※本記事は、クラシコ株式会社 の有価証券報告書(第17期、自 2024年11月1日 至 2025年10月31日、2026年1月30日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. クラシコってどんな会社?
メディカルアパレルの企画・販売を行う企業です。「医療現場に、感性を。」をミッションに掲げ、機能性とデザイン性を高次元で両立させた白衣やスクラブを提供しています。
■(1) 会社概要
2008年、創業者の大和新氏が「なぜ誰もかっこいい白衣を作らないのか」という疑問から、テーラード技術を応用した白衣の開発に着手し設立されました。2012年には海外展開を開始し、2020年に株式会社エランと資本業務提携を締結。その後も直営店出店や新ブランド展開を進め、2025年に東京証券取引所グロース市場へ上場しました。
従業員数は連結名の記載はなく単体で84名です。筆頭株主は創業者で代表取締役社長の大和新氏、第2位は資本業務提携先であり入院セットサービスを展開する株式会社エラン、第3位は同じく資本業務提携先であるMNインターファッション株式会社です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 大和 新 | 38.92% |
| エラン | 33.33% |
| MNインターファッション | 9.29% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は12.0%です。代表取締役社長は大和新氏が務めています。社外取締役比率は40.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 大和 新 | 代表取締役社長 | 2003年学生情報センター入社。2008年同社創業。同年12月より現職。 |
| 福島 信広 | 取締役COO | ファーストリテイリングを経て、2023年同社入社。Medical appareldepartment本部長、執行役員を経て2024年1月より現職。 |
| 相馬 知明 | 取締役CFO | UFJ銀行、Morgan Stanley、GameWith執行役員CFO、タビナカ(現Fun Group)取締役CFO等を経て2024年9月より現職。 |
社外取締役は、石塚明(エラン取締役)、大西秀亜(元ファーストリテイリング執行役員CFO)です。
2. 事業内容
同社グループは、「メディカルアパレル事業」および「その他」事業を展開しています。
■(1) 白衣及びスクラブ(Classico)
医療現場で働く医師や看護師などの医療従事者を対象に、機能性とデザイン性を両立させた白衣やスクラブ(医療ウェア)を提供しています。テーラード技術をベースにした「クラシコテーラー」や、上質な素材を使用した「スクラブDECO」「スクラブLUXE」などのシリーズを展開し、機能重視の支給品からプロ意識を表現するファッションへの進化を目指しています。
収益は、主に自社運営の公式オンラインストアや直営店舗を通じたエンドユーザーへの直接販売、およびリネンサプライ事業者などの代理店を通じた病院へのリース販売(卸売)から得ています。運営は主に同社が行っており、海外については越境ECや現地代理店を通じて販売しています。
■(2) 患者衣(lifte)
入院患者を対象に、着心地と機能性を追求した患者衣ブランド「lifte(リフテ)」を展開しています。入院生活を支えるために患者の視点から開発された商品で、ニュアンスカラーやストレッチ素材を採用した「ペイシェントウェア」などをラインナップしています。
収益は、株式会社エランに対する商品の卸販売から得ています。株式会社エランが入院セットサービスを通じて病院に導入し、エンドユーザーである患者に提供するモデルです。同社が企画・開発を行い、物流効率化のため仕入先から株式会社エランの倉庫へ直送する形態をとっています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は継続的な増加傾向にあり、事業規模が拡大しています。利益面では、先行投資等により損失を計上する期間がありましたが、2024年10月期に黒字転換を果たしました。直近の2025年10月期には売上高の伸長とともに利益率も改善し、当期純利益も大きく増加しています。
| 項目 | 2021年10月期 | 2022年10月期 | 2023年10月期 | 2024年10月期 | 2025年10月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 13.4億円 | 17.1億円 | 24.3億円 | 30.9億円 | 36.3億円 |
| 経常利益 | -0.6億円 | -3.6億円 | -1.8億円 | 0.5億円 | 1.4億円 |
| 利益率(%) | -4.2% | -21.1% | -7.2% | 1.8% | 3.8% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -0.6億円 | -3.4億円 | -1.2億円 | 0.3億円 | 1.7億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期比で増加し、売上総利益も拡大しています。売上総利益率は52%台を維持しており、安定した収益性を保っています。営業利益および営業利益率も前期と比較して上昇しており、本業の収益力が向上していることがわかります。
