人口の減少が進行しており、生徒獲得競争の激化が予想されます。同社は独自の教育プログラム等で差別化を図っていますが、市場の急速な縮小や教育制度の変更への対応遅れが生じた場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 研修事業およびDX推進事業の競合

研修事業やRPA市場には多数の競合が存在し、競争が激化しています。同社は商品力やサポート体制の強化で差別化を図っていますが、競合他社に対する優位性が維持できなくなった場合や、顧客企業の投資意欲減退などが生じた場合、業績に影響を与える可能性があります。

(3) 人材の確保・育成および労務

事業拡大には優秀な人材の確保と育成が不可欠です。採用環境の悪化により必要な人材を確保できない場合や、想定以上の離職が生じた場合、競争力低下を招く恐れがあります。また、労働法制の変化に伴うコスト増加のリスクもあります。

(4) 特定人物への依存

代表取締役社長である石川淳悦氏は創業者であり、経営方針の決定等において重要な役割を果たしています。同社は組織的な経営体制の整備を進めていますが、現時点では同氏への依存度が高く、同氏の業務遂行が困難になった場合、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。