本記事は、KPMG(KPMG International Limited)が公表した以下の公式一次資料に加え、KPMGジャパン(KPMGコンサルティング株式会社や有限責任 あずさ監査法人など)を中心とする日本法人の公式情報に基づき、客観的なファクトを積み上げて作成しています。
- KPMG: Our Impact Plan 2025 update:KPMGグローバルネットワーク全体の業績ハイライト、ESG戦略、脱炭素やAIへの投資状況、ならびに人材・DEIに関する取り組みをまとめた年次報告書。
- Global Code of Conduct:KPMGのすべての構成員が共有する5つのコアバリューや、社会・クライアントに対する倫理的な行動規範を定めたグローバルガイドライン。
- Transparency Report 2025/26:有限責任 あずさ監査法人が公表する透明性レポート。KPMGジャパンの組織体制や売上高、ガバナンス体制、監査品質向上の取り組みに関する詳細資料。
- KPMGジャパン Our Impact Plan 2025:グローバルのESG戦略を日本市場においてどのように実践しているか、具体的な事業活動や社会貢献活動、人事制度などをまとめた日本法人独自のレポート。
- KPMGコンサルティング 会社案内・採用パンフレット:同社が目指す世界観(Business Biotoping)、組織体制、キャリアパス、人材育成制度、およびIDE(インクルージョン、ダイバーシティ&エクイティ)推進の取り組みをまとめた公式資料。
- KPMGコンサルティング キャリア採用・求人情報サイト:同社が求める人物像、採用メッセージ、および現在募集中の具体的なポジション(マネジメント、リスク、テクノロジー領域など)を網羅した公式ウェブサイト。
1.企業の概要とアイデンティティ
KPMGは、世界約140の国と地域に展開するグローバルなプロフェッショナルファームです。
■1-1 沿革とネットワークの概要
- グローバルネットワーク:世界約140の国と地域にメンバーファームを展開し、約276,000名の人員を擁しています。主なサービスラインは監査(Audit)、税務(Tax)、アドバイザリー(Advisory)です。
- 日本法人のネットワーク(KPMGジャパン):有限責任 あずさ監査法人、KPMGコンサルティング、KPMG FAS、KPMG税理士法人などで構成されています。監査・税務・アドバイザリーが連携する「One Firm(ワンファーム)」体制をとっており、人員数は約12,000名に上ります。
- KPMGコンサルティングの沿革・規模:2014年4月に数十名の従業員でスタートし、2026年1月現在で2,370名規模の組織へと急成長しています。
■1-2 トップと経営陣
- グローバルトップ:KPMGインターナショナルのGlobal Chairman and CEOは、Bill Thomas氏が務めています。また、グローバルの経営執行を担うGlobal Management Team(グローバルマネジメントチーム)は、2024年10月時点で50%を女性が占めています。
- 日本法人のトップ:KPMGジャパンの共同チェアマンは、山田 裕行氏(あずさ監査法人 理事長兼務)と知野 雅彦氏が務めています。
■1-3 グローバルの企業理念体系
KPMGでは、全世界のメンバーファームで共通の「Purpose(存在意義)」と「Our Values(行動指針)」を掲げており、すべての事業活動や意思決定の基盤としています。また、これらを実践するための行動規範や倫理的意思決定のフレームワークもグローバルレベルで整備し、全構成員に徹底しています。
◆Purpose(存在意義)
- 全世界共通で「Inspire Confidence. Empower Change.(社会に信頼を、変革に力を)」を掲げています。
◆Our Values(5つのコアバリュー)
すべての行動と意思決定の基盤として、以下の5つを定めています。
- Integrity(誠実さ):We do what is right.(誠実に行動する/常に正しいことを追求する)
- Excellence(卓越性):We never stop learning and improving.(自己研鑽を重ね、高品質なサービスを提供し続ける)
- Courage(勇気):We think and act boldly.(正しいことを追求し、新たな価値創造に果敢に挑む/大胆に考え、新たな価値創造に挑む)
- Together(共に):We respect each other and draw strength from our differences.(互いに尊重しあい、多様性を強みに変える)
- For Better(より良く):We do what matters.(未来を見据え、社会の発展に寄与する)
