スマサポ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

スマサポ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

スマサポは東京証券取引所グロース市場に上場しており、不動産管理会社向けソリューション提供事業を展開しています。直近の業績は、売上高が28億円(前期比5.3%増)、経常利益が1.9億円(前期比69.2%増)となり、増収増益で推移しています。


※本記事は、株式会社スマサポ の有価証券報告書(第14期、自 2024年10月1日 至 2025年9月30日、2025年12月18日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. スマサポってどんな会社?


不動産管理会社と入居者をつなぐアプリ「totono」やコールセンターによる入居者サポートを展開しています。

(1) 会社概要


同社は2012年に設立され、2016年に現社名へ変更すると同時に「スマサポサンキューコール」の提供を開始しました。2020年には入居者アプリ「totono」をリリースし、不動産テック領域での展開を加速させています。2022年には東京証券取引所グロース市場への上場を果たしました。

2025年9月30日現在、同社の従業員数は70名(単体)です。筆頭株主は資産管理会社とみられる株式会社CABO DA ROCAで、第2位は太田卓利氏です。第3位には資本業務提携先である大東建託パートナーズが名を連ねています。

氏名 持株比率
CABO DA ROCA 32.85%
太田 卓利 18.43%
大東建託パートナーズ 5.82%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性2名の計8名で構成され、女性役員比率は25.0%です。代表取締役社長は小田慎三氏が務めています。社外取締役比率は20.0%です。

氏名 役職 主な経歴
小田 慎三 代表取締役社長 パソナ、宅都を経て、2016年より現職。
藤井 裕介 代表取締役 副社長 京都銀行、宅都を経て、2023年より現職。
森田 団 取締役 エフビクス関西、宅都を経て、2016年より現職。
室之園 和也 取締役 朝日監査法人、宅都を経て、2020年より現職。


社外取締役は、角田千佳(エニタイムズ代表取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「不動産管理会社向けソリューション提供事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) 新生活サポート「スマサポサンキューコール」


不動産管理会社に代わって新規入居者へ挨拶やアンケート調査を行うとともに、ライフラインサポート等の案内を行うサービスです。入居者との接点構築を支援し、満足度向上や業務改善につなげています。

収益は、不動産管理会社からの業務対価に加え、インターネット回線やウォーターサーバーなどの販売代理店・サービス提供会社からの紹介手数料や取次手数料を得るモデルです。運営は主に同社が行っています。

(2) 入居者アプリ「totono」


不動産管理会社と入居者のコミュニケーションをデジタル化するアプリです。各種申請やトラブル相談、お知らせ配信などをアプリ上で行うことで、管理会社の業務効率化と入居者の利便性向上を実現します。

収益は、アプリを導入する不動産管理会社から初期導入料および月額利用料を受け取るモデルです。入居者からは利用料を徴収しません。運営は同社が行っています。

(3) その他ソリューション


鍵管理システム「スマサポ内覧サービス」や家賃保証サービス「sumai保証」などを提供しています。内覧サービスはスマートキーボックスを活用して鍵管理の手間を削減し、家賃保証は連帯保証人を代行します。

収益は、「スマサポ内覧サービス」では機器代や月額利用料を不動産管理会社から受け取ります。「sumai保証」では入居者から保証料を受け取るモデルです。運営は同社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は20億円前後から28億円規模へ拡大傾向にあります。利益面では一時的な赤字計上があったものの、直近2期間は黒字化しており、特に経常利益は大きく回復・成長しています。利益率も改善傾向にあり、事業の収益性が高まっています。

項目 2021年9月期 2022年9月期 2023年9月期 2024年9月期 2025年9月期
売上高 20.3億円 20.4億円 19.5億円 26.7億円 28.2億円
経常利益 -0.7億円 0.8億円 -1.4億円 1.1億円 1.9億円
利益率(%) -3.4% 3.8% -7.4% 4.2% 6.8%
当期利益(親会社所有者帰属) -0.5億円 0.7億円 -1.5億円 1.1億円 1.3億円

(2) 損益計算書


直近2期間の損益構成を見ると、売上高の増加に伴い売上総利益も拡大しています。売上総利益率は30%台前半から30%台後半へと改善しており、これが営業利益の大幅な増加(前期比約1.8倍)に寄与しています。

