※本記事は、株式会社揚羽 の有価証券報告書(2025年9月期、2024年10月1日 ~ 2025年9月30日、2025年12月24日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
揚羽は、大手企業を主なクライアントとし、人的資本経営に特化したブランディング支援サービスを提供しています。HRを起点とした全方位型のブランディング支援を通じて、企業の生産性向上や人材戦略を支えています。
同社の単体従業員数は141名です。事業セグメントはブランディング事業の単一ですが、コーポレート支援領域とリクルーティング支援領域に区分されています。
揚羽は、大手企業を対象に人的資本経営に特化したブランディング支援サービスを単一セグメントで展開しています。コーポレート支援領域とリクルーティング支援領域に区分し、戦略策定からクリエイティブ制作、社内外への浸透まで一貫したサービスを提供しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
同社は、ブランディング事業を単一セグメントとして展開しており、人材を重要な資本と位置付けています。多様な社員が活躍できる環境づくりと人材育成に積極的に取り組む方針を示しています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、平均勤続年数が比較的短く、平均年齢も30代半ばであることから、活発な人材の流動性や若手社員の活躍がうかがえる傾向にあります。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,628,000円 |
| 平均勤続年数 | 3.8年 |
| 平均年齢 | 36.7歳 |
| 単体従業員数 | 141人 |
なお、退職給付制度に関する記載はありません。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社は「誰もが自分たちのストーリーを誇れる世界に。」をパーパスに掲げ、持続可能な社会への貢献と自らの発展のために、人材を優先すべき資本の一つと位置付けています。年齢、学歴、性別、国籍等にとらわれず、個人の能力に基づく採用を進め、多様な社員が活躍できる働きやすい環境づくりと人材育成に積極的に取り組んでいます。
具体的には、全社プロジェクトとして次世代主要メンバーが主導し、パーパスやミッション・ビジョン・バリューの策定を行っています。パーパス浸透のための全社員参加ワークショップを定期的に実施し、社員一人ひとりがマイパーパスを設定しています。社員一丸となって組織活動を通じて新たな価値創造とパーパス実現を図ることで、人と組織の継続的な成長を目指しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
同社は、女性活躍推進法および育児介護休業法の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しています。提出会社単体の法定開示データは開示されていません。
多様性・登用
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 労働者に占める女性労働者の割合(正規雇用労働者) | 41.6% |
| 労働者に占める女性労働者の割合(パート・有期労働者) | 87.5% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
揚羽は、大手企業を主なクライアントとして、人的資本経営に特化したブランディング支援サービスを提供しています。HRを起点とした全方位型のブランディング支援が特徴です。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社は「ブランディング事業」の単一セグメントで、主に「コーポレート支援領域」と「リクルーティング支援領域」に区分してサービスを提供しています。コーポレート支援領域では、企業のブランドアイデンティティの調査・分析から、クリエイティブ制作、プロモーション企画、事業実行までを支援するコーポレートブランディング支援を行っています。また、企業理念や価値を従業員に浸透させるインナーブランディング支援や、SDGs経営・ESG経営を支援するサステナビリティブランディング支援も提供しています。
リクルーティング支援領域では、採用コンセプトの策定から、採用活動に使用するWEBサイト、映像、グラフィックなどのクリエイティブツールの制作を通じて、企業の採用活動を支援しています。独自の調査ツール「ビズミル サーベイ」を活用し、企業の強みや魅力を明確にしています。
同社は「バタフライモデル®」という独自の考え方に基づき、社内向け広報と社外向けブランディングに一貫性を持たせたサービスを提供しています。戦略策定からクリエイティブツール制作、研修、イベント、WEBマーケティングまで、複合的なサービス提供により顧客の課題解決を支援しています。これらのサービスを単独で提供するだけでなく、複合的に提供することで、同一顧客内でのクロスセルを推進しています。当事業年度の販売実績では、コーポレート支援領域がリクルーティング支援領域よりも大きな割合を占めています。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