◆行動規範と倫理的フレームワーク
- 「Global Code of Conduct(グローバル行動規範)」を定め、KPMGのすべての構成員が互いに、そしてクライアントや社会に対して負う責任を明確にしています。
- また、日々の業務で困難な状況や倫理的なジレンマに直面した際の行動基準として、倫理的意思決定フレームワークである「CARE(Consider:検討、Assess:評価、Respond:対応、Evolve:進化)」を導入し、判断と行動を全社に徹底しています。
2.業績と事業
KPMGは、不確実な経済環境下でも安定した成長を続けています。転職先としての「ファームの勢いと安定性」を図る指標として、最新の業績ハイライトと、未来の成長に向けた戦略的投資について端的に解説します。
■2-1 主要財務指標および規模
KPMGネットワークの財務情報は、グローバル全体の売上高や人員規模から、その成長性と事業基盤の強さを把握することができます。 FY2024のKPMGグローバル全体の総売上高は384億米ドル(日本円で約5.76兆円)に達しました。前年度比で5.4%増(米ドルベース)、現地通貨ベースでは5.1%増の堅調な増収を記録しています。
| 指標 | FY2024 |
|---|---|
| 売上高(十億米ドル) | 38.4 |
| 売上成長率(米ドルベース) | 5.4% |
| 売上成長率(現地通貨ベース) | 5.1% |
※出典:KPMG: Our Impact Plan 2025 update
- 人員数と採用規模:2024年度末時点で世界に約276,000名の人員を擁し、同年度の新規採用者数は59,713名(うち87.8%がチームメンバー層)という大規模な採用を継続しています。
- 納税による経済貢献:ビジネスを通じた経済貢献として事業税等の納税額(Operational taxes paid)を開示しており、2024年度は21億米ドル(前年度は20億米ドル)を拠出しています。
- 日本法人の位置づけ(サマリー):日本におけるKPMGのメンバーファーム(KPMGジャパン)の業務収入は直近で2,484億円に達しており、グローバルネットワークの中でも重要な成長拠点の一つとなっています。
■2-2 セグメント別業績
KPMGのサービスは大きく3つのラインに分かれており、各地域でバランスの取れた成長を実現しています。最大の売上構成比を占めるのはアドバイザリー部門で、税務・法務が10%増、監査が6%増と力強い伸びを見せました。
| サービスライン | 売上高(十億米ドル) | 前年比成長率(現地通貨ベース) |
|---|---|---|
| アドバイザリー(Advisory) | 16.3 | 2%増 |
| 監査(Audit) | 13.4 | 6%増 |
| 税務・法務(Tax & Legal services) | 8.7 | 10%増 |
※出典:KPMG: Our Impact Plan 2025 update
リージョン別売上高としては、欧州・中東・アフリカ(EMA)が172億米ドルで最大の市場(約45%)となっており、次いで米州(Americas)が152億米ドル、日本が属するアジア太平洋(Asia Pacific)は60億米ドルとなっています。
■2-3 研究開発・設備投資(戦略的投資)
2024年度において、組織の未来を構築するため、グローバル全体で17億米ドル以上の投資を実施しています。主な重点投資分野は「テクノロジーとAI」「人材(Talent)」「ESG」の3領域です。
また、寄付、プロボノ、ボランティア活動等を通じた社会への投資も行っており、2024年度の投資額は1億6,300万米ドルにのぼります。
3.事業戦略と展望
KPMGは、社会やクライアントから最も信頼される存在となることを目指し、ESGを全活動の根幹に据えた戦略を展開しています。
■3-1 事業戦略
◆目指す姿
- ビジネスの成長を牽引し、最も信頼され、信頼に足るプロフェッショナルサービス組織になるという野心的な目標の達成に向けて、ESGをすべての活動の根幹(ウォーターマーク)と位置づけています。
◆デジタル・AI戦略とアライアンス
- テクノロジーとAI、人材、ESGの主要領域に焦点を当て、グローバルネットワーク全体で17億米ドル超の投資を実施しています。Google Cloud、Microsoft、Oracle、Salesforce、SAP、ServiceNow、Workdayなどの主要テクノロジー企業とアライアンスを構築しており、特にMicrosoftのAIおよびクラウドサービスには、数十億ドル規模・5年間の戦略的投資を行っています。
◆サステナビリティ・トランスフォーメーションの牽引
- 気候変動の悪影響を抑制するため、科学的根拠に基づいた目標(SBT)に沿って、2030年までに2019年を基準年としてすべてのスコープで温室効果ガス排出量を50%削減するネットゼロ目標を設定し、推進しています。
