ケイ・ウノ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ケイ・ウノ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ケイ・ウノは名証ネクスト市場に上場し、オーダーメイドのジュエリーおよび時計の製造販売を主力事業としています。自社一貫体制による高品質なものづくりとキャラクタージュエリー展開が特徴です。直近の業績は、売上高が増加した一方で、原材料高騰や人件費増加等の影響により減益となりました。


※本記事は、株式会社ケイ・ウノ の有価証券報告書(第35期、自 2024年10月1日 至 2025年9月30日、2025年12月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ケイ・ウノってどんな会社?


オーダーメイド技術を強みに、ジュエリーや時計の製造販売を一貫して手掛ける製造小売企業です。

(1) 会社概要


同社は1991年にオーダーメイドジュエリーの加工・販売を目的として設立され、2001年に現商号へ変更しました。2009年にはオーダーメイド時計、2010年にはディズニーデザインジュエリーの販売を開始し、事業領域を拡大しています。2024年10月に名古屋証券取引所ネクスト市場へ株式を上場しました。

現在の従業員数は連結578名、単体512名です。筆頭株主は創業者一族の資産管理会社である有限会社秀吉で、第2位、第3位も創業者の親族が名を連ねており、創業家が安定的に株式を保有しています。

氏名 持株比率
有限会社秀吉 37.90%
久野新太郎 11.00%
久野栄太 10.70%

(2) 経営陣


同社の役員は男性5名、女性1名の計6名で構成され、女性役員比率は16.7%です。代表取締役CEOは青木興一氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
青木 興一 代表取締役CEO プリモ・ジャパン株式会社執行役員等を経て、同社製造本部長、クリエイティブ本部長を歴任。2025年4月より現職。
伊藤 崇史 取締役COO兼執行役員 2007年同社入社。販売部長、営業企画部長、株式会社ユートレジャー代表取締役社長、同社代表取締役社長等を経て、2025年4月より現職。
渡沼 和則 取締役CAO兼執行役員 株式会社フライングガーデン等を経て、2012年同社入社。販売部長、商品部長、管理本部長等を歴任し、2025年4月より現職。
長谷川 学 取締役(監査等委員) 株式会社長崎堂代表取締役社長等を経て、2015年同社入社。内部監査室長、経営管理部長、経理財務部長を経て、2021年12月より現職。


社外取締役は、星野一郎(弁護士法人オールスター代表社員)、山岡誓子(株式会社ワークライフインテグレート代表取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「製造小売事業」を展開しています。

製造小売事業


同社は、ジュエリーおよび時計の製造販売を行っています。主な顧客は一般消費者であり、ブライダルジュエリーやファッションジュエリーを提供しています。強みであるオーダーメイドでは、デザイナーが顧客の要望に合わせてデザインを描き、自社職人が製造するフルオーダーや、既製品をアレンジするサービスなどを展開しています。

収益は、主に直営店やECサイトにおける一般顧客への製品販売代金から得ています。また、キャラクタージュエリーを取り扱う「U-TREASURE」ブランドや、法人向けのODM生産も行っています。運営は主にケイ・ウノが担い、子会社の株式会社ユートレジャーがキャラクタージュエリー等の小売事業を行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は増加傾向にあり、事業規模の拡大が続いています。一方、利益面では原材料価格の高騰や先行投資等の影響を受け変動が見られ、直近では赤字から黒字回復しつつも、当期は最終利益が縮小しました。

項目 2021年9月期 2022年9月期 2023年9月期 2024年9月期 2025年9月期
売上高 52億円 58億円 62億円 67億円 70億円
経常利益 -0.7億円 0.3億円 1.7億円 2.3億円 0.8億円
利益率(%) -1.4% 0.5% 2.7% 3.5% 1.1%
当期利益(親会社所有者帰属) 4.1億円 0.4億円 0.4億円 1.8億円 0.2億円

(2) 損益計算書


売上高は前期比で増加しましたが、売上原価および販売費及び一般管理費も増加しました。特に販売費及び一般管理費の増加率が売上高の伸びを上回り、営業利益は減少しました。

