※本記事は、株式会社インバウンドプラットフォーム の有価証券報告書(第10期、自 2024年10月1日 至 2025年9月30日、2025年12月19日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. インバウンドプラットフォームってどんな会社?
訪日・在留外国人向けにWi-Fiレンタルや生活支援サービスを提供する、インバウンド領域のプラットフォーマーです。
■(1) 会社概要
2015年に設立され、海外キャンピングカーの取次事業を開始しました。2016年にエアトリ(旧エボラブルアジア)の子会社となり、2018年に現商号へ変更しWi-Fi事業を開始しました。2023年に東京証券取引所グロース市場へ上場を果たし、2025年にはシンガポールに子会社を設立するなど事業を拡大しています。
連結従業員数は63名、単体従業員数は63名です。筆頭株主はオンライン旅行事業を展開する親会社のエアトリで、第2位は証券業務を行うSBI証券、第3位は同じく証券業務を行う楽天証券です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| エアトリ | 65.14% |
| SBI証券 | 8.56% |
| 楽天証券 | 2.62% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性9名、女性0名の計9名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は王 伸氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 王 伸 | 代表取締役社長 | 税理士法人トーマツ、KPMG税理士法人等を経て、株式会社エアトリ取締役等を歴任。2018年より現職。 |
| 弓場 肇 | 取締役CFO | アビームコンサルティング株式会社、株式会社トレタ執行役員等を経て、2024年より現職。 |
| 武原 等 | 取締役 | 株式会社アップルワールド常務執行役員等を経て、2018年より現職。 |
社外取締役は、古我 知史(元ウィルキャピタルマネジメント代表取締役)、菅原 洋(元監査法人トーマツ)、宇尾野 彰大(株式会社事業人代表取締役)です。
2. 事業内容
同社グループは、「モバイルネットワーク事業」、「ライフメディアテック事業」および「キャンピングカー事業」を展開しています。
■(1) モバイルネットワーク事業
訪日外国人旅行客や国内法人、海外旅行客を対象に、Wi-Fi端末のレンタルサービス、SIMカード・eSIMの販売・取次サービス、およびモバイルアクセサリーの販売を行っています。主な運営サイトとして、訪日客向け「Japan Wireless」、国内法人等向け「グロモバ」があります。
顧客からのWi-Fi端末レンタル料やSIM等の販売代金が主な収益源です。運営は同社および子会社のINBOUND PLATFORM ASIA PACIFIC PTE. LTD.、SLBS JAPANが行っています。
■(2) ライフメディアテック事業
訪日外国人および在留外国人を対象に、日本での滞在や生活に必要な各種サービスの取次を行っています。具体的には、新幹線・バスチケットの手配、不動産情報の提供・賃貸仲介、医療機関の取次などを多言語対応のWebサイトやカスタマーサポートを通じて提供しています。
提携企業からの広告料(掲載型・成果報酬型)や取次手数料が収益源です。運営は主に同社が行っています。
■(3) キャンピングカー事業
日本国内において、訪日外国人や日本人顧客向けに自社保有のキャンピングカーをレンタルしています。また、アメリカ、カナダ、オーストラリア等でのキャンピングカーレンタルの日本人顧客向け取次も行っています。
顧客からのレンタル料や取次手数料、およびキャンピングカーの中古車販売による代金が収益源です。運営は主に同社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
第10期より連結財務諸表を作成しているため、第10期の数値のみ表示します。訪日外国人数の増加やインバウンド市場の活性化を背景に、売上高30億円、利益率約10%の業績となっています。
| 項目 | 2025年9月期 |
|---|---|
| 売上高 | 30億円 |
| 経常利益 | 3億円 |
| 利益率(%) | 9.7% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 2億円 |
■(2) 損益計算書
第10期の損益構成です。売上総利益率は約75%と高い水準を維持しており、営業利益率は約10%となっています。
| 項目 | 2025年9月期 |
|---|---|
| 売上高 | 30億円 |
| 売上総利益 | 23億円 |
| 売上総利益率(%) | 75.3% |
| 営業利益 | 3億円 |
| 営業利益率(%) | 9.9% |
販売費及び一般管理費のうち、広告宣伝費が6億円(構成比31%)、給与手当が3億円(同17%)を占めています。
■(3) セグメント収益
各セグメントともに黒字を確保しています。モバイルネットワーク事業が売上の過半を占める主力事業ですが、利益率ではライフメディアテック事業が高くなっています。
