※本記事は、株式会社Schoo の有価証券報告書(第14期、自 2024年10月1日 至 2025年9月30日、2025年12月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. Schooってどんな会社?
社会人向けオンライン学習コミュニティ「Schoo」を運営し、「世の中から卒業をなくす」を掲げる企業です。
■(1) 会社概要
2011年に設立され、翌2012年に消費者向けオンライン学習サービス「schoo WEB-campus」を開始しました。2015年には法人向けビジネスプラン(現「Schoo for Business」)の提供を開始し、事業を拡大しました。2021年には高等教育機関向けDX支援サービス「Schoo Swing」をリリースし、2024年10月に東京証券取引所グロース市場へ上場を果たしました。
同社(単体)の従業員数は191名です。筆頭株主は創業者の森健志郎氏で、第2位は個人株主の池原諒平氏、第3位は投資ファンドが名を連ねています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 森 健志郎 | 19.28% |
| 池原 諒平 | 13.53% |
| IF GROWTH OPPORTUNITY FUND 1 , L.P | 6.90% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長は森健志郎氏が務めています。社外取締役比率は25.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 森 健志郎 | 代表取締役社長 | リクルートメディアコミュニケーションズ(現リクルート)を経て、2011年10月に同社設立、代表取締役社長に就任し現職。 |
| 古瀬 康介 | 取締役事業本部本部長 | 日本電気、リクルートを経て、2018年4月に同社入社。執行役員を経て、2023年4月より現職。 |
| 中西 勇介 | 取締役管理本部本部長 | 白元、親和銀行、ミスミ、サイカ取締役管理本部長などを経て、2020年7月に同社入社。2022年6月より現職。 |
社外取締役は、和田圭祐(インキュベイトファンド株式会社代表取締役)、保科剛(株式会社T代表取締役)です。
2. 事業内容
同社グループは、「大人の学び事業」の単体セグメントですが、以下のサービスを展開しています。
■(1) 学び手に向けたサービス
社会人向けに、法人研修サービス「Schoo for Business」および個人学習サービス「Schoo for Personal」を提供しています。生放送授業や9,000本以上の動画コンテンツを通じ、ビジネス基礎力やデジタルリテラシー等の学習機会を提供します。法人向けは全社売上の90%超を占める主力サービスです。
収益は主に、法人顧客および個人会員からの月額利用料(サブスクリプション)によって得ています。運営は主に同社が行っています。
■(2) 教え手に向けたサービス
大学等の高等教育機関や社会人教育事業者向けに、学習管理プラットフォーム「Schoo Swing」を提供しています。オンライン授業の配信、コンテンツ管理(CMS)、学習管理(LMS)を一体化したSaaSシステムで、教育機関のDXやハイブリッド教育を支援します。
収益は、導入校からのシステム利用料等によって得ています。運営は主に同社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の推移を見ると、売上高は継続的な右肩上がりで成長を続けています。利益面では、先行投資により第12期までは損失計上が続いていましたが、第13期に黒字化を達成しました。第14期においては、売上高の伸長に伴い経常利益率も改善傾向にあり、収益性が高まっています。
| 項目 | 2025年9月期 | 2024年9月期 | 2023年9月期 | 2022年9月期 | 2021年9月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 34億円 | 29億円 | 20億円 | 13億円 | 10億円 |
| 経常利益 | 3億円 | 1億円 | -7億円 | -8億円 | -4億円 |
| 利益率(%) | 7.7% | 3.1% | -33.5% | -58.2% | -40.4% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 2億円 | 2億円 | -7億円 | -8億円 | -4億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の大幅な増加に伴い、売上総利益および営業利益ともに伸長しています。特に売上総利益率は約7ポイント改善しており、収益構造の良化が見て取れます。販管費も増加していますが、増収効果が上回り、営業利益率は前期の4.1%から8.6%へと倍増しています。
| 項目 | 2025年9月期 | 2024年9月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 34億円 | 29億円 |
| 売上総利益 | 25億円 | 20億円 |
| 売上総利益率(%) | 75.3% | 68.6% |
| 営業利益 | 3億円 | 1億円 |
| 営業利益率(%) | 8.6% | 4.1% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が7億円(構成比33%)、広告宣伝費が5億円(同21%)を占めています。
