※本記事は、株式会社フォーシーズHD の有価証券報告書(第23期、自 2024年10月1日 至 2025年9月30日、2025年12月22日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. フォーシーズHDってどんな会社?
化粧品・健康食品等の通販・卸売、アロマ雑貨小売、再生可能エネルギー関連のコンサルティングを展開しています。
■(1) 会社概要
同社は2003年12月に設立され、同月に東京証券取引所マザーズへ上場しました。2012年7月に持株会社体制へ移行し、現在の商号の基となるフォーシーズホールディングスへ変更しました。2015年2月に市場第二部へ変更後、2022年4月にスタンダード市場へ移行しています。2024年5月にはコンサルティング事業(再生可能エネルギー分野)へ参入しました。
現在の連結従業員数は92名、単体では88名です。筆頭株主は個人の井 康彦氏で、第2位は常任代理人を通じた海外法人のSCBHK AC-CHINA GALAXY INTERNATIONAL SECURITIES (HONG KONG) CO., LIMITED CLIENT ACCOUNT、第3位は投資事業を行うネットプライス有限責任事業組合です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 井 康彦 | 11.95% |
| SCBHK AC-CHINA GALAXY INTERNATIONAL SECURITIES(HONG KONG)CO.,LIMITED CLIENT ACCOUNT(常任代理人 株式会社三菱UFJ銀行) | 9.47% |
| ネットプライス有限責任事業組合 | 9.18% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性8名、女性1名の計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長は寺田 智美氏です。社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 寺田 智美 | 代表取締役社長 | 1993年近藤税理士事務所入所。ティーナイン入社後、CLEAR代表取締役などを経て、2023年12月より現職。 |
| 松野 博彦 | 代表取締役副社長 | 2000年山田債権回収管理総合事務所入所。ミュゼプラチナム取締役、TKマネジメント代表取締役などを経て、2024年12月より現職。 |
| 浦 太介 | 取締役CFO | 2000年東日本電信電話入社。Izanami入社、トニカル代表社員などを経て、2024年12月より現職。 |
| 立川 光昭 | 取締役 | 1995年SUNDON TRADING JAPAN入社。MCM代表取締役などを経て、2023年4月より現職。 |
| 神谷 将史 | 取締役 | 2000年グッドウィル・コミュニケーション入社。2010年弁護士登録。神谷・大久保綜合法律事務所代表弁護士などを経て、2023年12月より現職。 |
| 寺前 卓 | 取締役 | 1992年三和銀行入行。BNPパリバ証券会社、MARYSOL代表取締役などを経て、2023年12月より現職。 |
社外取締役は、立川 光昭(ネットプライス執行役員会長)、神谷 将史(弁護士)、寺前 卓(MARYSOL代表取締役)です。
2. 事業内容
同社グループは、「通販事業」、「卸売事業」、「リテール事業」、「コンサルティング事業」および「その他」事業を展開しています。
■通販事業
同社において化粧品および健康食品、子会社のiiyにおいてフェムケア商品の通信販売を行っています。主な顧客は一般消費者です。
収益は、顧客への商品販売代金として得ています。運営は主にフォーシーズHDおよび子会社のiiyが行っています。
■卸売事業
化粧品、健康食品、アロマ関連商品などを、小売店や卸業者等に向けて販売しています。国内外での販路拡大を進めています。
収益は、取引先への商品卸売販売代金として得ています。運営は主にフォーシーズHDが行っています。
■リテール事業
「AROMA BLOOM」のブランドで、アロマグッズや雑貨を取り扱う小売店舗を展開しています。ショッピングセンター内などに店舗を構えています。
収益は、店舗に来店する一般顧客からの商品販売代金として得ています。運営は主にフォーシーズHDが行っています。
■コンサルティング事業
太陽光発電設備および系統用蓄電池設備の権利販売や設備設置に係るコンサルティング、ならびに衛生関連商品の販売等を行っています。
収益は、提携業者等への設備権利の販売代金やコンサルティング料、商品販売代金から得ています。運営はフォーシーズHD、子会社のファンタスティックフォー第1号合同会社およびHACCPジャパンが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は20億円台前半で推移していますが、利益面では経常損失および当期純損失の計上が続いています。第22期から第23期にかけて売上高は増加しましたが、利益率はマイナス圏での推移が継続しており、赤字からの脱却が課題となっています。
| 項目 | 2021年9月期 | 2022年9月期 | 2023年9月期 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 25億円 | 23億円 | 21億円 | 23億円 | 24億円 |
| 経常利益 | -1.5億円 | -1.2億円 | -2.2億円 | -1.3億円 | -2.1億円 |
| 利益率(%) | -6.1% | -5.0% | -10.2% | -5.7% | -8.5% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -1.8億円 | -1.6億円 | -2.7億円 | -2.7億円 | -2.4億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間を比較すると、売上高は8.1%増加しましたが、販売費及び一般管理費も増加したため、営業損失が拡大しています。売上総利益率は若干改善していますが、販管費の負担が重く、営業段階での赤字幅が広がっています。
| 項目 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 23億円 | 24億円 |
| 売上総利益 | 15億円 | 17億円 |
| 売上総利益率(%) | 66.1% | 68.0% |
| 営業利益 | -1.3億円 | -1.7億円 |
| 営業利益率(%) | -5.6% | -6.8% |
販売費及び一般管理費のうち、給料手当が3.9億円(構成比22%)、運賃が2.3億円(同13%)、広告宣伝費が1.9億円(同10%)を占めています。
■(3) セグメント収益
通販事業と卸売事業は増収となり、セグメント利益も確保しています。一方、リテール事業は不採算店舗の撤退により減収となり、営業損失が継続しています。コンサルティング事業は売上が大幅に増加しましたが、先行投資等により損失が拡大しました。
