トレックス・セミコンダクターの転職研究 2026年3月期3Q決算に見るキャリア機会

トレックス・セミコンダクターの転職研究 2026年3月期3Q決算に見るキャリア機会

トレックス・セミコンダクターの2026年3月期3Q決算は、営業損益が前年の赤字から大幅黒字化。後工程拠点の譲渡を通じた台湾PANJIT社との戦略的提携や、フィジカルAI向け小型電源ICの好調が目立ちます。「なぜ今トレックスなのか?」「次世代半導体やAI領域でどんな役割を担えるのか」を整理します。


0 編集部が注目した重点ポイント

為替影響を跳ね除け営業利益を大幅に改善させる

2026年3月期第3四半期の連結営業利益は、前年同期の1億4百万円の赤字から6億95百万円の黒字へと劇的なV字回復を遂げました。平均為替レートが円高方向に振れる逆風の中でも、徹底した経費抑制と高付加価値製品へのシフトが結実しており、収益構造の強化が着実に進んでいます。

後工程子会社の持分譲渡で構造改革を断行する

2025年11月17日付で、ベトナムの後工程拠点であるTVS社の持分95%を台湾PANJIT社へ譲渡する契約を締結しました。これにより、同社の製造技術力とトレックスの設計開発力を融合させる戦略的提携へと舵を切ります。資産効率の向上とパッケージ技術の高度化を同時に狙う大きな転換点となります。

通期予想を上方修正し成長への自信を深める

足元の受注環境の好転を受け、2026年2月9日に通期業績予想の修正を発表しました。売上高は当初予想の245億円から250億円へ、営業利益も6億円から8億円へと引き上げています。サプライチェーンの在庫調整が解消に向かい、産業機器や医療機器向けが回復基調にあることが大きな要因です。

1 連結業績ハイライト

アジア圏を除く全地域での回復が鮮明となり、売上高は前年並みを維持しつつ利益率が大幅に改善しています。
2026年3月期 第3四半期業績概要

出典:2026年3月期 第3四半期 決算説明資料 P.4

売上高

18,226百万円

(前年比 ▲0.4%)

営業利益

695百万円

(前年比 +591百万円)

四半期純利益

580百万円

(前年同期:▲234百万円)

第3四半期までの累計実績において、売上高は前年同期比でわずかに減少したものの、利益面では大幅な増益を達成しました。特に営業利益率は、前年同期のマイナス0.6%から3.8%へと4.4ポイント改善しています。これはフェニテックセミコンダクターにおける経費抑制策の徹底や、トレックス単体での産業・医療分野向け比率向上が寄与した結果です。

通期業績予想に対する進捗率は、修正後の売上高250億円に対し72.9%、営業利益8億円に対し86.9%となっており、利益面では極めて堅調な推移を見せています。売上高も足元の受注回復を踏まえれば「概ね順調」な進捗と言えます。

2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド

電源ICを核とするトレックスと、ファウンドリ事業を展開するフェニテックの相乗効果により、注力領域でのシェアを拡大しています。
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アプリケーション別売上高推移

出典:2026年3月期 第3四半期 決算説明資料 P.11

日本(デザイン・イン・ベース)

事業内容:国内市場における電源ICの開発・設計・販売。主に産業機器、車載機器、民生機器向けを展開。

業績推移:売上高133億77百万円、セグメント利益5億44百万円と前年の赤字から大幅黒字化

注目ポイント:産業機器向け販売が牽引し、収益性が大幅に改善しています。デザイン・イン(製品の企画段階での採用)を軸とした営業スタイルが強みであり、顧客の設計思想に深く入り込む技術提案型営業の重要性が高まっています。

注目職種:フィールド・アプリケーション・エンジニア(FAE)、電源回路設計エンジニア、国内法人営業

アジア

事業内容:中国・台湾・シンガポール等での販売拠点運営。モジュール機器、通信機器向けが主力。

業績推移:売上高28億41百万円(前年比 ▲3.8%)ながら、利益は59百万円と19.2%増益

注目ポイント:モジュール機器の停滞を産業機器向けが補う構図です。中華圏企業の生産拠点分散(チャイナプラスワン戦略)に伴う新規案件を積極的に取り込んでおり、各地域の代理店網を再編し営業基盤を強化できる人材が求められています。

