※本記事は、株式会社FCE の有価証券報告書(2025年9月期、2024年10月1日 ~ 2025年9月30日、2025年12月25日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
FCEグループは、DX推進事業、教育研修事業、その他事業を展開しています。主にDX推進コンサルティングと人財育成コンサルティングの2つのサービス区分で、RPAソフトウェアの提供やeラーニング、オンライン教育プログラム、企業向け研修などを手掛けています。
単体従業員数は229名、連結従業員数は264名です。同社グループのセグメントは、DX推進事業、教育研修事業、その他事業の3つです。
主な国内グループ会社は、日本コスモトピア(教育研修事業)などです。
FCEは、2023年11月から2024年8月にかけて複数の連結子会社を吸収合併しました。これにより、第9期の経営指標は前期以前と比較して大幅に変動しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
FCEは、DX推進事業や教育研修事業を通じて、人的資本の最大化に貢献することを目指しています。同社グループは、従業員の「働きがい」を重視しており、長年にわたり外部機関から高い評価を受けています。このような環境は、キャリア形成を考える上で重要な要素となるでしょう。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は、従業員の専門性や主体性を高める「全社員コンサルタント化」を育成テーマに掲げています。平均勤続年数には、同社設立以前の株式会社FCEエデュケーションの勤続年数も通算されています。従業員の平均年齢と勤続年数から、比較的若手から中堅層が活躍している傾向が見られます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,809,000円 |
| 平均勤続年数 | 5.6年 |
| 平均年齢 | 37.8歳 |
| 単体従業員数 | 229人 |
| 連結従業員数 | 264人 |
| 単体のグループ内比率 | 86.7% |
同社グループは、確定給付型の退職給付制度を採用しています(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる制度)。なお、退職一時金の有無や支給条件、従業員ごとの会社拠出額などは、有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、「チャレンジあふれる未来をつくる」というパーパスと、「『主体性』×『生産性』で人的資本の最大化に貢献する」というミッションに共感する人材の育成を重視しています。人財育成のノウハウを標準化・仕組み化し、「全社員コンサルタント化」をテーマに、クライアントの根本的な課題解決をサポートできる人材を育成しています。
個々の能力を最大限に発揮できる人事・評価制度の設計や多様な働き方を推進する方針ですが、給与や賞与の具体的な決定方針については有価証券報告書に詳細な記載はありません。同社グループは、Great Place to Work®が主催する「働きがいのある会社ランキング」で13年連続ベストカンパニーを受賞しており、「働きやすさ」や「やりがい」の維持・向上を通じて人財育成を継続しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、提出会社単体のデータを示します。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 15.4% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 100.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 79.6% |
| 労働者の男女の賃金の差異(うち正規雇用従業員) | 82.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(うち有期雇用労働者) | 76.9% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
株式会社FCEグループは、DX推進事業と教育研修事業を主軸に、企業や教育機関の課題解決を支援しています。これらの事業を通じて、社会の生産性向上と人材育成に貢献するビジネスを展開しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、主にDX推進コンサルティングと人財育成コンサルティングの2つのサービス区分で収益を上げています。国内を主要な市場としており、特定の顧客への収益集中は見られません。
DX推進事業
この事業では、純国産RPAソフトウェア「Robo-Pat DX」の開発と提供、およびDX化支援を行っています。RPAはパソコン業務を自動化するツールであり、現場の業務効率化と生産性向上を支援しています。
収益は、顧客企業や販売パートナーからのライセンス利用料収入から得ています。運営は、プロセス&テクノロジー事業本部が行っています。
教育研修事業
この事業は、多岐にわたる教育・研修サービスを提供しています。「7つの習慣J®」プログラムの提供、学習塾支援、インターナショナルスクールの運営、アクティブラーニング情報サイト「Find!アクティブラーナー」の提供、中高生向け手帳「フォーサイト」の販売、自己対話力向上プログラム、企業向け研修・コンサルティング、デジタル学習コンテンツの販売などがあります。
収益は、学校法人や学習塾からのプログラム・テキスト提供の対価、業務委託料、サイト利用料、手帳販売の対価、研修・コンサルティングの役務提供料など、多様な形態で得ています。運営は、エデュケーション事業本部、トレーニング・カンパニー事業本部、日本コスモトピアが行っています。
その他の事業セグメント
このセグメントでは、主に「キングベアー出版」の名称でビジネス書の出版事業を行っています。
収益は、出版取次店等への書籍納品による対価から得ています。運営は、パブリッシング事業本部が行っています。
| セグメント | 売上高(2024年9月期) | 売上高(2025年9月期) |
|---|---|---|
| DX推進事業 | 26.4億円 | 34.3億円 |
| 教育研修事業 | 22.9億円 | 25.9億円 |
