※本記事は、BBDイニシアティブ株式会社 の有価証券報告書(2025年9月期、2024年10月1日 ~ 2025年9月30日、2025年12月23日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は IFRS です。
1. 企業概要:どんな会社?
BBDイニシアティブは、デジタルトランスフォーメーション(DX)事業とビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)事業を展開しています。中堅・中小企業のDXを支援するSaaSの開発・販売、IT人材リソース提供などを手掛けています。
単体従業員数は10名、連結従業員数は215名です。セグメントはDX事業、BPO事業の2つです。
主な国内グループ会社は、ブルーテック(DX事業)、アーキテクトコア(BPO事業)などです。
2024年10月1日付でRocketStarterとBizionが吸収合併し、2025年8月からは株式会社ヘッドウォータースとの資本業務提携を通じ、DXからAXへの事業モデル変革を進めています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
BBDイニシアティブは、「ありがとうをX-Tech(クロステック)する」というグループ企業理念のもと、テクノロジーを通じて社会に貢献することを目指しています。同社グループは人材を最も重要な経営資源と位置付けており、多様な働き方やキャリア形成を支援する環境づくりに力を入れています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、平均年齢が30代半ば、平均勤続年数が5年台半ばとなっており、比較的若手から中堅層が中心となって活躍している傾向が見られます。従業員数は連結で200名を超え、事業の成長を支える多様な人材が在籍しています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,119,000円 |
| 平均勤続年数 | 5.6年 |
| 平均年齢 | 35.9歳 |
| 単体従業員数 | 10人 |
| 連結従業員数 | 215人 |
| 単体のグループ内比率 | 4.7% |
なお、退職給付制度に関する記載はありません。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、「ありがとうをX-Tech(クロステック)する」を企業理念に掲げ、Digital Inclusionのビジョンに基づき、持続可能な社会の実現を目指しています。この実現に向けて、人材を最も重要な経営資源と捉え、事業の成長と企業価値向上に取り組んでいます。
人材の多様性や変化の激しい市場環境に対応するため、女性、外国人、様々な経験を持つキャリア採用者など、多様な人材の登用・起用を積極的かつ継続的に行っています。働く時間や場所の柔軟化として、フレックスタイム制やテレワークなどを導入しています。
また、自律的なキャリア構築支援として、社員が自由に応募できる社内公募制度や、グループ会社間でのグループ転籍制度を実施しています。階層別研修や社内研修制度の充実を図り、全社的な人材育成や成長支援のためのさまざまな取り組みを進めています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。男性労働者の育児休業取得率およびパート有期労働者の男女賃金差異については、対象者がいないため記載がありません。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 0.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 72.2% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規労働者) | 70.1% |
連結子会社の法定開示
主要事業会社3社の数値のみ掲載します。
▼ ブルーテック(株)
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 0.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 80.6% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規労働者) | 80.7% |
▼ (株)アーキテクトコア
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 0.0% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 50.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 87.4% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規労働者) | 84.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート有期労働者) | 100.2% |
多様性・登用
2030年9月までに30%を目標としています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 0.0% |
育児・介護支援
2030年9月までに継続的に85.0%を目指しています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 男性労働者の育児休業取得率 | 100.0% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
BBDイニシアティブは、デジタルトランスフォーメーション(DX)事業とビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)事業を展開し、企業のデジタル化と業務効率化を支援しています。企業の人手不足をテクノロジーで補い、営業活動の自動化を中心とした業務の自動化・自律化をSaaSやAIで推進しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは「DigitalInclusion」をビジョンに掲げ、テクノロジーを通じて世界中の人々が参加し、平等に利益を受ける機会を提供することで社会に希望を与えることを目指しています。中堅・中小企業のDX支援に注力し、成長性や収益性が低い事業からの撤退など、事業の選択と集中に取り組んできました。また、事業モデルをDXからAX(AIトランスフォーメーション)へと変革し、ソフトウェア提供型からAI提供型サービスへ、従来の機能提供モデルから顧客が蓄積する利用データをAI学習資産として活かすモデルへと移行を進めています。
