BBDイニシアティブ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

BBDイニシアティブ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証グロース市場に上場し、営業支援SaaS等のDX事業とシステム開発等のBPO事業を展開しています。第3期は売上収益44億円と増収でしたが、事業構造変革に伴う減損損失の計上等により営業損益は3.5億円の赤字、最終損益も3.8億円の赤字となり減益(赤字転落)しました。


※本記事は、株式会社BBDイニシアティブ の有価証券報告書(第3期、自 2024年10月1日 至 2025年9月30日、2025年12月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は IFRS です。

1. BBDイニシアティブってどんな会社?


BBDイニシアティブは、営業支援SaaSの開発・販売を行うDX事業と、システム開発等を行うBPO事業を展開する企業グループです。

(1) 会社概要


同社は、2023年4月にナレッジスイートの単独株式移転により持株会社として設立され、東京証券取引所グロース市場に上場しました。グループ再編を進める中、2025年8月にはAIソリューション等を手掛けるヘッドウォータースとの資本業務提携契約を締結し、経営体制の強化を図っています。

2025年9月30日時点の従業員数は、連結で215名、単体で10名です。筆頭株主は資本業務提携先である事業会社のヘッドウォータースで、第2位は同社代表取締役社長の稲葉雄一氏、第3位は投資運用業を行うインフィニティアセットマネジメントとなっています。

氏名 持株比率
ヘッドウォータース 26.13%
稲葉 雄一 22.48%
インフィニティアセットマネジメント 4.91%

(2) 経営陣


同社の役員は男性5名、女性1名の計6名で構成され、女性役員比率は16.7%です。代表取締役社長グループCEOは稲葉雄一氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。

氏名 役職 主な経歴
稲葉 雄一 代表取締役社長 1998年博報堂キャプコ入社。電通テック等を経て2006年ブランドダイアログ(現ブルーテック)設立。2023年4月より現職。
柳沢 貴志 取締役 1997年NTTメディアスコープ入社。電通テックを経て、ブルーテック取締役等を歴任。2023年4月より現職。
佐藤 幸恵 取締役 2007年新日本監査法人入社。公認会計士。ナレッジスイート執行役員等を経て、2023年4月より現職。


社外取締役は、伊香賀照宏(税理士法人ファーサイト代表社員)、和田信雄(元富士通エフ・アイ・ピー・システムズ取締役副社長)、三浦謙吾(銀座高岡法律事務所代表弁護士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「DX事業」および「BPO事業」事業を展開しています。

(1) DX事業


営業活動の可視化・自動化を目指す統合型営業・マーケティング支援SaaSの開発・販売を行っています。中堅・中小企業向けに、CRM/SFA、グループウェア、名刺管理などを統合したクラウドサービスを提供し、顧客企業のDXを支援しています。

収益は、SaaSの月額利用料(サブスクリプション)や、導入時の初期設定・教育などのカスタマーサクセスにかかる費用から構成されています。運営は、主に子会社のブルーテック等が担当しています。

(2) BPO事業


企業のマーケティング課題やシステム課題を解決するWEBマーケティング支援、システム受託開発、およびIT人材リソースを提供するシステムエンジニアリングサービスを展開しています。

収益は、顧客企業からのシステム開発受託費や、エンジニア派遣等に伴う対価から得ています。運営は、主に子会社のアーキテクトコア等が担当しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


第1期から売上収益は増加傾向にありますが、利益面では第3期において損失を計上しています。これは事業構造の変革に伴う一時的な減損損失等が影響しています。

項目 2023年9月期 2024年9月期 2025年9月期
売上収益 36億円 41億円 44億円
税引前利益 0.1億円 3億円 -4億円
利益率(%) 0.3% 6.5% -8.4%
当期利益(親会社所有者帰属) 0.3億円 2億円 -4億円

(2) 損益計算書


売上収益は前期比で増加しましたが、販管費の増加や多額の減損損失の計上により、営業損益および税引前損益は赤字となりました。

項目 2024年9月期 2025年9月期
売上高 41億円 44億円
売上総利益 17億円 17億円
売上総利益率(%) 41.3% 38.0%
営業利益 3億円 -4億円
営業利益率(%) 6.9% -8.0%