■(3) セグメント収益
同社グループは「大人の学び事業」の単体セグメントであり、セグメント利益の開示はありませんが、法人向けサービス「Schoo for Business」の導入が拡大し、売上が伸長しました。積極的なマーケティングや営業強化により、契約社数およびARPA(顧客単価)が向上しています。
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業活動で得た資金に加え、財務活動による資金調達も行い、投資活動に資金を投じています。
| 項目 | 2025年9月期 | 2024年9月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 2.5億円 | 1.2億円 |
| 投資CF | -1.4億円 | -0.2億円 |
| 財務CF | 7.9億円 | 0.3億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は14.0%で市場平均を大きく上回り、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は53.9%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「世の中から卒業をなくす」をミッションに掲げています。学びには終わりがなく、すべての人が学び続けられる世界をつくることを使命としています。また、「『あたたかい革命』が起こり続ける社会を残す」をビジョンとし、学びを通じた新しいつながりにより社会課題を解決するイノベーションを生み出し、次世代に希望ある社会を残すことを目指しています。
■(2) 企業文化
同社は「Laboratory #105」をPhilosophy(行動規範)として掲げています。これは創業時のマンションの部屋番号に由来し、まだ世の中にない価値を生み出し続ける「研究所」であるという精神を表しています。他社の模倣ではなく、同社だからこその価値を発明し続ける姿勢を重視し、実験し続ける意思を大切にする文化があります。
■(3) 経営計画・目標
同社は、売上高の継続的かつ累積的な増加を実現するため、リカーリング収益(継続的な利用料収入)の成長を基本方針としています。特に法人向けサービス「Schoo for Business」の成長を重視し、以下の指標を重要な経営指標として掲げています。
* MRR(月次定期収益)
* 契約社数
* ARPA(1顧客当たりの平均売上金額)
* Net Revenue Churn Rate(解約率)
■(4) 成長戦略と重点施策
同社は「Schoo for Business」の価値向上と、強固な経営基盤の構築を進めています。特に大企業・中堅企業への導入拡大を柱とし、Web広告や組織営業力の強化、カスタマーサクセス体制の拡充による解約防止・アップセル推進に注力しています。また、新規サービスの展開や、地域創生関連サービスの提供も進めています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は「Laboratory #105」の精神に基づき、最も重要な資本である人材の確保・育成に注力しています。「学び続ける組織」を目指し、企業内大学「Schooユニバーシティ」の設置や、自社コンテンツの無料受講などを通じて、社員の自律的な成長を支援しています。また、多様な人材が活躍できるよう、フレックスや在宅勤務などの環境整備も推進しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年9月期 | 36.2歳 | 2.8年 | 6,510,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 25.0% |
| 男性育児休業取得率 | 87.5% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 70.0% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 72.0% |
| 男女賃金差異(非正規) | 177.0% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、有給取得率(64.0%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 想定以上の解約が生じるリスク
主力サービスはサブスクリプションモデルであり、継続的な成長には契約維持が重要です。サービスの魅力低下等により解約率が想定を上回った場合、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。同社はカスタマーサクセスの強化等により継続率の維持・向上に努めています。
■(2) コンテンツの優位性が低下するリスク
自社制作の学習コンテンツが強みですが、競合他社による大量のコンテンツ供給等により、同社コンテンツの相対的な価値が低下する可能性があります。これによりサービスの競争力が損なわれた場合、事業及び業績に影響を与える可能性があります。
■(3) 著作権等の知的財産権侵害リスク
動画等のコンテンツにおいて、第三者の著作権等を意図せず侵害する、または侵害されるリスクがあります。権利侵害による損害賠償や信用低下が生じた場合、事業運営に支障をきたす可能性があります。同社は契約書レビューや社内研修等で対策を講じています。



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