※本記事は、NSグループ株式会社 の有価証券報告書(2025年12月期、2025年1月1日 ~ 2025年12月31日、2026年3月23日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は IFRS です。
1. 企業概要:どんな会社?
NSグループは持株会社であり、単体従業員数は65名、グループ連結従業員数は788名です。
同社グループは、連結子会社1社を中心に家賃債務保証事業を展開しています。入居者の連帯保証人となり家賃等の保証を行う家賃債務保証サービスと、それに付随する集金代行サービスを提供しています。
主な国内グループ会社は、日本セーフティー(家賃債務保証事業)などです。
NSグループは2023年5月より持株会社として経営機能を本格的に開始しました。また、2022年1月にはグループ内で吸収合併と商号変更が行われ、2025年12月には東京証券取引所プライム市場に上場しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
NSグループは持株会社としてグループ全体の人材マネジメントを統括しています。従業員が安心して働ける環境を整備し、多様な人材の育成に力を入れている点が特徴です。安定した事業基盤のもと、長期的なキャリア形成を支援する方針がうかがえます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
平均勤続年数と平均年齢から、比較的若手が多く、活気のある組織であることがうかがえます。長期的な視点でのキャリア形成を支援する制度も整備されており、従業員の定着を促す取り組みも進められています。なお、同社は持株会社であり、傘下の関係会社は以下のデータと同水準とは限りません。各社の求人情報や口コミサイト等を別途参照してください。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,171,376円 |
| 平均勤続年数 | 5.4年 |
| 平均年齢 | 35.2歳 |
| 単体従業員数 | 65人 |
| 連結従業員数 | 788人 |
| 単体のグループ内比率 | 8.2% |
NSグループは、給与や勤続年数に応じて給付額が決まる確定給付型と、会社が拠出した資金を従業員が運用する確定拠出型の退職給付制度を設けています。これらの制度は国内グループ会社に適用されます。なお、退職一時金の有無や支給条件、従業員ごとの会社拠出額などは、有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
NSグループは、持続的な企業価値向上のため、優秀で多様な人材の採用と育成を不可欠な要素と位置付けています。性別、国籍、キャリアにとらわれず多様性のある人材を採用し、従業員満足度を高めることで、個々のパフォーマンス向上を目指しています。
人材育成においては、従業員の成長と長期的なキャリア形成を支援するため、各種研修やe-ラーニングを通じた学習機会を提供しています。社内環境整備としては、育児・介護休業制度、短時間勤務、定年後再雇用制度といった柔軟な働き方を支援する制度を設けています。
また、社宅の提供、地域手当や帰省手当、慶弔見舞金、退職金制度など、従業員が安心して働き続けられる環境づくりにも取り組んでいます。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社は、女性活躍推進法および育児介護休業法の規定による公表義務の対象ではないため、法定開示データは開示されていません。
連結子会社の法定開示
主要事業会社3社の数値のみ掲載します。
▼ 日本セーフティー㈱
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 5.4% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 56.3% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 66.1% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用) | 67.1% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 151.2% |
ダイバーシティの推進
2029年までの目標値を示しています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 30.0% |
| 障碍者雇用数 | 25名 |
| 男性育休取得率 | 30.0% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
NSグループは持株会社としてグループ全体の経営管理を担い、連結子会社を通じて家賃債務保証事業を展開しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、連結子会社である日本セーフティーにおいて、家賃債務保証事業を単一セグメントとして展開しています。この事業では、日本セーフティーが入居者の連帯保証人となり、家賃などの保証を提供しています。入居者が賃借料を支払えなかった場合には、日本セーフティーが代位弁済を行い、後日入居者から回収する仕組みです。
このサービスにより、賃貸人には賃貸料収入が保証され、入居者は部屋を借りやすくなります。同社グループは、入居者から保証委託料として、契約時の新規保証料と、その後1年または1か月ごとの更新保証料を受領しています。家賃債務保証サービスの保証委託契約は、不動産会社が仲介しています。
新規契約件数の増加や家賃単価の上昇により新規保証料が増加し、前連結会計年度の新規保証料の成長がストック型収益である更新保証料の増加につながっています。また、家賃債務保証サービスに付随する家賃の集金代行手数料を含むその他売上高も収益源となっています。同社グループはDX推進としてAI技術を活用した高精度な予測モデルを内製し、審査精度の向上と効率化を図っています。