| 区分 | 売上(2024年9月期) | 売上(2025年9月期) | 利益(2024年9月期) | 利益(2025年9月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 通販事業 | 11億円 | 12億円 | 2.0億円 | 1.8億円 | 15.3% |
| 卸売事業 | 5.2億円 | 6.1億円 | 2.1億円 | 1.8億円 | 29.9% |
| リテール事業 | 6.4億円 | 4.8億円 | -0.3億円 | -0.3億円 | -5.8% |
| コンサルティング事業 | 0.3億円 | 1.4億円 | -0.1億円 | -0.3億円 | -20.8% |
| その他 | 0.1億円 | - | -0.2億円 | - | - |
| 調整額 | -0.2億円 | -0.0億円 | -4.6億円 | -4.7億円 | - |
| 連結(合計) | 23億円 | 24億円 | -1.3億円 | -1.7億円 | -6.8% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業CFはマイナス、投資CFもマイナス、財務CFはプラスとなっており、本業が赤字の中で将来成長のための投資を借入や増資によって賄っている「勝負型」のキャッシュ・フロー状態です。なお、同社は在庫を多く抱える事業を主力としているため、営業CFのマイナスは棚卸資産(商品・販売用不動産等)の増加(事業拡大)に起因している可能性があり、必ずしも業績悪化を意味するものではありません。
| 項目 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | -3.6億円 | -7.1億円 |
| 投資CF | -0.5億円 | -5.7億円 |
| 財務CF | 7.1億円 | 9.4億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は-17.3%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は55.1%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は、商品やサービスにより顧客に「ドキドキ感、わくわく感」を届けることを通じて、企業理念「はずむライフスタイルを提供し、人々を幸せにする」を実現し続けることを基本的な経営方針としています。社名のフォーシーズ(4Cs)には、「顧客(Customer)を創造(Creation)し、顧客を大切(Cherish)にすることで社会貢献(Contribution)する」という想いが込められています。
■(2) 企業文化
環境・人と調和して発展していく会社(Harmonious Development)、HAZUMUをDailyに(はずむライフスタイルのある毎日を)をHDの意味として位置付け、同社グループに関わる全ての人に感動を提供し、多くの人を幸せにすることを事業の中心に据えています。
■(3) 経営計画・目標
具体的な数値目標としての経営計画は記載されていませんが、黒字化の収益体制の確立、不採算店舗の撤退による営業損失の縮小、および新規事業での収益拡大を目指しています。
■(4) 成長戦略と重点施策
通販事業では他社との業務提携やデジタルマーケティングによる収益拡大、卸売事業では国内外での販路拡大を目指します。リテール事業では不採算店舗の撤退と新業態の強化を進め、コンサルティング事業では太陽光発電所等の取得・販売を加速させます。また、DENBA社商品や韓国アパレルブランドの販売強化による収益拡大も図ります。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「環境・人と調和していく会社」として、人材教育とワークライフバランスの充実を目指しています。新入社員研修や外部研修による学習機会の提供、資格取得支援を通じて社員の能力発揮を後押ししています。また、多様な人材の活躍機会の創出として、グローバル人材や障害者の雇用拡大、シニア人材の活用、および育児・介護と就業の両立支援制度の整備に努めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年9月期 | 45.1歳 | 7.8年 | 3,568,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 63.6% |
| 男性育児休業取得率 | -% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 59.8% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 70.0% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 84.4% |
※男性育児休業取得率については、提出会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、育児・介護休業復職率(100.0%)、月平均所定外労働時間(6.3時間)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 店舗運営にかかるリスク
出退店計画において、戦略的なスクラップ&ビルドが予定通り進まない場合や、新規出店コストが先行する場合に業績へ影響する可能性があります。また、交通アクセスの変化や競合他社の参入などの周辺環境変化、自然災害による営業停止などもリスク要因です。さらに、パート就業者への社会保険加入義務化の適用拡大による人件費増加の可能性もあります。
■(2) 固定資産の減損に係るリスク
同社グループは固定資産の減損に係る会計基準を適用しており、当期においても減損損失が発生しています。将来においても、経営環境の著しい悪化等による収益性の低下や市場価格の下落等により、保有する固定資産について減損損失が発生し、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 継続企業の前提に関する重要事象等
営業損失およびマイナスの営業キャッシュ・フローが継続しており、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる事象が存在しています。これを解消するため、各事業での収益拡大策やコスト削減、資金調達の検討などを進めていますが、現時点では重要な不確実性が認められます。
■(4) 再生可能エネルギー事業について
太陽光発電所及び蓄電所を取得した後、売却等の事業進行が予定通り進まない場合や、売却先との価格条件によって売上・利益が変動する可能性があります。また、手続きの遅延や前渡金が回収不能となるリスクもあります。



上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。