DX事業
DX事業は、法人向けマルチテナント型クラウドサービスとして開発した統合型営業・マーケティング支援SaaSの開発・販売、および顧客企業のカスタマーサクセスへ導く導入支援サービスを提供しています。中堅・中小企業のDXを支援する事業を展開しており、主力サービスは「KnowledgeSuite(ナレッジスイート)」を中心としたSaaSです。収益は、SaaSの月額利用料であるサブスクリプション型課金モデルと、導入支援サービス(カスタマーサクセス)の初期費用から得ています。当連結会計年度においては、売上収益は前期から増加したものの、セグメント損失を計上しています。これは、生成AIネイティブアプリ「Knowledge Suite+(ナレッジスイートプラス)」の開発コストや、事業変革に伴う減損損失の計上が影響しています。
BPO事業
BPO事業は、企業のマーケティング課題やシステム課題を解決支援するWEBマーケティング支援、各種システムの受託開発・保守、および顧客企業へのシステムエンジニアリング(IT人材リソース)を提供するビジネスプロセスアウトソーシング事業を展開しています。システム開発を主軸としたシステムエンジニアリングサービスが中心です。収益は、システム開発サービスやWEBサイト受託制作・保守、各種システム受託開発・保守、OEMサービスの運用保守から得ています。当連結会計年度においては、売上収益、セグメント利益ともに前期から増加しており、特にセグメント利益は大きく伸びています。
| セグメント | 売上収益(2024年9月期) | 売上収益(2025年9月期) | セグメント利益(2024年9月期) | セグメント利益(2025年9月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| BPO事業 | 20.3億円 | 22.9億円 | 2.5億円 | 3.7億円 | 16.3% |
| DX事業 | 21.3億円 | 21.5億円 | 5.3億円 | △1.1億円 | △5.1% |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの売上収益は増加傾向にありますが、直近の当連結会計年度では営業損失、税引前損失、親会社の所有者に帰属する当期損失を計上しています。これは、事業変革に伴う減損損失の計上が主な要因となっています。一方で、営業活動によるキャッシュ・フローは前期から増加しており、本業によるキャッシュ創出能力は向上しています。
| 項目 | 2021年9月期 | 2022年9月期 | 2023年9月期 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上収益 | - | - | 35.7億円 | 41.3億円 | 44.0億円 |
| 税引前利益 | - | - | 10百万円 | 2.7億円 | △3.7億円 |
| 税引前利益率 | - | - | 0.3% | 6.5% | △8.4% |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 | - | - | 30百万円 | 1.6億円 | △3.8億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | - | - | 5.75 | 31.22 | △63.60 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上収益は前期から増加しており、事業規模の拡大と効率化の進展が見られます。一方で、従業員1人あたり営業利益は当連結会計年度で損失に転じています。これは、事業変革に伴う減損損失など一時的な費用が影響していると考えられます。
| 指標 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上収益(連結) | 18.3百万円 | 20.5百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 1.3百万円 | △1.6百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループは、本業のキャッシュフローはプラスであるものの、当期は損失を計上しており、事業の選択と集中を進める中で財務基盤の強化に取り組んでいます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの自己資本比率は前期から増加し、当期は44.1%となっています。これはプライム市場の非製造業平均と比較して高い水準を示しています。ROE(自己資本利益率)は当期にマイナスとなりましたが、手元資金は増加傾向にあります。これらの財務指標は、同社グループの安定性を示す要素となります。
| 指標 | 2024年9月期(前期) | 2025年9月期(当期) |
|---|---|---|
| 自己資本 | 12.8億円 | 17.6億円 |
| 自己資本比率 | 31.0% | 44.1% |
| ROE(自己資本利益率) | 13.9% | △24.9% |
| 現金及び現金同等物 | 7.4億円 | 13.6億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループの営業活動によるキャッシュ・フローは、当期に6.8億円の資金を獲得し、前期の5.6億円から増加しています。これは主に減損損失の計上や減価償却費及び償却費によるもので、本業で安定的に資金を生み出している状況を示しています。
投資活動によるキャッシュ・フローは、当期に△2.3億円の資金を使用し、前期の△5.3億円から使用額が減少しました。これは主に無形資産の取得による支出が要因となっています。財務活動によるキャッシュ・フローは、当期に1.8億円の資金を獲得し、前期の0.5億円から増加しており、株式の発行による収入が主な要因です。
結果として、営業活動と投資活動を合わせたフリーキャッシュ・フローは当期に4.4億円のプラスとなり、前期の0.2億円から大幅に増加しました。これは、同社グループが本業で生み出した資金で投資を賄い、なお余剰資金がある状態を示しています。この資金状況は、今後の事業展開や雇用・給与の安定性にとって重要な基盤となります。
| 項目 | 2024年9月期(前期) | 2025年9月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 5.6億円 | 6.8億円 |
| 投資CF | △5.3億円 | △2.3億円 |