(3) セグメント収益


BPO事業は増収増益となり順調に推移しましたが、DX事業は売上が横ばいとなる一方で、損失を計上しました。DX事業の損失は、事業方針の変更に伴うソフトウェア資産等の減損損失が主な要因です。

区分 売上(2024年9月期) 売上(2025年9月期) 利益(2024年9月期) 利益(2025年9月期) 利益率
DigitalTransformationBusinessReportableSegment 21億円 22億円 5億円 -1億円 -5.1%
BusinessProcessOutsourcingBusinessReportableSegment 20億円 23億円 2億円 4億円 16.3%
調整額 -0.4億円 -0.4億円 -5億円 -6億円 -
連結(合計) 41億円 44億円 3億円 -4億円 -8.0%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

同社は、事業活動に必要な資金を営業活動によるキャッシュ・フローから生み出される自己資金で賄う方針です。

営業活動では、継続事業からの税引前損失や減損損失があったものの、営業債務及びその他の債務の減少等により、資金を獲得しました。投資活動では、主に無形資産の取得による支出がありました。財務活動では、株式発行による収入や長期借入れによる収入があった一方で、短期借入金や長期借入金の返済等による支出もあり、資金を獲得しました。

項目 2024年9月期 2025年9月期
営業CF 6億円 7億円
投資CF -5億円 -2億円
財務CF 0.5億円 2億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「ありがとうをX-Tech(クロステック)する」を企業理念として掲げています。また、「Digital Inclusion(デジタルインクルージョン)」をビジョンとし、テクノロジーを通じて世界中の人々が参加し、平等に利益を受ける機会を提供することで、社会に希望を与える世界の実現を目指しています。

(2) 企業文化


社会・経済環境の変化に即応した意思決定ができる組織体制を重視しています。また、コンプライアンスを基本とし、経営の透明性を高め、迅速な意思決定と業務執行の強化を図ることを重要視しています。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標として、営業利益率を重視しています。

(4) 成長戦略と重点施策


同社は、「DX(デジタルトランスフォーメーション)」から「AX(AIトランスフォーメーション)」への転換を掲げ、SaaSベンダーからAIベンダーへの進化を目指しています。ヘッドウォータースとの提携を皮切りに、AIプロダクトやサービスの開発を積極的に進め、高い付加価値とシナジーの創出を図ります。また、AI人材の確保と育成、開発リソースの強化に注力し、持続的な事業成長を実現する方針です。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


変化の激しい市場環境に対応するため、多様な人材の登用を推進しています。即戦力となる中途採用に加え、中長期的な成長に不可欠な新卒採用も積極的に行います。また、AI技術を中心とした技術開発体制の構築に向けて、エンジニアの確保や育成に注力するとともに、働きやすい環境整備や人事制度の構築、教育・研修などを進めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年9月期 35.9歳 5.6年 5,119,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 0.0%
男性育児休業取得率 -%
男女賃金差異(全労働者) 72.2%
男女賃金差異(正規雇用) 70.1%
男女賃金差異(非正規) -%


※男性労働者の育児休業取得率について、提出会社は対象者がいないため「-」となっていますが、主な連結子会社である株式会社アーキテクトコアでは50%の実績があります。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 中小中堅企業向けサービス市場


中小・中堅企業向けSaaS市場には多数の競合が存在しています。同社はノウハウの活用やAIを中心とした新サービス開発に注力していますが、競合他社や新規参入企業との競争が激化し、同社グループの優位性が損なわれた場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) SES(システムエンジニアリングサービス)市場


IT人材不足により市場は活況ですが、顧客企業におけるシステム開発の内製化、新興国人材の活用によるコスト削減、オフショア開発などが想定以上に進展した場合、同社グループの業績に影響を与える可能性があります。

(3) 人材確保、教育及び育成


事業拡大には直販営業体制の強化やAIエンジニアの確保が重要です。しかし、人材の確保・育成が計画通り進まない場合や、有能な人材の流出が生じた場合、事業および業績に影響を及ぼす可能性があります。特にAIエンジニア不足の加速や待遇条件のミスマッチによる流出はリスクとなります。

(4) 技術革新への対応


プロダクトサービスの技術革新スピードは速く、AI等の新サービスが日々生まれています。同社は先進技術の習得に注力していますが、技術対応の遅れや設備投資コストの増加が生じた場合、将来的な販売および業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。