注目職種:海外営業企画、サプライチェーンマネジメント(SCM)、海外拠点管理

欧州・北米

事業内容:産業機器・医療機器を中心とした高信頼性市場へのアプローチ。特にSiCなどの次世代半導体需要に対応。

業績推移:北米は売上高28.3%増と急伸、欧州も医療向け増加により52.8%の利益成長

注目ポイント:欧米市場では付加価値の高い医療機器向けが好調です。SiC(炭化ケイ素)やGa2O3(酸化ガリウム)といった次世代パワー半導体の開発・評価を、現地の研究機関や有力メーカーと共同で推進できる最先端の技術リテラシーが鍵となります。

注目職種:次世代半導体デバイス開発、アプリケーション開発、海外FAE

3 今後の見通しと採用の注目点

「フィジカルAI」や次世代パワー半導体へのアプローチを加速させ、産業・車載の両軸で持続的な成長を狙います。
フィジカルAIへ向けたアプローチ

出典:2026年3月期 第3四半期 決算説明資料 P.25

今後の成長戦略として、現実世界に作用するAI「フィジカルAI」向け電源ソリューションに注力しています。センサーやマイコン、モーター駆動部で不可欠となる小型・省電力ICはトレックスの独壇場であり、ヒューマノイドロボット等の台頭は大きな追い風となります。

また、フェニテックにおいては酸化ガリウム(Ga2O3)デバイスの試作生産受託や、広島大学との「SiCIC社会実装プロジェクト」を強力に推進しています。後工程拠点の譲渡を通じたPANJIT社との協調により、企画から後工程まで一貫した競争力を持つグループ体格への進化を目指しており、変革期をリードする人材の獲得が急務となっています。

4 求職者へのアドバイス

HINT 志望動機のヒント

「アナログ電源IC一筋」という専業メーカーとしての矜持に加え、昨今は次世代パワー半導体のファウンドリ事業でも存在感を増しています。単なる「部品メーカー」ではなく、省エネルギー化社会の黒子として地球環境保全に貢献したいという想いを、実製品(小型・省電力)の優位性と絡めて伝えると効果的です。

Q&A 面接での逆質問例

「ベトナム子会社の持分譲渡に伴うPANJIT社との業務提携により、自身の配属予定部署ではどのような技術的交流や相乗効果が期待されていますか?」

フィジカルAI市場に向けた電源ICの最適化において、現状の課題とエンジニアに期待される役割を教えてください。」

5 転職者が知っておきたい現場のリアル(口コミ)

決算資料や公式発表だけでは見えにくい、現場で働く社員・元社員の実体験(口コミ)を、転職判断の参考となるよう編集部で選定しています。
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子育て中は退職する方が少ない

有給休暇なども取得しやすく、子育て中は退職する方が少ないです。

(30代後半・営業事務・管理事務・女性) [キャリコネの口コミを読む]
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経営方針がトップから社員に示されることがない

経営方針がトップから社員に示されることがない。気合と根性と為替の恩恵で予算を達成していければ良いといった雰囲気。

(50代前半・半導体開発設計・男性) [キャリコネの口コミを読む]

※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。

使用した主な公開資料

  • トレックス・セミコンダクター株式会社 2026年3月期 第3四半期決算短信〔日本基準〕(連結)
  • トレックス・セミコンダクター株式会社 2026年3月期 第3四半期 決算説明資料

この記事の執筆者

上場企業の四半期決算から、面接で差がつく「志望動機」や「逆質問」のヒントを導き出す専門チーム。3ヶ月ごとの業績推移と戦略の遂行状況をキャリコネ独自の現場データと照合し、求人票だけでは見えない企業の「現在地」を可視化します。投資家向け情報を、転職希望者が選考を有利に進めるための武器に変える、実戦的な企業研究を配信中。