※本記事は、株式会社リアルゲイト の有価証券報告書(第17期、自 2024年10月1日 至 2025年9月30日、2025年12月11日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. リアルゲイトってどんな会社?
都心部の築古ビルを再生し、クリエイティブなオフィス空間として提供する不動産ベンチャーです。
■(1) 会社概要
2009年、トランジットジェネラルオフィスの完全子会社として設立され、「the SOHO」の運営受託を開始しました。2010年にプロパティマネジメント、2012年にマスターリース事業を開始し、業容を拡大。2021年にサイバーエージェントの連結子会社となり、2023年6月に東証グロース市場へ上場しました。
連結従業員数は存在せず、単体で93名の組織です。筆頭株主は親会社のサイバーエージェント(IT・メディア事業)で63.74%を保有しています。第2位は創業社長の岩本裕氏、第3位は個人投資家の田端信太郎氏となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| サイバーエージェント | 63.74% |
| 岩本 裕 | 5.97% |
| 田端 信太郎 | 2.09% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性8名、女性1名の計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役は岩本裕氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 岩本 裕 | 代表取締役 | 五洋建設、大京、プロパストを経て、2009年8月より現職。 |
| 黒川 亮 | 取締役 | ミブコーポレーションを経て2018年入社。企画営業部長等を歴任し、2025年10月より事業本部長。 |
| 菊池 史哉 | 取締役 | 新日本監査法人を経て2020年入社。経理部長等を歴任し、2025年10月より管理本部長。 |
| 中山 豪 | 取締役 | 住友商事等を経てサイバーエージェント入社。同社取締役専務執行役員などを務め、2021年7月より現職。 |
社外取締役は、仙仁登(元資産管理サービス信託銀行常勤監査役)、田中渓(元ゴールドマン・サックス証券)です。
2. 事業内容
同社グループは、「フレキシブルワークプレイス事業」および「その他」事業を展開しています。
■(1) フレキシブルワークプレイス事業
都心部(渋谷区・港区・目黒区)の築古ビルを対象に、リノベーションによって付加価値を高め、スモールオフィスやシェアオフィスとして提供する事業です。スタートアップ企業やクリエイティブ企業を主な顧客とし、自由な働き方を支援する空間を提供しています。
収益は主にストック型とフロー型に分かれます。ストック型は、テナントからの賃料(マスターリース・自社保有)やビルオーナーからの運営受託手数料(プロパティマネジメント)です。フロー型は、物件の企画・設計・施工に伴う請負料や、バリューアップした販売用不動産の売却益によって構成されています。運営はリアルゲイトが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は順調に拡大しており、特に直近の2025年9月期には約98億円に達しました。利益面でも経常利益、当期純利益ともに増加傾向にあり、高い成長性を維持しています。売上高経常利益率も8%台で推移しており、収益性も安定しています。
| 項目 | 2021年9月期 | 2022年9月期 | 2023年9月期 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 38億円 | 58億円 | 70億円 | 79億円 | 98億円 |
| 経常利益 | 2.6億円 | 3.9億円 | 4.8億円 | 6.3億円 | 8.3億円 |
| 利益率(%) | 6.9% | 6.6% | 7.0% | 7.9% | 8.4% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 0.5億円 | 0.4億円 | 2.8億円 | 3.8億円 | 5.6億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の大幅な増加に伴い、売上総利益も拡大しています。利益率も改善傾向にあり、効率的な事業運営が行われています。営業利益率も10%台に乗せ、収益力が向上していることが読み取れます。
| 項目 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 79億円 | 98億円 |
| 売上総利益 | 13億円 | 17億円 |
| 売上総利益率(%) | 16.3% | 17.1% |
| 営業利益 | 8億円 | 10億円 |
| 営業利益率(%) | 9.6% | 10.7% |
販売費及び一般管理費のうち、役員報酬が1.1億円(構成比17.6%)、給与手当が1.0億円(同15.7%)を占めています。売上原価においては、賃借料が30億円(構成比36.8%)、仕入高が26億円(同32.6%)となっており、物件仕入や賃借にかかる費用が主な構成要素です。
■(3) セグメント収益
全事業で増収傾向にありますが、特に販売事業(不動産売却)が大きく伸長し、全体の売上成長を牽引しています。賃貸及び運営管理も安定的に成長しており、ストック収益の基盤が強化されています。一方で設計施工は前期比で減少しました。
