FUNDINNO 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

FUNDINNO 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証グロース上場の同社は、日本初の株式投資型クラウドファンディング「FUNDINNO(ファンディーノ)」等を運営する未上場企業エクイティプラットフォーム事業を展開しています。2025年10月期は、大型資金調達サービスが伸長し、売上高は25億円(前期比111.1%増)と倍増、営業損益は2.1億円の黒字に転換しました。


※本記事は、株式会社FUNDINNO の有価証券報告書(第10期、自 2024年11月1日 至 2025年10月31日、2026年1月29日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. FUNDINNOってどんな会社?

国内初の株式投資型クラウドファンディングを提供し、未上場株の流通市場創出にも挑むフィンテック企業です。

(1) 会社概要

同社は2015年に設立され、2017年に日本初の株式投資型クラウドファンディング「FUNDINNO」を開始しました。その後、経営管理プラットフォーム「FUNDOOR」や未上場株のセカンダリー市場「FUNDINNO MARKET」等を展開し、2025年12月に東京証券取引所グロース市場へ上場しました。

連結従業員数は124名(単体121名)です。筆頭株主は、代表取締役CEO柴原氏とCOO大浦氏が共同保有する資産管理会社のJCCで、第2位は個人株主の松井氏、第3位は執行役員の平石氏です。

氏名 持株比率
JCC 20.80%
松井 宏記 4.94%
平石 智紀 3.75%

(2) 経営陣

同社の役員は男性11名、女性0名の計11名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役CEOは柴原祐喜氏、代表取締役COOは大浦学氏です。社外取締役比率は27.3%です。

氏名 役職 主な経歴
柴原 祐喜 代表取締役CEO 2012年EDENZFEEL設立代表取締役。2015年同社設立代表取締役CEO。2022年JCC設立代表取締役より現職。
大浦  学 代表取締役COO 2012年EDENZFEEL設立取締役。2015年同社設立代表取締役COO。2024年FUNDINNO GROWTH代表取締役より現職。
二又  浩 取締役 1978年八千代證券(現三菱UFJモルガン・スタンレー証券)入社。MUSビジネスサービス監査役を経て、2016年同社取締役より現職。
布施 知芳 取締役レギュレーション本部長 2004年監査法人トーマツ入所。2018年同社入社執行役員。2019年同社取締役より現職。
喜多 宏介 取締役プライマリー事業本部長 2005年大和証券入社。フィードフォース取締役を経て、2023年同社入社執行役員。2026年同社取締役より現職。


社外取締役は、守屋実(守屋実事務所代表取締役)、森亮介(GO執行役員CFO)、山岸英樹(FWD生命保険顧問)です。

2. 事業内容

同社グループは、「未上場企業エクイティプラットフォーム事業」の単一セグメントで、以下の領域でサービスを提供しています。

(1) プライマリー領域

投資家からスタートアップへの資金供給を行う領域で、株式投資型クラウドファンディング「FUNDINNO」と特定投資家向け「FUNDINNO PLUS+」を提供しています。企業の成長ステージや調達規模に応じ、多くの投資家からの少額出資や、特定投資家からの大型出資を可能にするプラットフォームです。

収益は、プラットフォーム上で企業の資金調達が成約した時点で受け取る成約手数料です。運営は同社が行っています。

(2) グロース領域

資金調達後のスタートアップに対し、経営管理や成長支援を行う領域です。株主管理・経営管理SaaS「FUNDOOR」や、CxO人材等の採用支援を行う「FUNDINNO GROWTH」を提供しています。また、三菱UFJ信託銀行と連携した「MUFG FUNDOOR」も展開しています。

収益は、「FUNDOOR」の月額利用料やシステム受託料、「FUNDINNO GROWTH」における人材紹介の成功報酬および採用代行(RPO)の月額報酬等です。運営は同社および子会社のFUNDINNO GROWTHが行っています。

(3) セカンダリー領域

未上場株式の売買機会を提供する領域です。オンラインで未上場株式を売買できる「FUNDINNO MARKET」や、大口の相対取引を支援する「FUNDINNO MARKET PLUS+」を展開し、投資家に流動性と換金機会を提供しています。

収益は、株式の売買が成立した際に投資家から受け取る売買手数料です。運営は同社が行っています。

3. 業績・財務状況

同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移

売上高は順調に拡大しており、特に2025年10月期は大型案件の増加により前期比で倍増しています。利益面では、先行投資による赤字が続いていましたが、2025年10月期に黒字化を達成しました。当期純利益も黒字転換しており、収益構造の改善が進んでいます。

項目 2023年10月期 2024年10月期 2025年10月期
売上収益(または売上高) 6.0億円 11.8億円 25.0億円
経常利益 -14.3億円 -10.8億円 2.1億円
利益率(%) -238.2% -90.8% 8.5%
当期利益(親会社所有者帰属) -14.3億円 -14.2億円 4.0億円

