0 編集部が注目した重点ポイント
① 米国子会社TENが上場し、財務基盤を維持する
2025年2月に米国子会社のTEN HoldingsがNASDAQ市場へ上場しました。これにより9億円の純資産を維持しており、財務体質の改善が進んでいます。今後は持ち株比率を下げて連結対象から外す(事業の切り離し)ことで、グループ全体の収益安定化を図る方針です。海外事業の再編が進む中、国内事業へのリソース集中によるキャリア機会の拡大が期待されます。
② テレキューブが累計3.8万台に達し、用途を拡大する
主力の防音個室ブース「テレキューブ」の累計設置台数が約38,000台を突破しました。法人向け設置台数シェアは3年連続No.1を獲得しています。従来のオフィス向けに加え、2025年9月からは防災機能を備えた災害対策用モデルの販売を開始するなど、社会インフラとしての活用を推進しています。サブスクリプションモデルも順調に成長しており、安定した収益基盤が強固になっています。
③ 構造改革を完遂し、2026年の再成長を目指す
不採算事業の売却やサービス終了などのポートフォリオ入れ替えを2025年中に完了する予定です。売上に対する固定費の割合を、2022年の55%から2026年には48%まで低減させる「筋肉質な体制」への移行を推進しています。生成AIを活用した営業支援エージェント「Maneai」など新サービスの投入も始まっており、2026年以降の利益回復に向けた道筋が明確になっています。
1 連結業績ハイライト
出典:2025年12月期第3四半期 決算説明資料 P.4
※調整後EBITDA = 営業利益+減価償却費+のれん償却費±非経常・非継続事業の損益(株式報酬費用等)
第3四半期累計の業績は、売上高が7,218百万円、営業損失が1,201百万円となりました。赤字拡大の主な要因は、米国子会社TEN HoldingsのNASDAQ上場に伴う株式報酬費用5.2億円の計上です。一方で、このTENを除外した「国内事業中心」のプロフォーマベースでは、当期純利益が97百万円の黒字に転換しており、構造改革の成果が見え始めています。
通期予想の売上高10,000百万円に対し、進捗率は72.1%となっており、計画に照らして概ね順調に推移しています。第4四半期での営業利益700百万円の達成に向け、収益性の高い領域へのリソース集中を加速させています。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:2025年12月期第3四半期 決算説明資料 P.18
サードプレイスDX事業
【事業内容】 防音個室ブース「テレキューブ」の設置販売・管理運営を行い、場所にとらわれない働き方を支援します。
【業績推移】 売上高1,986百万円(前年比 +2.8%)。多人数用モデルやエアコン搭載機の需要増により増収を達成しました。
【注目ポイント】 法人向けシェアNo.1を維持しつつ、災害時の安全拠点としての活用など用途の多様化を進めています。設置台数は約3.8万台に達しており、ハードウェアだけでなく運用システムの開発や付加価値サービスの企画を担う人材の重要性が高まっています。
イベントDX事業
【事業内容】 Webセミナー配信やイベントプラットフォームの提供、配信サポート等の運用支援をワンストップで行います。
【業績推移】 売上高2,581百万円(前年比 -7.8%)。米国子会社の株式報酬費用5.2億円の発生により大幅な赤字を計上しました。
【注目ポイント】 国内では「自社開催領域」が好調で、リアル・ハイブリッド案件が増加しています。戦略的イベントプロデュース「Oneイベント」を始動し、単なる配信支援から顧客のコミュニケーション戦略を支援する高度なディレクション人材を求めています。
エンタープライズDX事業
【事業内容】 ZoomやAgora、Qumuといった映像・音声コミュニケーションSDK(開発キット)やクラウドサービスを提供します。
【業績推移】 売上高2,650百万円(前年比 -13.7%)。プロフェッショナルワーク事業の売却(2024年2Q)等の影響で減収も、利益率は維持しています。
【注目ポイント】 AIエージェント「Maneai」を自社開発サービスとして展開開始。商談のAIフィードバックにより営業組織の強化を支援します。既存のZoom等のリセールに加え、自社AIプロダクトの成長を担うSaaS経験者への期待が高まっています。
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:2025年12月期第3四半期 決算説明資料 P.10
ブイキューブは、コロナ禍以降の市場変化に対応するため、大胆な事業入れ替えを実施してきました。2025年12月期をボトムに、2026年からは増収増益サイクルへの回帰を目指しています。特に固定費の削減が進んでおり、売上増加が利益に直結しやすい「筋肉質な経営基盤」が整いつつあります。
注目の戦略は、生成AIを活用した自社プロダクトの強化です。SDK(Agora等)による通信機能の提供だけでなく、AIエージェント「Maneai」のように、「AI×コミュニケーション」という独自の立ち位置を確立しようとしています。質疑応答でも示唆されている通り、米国子会社TENの連結除外を確実に進めることで、財務リスクを解消し、攻めの投資へと舵を切るフェーズに入っています。最先端のAIテクノロジーと、国内屈指の導入実績(10,000社以上)を組み合わせた新たな価値創造に関われる、刺激的なタイミングと言えるでしょう。
4 求職者へのアドバイス
志望動機のヒント
「国内シェアNo.1のテレキューブ」や「1万社以上の導入実績」という強みをベースに、生成AIを掛け合わせた次世代コミュニケーションの創出に興味がある、と伝えるのが効果的です。特に、単なるオンライン会議ツールから、商談改善(Maneai)や社会インフラ(災害対策テレキューブ)へと事業領域を広げている姿勢への共感を示すと、同社のビジョンと合致しやすくなります。
面接での逆質問例
・「生成AIプロダクトであるManeaiは、中長期的にどのような事業規模や役割を目指しているのでしょうか?」
・「固定費の削減が進み筋肉質な体制へ移行中とのことですが、今後はどのような新規投資や人材採用に注力される方針ですか?」
・「災害対策用テレキューブなど、自治体や公共インフラ領域での市場開拓の現状と課題を教えてください。」
5 転職者が知っておきたい現場のリアル(口コミ)
※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- 株式会社ブイキューブ 2025年12月期第3四半期 決算説明資料(2025年11月14日)
- 株式会社ブイキューブ 2025年12月期 第3四半期決算短信(2025年11月14日)



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