■3-2 戦略を実現する組織
KPMGのグローバル戦略を確実に実行するため、強固なグローバルガバナンス体制と連携モデルが構築されています。
◆グローバルガバナンス体制
- KPMGインターナショナルが、グローバルネットワーク全体の調整機関として機能しています。最高レベルのガバナンスを担う「Global Council(グローバルカウンシル)」、グローバル戦略の承認やブランド保護を担う「Global Board(グローバルボード)」、そして戦略の策定と各ファームへの実行支援を行う「Global Management Team(GMT)」が連携し、組織全体を牽引しています。
◆Multidisciplinary model(多分野連携モデル)
- 世界140以上の国と地域で、監査、税務・法務、アドバイザリーの専門家が連携するモデルを強力に推進しています。この総合力を活かし、生成AIの活用や気候変動・サステナビリティ対応といった複雑化する企業の経営課題に対し、シームレスかつ包括的なソリューションを提供できる体制をとっています。
◆高品質を支えるグローバル専門組織とプラットフォーム
- 生成AIを組み込んだ次世代監査プラットフォーム「KPMG Clara」や、税務・法務向けプラットフォーム「KPMG Digital Gateway」をグローバルで標準展開しています。
- また、標準化された手順やソリューションを提供するグローバルなデリバリーセンター網「KPMG Delivery Network(KDN)」や、イノベーション開発を担う「KPMG Global Solutions Group(KGSG)」を組織し、世界中で一貫した高品質なサービスを提供しています。
The single platform solution that gives you access to the full suite of KPMG Tax & Legal Technologies you use.
4.報酬・評価制度
KPMGでは、グローバル共通の行動規範に基づき、公正かつ透明性の高い報酬体系と評価システムを導入しています。
■4-1 報酬体系
◆グローバルの基本方針
- KPMGの全世界共通の行動規範(Global Code of Conduct)において、構成員に対して公正かつ公平な報酬へのアプローチ(just and fair approach to remuneration)を維持することが明確に定められています。
◆パフォーマンスと連動した報酬制度
- あずさ監査法人では、パフォーマンス評価プロセスとリンクし、市場データに基づいた明確で公正な報酬制度を導入しています。個人の報酬は、同等の被考課者グループにおける相対的評価を行ったうえで、個人のパフォーマンスおよび法人の業績の両方の結果に基づいて決定されます。
◆パートナー報酬と独立性の担保
- 監査の独立性を厳格に保つため、パートナーの報酬には「自身の監査関与先に対する非監査業務の提供(業務開発実績)」は反映されない仕組みとなっています。
◆パートナー報酬の決定プロセス
- パートナーの報酬は、業績評価および能力査定の結果を勘案してポイントを加減算する仕組みで決定されます。具体的には、各パートナーの役職、役割、スキル等に応じて設定されたバンド(ポイント幅)の範囲内で、最終的な加減算ポイントが決定されます。
Our Values are at the heart of our Global Code of Conduct.
■4-2 評価システム
KPMGの評価システムは、単なる短期的な業績の追求にとどまらず、企業理念の体現や倫理的な行動を高く評価する仕組みとなっています。
◆Our Valuesと連動した評価
- KPMGでは、「Our Values(5つのコアバリュー)」に紐づいた目標設定および実績評価を導入しています。パートナーや職員が個人や組織として目指すべき行動を明確にかつ一貫して示し、その行動を実践した構成員に報いる仕組みを整えています。
◆品質とコンプライアンスの重視
- パートナーおよび職員の総括的な評価や昇進の決定において、品質およびコンプライアンス指標を考慮しています。また、評価にあたり「倫理観・誠実性」を重要項目とすることで、職業的な懐疑心や適正な品質への意識が十分に発揮されるよう促しています。
◆感謝と賞賛の文化(KPMGコンサルティング)
- 日本法人のKPMGコンサルティングでは、評価・賞賛の仕組みとして「感謝とリスペクトの文化」の醸成に力を入れています。具体的には、日頃の感謝を送り合う「Thanks pointアプリ」の導入や、「Thanks 関連イベント」の開催、全社イベント等での表彰(コーポレートアワード)などを実施しています。
KPMGでは、全構成員がPurpose(存在意義)とValues(価値観)を共有し、より良い未来の実現に向けて行動しています。