直近の業績は、売上高が前期からわずかに減少しました。営業利益は前期の黒字から当期は損失に転じ、経常利益および当期純利益も損失となりました。これは、上期に既存案件の納期対応に注力したことや、下期以降の新規案件獲得が伸び悩んだこと、また今後の事業成長を見据えた人材採用に伴う人件費や採用費の増加、社内基幹システムの減価償却費、株主優待費用などが影響しています。営業活動によるキャッシュ・フローは前期の減少から増加に転じており、本業からのキャッシュ創出力は改善傾向にあります。
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社の従業員数は141人です。平均年間給与は5,628千円、平均勤続年数は3.8年となっています。これらの情報から、同社の組織規模や従業員の定着状況、報酬水準の傾向を把握することができます。従業員一人ひとりの貢献が事業の成果に直結するビジネスモデルにおいて、これらの指標は生産性を測る上で重要な要素となります。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
揚羽の財務状況は、自己資本比率や手元資金の厚みから安定性を確認できます。キャッシュフローの動きからは、事業活動による資金創出と投資への配分状況が見えてきます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
揚羽の自己資本比率は68.8%となっており、プライム市場平均(製造業46.8%・非製造業24.2%)と比較して高い水準にあります。ROE(自己資本利益率)は当期がマイナス6.9%となっています。
現金及び現金同等物は8.7億円であり、事業運営における手元資金を確保している状況です。これらの財務指標は、同社の事業運営における安定性を示しています。
| 指標 | 2024年9月期(前期) | 2025年9月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 9.6億円 | 9.0億円 |
| 自己資本比率 | 74.0% | 68.8% |
| ROE(自己資本利益率) | - | △6.9% |
| 現金及び現金同等物 | 5.8億円 | 8.7億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
揚羽の当期の営業活動によるキャッシュフローは2.3億円の増加となりました。これは主に、売上債権の減少額や前渡金の減少額、前受収益の増加額によるものです。投資活動によるキャッシュフローは0.2億円の減少となりました。これは有形固定資産の取得による支出や無形固定資産の取得による支出によるものです。
財務活動によるキャッシュフローは0.8億円の増加となりました。これは長期借入れによる収入や株式の発行による収入が、長期借入金の返済による支出を上回ったことによるものです。当期のフリーキャッシュフローは2.0億円のプラスとなっており、本業で稼いだ資金が投資を上回る状況を示しています。これは、同社が事業活動で安定的に資金を創出し、財務的な無理なく事業を継続できる状態にあることを示しています。
| 項目 | 2024年9月期(前期) | 2025年9月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | △3.5億円 | 2.3億円 |
| 投資CF | 0.8億円 | △0.2億円 |
| 財務CF | △2.3億円 | 0.8億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △2.7億円 | 2.0億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社はブランディング、マーケティングを含む広告市場に属しており、市場の拡大が事業成長の基本的な条件と考えています。景気の急激な減速や予期せぬ要因によって市場拡大が阻害された場合、事業展開や財政状態、経営成績に影響を与える可能性があります。
また、ブランディング市場及びその実行を行うマーケティングの市場は参入障壁が必ずしも高くない事業も存在するため、競争が激しくなる可能性があります。競争力を維持できない場合、経営成績に悪影響を与える可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社はサービス領域の拡大により多様な顧客ニーズに対応するため、各サービス領域において内製化を進める方針であり、人材を最も重要な経営資源と認識しています。優秀な人材のさらなる確保や定着が重要課題であり、人材マーケットの環境変化等により、優秀な人員の適時確保が困難になった場合や人材が流出してしまう場合、事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
揚羽は、「一社でも多くの企業のブランディングに伴走し、日本のビジネスシーンを熱く楽しくする!」というミッションを掲げ、企業のブランディング支援を通じて社会に貢献しています。同社は、人材を重要な資本と捉え、多様な社員が活躍できる環境づくりと育成に力を入れています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社は「一社でも多くの企業のブランディングに伴走し、日本のビジネスシーンを熱く楽しくする!」というミッションを掲げています。また、「誰もが自分たちのストーリーを誇れる世界に。」をパーパスとしています。
