※本記事は、株式会社フィットクルー の有価証券報告書(第11期、自 2024年12月1日 至 2025年11月30日、2026年2月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. フィットクルーってどんな会社?
女性専用パーソナルトレーニングジムの運営を主力事業とし、トレーナー養成スクールも展開するフィットネス企業です。
■(1) 会社概要
2015年に大阪市で設立され、女性専用パーソナルトレーニングジム「UNDEUX SUPERBODY」の提供を開始しました。その後、トレーナー養成スクール「プロジム」の開校や新ブランドの展開を進め、2022年に現社名へ商号変更しました。2025年12月には東京証券取引所グロース市場への上場を果たしています。
現在の従業員数は単体で277名です。筆頭株主は創業者で社長の鹿島紘樹氏、第2位はベンチャーキャピタルのファンド、第3位も同様に投資事業有限責任組合となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 鹿島 紘樹 | 62.67% |
| サファイア第一号投資事業有限責任組合 無限責任組合員 サファイア・キャピタル株式会社 | 28.08% |
| Social Entrepreneur3投資事業有限責任組合 無限責任組合員 PE&HR株式会社 | 7.93% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性6名、女性0名の計6名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は鹿島紘樹氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 鹿島 紘樹 | 代表取締役社長 | 2007年に木本興産入社後、整骨院を開業。2015年に同社(旧トライアス)を設立し代表取締役社長に就任。AIDAMA代表取締役も務める。創業より現職。 |
| 矢野 佑樹 | 取締役副社長 | 公認会計士。あずさ監査法人、ダイキン工業を経て矢野会計事務所を開設。2023年に同社取締役となり管理部門を管掌。2026年2月より現職。 |
| 中山 寛 | 取締役 | 整形外科医。兵庫医科大学での助教、講師を経て、HYプランニング代表取締役および兵庫医科大学整形外科学教室准教授を務める。2025年8月より現職。 |
社外取締役は、正司泰久(公認会計士・元あずさ監査法人)、武田定男(CTIA Capital代表取締役)、角谷俊輔(弁護士・関西法律特許事務所パートナー)です。
2. 事業内容
同社グループは、「フィットネス関連事業」の単一セグメントですが、以下のような事業ブランドを展開しています。
■(1) UNDEUX SUPERBODY / UNDEUX SUPERBODY LIFE
女性専用のパーソナルトレーニングジムを運営しています。駅近で集中コースを提供する「UNDEUX SUPERBODY」と、郊外中心で月額制の「UNDEUX SUPERBODY LIFE」を展開し、トレーニングに加え食事指導や宅配食サービスも提供しています。
主に美容・健康意識の高い若年女性を顧客とし、コース料金や月額会費を受け取ることで収益を得ています。運営は主に同社が行っており、トレーナーの多くを正社員として雇用し、質の高いサービス提供に努めています。
■(2) Dr.plus Fit
「健康問題をトレーニングと栄養指導で解決する」を掲げたヘルスケア専門のパーソナルトレーニングジムです。医師監修プログラムにより、若年からミドルシニアまで幅広い層の健康寿命延伸やダイエットをサポートしています。
性別に関係なく利用可能な月額制サービスを提供し、会員からの月会費が主な収益源です。運営は同社が行っており、生活習慣の改善や身体の不調軽減を目的としたサービスを展開しています。
■(3) プロジム
パーソナルトレーナーを目指す男女を対象とした養成スクールです。6か月のコースでトレーニング知識だけでなく、栄養学や接遇、営業手法なども指導し、即戦力となるトレーナーを育成しています。
スクール生からの受講料が収益源となります。運営は同社が行っており、自社のジム運営ノウハウを活かしたカリキュラムや、資格取得に向けた対策講座なども提供しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は着実な右肩上がりで成長を続けています。利益面では一時的な損失計上があったものの、直近2期は黒字化し、経常利益、当期純利益ともに大きく伸長しています。利益率も改善傾向にあり、事業拡大に伴う収益性の向上が見られます。
| 項目 | 2021年11月期 | 2022年11月期 | 2023年11月期 | 2024年11月期 | 2025年11月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 6.7億円 | 11.8億円 | 17.7億円 | 24.5億円 | 29.2億円 |
| 経常利益 | -0.6億円 | -0.2億円 | 0.8億円 | 1.1億円 | 2.7億円 |
| 利益率(%) | -9.1% | -1.3% | 4.5% | 4.5% | 9.1% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -0.5億円 | -0.3億円 | 0.3億円 | 0.4億円 | 2.5億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間の比較では、売上高の増加に伴い売上総利益も拡大しています。営業利益率は前期間の4.6%から9.4%へと大幅に向上しており、収益性が高まっています。
| 項目 | 2024年11月期 | 2025年11月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 25億円 | 29億円 |
| 売上総利益 | 9億円 | 12億円 |
| 売上総利益率(%) | 37.0% | 39.8% |
| 営業利益 | 1.1億円 | 2.7億円 |
| 営業利益率(%) | 4.6% | 9.4% |