| 財務CF | 0.5億円 | 1.8億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 0.2億円 | 4.4億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、中小・中堅企業向けSaaSあるいはサブスクリプションサービスにおいて、数多くの競合が存在する市場環境にあります。画期的なサービスを提供する競合他社や参入企業との競争が激化し、同社グループの優位性が損なわれた場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、技術革新のスピードが速いプロダクトサービスにおいて、技術対応の遅れや設備投資などのコスト増加により、販売及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、事業拡大に応じた人材の確保及び育成が計画通りに進まない場合や、有能な人材の流出が生じた場合には、事業及び業績に影響を及ぼす可能性があると認識しています。特にAIエンジニア人材不足が加速し、待遇条件のミスマッチ等により他社への流出が生じるリスクを挙げています。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
BBDイニシアティブは、テクノロジーを通じて社会に希望を与えることを目指す企業です。
「ありがとうをX-Tech(クロステック)する」という企業理念を掲げ、Digital Inclusionをビジョンとしています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
BBDイニシアティブグループは、「ありがとうをX-Tech(クロステック)する」を企業理念に掲げています。
「Digital Inclusion(デジタルインクルージョン)」をビジョンとし、テクノロジーを通じて世界中の人々が参加し、平等に利益を受ける機会を提供することで社会に希望を与える世界を目指しています。
同社グループは、中堅・中小企業のDX支援を主力事業としてきましたが、2025年8月からはAIベンダーへの進化を目指す経営戦略に変更しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
BBDイニシアティブグループは、持続的な成長や企業価値の向上を実現していく上で、人材を最も重要な経営資源であると考えています。
多様性に富んだ優秀な人材の採用と継続的な雇用の創出に努めています。
従業員が能力と個性を最大限に発揮できるよう、フレックスタイム制やテレワークなどの柔軟な働き方を整備しています。
また、社内公募制度やグループ転籍制度、階層別研修や社内研修制度の充実を通じて、自律的なキャリア構築と人材育成を支援しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
BBDイニシアティブグループは、経営上の課題としてAI人材の確保と育成を挙げています。
即戦力となる中途採用と中長期的な事業拡大に向けた新卒採用を積極的に進める方針です。
働きやすい環境整備や人事制度の構築、AIに関連する教育・研修の推進にも取り組んでいます。
また、顧客ニーズを捉え、先端技術を取り入れたサービス開発力の強化も重要なテーマです。
AIを中心とした優秀なエンジニアの確保やグループシナジーを通じたエンジニア交流に努めています。
コーポレート・ガバナンス体制の強化も、継続的な成長に向けた重要な経営課題として認識されています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
BBDイニシアティブは監査等委員会設置会社として、経営の透明性と迅速な意思決定を重視したガバナンス体制を構築しています。取締役会は、社外取締役を含む複数の取締役で構成されています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
BBDイニシアティブの株主構成を見ると、筆頭株主は事業会社であり、代表取締役社長が個人として主要な株主の一人として名を連ねています。複数の事業会社や個人が上位株主として同社を支える構造となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| ヘッドウォータース | 26.13% |
| 稲葉 雄一 | 22.48% |
| インフィニティアセットマネジメント | 4.91% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は6名(男性5名・女性1名)で構成され、女性役員比率は16.7%です。代表取締役社長は稲葉雄一氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 稲葉 雄一 | 代表取締役社長 | 1998年博報堂キャプコ入社後、メンバーズ、インピリック電通、電通テックを経て、2006年ブランドダイアログ(現ブルーテック)設立、代表取締役社長に就任。2023年4月より同社代表取締役社長グループCEO現職。 |
| 柳沢 貴志 | 取締役 | 1997年NTTメディアスコープ入社後、電通テックを経て、2007年ブランドダイアログ(現ブルーテック)入社。同社取締役、ブーストマーケティング取締役などを歴任し、2023年4月より同社取締役現職。 |
| 佐藤 幸恵 | 取締役 | 2007年新日本監査法人入社後、公認会計士登録。佐藤幸恵公認会計士事務所所長、ナレッジスイート(現ブルーテック)執行役員などを経て、2023年4月より同社取締役グループCFO現職。 |
社外取締役は、伊香賀照宏氏(timelily代表取締役社長・監査等委員)、和田信雄氏(元富士通エフ・アイ・ピー・システムズ取締役副社長・監査等委員)、三浦謙吾氏(銀座高岡法律事務所設立・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、社外取締役が経営の透明性確保とコーポレート・ガバナンス体制の強化に貢献しています。社外取締役は、客観的な立場から職務執行に関する監督及び助言を積極的に行っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
BBDイニシアティブの役員報酬は、株主利益と連動した体系を基本方針としています。業務執行取締役には固定報酬としての基本報酬と株式報酬が支給され、社外取締役監査等委員には基本報酬のみが支給される構成です。非金銭報酬として譲渡制限付株式を付与することで、企業価値向上へのインセンティブを高めています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 3名 | 66百万円 | 21.9百万円 |
なお、取締役の報酬等の額には、使用人兼務取締役の使用人分給与は含まれていません。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。