5.人材・キャリア
KPMGは、プロフェッショナルファームにおける最大の資本は「人材」であると位置づけ、従業員価値提案(EVP)の重要な柱の1つに「Learn for a lifetime(生涯にわたる学習)」を掲げています。
■5-1 人材育成理念とキャリア形成
KPMGでは、グローバル全体で一人ひとりの成長と自律的なキャリア形成を支援する強固な枠組みを提供しています。
◆従業員価値提案(EVP)の5つの柱
- KPMGは構成員に対し、「Do work that matters(意義ある仕事をする)」「Come as you are(ありのままで参加する)」「Thrive with us(ともに成長する)」「Learn for a lifetime(生涯学ぶ)」「Make your mark(自らの足跡を残す)」という5つの柱を提示し、多様でインクルーシブな環境での自律的なキャリア形成を支援しています。
◆継続的な学習の文化
- 技術の急速な進歩に伴い、リスキリング(学び直し)やアップスキリングを人材戦略の重要な柱としています。各々のキャリアステージや個人の成長に合わせ、生涯にわたって専門スキルやビジネススキルを磨き続けることができる環境を整えています。
◆次世代リーダーのグローバル育成プログラム
- Chairman's 75:高いポテンシャルを持つパートナーを対象とし、グローバルな課題に対処できる次世代の経営リーダーを育成するプログラムです。
- One Young World:若手のチェンジメーカーが集い、社会課題の解決に向けて議論・行動するプログラムで、世界中のメンバーファームから選抜された代表者が参加しています。
- Next Generation Council:35歳以下の優秀な若手層から選抜され、現在の経営陣に対して「未来のファームのあり方」やESG戦略などについて直接提言を行う機関です。
- Leaders 2050:KPMGの内外を問わず、気候変動アクションなどを推進する未来のリーダーのためのグローバルかつ分野横断的なネットワークです。
A global network of young professionals focused on driving positive impact.
■5-2 テクノロジー・ESG領域の学習投資と研修体制
AIやデジタル技術の急速な進化、そしてサステナビリティに対する社会的要請の高まりを受け、KPMGは人材のリスキリング(学び直し)やアップスキリングに対して戦略的な投資を行っています。
◆AI・デジタルスキルへの大規模な投資
- テクノロジーやAIスキルの向上を重要課題と位置づけ、「Digital and Data Foundations」研修プログラムに対して15万時間以上を投資し、21万回以上のモジュール修了実績を誇ります。
- また、全世界の構成員を対象としたオンラインAIトレーニング「24 hours of AI」を開催し、5万7,000人以上が参加して、KPMGの最新AIツールや実践的なプロンプト作成の手法、責任あるAIの利用原則について学びました。
◆ESG・サステナビリティ専門人材の育成
- 気候変動やサステナビリティ情報の開示・保証に関するニーズの急増に応えるため、ESG関連の学習モジュールは年間20万回以上修了されています。国際的なサステナビリティ基準(ISSBやESRSなど)に焦点を当てたカリキュラムを新たに展開し、高品質なESG保証業務を提供できる専門家の育成に多額の投資を行っています。
◆日本法人における研修・学習環境(KPMGコンサルティングの例)
- 日本法人においても、高度な専門性と普遍的なビジネススキルを磨くための独自の研修インフラが整備されています。例えばKPMGコンサルティングでは、社員一人当たりの年間平均研修受講時間が「68時間」に上り、年間40単位の受講が義務付けられています。
- また、300以上のオンラインワークショップや10,000以上の外部提供プログラムにアクセスできる環境があり、パーソナライズされたコンテンツで自律的かつ効率的に学ぶことが可能です。
6.経営課題とリスク
KPMGは、社会の急速な変化や不確実性の高まりに伴い、自社およびクライアントが直面する多面的な課題とリスクを適切に管理・開示することを経営の重要アジェンダと位置づけています。
■6-1 気候変動・ESGリスク
気候変動や環境問題は、単なる社会課題にとどまらず、企業活動の存続に直接的な影響を与える重大なビジネスリスクとして認識されています。
- 気候リスクの開示とTCFDへの準拠:2024年に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言に準拠した初の「Climate Risk Report」を公表し、自社のバリューチェーン全体における気候関連のリスクと機会を評価・開示しています。