| その他の事業セグメント | 77百万円 | 80百万円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの業績は、過去5期間にわたり売上高、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益のいずれも順調に増加する傾向を示しています。特に直近の連結会計年度では、売上高と各利益ともに大きく伸びています。
| 項目 | 2021年9月期 | 2022年9月期 | 2023年9月期 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 35.2億円 | 37.5億円 | 41.7億円 | 50.1億円 | 61.0億円 |
| 経常利益 | 3.2億円 | 4.5億円 | 5.8億円 | 7.1億円 | 9.3億円 |
| 経常利益率 | 9.2% | 12.1% | 13.8% | 14.1% | 15.2% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 2.1億円 | 3.0億円 | 3.2億円 | 5.0億円 | 6.6億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 11.72 | 18.11 | 17.43 | 26.41 | 30.17 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高は前期から増加しており、従業員1人あたり営業利益も同様に増加しています。これは、同社グループの生産性が向上している傾向を示しています。
| 指標 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 21.9百万円 | 23.1百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 3.2百万円 | 3.5百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループの財務基盤は、安定した自己資本と手元資金の厚みによって支えられています。
本業で得た資金を元手に、将来に向けた投資も行いつつ、余剰資金を確保している状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、高い自己資本比率と潤沢な手元資金によって安定しています。
自己資本比率はプライム市場の非製造業平均を大きく上回っており、強固な財務体質を示しています。
ROE(自己資本利益率)もプライム市場平均を上回る水準で推移しており、効率的な経営が行われていることがうかがえます。
手元資金も増加傾向にあり、事業の継続性や将来の成長投資に向けた余力が十分に確保されている状況です。
これらの財務指標は、同社グループが安定した事業運営を継続し、従業員の雇用や給与の安定性にも寄与する基盤を持っていることを示しています。
| 指標 | 2024年9月期(前期) | 2025年9月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 33.7億円 | 38.0億円 |
| 自己資本比率 | 66.4% | 66.3% |
| ROE(自己資本利益率) | 19.8% | 18.5% |
| 現金及び預金 | 26.0億円 | 31.8億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローは、本業で安定的に資金を生み出し、将来への投資も行いつつ、健全な財務活動を維持している状況を示しています。
営業活動によるキャッシュフローは前期から増加し、10.2億円の資金を獲得しました。これは主に税金等調整前当期純利益の増加が要因となっています。
投資活動によるキャッシュフローは、投資有価証券の取得や有形及び無形固定資産の取得による支出があり、7.9億円の資金を支出しました。
財務活動によるキャッシュフローは、前期の資金獲得から一転して1.5億円の資金を支出しており、主に配当金の支払いや長期借入金の返済によるものです。
その結果、フリーキャッシュフローは前期のマイナスからプラスに転じ、2.3億円の余剰資金を確保しています。
本業で安定して資金を稼ぎ、必要な投資を行いながらも、手元に資金を残せる状態は、同社グループの事業が堅調であり、従業員の雇用や給与の安定性、そして今後の成長性にも期待が持てる財務状況であると言えます。
| 項目 | 2024年9月期(前期) | 2025年9月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 5.3億円 | 10.2億円 |
| 投資CF | △7.9億円 | △7.9億円 |
| 財務CF | 11.2億円 | △1.5億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △2.7億円 | 2.3億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループの教育事業は、少子化による学齢人口の減少という市場縮小リスクに直面しています。
また、教育サービスおよびDX推進事業の市場には多数の競合が存在しており、競争激化による顧客流出やコスト増加の可能性があります。
主力商品である「RPA Robo-Pat DX」や「7つの習慣J®」は、提携先からのライセンス提供に依存しており、提携関係の変更が事業に影響を及ぼすリスクも指摘されています。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、事業拡大に必要な人材の確保と育成を重要な経営課題と認識しています。
労働人口の減少に伴う採用環境の厳しさや、想定以上の離職が発生した場合、競争力に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
FCEグループは、「チャレンジあふれる未来をつくる」というパーパスを掲げ、社会の課題をビジネスで解決し、人の可能性を高めることを目指しています。一人ひとりが企業家マインドを持つ「アントレプレナーファーム」として、人的資本の最大化に貢献する組織文化を大切にしています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
FCEグループは、「チャレンジあふれる未来をつくる」をパーパスに掲げています。ミッションとしては、「『主体性』×『生産性』で人的資本の最大化に貢献する」ことを目指しています。