(2) 損益計算書

売上高の大幅な増加に伴い、各利益段階で黒字化を果たしています。売上総利益率は90%前後の高い水準を維持しています。営業利益率は前期のマイナスからプラスへ大きく改善しており、増収効果が利益に直結する構造となっています。

項目 2024年10月期 2025年10月期
売上高 11.8億円 25.0億円
売上総利益 8.7億円 22.6億円
売上総利益率(%) 73.3% 90.3%
営業利益 -10.6億円 2.1億円
営業利益率(%) -89.4% 8.5%


販売費及び一般管理費のうち、人件費が9.7億円(構成比47%)、事務費が4.1億円(同20%)を占めています。売上原価においては、人件費やシステム関連費用等が計上されています。

(3) セグメント収益

同社グループは、「未上場企業エクイティプラットフォーム事業」の単一セグメントなので、サービス領域ごとの利益は開示していません。

プライマリー領域の売上が大きく伸長し、全体の成長を牽引しています。これは特定投資家向け大型調達サービスの案件増加によるものです。グロース領域は微減、セカンダリー領域は規模としてはまだ小さいものの、事業ポートフォリオの一部を構成しています。

区分 売上(2024年10月期) 売上(2025年10月期)
プライマリー領域 8.1億円 22.1億円
グロース領域 3.6億円 2.9億円
セカンダリー領域 0.2億円 0.0億円
連結(合計) 11.8億円 25.0億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

営業CFがプラス、投資CFがマイナス、財務CFがプラスであることから、積極型(営業で利益を出し、借入によって積極投資を行う状態)に分類されます。

項目 2024年10月期 2025年10月期
営業CF -8.3億円 4.0億円
投資CF -1.4億円 -0.3億円
財務CF 13.3億円 1.8億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は8.7%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は89.2%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略

同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念

同社グループは、「フェアに挑戦できる、未来を創る。」を存在価値(Why)として掲げています。その実現のため、「カネ・ヒト・情報へフェアにアクセスできるプラットフォームを創る」ことに取り組み、中期的には「未上場株式市場の民主化」、中長期的には「金融市場をDXでリプレイス」することを目指しています。

(2) 企業文化

同社は、リスクマネーの循環サイクルを創出することを重視しています。投資家からスタートアップへの資金供給(プライマリー)、経営・成長支援(グロース)、売却機会の提供(セカンダリー)というサイクルを回すことで、スタートアップの成長と投資家の再投資を促進するエコシステムの構築に取り組んでいます。

(3) 経営計画・目標

同社は、経営目標の達成状況を判断する指標として、「流通取引総額(GMV)」と「特定投資家数」を重視しています。GMVは各サービスの成約金額等の合計であり、事業成長と社会的インパクトを示す指標と位置付けています。また、特定投資家の増加は資金供給量の拡大に寄与するため、重要なKPIとしています。

(4) 成長戦略と重点施策

短期的には、プライマリー領域における流通取引総額(GMV)の拡大を最優先とし、「FUNDINNO PLUS+」による大型調達を推進します。また、蓄積されたデータアセットからの価値創出にも取り組みます。中期的には、未上場株式市場と上場市場の境目をなくし、情報の非対称性解消や流動性向上を通じて「未上場株式市場の民主化」を目指します。

5. 働く環境

同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針

ビジョン実現に向け、プロフェッショナルの集合体としてバリューを創出し続けるための人事制度を導入しています。求める人物像として「社会課題への挑戦」「チームワーク・リスペクト」「責任感・自走」を掲げています。証券外務員資格取得支援やコンプライアンス研修を行うほか、フレックス制や裁量労働制など柔軟な働き方を整備しています。

(2) 給与水準・報酬設計

同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年10月期 39.9歳 2.8年 6,738,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示

同社および連結子会社は「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」等の規定による公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

6. 事業等のリスク

事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 経済環境について

経済情勢の悪化や株式市場の低迷により、資金調達を行う企業の減少や投資家の意欲減退が生じた場合、手数料収入が減少し、業績に影響を及ぼす可能性があります。同社は、景気感応度の異なるサービスの提供により、環境変化に合わせたマッチングを図ることで対応しています。

(2) 競合について

法規制の整備により、大手証券会社を含む新規参入が増加しています。また、他の未上場企業投資手段との競合も存在します。競争力が維持できない場合、業績に影響する可能性があります。同社は、ライセンス取得やシステム開発、顧客基盤の構築等による先行優位性を活かし、市場シェア拡大を図っています。

(3) 技術革新等に係るリスク

インターネット環境の技術進歩は速く、想定外の技術革新により競争力が維持できなくなる可能性があります。同社は、先端技術情報の収集や、技術を有するスタートアップとの連携などを通じて対応を検討しています。

(4) 新規サービス及び新規事業について

顧客価値最大化や収益機会多様化のために新規事業を展開しますが、計画通りに進捗しない場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。同社は、採算性や経営資源の確保について十分な検討を行った上で実行する方針です。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。