- 自社の脱炭素化(移行リスクへの対応):2030年までに2019年比で全スコープの温室効果ガス排出量を50%削減するという科学的根拠に基づいた目標(SBT)を設定し、脱炭素化に取り組んでいます。
- 自然・生物多様性リスクへの対応:自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)のサポーターとして、自社の事業が自然に与えるインパクトと依存関係の評価をグローバル規模で開始しています。
■6-2 テクノロジー・サイバーリスク
AI等の普及に伴うサイバー攻撃の高度化や情報漏洩などの新たな脅威に対し、自社の防衛体制を強化するとともに、クライアントの対応支援を行っています。
- サイバーセキュリティの徹底:24時間体制の監視センターの運用や、全構成員に対するデータ・プライバシー研修の義務付けなど、厳格な情報保護体制を敷いています。
- 責任あるAIの運用:生成AI等を安全かつ倫理的に利用するため、グローバル共通の「Trusted AI(責任あるAI)」フレームワークを導入し、AIの適切な活用をガイドしています。
■6-3 コンプライアンスと独立性の確保
KPMGは監査法人を母体としているため、社会からの高い信頼を維持する観点から、独立性の確保や利益相反の管理、コンプライアンスがグローバル基準で極めて厳格に運用されています。非監査業務の提供範囲の制限や、贈収賄の排除(ゼロ・トラレンス)など、プロフェッショナルファームとしての高い倫理観が組織全体に浸透しています。
7.日本法人の実態
KPMGのグローバルネットワークにおいて、日本市場を担うのが「KPMGジャパン」です。監査・税務・アドバイザリーの各分野で専門性を有するプロフェッショナルが結集し、業務収入2,484億円、約12,159名の人員を擁する巨大なプロフェッショナルファームを形成しています。
■7-1 日本法人の体制と役割
KPMGジャパンは、単一の法人ではなく、適用される規制や業務内容に応じた10のメンバーファーム(法人)によって構成されています。
◆主要な構成法人と役割
- 有限責任 あずさ監査法人:KPMGジャパンの中核を担い、監査・保証業務およびアドバイザリー業務を提供。
- KPMGコンサルティング株式会社:ビジネストランスフォーメーション、テクノロジー、リスクマネジメントなどの経営コンサルティングを提供。
- 株式会社 KPMG FAS:M&Aや事業再生などの財務アドバイザリー業務を提供。
- KPMG税理士法人 / KPMG社会保険労務士法人:それぞれ税務業務、社会保険関連業務を提供。
- その他の専門法人:KPMGあずさサステナビリティ(ESG保証・助言)、KPMGヘルスケアジャパン(医療・介護特化)、KPMG Ignition Tokyo(デジタルプラットフォーム開発)、KPMGアドバイザリーライトハウス(アドバイザリー研究開発)などの特化型法人を展開。
◆総合力を発揮する「One Firm」体制
- 気候変動、人権、生成AIの活用といった複雑化する経営課題に対し、これら10法人の専門家が組織の枠を超えてシームレスに連携する「Multi-Disciplinary Firm Model(MDM:多分野連携モデル)」を強力に推進しています。
- この「One Firm」の総合力により、戦略策定からシステム導入、監査・保証に至るまで、クライアントの持続可能な企業価値向上を一貫して支援しています。
◆ガバナンスと経営体制
- 日本法人の経営執行の中核として、主要メンバーファームの代表で構成される「KPMGジャパン経営会議(KJMC)」を設置しています。
- また、中核法人であるあずさ監査法人が、KPMGコンサルティングを含む子会社7社の取締役および監査役の過半数を占めるグループガバナンス体制を敷いています。これにより、ファーム間の利益相反を回避し、グループ全体でKPMGが目指す高い品質水準を維持・統制しています。
◆社会要請に応じた新組織の設立
- 2025年4月には、あずさ監査法人とKPMG FASの合弁会社として新たに「株式会社 KPMG Forensic & Risk Advisory」を設立しました。複雑化・多様化する不正・不祥事、サイバー攻撃、情報漏洩などの脅威に対し、AI等の最新テクノロジーを活用して企業の対応力向上をワンストップで支援する体制を強化しています。
■7-2 日本市場の注力領域
KPMGジャパンは、日本企業が直面する複雑な経営課題を解決し、持続的な企業価値の向上を実現するために、サステナビリティ(SX)、デジタル・AI(DX)、および高度なリスクマネジメントの領域に重点的に投資・注力しています。実際の求人動向からも、これらの戦略を具現化するための専門人材の採用が急務となっていることがうかがえます。