| 区分 | 売上(2025年9月期) | 利益(2025年9月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|
| モバイルネットワーク事業 | 16億円 | 1.0億円 | 5.9% |
| ライフメディアテック事業 | 12億円 | 1.9億円 | 15.6% |
| キャンピングカー事業 | 1.2億円 | 0.1億円 | 5.0% |
| その他 | 0.0億円 | - | - |
| 連結(合計) | 30億円 | 3.0億円 | 9.9% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
**積極型**:営業で利益を出し、借入によって積極投資を行う状態
| 項目 | 2025年9月期 |
|---|---|
| 営業CF | 6.2億円 |
| 投資CF | -3.6億円 |
| 財務CF | 0.6億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は14.3%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は52.5%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「また来たい、日本」をビジョンに掲げています。訪日旅行客や在留外国人が日本滞在中に感じる不便を解消し、より快適に過ごせるよう徹底して顧客視点に立ったサービスプラットフォームを構築することで、日本へのリピーターを世界中に増やすことを目指しています。
■(2) 企業文化
同社は、徹底してお客様の視点に立ったサービスプラットフォームを作り上げることを重視しています。多言語でのカスタマーサポート体制や、各国の文化・商習慣を踏まえたWebサイトのローカライゼーションなど、外国人が感じる不便や不安を解決するために、きめ細やかな対応を行う文化があります。
■(3) 経営計画・目標
同社は継続的な事業発展のため、「取扱高」「売上高」「営業利益」を重要な経営指標と捉えています。また、各事業において以下のKPIを設定しています。
* モバイルネットワーク事業:「モバイルネットワーク稼働数」(Wi-Fi端末、SIM等の稼働数合計)
* ライフメディアテック事業:「取次件数」
* キャンピングカー事業:「総レンタル日数」
■(4) 成長戦略と重点施策
インバウンド市場の拡大というマクロトレンドの中、顧客接点を活用して事業を拡大する方針です。モバイルネットワーク事業およびキャンピングカー事業では、マーケティング強化やシステム開発、リピーター率向上に注力します。ライフメディアテック事業では、これらに加え、取次サービス領域の拡大や新規事業開発を進める計画です。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社グループは比較的少ない従業員で業務を推進しており、その核となる従業員には高い専門性とプロフェッショナル精神が求められています。業務内容の拡大に伴い、これらの能力を兼ね備えた人材の確保が急務となっており、今後も人材の確保と育成を図っていく方針です。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年9月期 | 37.7歳 | 3.0年 | 5,424,000円 |
※平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 11.8% |
| 男性育児休業取得率 | - |
| 男女賃金差異(全労働者) | - |
| 男女賃金差異(正規雇用) | - |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | - |
※同社は人数規模が比較的小さいことから、重要性も加味したうえで、現時点では定めておりません。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性従業員比率(52.4%)、外国籍従業員比率(37.2%)、外国人管理職比率(23.5%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) インバウンド市場の動向
同社グループの事業はインバウンド市場に依存しており、自然災害、感染症の流行、国際紛争等の事態により訪日旅行客が減少した場合、業績に影響を与える可能性があります。これに対し、在留外国人や国内企業向けのサービス拡充によりリスク分散を図っています。
■(2) 仕入条件の影響
Wi-Fi端末レンタルサービスにおいて、通信キャリア等からの仕入条件が悪化した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。これに対応するため、既存取引先との関係強化に加え、特定の仕入先への依存度が高くならないよう仕入先の拡充に努めています。
■(3) 競合他社の影響
各事業分野において競合が存在し、競争激化による収益力低下や広告宣伝費の増加等が業績に影響を及ぼす可能性があります。ただし、多言語対応やWebサイト構築、ブランド認知等の面で一定の参入障壁があると考えています。



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