同社グループは本邦以外に外部顧客への営業収益がなく、地域別の営業収益の記載を省略しています。また、売上収益が連結営業収益の10%以上となる単一の外部顧客は存在しません。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの業績は、過去3期にわたり営業収益、税引前利益、親会社の所有者に帰属する当期利益のいずれも増加傾向を示しています。特に営業収益は直近の当期において、前期から二桁の成長を達成しました。税引前利益率は前期に大きく伸びた後、当期はやや低下しています。
| 項目 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 営業収益 | - | - | 239億円 | 263億円 | 298億円 |
| 税引前利益 | - | - | 67.8億円 | 87.9億円 | 93.7億円 |
| 税引前利益率 | - | - | 28.3% | 33.4% | 31.4% |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 | - | - | 51.1億円 | 56.8億円 | 63.2億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | - | - | 97.90 | 108.92 | 121.27 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり営業収益は、前期から当期にかけてわずかに増加しています。一方、従業員1人あたり営業利益は、前期から当期にかけてわずかに減少しました。これらの指標は、同社グループの収益体質や組織効率の傾向を示しています。
| 指標 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり営業収益(連結) | 37.6百万円 | 37.9百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 12.6百万円 | 12.5百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
NSグループは、本業で安定的に資金を生み出し、事業成長のための投資も行いつつ、手元資金を厚くしている状況です。財務基盤は堅固であり、事業活動に必要な資金を確保していることがうかがえます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの自己資本比率はプライム市場の非製造業平均と比較して高い水準にあります。また、ROE(自己資本利益率)もプライム市場平均を大きく上回る水準を示しています。
手元資金である現金及び現金同等物は増加傾向にあり、潤沢な資金を保有していることがうかがえます。これらの財務指標は、同社グループが安定した経営基盤を築いていることを示しています。
| 指標 | 2024年12月期(前期) | 2025年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 自己資本 | 285億円 | 289億円 |
| 自己資本比率 | 38.5% | 37.9% |
| ROE(自己資本利益率) | 22.1% | 22.0% |
| 現金及び現金同等物 | 154億円 | 160億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループの営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前利益の計上や減価償却費及び償却費の増加などにより、前連結会計年度から大きく増加しました。これは本業で安定的に資金を生み出している状況を示しています。
投資活動によるキャッシュ・フローは、無形資産や有形固定資産の取得による支出などにより、資金を使用する状況となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払いや長期借入金の返済による支出などにより、資金を使用しています。
営業活動で得た資金が投資活動による支出を上回るフリーキャッシュ・フローは、前連結会計年度から増加し、プラスを維持しています。本業で安定した資金を創出し、事業成長のための投資も行いつつ、資金的な余力がある状態が継続していることがうかがえ、今後の事業展開や雇用環境の安定性につながる可能性があります。
| 項目 | 2024年12月期(前期) | 2025年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 42.7億円 | 82.8億円 |
| 投資CF | 1百万円 | △4.7億円 |
| 財務CF | △10.9億円 | △71.9億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 42.8億円 | 78.1億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、日本の賃貸不動産市場の動向に影響を受ける事業構造です。人口動態の変化等により市場が低迷した場合、財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。
また、家賃債務保証事業は参入障壁が低いとされており、競争が激化するリスクがあります。特に小規模な賃貸不動産会社を対象とする市場セグメントでは、販売手数料や審査プロセスの簡便性を中心に競争が行われています。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループの事業運営と成長は、専門知識や能力、経営経験を持つ優秀な経営幹部役職員やその他の職員に依存しています。優秀な人材の流出や採用計画の未達、人材育成の遅れは、財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
NSグループは、家賃債務保証サービスを通じて社会に信頼と安心を提供し、人々の新生活をより豊かにすることを目指しています。持続的な成長と企業価値向上を追求し、社会から信頼される企業であり続けることを重視しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