◆サステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)の推進
- KPMGジャパンは業界に先駆けて約20年前にサステナビリティ専門法人「KPMGあずさサステナビリティ」を設立しており、サステナビリティ情報の保証報告書発行において大手4監査法人中で55%のシェアを誇っています。
- コンサルティングの現場では、単なるGHG排出量の算定にとどまらず、ネットゼロ実現のための「脱炭素化を推進するためのガバナンス構築」や「脱炭素を起点とした新規ビジネス開発」までを一貫して支援しています。サステナビリティをコンプライアンス対応としてではなく、企業の成長戦略(SX)として強力に推進する人材が求められています。
◆「Trusted AI」に基づくDX支援と最新テクノロジーの導入
- AI技術が社会を変えるなか、「生成AIステアリングコミッティ」を設置し、AIを倫理的に活用する「Trusted AI」を展開しています。
- SAPなどのクラウドプラットフォーム導入といったデジタルトランスフォーメーション(DX)領域の強化を図るなか、システムの導入にとどまらず、「人と組織の意識・行動変革」まで踏み込んだ支援に注力しています。
- 大規模なシステム導入や業務改革を成功に導くため、人材のアセスメントからリーダーシップ開発、理念浸透や風土改革までを担う「Behavioral Change Management(行動変革マネジメント)」の専門人材が活躍しています。
◆高度なリスクマネジメント(経済安全保障・サイバー等)の推進
- 複雑化するサイバー攻撃等の脅威に対応するため、最新技術を活用したリスク対応力の向上支援をワンストップで提供しています。
- さらに、国際情勢が大きく不安定になるなかで、伝統的な財務やITリスクだけでなく、マクロな世界情勢リスクに対応する専門家の採用を強化しています。
- 事業戦略において経済安全保障関連規制や地政学リスクを加味したシナリオ分析、およびサプライチェーン戦略の立案・再構築を支援するなど、極めて現代的で高度なリスクマネジメント案件が増加しています。
◆社会課題解決型のビジネスイノベーション
- 従来の効率化や利益追求だけでなく、社会課題の解決を通じた新規事業の創出に注力しています。スマートシティ化による市民目線での都市のアップグレードの支援などに取り組む新組織「Business Innovationユニット」では、クライアントの黒子にとどまる従来型のコンサルティングモデル(人派遣)を超えた新たな価値提供を目指しています。
- KPMG自らが先陣を切って多様な企業や団体を巻き込む「Beyond Consulting」を掲げ、コンソーシアムの組成等を通じた新たなビジネスモデルの探索・創出を牽引するコンサルタントを求めています。
KPMGコンサルティングの公式採用サイトです。KPMGコンサルティングは、グローバル規模でのビジネストランスフォーメーションや、リスクマネジメントといったコンサルティングサービスを提供しています。
■7-3 日本法人の特徴
KPMGジャパン、とりわけ組織拡大を牽引するKPMGコンサルティングには、単なる利益追求にとどまらない独自の組織風土と、働きやすさを支えるカルチャーが根付いています。
◆戦略を支える「3本柱」と独自のビジョン
- KPMGコンサルティングは、売上や規模の追求だけを目的とするのではなく、「クライアントの健全な発展に貢献すると共に、ひとを大切にするNo.1ファーム」となることを掲げています。
- これを実現するため、「健全な企業成長」「社会共生・社会繁栄への貢献」「業界No.1 EVP(従業員価値提案)の実現」という3本柱を戦略に据えています。
◆利益と社会繁栄の両立を目指す「Business Biotoping」
- 効率や利益だけを追い求めるのではなく、社会の繁栄と人々の幸せも同時に実現する「Business Biotoping(ビジネス・ビオトープ)」という世界観を提唱しています。外部との交流によって多様性を高め、長期的な生存性を高めていくビジネスのあり方を目指しています。
◆専門知見を結集する「One Firm」カルチャー
- KPMGジャパン全体として、監査・税務・アドバイザリーの各プロフェッショナルが組織の壁を越えて連携する「One Firm」体制が深く浸透しています。
- グローバルの最新知見を活かしながらも、意思決定と実行においては日本の法制度や経済・文化に配慮し、クライアントの複雑な経営課題をシームレスに支援しています。
◆オーナーシップを重んじる成長環境
- 年齢や入社年次にかかわらず、早くから仕事に対するオーナーシップを持てる環境が特徴です。業界未経験者であっても、ビジネスを俯瞰的に捉え、クライアントや上司に対してプロアクティブに意見や提案を行うことが求められます。
- 部分最適ではなく全体最適を考える「経営者視点」で課題解決にあたることで、高い成長を実感できるカルチャーが醸成されています。