項目 2024年9月期 2025年9月期
売上高 67億円 70億円
売上総利益 39億円 41億円
売上総利益率(%) 58.6% 57.9%
営業利益 2.6億円 1.0億円
営業利益率(%) 3.9% 1.5%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が12億円(構成比30%)、広告宣伝費が8億円(同19%)を占めています。

(3) セグメント収益


当期は、推し活ニーズに対応したキャラクター商品の展開強化や新規出店、Webマーケティング施策等が奏功し、売上高は増加しました。一方で、地金価格高騰による原価率の上昇や、人件費および広告宣伝費の増加により、利益は減少しました。

区分 売上(2024年9月期) 売上(2025年9月期)
製造小売事業 67億円 70億円
連結(合計) 67億円 70億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

項目 2024年9月期 2025年9月期
営業CF 3.5億円 -0.4億円
投資CF -0.7億円 -1.4億円
財務CF -2.4億円 1.9億円


なお、同社は在庫を多く抱える事業を主力としているため、営業CFのマイナスは棚卸資産(商品・販売用不動産等)の増加(事業拡大)に起因している可能性があり、必ずしも業績悪化を意味するものではありません。

財務指標については、企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は2.0%で市場平均を下回っており、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も28.0%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「オーダーメイドでお客様に特別な感動と喜びを贈り続ける」というパーパスと、「オーダーメイドの新しい文化を創る」というビジョンを掲げています。ジュエリーを中心にオーダーメイドのビジネスモデルを構築し、顧客へ特別な感動と喜びを提供することを基本方針としています。

(2) 経営文化


「80%、90%の満足を狙うよりも、お客様一人ひとりのニーズに合わせて100%の満足を提供できる企業でありたい」という想いを重視しています。十人十色の要望に応えるため、顧客の目の前でデザインを描く提案や、自社一貫体制による品質へのこだわりを通じて、顧客に寄り添う文化を醸成しています。

(3) 経営計画・目標


急激に変化する社会情勢下でも安定的に利益を創出できる経営体質の構築を目指しています。経営上の目標達成状況を判断する指標として、売上高、売上総利益、売上総利益率、営業利益、売上高営業利益率を重視しています。

* 2026年9月期 売上高:74億7800万円
* 2026年9月期 営業利益:1億2100万円

(4) 成長戦略と重点施策


「オーダーメイド戦略」と「IP戦略」を両輪とし、基盤強化を図る方針です。オーダーメイド戦略では、体験価値に重点を置いたブランディングや価格適正化を進めます。IP戦略では、アニメ・ゲーム以外のIP展開や販路拡大により市場を取り込みます。また、AI活用による業務効率化やグローバル分業による生産体制の最適化も推進します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


事業拡大に向けて優秀な人材の確保と育成を重要課題としています。職人の早期戦力化を促す独自の教育プログラムを展開するほか、多様な人材が活躍できるよう、育児休業の推進や時短勤務、リモートワーク等の柔軟な働き方を整備しています。特に「オーダーメイド勤務制度」により、個人の状況に合わせた勤務体系の選択を可能にしています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年9月期 32.8歳 9.5年 4,042,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 50.0%
男性育児休業取得率 66.6%
男女賃金差異(全労働者) 75.2%
男女賃金差異(正規) 75.2%
男女賃金差異(非正規) 84.3%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 事業環境について


同社グループの売上の約7割はブライダルジュエリーが占めています。キャラクター商品等の販売強化や海外進出により依存度の低減を図っていますが、少子化・晩婚化の進行等により国内ブライダル市場が想定以上に縮小した場合、業績に影響を与える可能性があります。

(2) 原材料価格の高騰について


製品に使用する金・白金等の貴金属やダイヤモンドは、為替や国際市況の影響を受けやすい原材料です。購入時期の分散や価格交渉等の対策を行っていますが、世界情勢等を背景とした価格高騰が続き、販売価格への転嫁が十分にできない場合、業績に影響が及ぶ可能性があります。

(3) 人材の確保及び育成について


オーダーメイドビジネスには高い提案力や技術力を持つ人材が不可欠です。採用活動や教育、人事評価の充実に努めていますが、質の高い人材の確保・育成が十分にできず、適正な人員配置が困難となった場合、サービスの質や生産体制に支障をきたし、業績に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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