項目 2024年9月期 2025年9月期
売上高 26.7億円 28.2億円
売上総利益 8.8億円 10.3億円
売上総利益率(%) 33.0% 36.6%
営業利益 1.1億円 1.9億円
営業利益率(%) 4.1% 6.8%


販売費及び一般管理費のうち、給与及び賞与が3.0億円(構成比35.2%)、支払手数料が1.0億円(同12.0%)を占めています。

(3) セグメント収益


同社は単一セグメントですが、不動産管理会社向けソリューション提供事業として、売上高は前期比5.3%増の28億円、セグメント利益(営業利益)は同75.6%増の1.9億円となりました。主力サービスの顧客単価上昇や高付加価値サービスの販売注力が収益性向上に寄与しています。

区分 売上(2024年9月期) 売上(2025年9月期) 利益(2024年9月期) 利益(2025年9月期) 利益率
不動産管理会社向けソリューション提供事業 27億円 28億円 1億円 2億円 6.8%
連結(合計) 27億円 28億円 1億円 2億円 6.8%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は25.7%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は68.8%で市場平均を上回っています。

項目 2024年9月期 2025年9月期
営業CF 2.0億円 1.9億円
投資CF -0.8億円 -1.1億円
財務CF -0.0億円 -0.0億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「smartなくらしをsupportする」という経営理念を掲げています。これまでアナログであった不動産管理会社と入居者のコミュニケーション領域に対し、データとテクノロジーを活用することで新たな価値を提供することを目指しています。

(2) 企業文化


同社は、不動産管理会社と入居者をつなぐことで双方のコミュニケーションを向上させることを重視しています。不動産管理の現場経験やノウハウを活かし、一つのソリューションだけでなく、管理会社が直面する課題を各場面で解決できる複数のソリューションを提供することで、業界全体の発展に貢献する姿勢を持っています。

(3) 経営計画・目標


同社は、中期的な経営指標として、主力サービスごとの数値目標を設定しています。「スマサポサンキューコール」ではコンタクト数と単価、「totono」ではユーザー数とARPU(ユーザー平均単価)を重視し、2026年9月期に向けた拡大を目指しています。

* スマサポサンキューコール:コンタクト数285,481件、単価7,378円
* totono2.0:ユーザー数201,785ユーザー、ARPU113円

(4) 成長戦略と重点施策


同社は、入居者アプリ「totono」のユーザー数増加による収益基盤の拡大を最優先課題としています。また、蓄積されたビッグデータの分析とAI開発への投資を強化し、BPOコストの削減や新たな価値創出を目指しています。さらに、他業種との提携を通じて入居者に生活関連サービスを提供し、収益機会を広げる方針です。

* 2026年9月期のAI投資額を前期比150%まで拡大

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、従業員の多様性の尊重が中長期的な企業価値向上につながると考え、多様な人材が活躍できる環境整備を進めています。また、従業員の心身の健康を事業基盤と捉え、健康経営にも注力しており、「健康経営優良法人2025(中小規模法人部門)」に認定されています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年9月期 35.8歳 3.9年 4,952,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は、具体的な目標を設定しておらず、今後関連指標のデータ収集と分析を進めていく方針のため、有報には本項の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 不動産市況への依存


同社の主力サービス「スマサポサンキューコール」は、新規入居者へのサポート案内を契機としており、不動産市況の影響を受けやすい構造にあります。市況の冷え込みにより新規入居者が減少し、入居者情報の提供数が減った場合、同社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

(2) 取次手数料の変動リスク


同社は、外部委託先を通じてサービス提供事業者への契約取次を行い、手数料を得ています。事業者の経営方針変更等により手数料条件が大幅に変更された場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。これに対し、取引先の分散化や不動産管理会社との契約条件の柔軟化によりリスク低減を図っています。

(3) 入居者アプリ「totono」の普及


入居者アプリ「totono」の利用促進を図っていますが、普及が想定を下回る場合や、顧客ニーズを機能に十分に反映できない場合、事業成長に影響を与える可能性があります。同社は顧客ニーズの徹底的な把握と機能拡充により、このリスクに対応する方針です。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。