NSグループは、信頼と安心を提供する家賃債務保証の会社として成長してきました。同社グループは、賃貸借契約のインフラとしての家賃債務保証サービスの社会的意義が高まる中で、次の成長段階を目指しています。
MISSIONとして「つくるぞ、新・新生活」を掲げ、VISIONでは「新生活を、もっと新しく、もっと便利に、そしてワクワクを」と定めています。これらの実現に向け、組織体制の強化と新サービスの拡充に取り組んでいます。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
NSグループは、全ての役員、従業員がコンプライアンスを遵守することを経営上の最重要事項と位置付けています。法令や社内規程だけでなく社会規範に至るまで全てのルールを遵守し、健全で信頼できる賃貸住宅市場の成長に貢献することを目指しています。
「入居者が住まいを確保して安心した生活が送れるようサポートすること」を事業の主たる目的とし、むやみに厳しい審査は行わない方針です。また、「企業行動規範」では、社会にとって有用なサービス提供を通じた豊かな社会の実現や、地球環境の保護への積極的な取り組みを掲げています。
同社グループは、性別、国籍、キャリア等にこだわらず多様性のある人材を採用し、従業員一人ひとりがやりがいを持って働ける環境作りを推進しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
NSグループは、優先的に対処すべき課題として、審査体制及び債権管理体制の強化を挙げています。与信精度の向上やAIを活用した審査予測モデルの活用、独自の「滞納解決スキーム」の採用に取り組んでいます。
また、DX(digital transformation)推進による事業の強化も重点テーマです。IT技術を活用した業務効率化、取扱店との連携強化、AIを活用した審査強化、回収プロセスの効率化を進めています。
さらに、コーポレート・ガバナンスの強化と人材の増強・育成強化も重要な課題です。有効な内部監査や研修の実施を通じて法令遵守を徹底し、優秀な人材の採用と社内教育研修の拡充に努めています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
NSグループは、監査等委員会設置会社として、社外取締役による監督機能を強化したガバナンス体制を構築しています。これにより、経営の透明性と公正性を高めることを目指しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
NSグループの株主構成を見ると、筆頭株主は事業会社であるBVアセットです。その他、機関投資家や個人株主が上位に名を連ねています。特定の株主が大きな割合を占めており、経営に対して強い影響力を持つ資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| BVアセット | 45.00% |
| BCPE SAY CAYMAN, L.P. | 5.22% |
| 大谷 彰宏 | 4.00% |
| BCPE SAY CAYMAN2, L.P. | 1.43% |
| 三菱UFJモルガン・スタンレー証券 | 1.32% |
なお、BCPE SAY CAYMAN, L.P.が18,141,000株、BCPE SAY CAYMAN2, L.P.が4,988,900株をそれぞれ株式売出しの方法により売却しています。
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は7名(男性6名・女性1名)で構成され、女性役員比率は14.3%です。代表取締役社長は大塚孝之氏が務めています。社外取締役比率は57.1%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 大塚 孝之 | 代表取締役社長 | 1987年4月株式会社リクルート入社。2004年7月GEコンシューマー・ファイナンス株式会社入社。2017年4月パナソニックヘルスケア株式会社入社。2023年4月ウィーメックス株式会社代表取締役社長。2025年10月同社代表取締役社長より現職。 |
| 鳳山 一洋 | 専務取締役 | 1999年9月日本セーフティー株式会社入社。2007年1月同社常務取締役。2016年2月同社専務取締役。2025年10月同社専務取締役より現職。 |
| 清水 信 | 取締役相談役 | 1999年11月有限会社協信取締役。2009年9月日本セーフティー株式会社取締役。2010年2月同社代表取締役。2025年10月同社取締役相談役より現職。 |
社外取締役は、茂野祥子氏(弁護士法人御堂筋法律事務所パートナー・指名・報酬委員)、松澤元雄氏(モリト社外取締役・監査等委員会委員長・指名・報酬委員会委員長)、吉川友貞氏(プライムロード代表取締役社長・監査等委員・指名・報酬委員)、松尾信吉氏(ネクストリープ代表取締役・監査等委員・指名・報酬委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、監査等委員である取締役全員を社外取締役とすることで、経営の監査・監督機能の強化を図っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
NSグループの役員報酬は、固定報酬と業績連動報酬で構成されています。業績連動報酬には自社株連動型報酬(ファントム・ストック)も導入されており、中長期的な企業価値向上へのインセンティブを高める設計となっています。社外取締役の報酬は固定報酬のみです。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 3名 | 2.5億円 | 83.0百万円 |
| 社外役員 | 4名 | 28百万円 | 7.0百万円 |
個人別報酬が開示されている役員は、大塚孝之氏(1.78億円)です。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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