◆業界トップクラスの柔軟な働き方とウェルビーイング
- 構成員一人ひとりが長期的に働き続けられるよう、フレキシブルワークプログラム(短時間勤務制度)やフレックスタイム制度、業務中の柔軟な中抜けを認める「Away from Keyboard制度」、自己研鑽のための「サバティカル休暇」など多彩な制度を導入しています。
- ダイバーシティの推進にも注力しており、KPMGコンサルティング等は女性活躍推進の最高位である「えるぼし認定」の3つ星を取得しているほか、男性育児休業取得率も92.5%(KPMGコンサルティング等4社)に達するなど、ライフイベントと仕事を両立できる環境が整っています。
- 求人票にも明記されている通り、保活コンシェルジュやベビーシッター補助など、子育て世代を手厚くサポートする実用的な制度が完備されています。
◆活発な社内コミュニケーションと「感謝」の文化
- 日頃の感謝を送り合う「Thanks pointアプリ」の導入や全社イベントでの表彰等を通じて、感謝とリスペクトの文化醸成に努めています。
- また、「English Café」といった異文化交流コミュニティのほか、「宇宙倶楽部」などの文化系からスポーツまで多種多様なクラブ活動が存在し、部署や役職を超えた縦・横・斜めのつながりが生まれやすい環境です。
8.採用プロセスと選考対策
KPMGは、持続的な企業価値の向上や複雑化する社会課題の解決に向けて、多様な専門性を持つプロフェッショナルを積極的に採用しています。本章では、KPMGジャパン(特にKPMGコンサルティングや中核法人であるあずさ監査法人)への入社を目指す候補者に向けた採用プロセスの実態や、選考において重視されるポイントについて解説します。
■8-1 採用プロセスと具体的な求人動向
KPMGジャパン各社では、候補者の状況に合わせた柔軟なエントリー窓口と、職務要件に基づいた厳格かつ公正な選考プロセスを設けています。
◆エントリー方法の多様化と「Talent Community」
- 通常の求人への直接応募のほか、KPMG在籍社員からの紹介を通じた「リファラル採用」を実施しています。また、すべての求人票において「応募に迷う方はTalent Community登録を」と呼びかけており、すぐの転職を考えていなくても、まずは情報収集から始めたい候補者との継続的な接点づくりを重視しています。
◆選考フロー(あずさ監査法人等の例)
- 一般的な選考プロセスとして、まず応募要件および書類審査が行われます。その後、能力やスキルに関する複数名の面接(インタビュー)が実施され、必要に応じて心理的特性・能力検査が行われます。これにより、候補者が業務を遂行するためのスキル・経験と、各役職に適した資質を有しているかを公正に評価しています。
◆現在募集中の具体的なポジション例(KPMGコンサルティング)
コンサルタント職からプロジェクトを牽引するマネジャークラスまで、現代の複雑な経営課題に直結する専門ポジションが通年で幅広く募集されています。実際の求人動向を見ると、単なるIT導入にとどまらない高度な専門性が求められていることがわかります。
- Climate Change & Decarbonization(気候変動・脱炭素):単なるGHG排出量の算定にとどまらず、ネットゼロ戦略の立案から「脱炭素を起点とした新規ビジネス開発」まで、企業のサステナビリティ・トランスフォーメーションを牽引します。
- Social Value Creation(スマートシティ):クライアントの黒子に徹する従来型のコンサルティングを超え、KPMG自らが先陣を切って企業や自治体を巻き込む「Beyond Consulting」を掲げ、都市のアップグレードを推進します。
- People & Change(組織人事のチェンジマネジメント):大規模なシステム導入や業務改革に伴う最大の障壁となる「人と組織の意識・行動変革(Behavioral Change Management)」や、理念浸透・風土改革を専門的に支援します。
- 経済安全保障・地政学リスクコンサルタント:国際情勢が大きく変動するなか、経済安全保障関連規制や地政学リスクを加味したシナリオ分析、およびサプライチェーン戦略の再構築など、マクロなリスク管理体制の構築を支援します。
◆魅力的な給与水準と充実した福利厚生
- 公開されているKPMGコンサルティングの求人情報によると、ベースとなる給与水準は、コンサルタント等のマネジャー未満のポジションで年収595万円〜(50時間相当分の固定残業手当を含む)、プロジェクトを牽引するマネジャー以上のクラスで年収1,040万円〜と高く設定されています。いずれの職階においても、このベース給与に加えて賞与が別途支給されます。