販売費及び一般管理費のうち、広告宣伝費が5億円(構成比58%)、支払手数料が1億円(同15%)を占めています。売上原価に関しては、労務費が10億円(構成比60%)、地代家賃が3億円(同18%)を占めています。
■(3) セグメント収益
「フィットネス関連事業」の単一セグメントですが、サービス別の売上高を見ると、主力のパーソナルトレーニング収入が順調に拡大しており、物販収入やその他収入も大きく増加しています。一方、スクール収入は微減となっており、ジム運営事業が成長を牽引しています。
| 区分 | 売上(2024年11月期) | 売上(2025年11月期) |
|---|---|---|
| パーソナルトレーニング収入 | 22億円 | 26億円 |
| スクール収入 | 0.7億円 | 0.7億円 |
| 物販収入 | 1億円 | 2億円 |
| その他 | 0.2億円 | 0.5億円 |
| 連結(合計) | 25億円 | 29億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業CF、投資CF、財務CFがいずれもマイナスとなっており、形式上は「末期型」に分類される状態です。ただし同社の場合、営業CFのマイナスは主に事業拡大に伴う売上債権の増加や税金の支払によるものであり、必ずしも経営危機を示すものではありません。
| 項目 | 2024年11月期 | 2025年11月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 3.5億円 | -0.1億円 |
| 投資CF | -1.7億円 | -1.0億円 |
| 財務CF | 1.8億円 | -1.3億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は52.5%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は32.1%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「フィットネスで社会を明るくする」を企業理念として掲げています。パーソナルトレーニングを通じて一人ひとりの顧客の悩みに向き合い、心身ともに健康で笑顔あふれる社会づくりに貢献することを目指しています。
■(2) 企業文化
同社は「顧客の望みを叶える」を存在意義(Purpose)としています。これを実現するため、トレーナーの多くを正社員として雇用し、技術だけでなく理念やミッションの教育を徹底することで、全店舗において質の高いサービスを提供できる体制を構築しています。
■(3) 経営計画・目標
同社は継続的な事業拡大のために「成長性と収益性」を重視しています。具体的な数値目標としての記載はありませんが、重要な経営指標(KPI)として「売上高」「営業利益率」および「店舗数」を設定し、収益力の向上と堅実な経営基盤の構築に努めています。
■(4) 成長戦略と重点施策
今後は「UNDEUX SUPERBODY LIFE」や「Dr.plus Fit」を地方都市や郊外へ積極的に出店し、ライトユーザーやミドルシニア層の獲得を目指します。また、ブランディングやマーケティングのノウハウを活かして会員数を増やし、物販を含むLTV(顧客生涯価値)の最大化を図る方針です。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
事業拡大において人材の確保と育成を最重要事項の一つと位置づけています。教育研修制度の整備や福利厚生の充実を図るとともに、多様な働き方に対応できる環境づくりや人事評価制度の見直しを進め、経営方針に共感した優秀な人材の確保を目指しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均を下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年11月期 | 27.8歳 | 2.0年 | 3,816,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 50.0% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 75.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 89.8% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用) | 88.6% |
| 労働者の男女の賃金の差異(非正規雇用) | 98.2% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、えるぼし認定(3段階目)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 競争環境の激化について
フィットネス市場は拡大傾向にありますが、パーソナルトレーニングジム事業は参入障壁が低く、新規参入による競争激化が予想されます。また、景気動向や顧客の嗜好変化の影響を受けやすいため、市場環境の変化が経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 人材確保の困難化
事業拡大には人材の確保と育成が不可欠です。同社は計画的な採用や研修制度の充実に努めていますが、採用競争が激化し、必要な人材を十分に確保・育成できなかった場合、店舗運営やサービス品質に支障をきたし、業績に悪影響を与える可能性があります。
■(3) 新規出店計画の未達
同社は積極的な新規出店による事業拡大を計画しています。しかし、適切な出店候補地が確保できない場合や、出店後の集客が計画通りに進まない場合、または周辺環境の変化などにより店舗収益が想定を下回った場合、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
■(4) 広告宣伝効果の低迷
新規顧客の獲得においてインターネット広告を主な集客手段としています。日次での成果確認や迅速な対応、リファーラル等の対策を行っていますが、広告宣伝の効果が想定を下回った場合、集客数が伸び悩み、業績や財政状態に影響を与える可能性があります。



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