※本記事は、株式会社スマートドライブ の有価証券報告書(第12期、自 2024年10月1日 至 2025年9月30日、2025年12月22日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. スマートドライブってどんな会社?
モビリティデータ活用によるDX推進企業。車両管理サービスやデータ分析基盤を提供し移動の進化を支援。
■(1) 会社概要
同社は2013年に設立され、2016年に法人向けクラウド車両管理サービス「SmartDrive Fleet」をリリースしました。2020年にはマレーシアに子会社を設立し海外展開を開始。2022年に東京証券取引所グロース市場へ上場しました。2025年にはインターゾーンを持分法適用関連会社化するなど事業を拡大しています。
同社グループは連結従業員111名、単体109名の体制で事業を行っています。筆頭株主は創業者の資産管理会社であるOMUで、第2位は資産管理業務を行う信託銀行、第3位は投資ファンドとなっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| OMU | 44.97% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 12.52% |
| TJ2015.FUND LP | 7.32% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長は北川烈氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 北川 烈 | 代表取締役社長 | 2013年10月同社設立代表取締役就任。2020年3月SmartDrive Sdn. Bhd. Director、2021年8月OMU代表取締役就任より現職。 |
| 元垣内 広毅 | 取締役事業部門担当 | 2008年12月有限責任あずさ監査法人入所。2011年10月グリー入社。2015年1月同社入社。2018年12月同社取締役就任より現職。 |
| 高橋 幹太 | 取締役管理部門担当 | 2002年10月朝日監査法人(現 有限責任あずさ監査法人)入所。2013年12月ココン入社。2017年7月同社入社。2020年12月同社取締役就任より現職。 |
社外取締役は、中島友啓(元総務省・公認会計士)、石井絵梨子(新幸総合法律事務所パートナー)、竹川隆司(zero to one代表取締役)、志賀俊之(元日産自動車COO)、長島聡(元ローランド・ベルガー日本法人社長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「モビリティDX事業」および「その他」事業を展開しています。
**(1) 国内FO事業(車を使う会社のDX)**
主に商用車・法人需要車両を利用する企業に対し、クラウド型車両管理サービス「SmartDrive Fleet」や安全運転管理、業務効率化支援などを提供しています。車両のコネクテッド化によりデータを収集・可視化し、生産性向上やコンプライアンス対応を支援します。
収益は、顧客企業からのサブスクリプション形式のサービス利用料やデバイス代金等が主な源泉です。運営は主にスマートドライブが行っています。
**(2) 国内AO事業(自動車産業のDX)**
リース会社や自動車メーカー、保険会社等のパートナー企業に対し、自社サービスをOEM提供しています。パートナー企業の既存顧客へのサービス展開や、新規事業立ち上げ、PoC実施支援、データ分析などを通じ、付加価値向上を支援します。
収益は、パートナー企業へのサービス提供料やレベニューシェア等が主な源泉です。運営は主にスマートドライブが行っています。
**(3) 海外モビリティDX事業**
マレーシアにおいて、現地企業や海外展開する日系企業向けに、車両管理や安全運転管理などのモビリティDXサービスを展開しています。
収益は、現地顧客からのサービス利用料等が主な源泉です。運営は主に連結子会社のSmartDrive Sdn. Bhd.が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は第8期の8.3億円から第12期の28.8億円へと一貫して増加傾向にあります。利益面では、先行投資により第10期までは損失を計上していましたが、第11期に黒字転換を果たし、第12期には利益率も向上して増益基調を強めています。
| 項目 | 2021年9月期 | 2022年9月期 | 2023年9月期 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 8.3億円 | 12.5億円 | 17.1億円 | 21.7億円 | 28.8億円 |
| 経常利益 | -3.2億円 | -3.0億円 | -0.3億円 | 1.7億円 | 3.5億円 |
| 利益率(%) | -38.9% | -24.1% | -1.6% | 7.9% | 12.3% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -3.4億円 | -3.0億円 | -0.3億円 | 2.7億円 | 4.7億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の大幅な増加に伴い、売上総利益も順調に拡大しています。売上総利益率は60%台を維持しており、高い収益性を確保しています。販管費も増加していますが、増収効果が上回り、営業利益率が大きく改善しています。
| 項目 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 21.7億円 | 28.8億円 |
| 売上総利益 | 13.7億円 | 17.7億円 |
| 売上総利益率(%) | 62.9% | 61.4% |
| 営業利益 | 1.8億円 | 3.9億円 |
| 営業利益率(%) | 8.1% | 13.6% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が7.7億円(構成比56%)、広告宣伝費が1.6億円(同12%)を占めています。
■(3) セグメント収益
(データなしのため省略)
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
パターン判定:健全型
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は47.6%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は47.5%で市場平均を上回っています。
| 項目 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 0.5億円 | 6.4億円 |
| 投資CF | -2.3億円 | -5.5億円 |
| 財務CF | 0.2億円 | -0.4億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「移動の進化を後押しする」というビジョンのもと、国内外の顧客企業に向けて事業を展開しています。業務効率化による生産性向上や、モビリティデータを活用した既存サービスの高付加価値化、新規サービスの創出、DX推進を支援し、ミッションである「グローバルで最も利用されるモビリティデータプラットフォームになる」の実現を目指しています。
■(2) 企業文化
同社は全従業員共通の価値観として「Values」を定めています。社会・顧客に対しては「社会をより良くすることに取り組む」「顧客の期待以上の価値を提供する」、組織・チームでは「チームとしての成果にコミットする」、個人では「チャレンジし続ける」「自分ごとにして最後までやりきる」などの行動指針を掲げています。
■(3) 経営計画・目標
同社は、持続的な成長と企業価値の向上を目指し、特に売上高を重要な経営指標としています。また、サブスクリプション型のビジネスモデルであることから、継続的な収益(リカーリングレベニュー)の基盤となる契約企業社数(エンドユーザー社数)を重視しています。
■(4) 成長戦略と重点施策
国内FO事業では、中小規模顧客へのマーケティング自動化による新規獲得と、大規模顧客へのソリューション提案による取引拡大を目指します。国内AO事業では、パートナー企業との連携強化によるエンドユーザーへの拡販と、大手企業の新規開拓を推進します。海外ではマレーシアを中心に、現地のニーズに合わせたソリューション提案を進めます。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、継続的な企業価値向上のために人材を最も重要な経営資本と捉えています。多様な思想や個性を尊重し、国籍や経歴を問わず優秀な人材を積極的に採用・登用する方針です。また、リモートワークやフレックスタイム制度の活用、副業の許可などを通じ、誰もが働きがいを持って活躍できる環境整備に取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年9月期 | 36.0歳 | 4.4年 | 6,969,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 経営環境の変化
モビリティDX市場は企業の期待や注目度の高まりにより成長していますが、経済情勢の悪化等により企業の情報化投資が低迷し、市場成長が鈍化した場合、同社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 競合環境
IoTデバイスによる移動体データ収集・解析分野には多数の競合が存在します。同社はプラットフォーム提供等で差別化を図っていますが、競争激化により新規契約の鈍化や解約増加が生じた場合、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 情報管理体制
事業を通じて個人情報や顧客企業の情報資産を取り扱っています。ISO認証取得等の対策を講じていますが、万が一情報の漏洩等が発生した場合、社会的信用の失墜や損害賠償責任等により、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。



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