コーポレートブランディングに関する課題解決ニーズに応えるべく、コンサルテーションからクリエイティブ制作、ソリューションまでを一気通貫で提供する“伴走者”として、企業のブランディングを支援しています。
経営戦略としては、「コーポレートブランディング支援の企業」という地位の確立、大手企業への集中、アライアンス強化の3点を推進しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社は人材を優先すべき資本の一つと位置付け、年齢、学歴、性別、国籍等にとらわれず、各個人の能力に基づく採用を進めています。多様な社員が活躍できるよう、働きやすい環境づくりと人材育成に積極的に取り組んでいます。
全社プロジェクトとして、次世代主要メンバーが主導となり、パーパスやミッション・ビジョン・バリューの策定を行っています。パーパス浸透のための全社員参加のワークショップを定期的に実施し、社員一人ひとりがマイパーパスを設定しています。
創業以来のカルチャーとして、業務の標準化・型化を推進しています。持続的な成長と企業価値向上のため、効率性と透明性の高い経営に努め、法令遵守の徹底、適切な資源配分、意思決定の迅速化を図っています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社は、営業活動においては選択と集中、人員強化と組織再編成を推進しています。制作活動においては、クリエイティブ向上と生産性向上の両立に努めています。
即戦力となる中途採用社員を中心としたコーポレートブランディングチームを再編成し、顧客分析力に強みを持つインナーブランディングチームとのシナジーにより、社外向けの大型案件実行体制を構築しています。
体系的な教育・研修を引き続き強化し、RPAやAI活用を含む社内システム導入・業務改善を通じて業務の標準化・型化を推進しています。工数管理を強化することで、生産性向上及び利益率改善に取り組んでいます。また、内部統制の強化や情報管理体制の強化も図っています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
揚羽は、取締役会と監査役会を設置する監査役会設置会社です。経営の透明性向上とコンプライアンスを重視したガバナンス体制を構築しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
揚羽の筆頭株主は代表取締役社長の湊剛宏氏です。また、同氏の資産管理会社である株式会社ポルトが第2位の株主となっており、創業家が上位を占める資本構成となっています。これにより、特定の株主グループが経営に強い影響力を持つ体制であることがうかがえます。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 湊 剛宏 | 35.58% |
| ポルト | 20.93% |
| SBI証券 | 2.22% |
| AIフュージョンキャピタルグループ | 1.96% |
| 山本 裕治 | 1.13% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は6名(男性5名・女性1名)で構成され、女性役員比率は16.7%です。代表取締役社長は湊剛宏氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 湊 剛宏 | 代表取締役 社長 | 1992年4月 株式会社リクルート入社、1999年5月 株式会社オフィスボウ入社、2001年8月 同社設立 代表取締役社長就任より現職。 |
| 忽滑谷 勉 | 取締役 制作部、ブランドコンサルティング部、管理部管掌 | 1991年4月 株式会社リクルート入社、1994年4月 株式会社クイック入社、2011年11月 同社入社、2017年12月 同社取締役就任より現職。 |
社外取締役は、水谷健彦氏(AnyMind Group株式会社Managing Director)です。
同社は監査役会設置会社です。社外取締役を招聘することで、取締役会の監督機能強化と公正で透明性の高い経営を目指しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
揚羽の役員報酬体系は固定報酬のみで構成されており、業績連動報酬は導入していません。報酬額は、職務や貢献度、会社の業績などを総合的に考慮し、適切かつ公正に決定されています。取締役の個別報酬は、代表取締役社長、社外取締役、社外監査役が出席する役員報酬決定協議で決定されます。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 5名 | 42百万円 | 8.5百万円 |
| 社外役員 | 6名 | 12百万円 | 2.0百万円 |
同社の役員報酬等の総額は55百万円であり、対象となる役員の総数は11名です。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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