| 区分 | 売上(2024年9月期) | 売上(2025年9月期) |
|---|---|---|
| 賃貸及び運営管理 | 55億円 | 61億円 |
| 設計施工 | 11億円 | 4億円 |
| 販売 | 13億円 | 32億円 |
| その他 | 0.1億円 | 0.3億円 |
| 連結(合計) | 79億円 | 98億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社は、営業CFがプラス、投資CFがマイナス、財務CFがプラスであることから、本業で稼いだ資金と借入金等の調達資金を合わせて、将来の成長に向けた積極的な投資を行っている「積極型」の企業と言えます。
なお、同社は在庫を多く抱える事業を主力としているため、営業CFのマイナスは棚卸資産(商品・販売用不動産等)の増加(事業拡大)に起因している可能性があり、必ずしも業績悪化を意味するものではありません。
| 項目 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | -13億円 | 36億円 |
| 投資CF | -34億円 | -79億円 |
| 財務CF | 39億円 | 42億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は18.7%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は15.5%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「古いものに価値を、不動産にクリエイティブを、働き方に自由を」という企業理念を掲げています。都心部の築古ビルにリノベーションで付加価値を与え、不動産価値の最大化を追求するとともに、テナントには質の高いクリエイティブなオフィスを提供し、自由な働き方と豊かな街づくりに貢献することを目指しています。
■(2) 企業文化
企画・設計・デザイン、建設、リーシング、運営までをワンチーム、ワンストップで推進する文化があります。プロジェクトごとに各専門家が集まり6~10名程度のチームを編成することで、事業推進の迅速化と効率化、ノウハウの蓄積を実現しています。また、一級建築士や施工管理技士などの有資格者が多数在籍し、専門性を重視しています。
■(3) 経営計画・目標
翌期以降3年間における売上高および営業利益を重要な経営指標とし、中長期的な企業価値の最大化を図っています。これらを向上させるための重要な指標として、以下の項目を定点監視しています。
* 物件稼働率
* 平均坪単価
* 運営面積
* 累計プロジェクト数
* 獲得済プロジェクト数
* 運営中物件数
■(4) 成長戦略と重点施策
企画から運営までワンストップで手掛ける強みを活かし、渋谷区・港区・目黒区を中心としたドミナント戦略を継続します。安定的なストック型収入を基盤としつつ、設計・施工や物件売却によるフロー型収入を組み合わせて事業規模を拡大させる方針です。
* 親会社であるサイバーエージェントの信用力等を活用した銀行融資により、新規物件の取得を強化。
* ビルオーナーへの認知度・ブランド力の向上を通じ、収益性の高い運営物件を増加させる。
* 株式市場を通じた資金調達も組み合わせ、財務バランスを保ちながら事業拡大を図る。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
競争力の源泉である人材を最重要経営資源と位置づけています。組織に不足するスキル獲得のため、資格手当(一級建築士等)や評価制度を整備し、研修等によるスキルアップを図っています。また、多様な人材の活躍に向けた環境整備や、新卒・中途採用の強化、社内公募制度等の導入により、活力ある組織構築を推進しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年9月期 | 33.8歳 | 3.4年 | 6,979,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 経済状況及び不動産市況の影響について
景気後退や金利上昇、オフィス供給過剰などが業績に影響する可能性があります。特に主要テナントである中小・ベンチャー企業の需要は景気動向に左右されやすく、市況悪化により稼働率が低下した場合、マスターリース賃料の逆ザヤ等が発生するリスクがあります。
■(2) 競合について
都心部のコンパクトな築古ビル再生において独自の地位を築いていますが、大手デベロッパー等の参入により競争が激化する可能性があります。企画から運営までのワンストップ体制等の優位性が維持できなくなった場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 物件の確保について
物件情報は不動産業者等からの紹介に依存しており、市況変化や取得競争の激化により優良な情報の入手や物件の仕入れが困難になった場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(4) 災害等の発生について
地震や集中豪雨などの自然災害により、保有・運営する不動産の価値が毀損した場合、業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。同社は災害対策マニュアルの整備等によりリスク回避と被害最小化に努めています。



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