0 編集部が注目した重点ポイント
① 電子部品・データセンター向け需要が回復し営業利益は前年比196.0%増を達成
スマートフォンやディスプレイ関連の需要回復に伴い、主力の光硬化型樹脂が好調に推移しました。さらに、生成AI市場の拡大によるデータセンター投資が追い風となり、ハードディスク用精密研磨剤や半導体材料の販売が過去最高水準を維持しています。これら高付加価値製品の伸長が利益を強力に牽引しています。
② 大規模投資が一巡し本格的な「投資回収フェーズ」へ移行
2024年度までに実施してきた生産能力増強投資が完了しました。富士工場の光硬化型樹脂設備や水島工場のファインケミカルプラントなどが稼働を開始しており、今後はEBITDAを最大化させる収益化のステージに入ります。設備稼働の安定化と拡販を担う技術・営業人材の役割がますます重要となっています。
③ ライフサイエンス・微細藻類等の「NEXT事業」創出を加速
持続可能な成長を目指し、松資源や微細藻類を活用した新規事業への参入を強化しています。2025年7月に大阪工場で微細藻類培養のパイロットプラントが完工し、サプリメントなどのライフサイエンス分野での市場開拓を進めています。既存事業の枠を超えた領域でのキャリア機会が広がっています。
1 連結業績ハイライト
出典:2026年3月期 第2四半期(中間期)決算 決算概況と今後の事業展開について P.4
売上高
40,367百万円
+2.6%
営業利益
929百万円
+196.0%
EBITDA
3,639百万円
+20.4%
※EBITDA = 営業利益 + 減価償却費 + のれん償却額(償却前営業利益)
2026年3月期第2四半期累計の業績は、売上高が前年同期比2.6%増、営業利益が同196.0%増と収益性が飛躍的に向上しました。電子部品の需要回復やデータセンター向け材料の好調に加え、光硬化型樹脂などの機能性製品が伸長しました。親会社株主に帰属する中間純利益が55.7%減となっていますが、これは前年同期に計上した固定資産売却益の反動によるもので、営業利益ベースでの本業は極めて好調です。
通期計画に対する進捗率は、売上高が47.5%、営業利益が33.2%となっています。数値上は進捗が遅れているように見えますが、同社は期初予想を据え置いており、機能性コーティング事業の下期に向けた一層の伸びを期待して機能性コーティングの利益予想を上方修正するなど、全体として「概ね順調」な進捗と評価できます。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:2026年3月期 第2四半期(中間期)決算 決算概況と今後の事業展開について P.7
機能性コーティング事業
事業内容:光硬化型樹脂(UVコート材)、熱硬化型樹脂、印刷インキ用・塗料用樹脂などを展開。デジタルデバイスや自動車、食品パッケージなど幅広い用途で使用されます。
業績推移:売上高8,977百万円(前年同期比+9.3%)、セグメント利益1,008百万円(同+68.4%)と大幅増収増益。
注目ポイント:スマートフォンやディスプレイ市場の回復により光硬化型樹脂の販売が伸長しています。富士工場の新設備が下期より量産化予定であり、高機能フィルム向けなどの高付加価値製品の拡大を担う技術開発や工程管理の専門家が求められています。
製紙・環境事業
事業内容:紙の強度を高める紙力増強剤、にじみを防ぐサイズ剤など。段ボールの薄型化や古紙リサイクル促進に貢献する薬剤を提供しています。
業績推移:売上高10,094百万円(同-8.2%)、セグメント利益534百万円(同-47.2%)と厳しい状況。
注目ポイント:国内需要の減少や、中国・アジアでの価格競争激化が収益を圧迫しています。打開策として、品種・生産拠点の統廃合による効率化と、ベトナムを拠点としたASEAN市場への展開を強化しており、構造改革とグローバル販路開拓のスキルが重宝される環境です。
粘接着・バイオマス事業
事業内容:水素化石油樹脂「アルコン」、粘接着剤用ロジン樹脂など。医療用貼付剤やプラスチック改質剤など、天然資源由来の素材を扱います。
業績推移:売上高13,890百万円(同+5.0%)、セグメント損失603百万円(前年は1,292百万円の赤字)と改善傾向。
注目ポイント:千葉アルコン製造(株)の稼働率が前年同期の3割から6割へ改善し、欧州向け供給を開始しました。2027年度のフル稼働を目指しており、グローバルな需給調整やプラント運営の効率化が最優先課題となっています。
ファイン・エレクトロニクス事業
事業内容:半導体用ファインケミカル、HDD用精密研磨剤、電子部品洗浄剤など。データセンターや生成AIを支える最先端材料を提供。
業績推移:売上高7,366百万円(同+7.6%)、セグメント利益274百万円(同-25.4%)の増収減益。
注目ポイント:データセンター投資の活況で販売は過去最高水準を維持していますが、新設備の償却費負担や原料コストが先行しています。水島工場の半導体材料プラントが2026年度後半に量産化予定であり、先端プロセスに対応できる品質保証や技術営業のニーズが高まっています。
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:2026年3月期 第2四半期(中間期)決算 決算概況と今後の事業展開について P.17
同社は、生成AIや5G通信、データセンターといった「デジタル領域」の拡大を成長の源泉としています。特に半導体関連や電子部材向け材料は、2030年に向けて現在の約1.5倍の売上規模を目指す野心的な計画を掲げています。水島工場や富士工場での新プラント稼働により、供給体制は整いつつあり、今後はこれらリソースを活かした「稼ぐ力」の最大化がテーマとなります。
また、サステナビリティ経営を深化させるため、脱フッ素規制(PFAS規制)に対応した水系ポリマーや、微細藻類を活用したライフサイエンス事業への参入を加速させています。2025年2月には藻類由来の機能性食品「MISO CUBE」の販売を開始するなど、伝統的な化学企業の枠を超えた新領域への挑戦が始まっており、スタートアップのようなスピード感で新規事業を立ち上げられる人材にとって、非常に挑戦しがいのあるフェーズです。
4 求職者へのアドバイス
志望動機のヒント
荒川化学は現在、伝統的なロジン技術をベースにしつつ、生成AI・半導体材料やバイオ素材といった先端領域へのポートフォリオ変革を断行しています。「100年以上の歴史を持つ企業の安定性」と「新プラント稼働・新規事業参入による第二創業期のような躍動感」を併せ持つ点に魅力を感じると伝えるのが効果的です。特に、大規模投資が完了し、成果を出すための現場のプロフェッショナルが求められている現状を理解していることをアピールしましょう。
面接での逆質問例
- 投資が一巡し「投資回収フェーズ」に入られたとのことですが、今後、現場の社員に期待されるスピード感や成果の定義はどのように変化していくのでしょうか?
- 微細藻類などのライフサイエンス事業において、既存の化学事業で培ったどのような技術やノウハウが最大の差別化要因になると考えていらっしゃいますか?
- 千葉アルコン製造などのプラント安定稼働が課題とされていましたが、改善が進んだ現在、製造現場での更なるDXや技術継承をどのように推進される計画ですか?
5 転職者が知っておきたい現場のリアル
※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- 2026年3月期 第2四半期(中間期)決算 決算概況と今後の事業展開について(2025年12月2日発表)
- 2026年3月期 第2四半期(中間期)決算短信〔日本基準〕(連結)(2025年11月5日発表)



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