同社グループの社名FCEは「Future Created by Entrepreneurs」に由来し、「社会の課題をビジネスで解決する」をコンセプトとしています。人の可能性を高め、社会の未来を切り開く新事業創造企業として、日本社会の問題を解決するビジネスを創り出すことを追求しています。
「独創的企業家集団」として、社会の問題を解決する新事業に次々と取り組む方針です。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
FCEグループは、2024年11月より「アントレプレナーファーム(企業家集団)FCE」というカルチャーコンセプトを発信しています。これは、一人ひとりが「企業家マインド」をもって、チャレンジあふれる未来を作り出す主体であり続けることを定義しています。
同社グループは全社員を『コンサルタント』として育成し、クライアントの根本的な課題解決をサポートすることを強みとしています。人財育成のノウハウを標準化・仕組み化し、『全社員コンサルタント化』をテーマにしています。
「働きがいのある会社ランキング」で13年連続ベストカンパニーを受賞しており、「働きやすさ」や「やりがい」の維持・向上を重視する企業風土があります。多様な人財が能力を最大限に発揮できるよう、年齢・性別・国籍等に関係なく、人事・評価制度の設計や多様な働き方を推進しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
FCEグループは、経営環境の変化に適応し、継続的な発展を実現するため、人材確保と社員教育を重要な課題としています。同社グループの理念・価値観に共鳴する人材の採用活動と社内研修を継続的に実施する方針です。
また、社内管理体制の強化も重点テーマであり、内部統制体制の構築やコーポレート・ガバナンス体制の充実に取り組んでいます。情報セキュリティや労務管理等のコンプライアンス体制の構築も進めています。
柔軟な組織運営も図っており、部分的なテレワークやフレックスタイム制による時差出勤を推奨し、オンラインツールを用いた会議体の設定等を行っています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
同社は監査役会設置会社として、取締役会と監査役会を中心にガバナンス体制を構築しています。社外取締役を招聘し、独立した立場から経営監視を行う体制を構築しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
FCEの株主構成を見ると、筆頭株主はデュケレです。同社代表取締役社長の石川淳悦氏が議決権の過半数を保有する会社であり、経営に強い影響力を持つ株主となっています。また、リンクアンドモチベーションが第2位、日本マスタートラスト信託銀行が第3位に名を連ねています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| デュケレ | 34.11% |
| リンクアンドモチベーション | 20.53% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 4.70% |
| 佐藤 陽彦 | 2.77% |
| 野村信託銀行(投資口) | 1.69% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は10名(男性9名・女性1名)で構成され、女性役員比率は10.0%です。代表取締役社長は石川淳悦氏が務めています。社外取締役比率は42.9%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 石川 淳悦 | 代表取締役社長 | 飯島工業入社、ベンチャー・リンク執行役員営業推進本部SV部部長、FCEエデュケーション取締役、ベンチャー・リンク専務執行役教育事業統括本部長兼人財開発本部長兼事業開発本部長、FCEエデュケーション代表取締役会長、C&I Holdings取締役副社長を経て、2017年4月より現職。 |
| 尾上 幸裕 | 取締役 | ベンチャー・リンク入社、FCEエデュケーション転籍、同社取締役学習塾事業部長、FCEエデュケーション代表取締役社長、日本コスモトピア代表取締役社長、同社エデュケーション事業本部長、同社AIソリューション事業本部長を経て、2019年12月より現職。 |
| 永田 純一郎 | 取締役 | ベンチャー・リンク入社、FCEエデュケーション転籍、AI insideマーケティング代表取締役、同社プロセス&テクノロジー事業本部長、同社マーケティング本部長を経て、2019年12月より現職。 |
| 加藤 寛和 | 取締役 | あらた監査法人入所、ロングブラックパートナーズ入社、ルネサスエレクトロニクス入社、同社入社、同社取締役、同社財務経理部長、同社財務経理部長マネジメント推進部長(現コーポレートクリエイション部長)、同社コーポレート本部長を経て、2020年8月より現職。 |
社外取締役は、辛坊正記氏(元エリーパワー取締役常務執行役員)、津田晃氏(元野村證券代表取締役専務取締役・北日本銀行取締役(監査等委員))、柴野相雄氏(TMI総合法律事務所パートナー弁護士)です。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の役員報酬は、世間水準、業績、社員給与とのバランスを考慮し、株主総会で承認された報酬総額の範囲内で決定されています。取締役の報酬は金銭報酬と金銭に非ざる報酬を合算した総額を取締役会で協議して決定し、監査役の報酬は監査役会で決定されます。また、業務を執行する事業所等への通勤可能な社宅提供も金銭に非ざる報酬として含まれています。2022年2月からは、任意の諮問機関である指名報酬諮問委員会で役員の職責や会社業績を踏まえて審議された後、取締役会で決議される仕組みとなっています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 4名 | 73百万円 | 18.2百万円 |
| 社外取締役 | 3名 | 14百万円 | 4.7百万円 |
| 社外監査役 | 3名 | 18百万円 | 6.0百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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