BRANU 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

BRANU 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

同社は、東京証券取引所グロース市場に上場しており、建設DXプラットフォーム事業を展開しています。直近の決算では、マッチングメディアや統合型ビジネスツールの利用拡大により、売上高は前期比50.3%増、営業利益は同231.0%増と大幅な増収増益を達成しました。


※本記事は、BRANU株式会社 の有価証券報告書(第17期、自 2024年11月1日 至 2025年10月31日、2026年1月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. BRANUってどんな会社?


中小建設企業の経営課題解決を目指し、建設DXプラットフォーム「CAREECON Platform」を展開する企業です。

(1) 会社概要


2009年に設立され、中小建設企業向けウェブマーケティングサービスを開始しました。2014年にマッチングメディア「CAREECON」をローンチし、2019年に社名をBRANUに変更しました。2023年には統合型ビジネスツール「CAREECON Plus Standardプラン」の提供を開始し、2025年に東京証券取引所グロース市場へ上場しました。

同社(単体)の従業員数は108名です。筆頭株主は創業者の名富達也氏で、第2位は同氏の資産管理会社である名富です。

氏名 持株比率
名富 達也 53.50%
名富 45.00%
毒島 大輔 0.50%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性0名、計8名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役は名富達也氏が務めています。社外取締役比率は25.0%です。

氏名 役職 主な経歴
名富 達也 代表取締役 2003年テレウェイヴ入社。2009年8月に同社を設立し、代表取締役に就任より現職。
宇都宮 久之 取締役CFO あずさ監査法人、クロスロケーションズ取締役CFO等を経て、2023年10月に同社入社し現職。
露木 将也 取締役マッチングプラットフォーム事業部ゼネラルマネージャー テレウェイヴを経て2009年9月に同社入社。2023年10月より現職。


社外取締役は、小尾一介(元InMobi Japan社長)、古矢徹(元清水建設常務執行役員)です。

2. 事業内容


同社グループは、「建設DXプラットフォーム事業」の単一セグメントで事業を展開しています。

(1) CAREECON Platform(マッチングメディア・マーケティング)


中小建設企業の新規顧客獲得や採用を支援するため、オウンドメディア構築や建設業マッチングメディア「CAREECON」を提供しています。顧客企業のPRページを掲載し、オウンドメディアへの導線を確保することで、建設企業間のマッチング機会を創出しています。

収益は、オウンドメディア構築費用や、受発注・採用案件の優先掲載サービス等によるフロー収益を受け取ります。運営は同社が行っています。

(2) CAREECON Plus(統合型ビジネスツール)


中小建設企業の経営課題解決に特化した統合型ビジネスツールで、マーケティング、採用管理、施工管理、経営管理機能をSaaS形式で提供しています。機能制限のないStandardプランと、マーケティング機能を中心としたminiプランがあります。

収益は、サービスの利用に対する月額利用料(ストック収益)を受け取ります。また、付随する広告運用代行サービスの手数料収入も得ています。運営は同社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近の業績は、売上高、利益ともに拡大傾向にあります。特に2025年10月期は、新規顧客の獲得や既存顧客への追加サービス提供が進み、売上高が21億円を超えました。利益面でも、増収効果により経常利益、当期純利益ともに過去最高水準を記録しており、高い利益率を達成しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2022年10月期 2023年10月期 2024年10月期 2025年10月期
売上高 8.2億円 9.1億円 4.9億円 11.5億円 14.1億円 21.2億円
経常利益 0.2億円 0.0億円 -0.6億円 0.5億円 1.0億円 3.3億円
利益率(%) 2.0% 0.1% -11.9% 4.3% 6.9% 15.5%
当期利益(親会社所有者帰属) 0.1億円 0.0億円 -0.8億円 0.5億円 0.7億円 2.4億円

(2) 損益計算書


前期と比較して、売上高は約1.5倍に成長し、売上総利益率も向上しています。増収に伴い販売費及び一般管理費も増加していますが、営業利益率は大きく改善しており、収益性が高まっていることがわかります。