| 項目 | 2024年10月期 | 2025年10月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 30.9億円 | 36.3億円 |
| 売上総利益 | 16.2億円 | 19.1億円 |
| 売上総利益率(%) | 52.4% | 52.6% |
| 営業利益 | 0.7億円 | 1.6億円 |
| 営業利益率(%) | 2.1% | 4.5% |
販売費及び一般管理費のうち、給料手当が4.7億円(構成比27.0%)、広告宣伝費が3.8億円(同21.7%)を占めています。
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社は、本業は赤字だが、将来成長のため借入で投資を継続する「勝負型」です。なお、同社は在庫を多く抱える事業を主力としているため、営業CFのマイナスは棚卸資産(商品・販売用不動産等)の増加(事業拡大)に起因している可能性があり、必ずしも業績悪化を意味するものではありません。
| 項目 | 2024年10月期 | 2025年10月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | -1.1億円 | -1.4億円 |
| 投資CF | -0.5億円 | -0.2億円 |
| 財務CF | 1.2億円 | 3.4億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は17.1%で市場平均を上回り、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は58.8%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「医療現場に、感性を。」をミッションに掲げています。メディカルアパレルを起点として、過酷な環境で働く医療従事者の心の温度を上げ、誇りと自信を持って働けるよう、感動と革新を生み出し続けることを目指しています。
■(2) 企業文化
ミッションを実現するための行動指針として、3つのバリューを定めています。「顧客から、はじめよう。」「自分が、つくろう。」「チームで、こえよう。」という価値観を軸に、採用活動や人材育成を行い、全社員がミッション実現に貢献できる体制を構築しています。
■(3) 経営計画・目標
持続的な成長と企業価値向上を示す指標として、売上高、売上高成長率、売上総利益率、およびグローバル会員数を重要な経営指標と位置付けています。利益を投資へ回し中長期的に売上総利益を最大化することを目指しています。
* グローバル会員数:11.1万人(2025年10月期)
■(4) 成長戦略と重点施策
国内では、エントリーモデル「PACKシリーズ」への戦略在庫投資による新規顧客獲得や、株式会社エランと共同開発した患者衣「lifte」の展開加速、データ活用によるLTV最大化を図ります。海外では、アジア地域を中心に「toC/toB mix」モデルを展開し、グローバルブランドへの飛躍を目指します。また、MNインターファッションとの提携等により原価低減を進め、利益率向上に取り組みます。
* 2025年10月期売上総利益率:52.6%
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
従業員の成長を企業発展の原動力と捉え、評価制度の透明化や1on1面談によるキャリア支援、書籍購入等のスキルアップ支援を行っています。多様な人材を登用し、リモートワークやフレックスタイム制などの柔軟な働き方をサポートするとともに、業界水準以上の報酬を目指すことで優秀な人材の獲得と定着を図っています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年10月期 | 36.9歳 | 2.9年 | 5,494,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」の規定による公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) メディカルアパレル市場の動向
同社が事業を展開する市場は拡大が予測されていますが、マクロ経済の影響や顧客ニーズの変化により需要が減少した場合、同社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 競合の動向
同社は企画力や販売力により競争優位性を確保していると考えていますが、今後、競合他社の新規参入や技術力で上回る企業の出現により競争が激化し、市場での競争力を維持できない場合には、業績に影響を与える可能性があります。
■(3) 海外事業
台湾、中国、東南アジア等で事業を展開していますが、各国での法的規制、商慣習の違い、政治・社会情勢の変化、為替変動等のリスクが存在します。これらのリスクが顕在化した場合には、同社の財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(4) 在庫管理
同社の商品はファッショントレンドの影響を受けにくいユニフォームですが、顧客ニーズの変化や商品投入タイミングの誤り等により販売予測との乖離が生じ、長期滞留在庫が発生した場合には、棚卸資産評価損の計上等により業績に影響を及ぼす可能性があります。



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