- さらにすべてのポジションで、「ベビーシッター育児支援補助」「病児保育サポート制度」「保活コンシェルジュサービス」といった手厚いワークライフバランス支援制度が明記されており、子育て世代などの多様なプロフェッショナルが長期的に活躍できる環境が整っています。
■8-2 選考における評価基準と求める人物像
KPMGコンサルティングでは、選考において候補者がKPMGのカルチャーやマインドセットに合致しているかを非常に重視しています。実際の求人情報からも、単なる専門知識の有無以上に、以下のようなプロフェッショナルとしてのスタンスが厳しく評価されることが分かります。
◆Ownership(当事者意識)と実行力
- プロフェッショナルとして高い自律心と当事者意識を持つことが大前提となります。求人票には「単なる会議のファシリテートにとどまらず、プロジェクトやクライアントにインパクトを与える行動ができること」や、「社会的意義に対しビジネス性をもって向き合い、実行力を発揮できること」と明記されています。目の前の業務をこなすだけでなく、経営者視点で課題解決にあたり、他のメンバーをモチベートしながらプロジェクトを牽引する力が評価されます。
◆論理的思考と「共感力」を伴うコミュニケーション(Respect & Collaboration)
- KPMGは多様な人材からなる集団であるため、単にロジックを振りかざすのではなく、「論理的思考と共感力をもって適切に物事を捉えることができる方」が歓迎されます。部門や立場の違いを超えて関係者を巻き込み、チームとして助け合いながら最高の価値を提供する協調性が重視されます。
◆プロフェッショナルとしての成長意欲と学習姿勢
- 社会課題やテクノロジーが急速に変化するなか、「新しいことにも挑戦する意欲、積極的に学習する姿勢」や「継続的な学習意欲と成長志向」が全ポジション共通で求められています。自らビジネスを俯瞰的に捉え、クライアントの具体的な企業課題の解決に向けて、自らの信念とチャレンジ精神をもって社内外に影響力を発揮していく候補者が期待されています。
■8-3 選考対策
KPMGコンサルティングの選考を突破するためには、ファームが掲げるビジョン(Business Biotopingなど)や求める人物像を深く理解し、自身の経験と結びつけてアピールすることが重要です。実際の求人要件や選考プロセスを踏まえると、以下のステップが有効な対策となります。
◆「論理的思考」に加え、「共感力」と「実行力」をアピールする準備
- 選考では、これまでの経験から得た論理的思考力や課題解決力はもちろんのこと、それをクライアントやチームに伝え、巻き込んでいく「共感力」が厳しく見られます。
- 実際の求人票にも、「クライアントに説明、共感を得て、実行に移すことができる」という要件が必須スキルとして頻出しています。単にロジックを押し通すのではなく、相手を尊重し(Respect)、協働して(Collaboration)泥臭く成果を出したエピソードを語れるように準備しておくことが不可欠です。
◆「未経験からの挑戦」を裏付けるプロアクティブなマインドセット
- KPMGコンサルティングは、異業種や事業会社からの転職者も積極的に歓迎しています。しかし、業界未経験であっても、ビジネスを俯瞰的に捉え、自ら積極的に意見や提案を行う「プロアクティブな姿勢」が求められます。
- 前職での経験を、自分の目の前にある業務(部分最適)にとどめず、「全体最適を考える経営者視点」での課題解決にどう活かせるか、あらかじめ自分なりの言葉で整理しておくことが重要です。
◆「Talent Community」への登録を通じた継続的な情報収集
- 公開されているすべての求人票の冒頭において、「応募に迷う方はTalent Community登録を」と明記されており、KPMGが候補者との中長期的な関係構築を非常に重視していることがわかります。
- 本格的な選考に進む前に、まずはこの仕組みを活用してKPMGとの接点を持ち、企業理解を深めながら、自分のキャリア志向に合うポジションを探っていくアプローチが強く推奨されます。
◆採用ブログや社員インタビューの読み込みとイベント参加
- 採用サイトでは、「採用ブログ」や各部門の「社員インタビュー」が豊富に公開されています。各部署の最新事例から、女性社員のキャリア形成、リアルな日常に至るまで幅広いコンテンツが掲載されているため、これらを徹底的に読み込み、ファームのカルチャーの解像度を上げておくことが有効です。
- また、定期的に開催されるキャリア採用セミナー等に参加して現役コンサルタントの生の声を聞くことで、入社後のミスマッチを防ぎ、志望動機をより説得力のあるものに磨き上げることができます。



外資系IT企業、コンサルティングファーム、システムインテグレーターの各業界の現場の最前線で活躍してきたヘッドハンター集団。サーチ型エージェントとして活動しています。
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