項目 2024年10月期 2025年10月期
売上高 14.1億円 21.2億円
売上総利益 11.0億円 17.3億円
売上総利益率(%) 78.2% 81.5%
営業利益 1.0億円 3.3億円
営業利益率(%) 7.1% 15.6%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が4.1億円(構成比29%)、人材派遣料が2.8億円(同20%)を占めています。売上原価においては、外注費・人材派遣費が2.3億円(構成比58%)、労務費が1.4億円(同35%)となっています。

(3) セグメント収益


建設DXプラットフォーム事業単一セグメントですが、サービス利用の拡大により大幅な増収増益となりました。特に「CAREECON」の媒体価値向上や「CAREECON Plus」の契約社数増加が寄与しています。

区分 売上(2024年10月期) 売上(2025年10月期) 利益(2024年10月期) 利益(2025年10月期) 利益率
建設DXプラットフォーム事業 14.1億円 21.2億円 1.0億円 3.3億円 15.6%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

項目 2024年10月期 2025年10月期
営業CF 1.0億円 2.5億円
投資CF -0.1億円 -1.4億円
財務CF -0.4億円 -0.4億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は82.6%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は34.0%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「テクノロジーで建設業界をアップデートする。」をビジョンに掲げ、建設インフラを支える中小建設企業の経営課題に対しソリューションを提供しています。また、「スモールビジネスを前進させるブレークスルーカンパニー。」をミッションとし、業界の大多数を占める中小建設企業にテクノロジーを提供することでビジネスを前進させています。

(2) 企業文化


同社は「After Us」(誰よりも一歩先に。)を経営哲学としています。建設業界のアップデートを牽引することを目指し、中小建設企業のニーズを深く理解し、それらを支援するためのマッチングメディアと統合型ビジネスツールを提供することで、業界全体の持続可能性と成長に貢献する姿勢を重視しています。

(3) 経営計画・目標


同社は、「CAREECON Plus」のストック型収益の拡大を重視しており、年平均売上高成長率や経常利益率に加え、以下の指標を重要な経営目標として掲げています。

* 営業人員数・営業人員一人当たり売上高
* 「CAREECON」登録ユーザー数
* ARR(Annual Recurring Revenue)
* ストック型サービスライセンス契約社数

(4) 成長戦略と重点施策


同社は、東京・大阪・福岡に加え、仙台等の新たな拠点展開により全国を網羅し、未開拓市場へのアプローチを強化する方針です。また、総合商社等との業務提携による販路拡大や、AI機能の実装、経営管理機能の開発等により、「CAREECON Plus」を「All in One」の統合型ビジネスツールへと進化させることを重点施策としています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


事業の持続的成長のため、長期的に多様な人材を採用・育成することを重視しています。年代・職歴等を問わず多様な人材で組織づくりを推進し、新卒・中途採用をバランスよく行っています。また、従業員の成長支援のため、キャリアデザインや研修制度を整備・充実させ、職位に応じた研修受講率100%を目標としています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年10月期 29.8歳 2.8年 5,101,632円


※平均年間給与は基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 13.3%
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全労働者) -
男女賃金差異(正規雇用) -
男女賃金差異(非正規) -


※男性育児休業取得率および労働者の男女の賃金の差異に関して、同社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 業界や市場動向について


同社のサービスは中小建設企業の業務課題解決に注力していますが、景気動向の悪化等により顧客の経営環境が悪化した場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。建設業界は労働力不足や資材高騰等の構造的な問題を抱えており、これらが顧客の収益性に影響を与えるリスクがあります。

(2) 競合他社について


建設業界特有の商慣習が高い参入障壁となっていますが、資金力やブランド力を有する大手企業が参入し、競争が激化した場合には業績に影響を及ぼす可能性があります。同社は先行者としての実績や営業ノウハウ、機能拡充により競争優位性を維持する方針です。

(3) 技術革新への対応について


IT業界における技術革新は速く、特に生成AI等の新技術の進化が著しい状況です。同社がこれらの技術革新を有効に活用できず、サービスの付加価値が損なわれた場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。これに対し、専門スキルを持つエンジニアの採用や技術顧問の招聘、社内プロジェクトによるAI活用の推進等を行っています。

(4) システムトラブルについて


サービス提供の基盤であるシステムにおいて、サイバー攻撃や大規模災害、委託先の管理不備等により予期せぬ障害が発生し、サービスの復旧が遅れた場合、業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。サーバー監視体制の整備や定期的なバックアップ等の対策を講じています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。