※本記事は、株式会社ムービン・ストラテジック・キャリア の有価証券報告書(2025年12月期、2025年1月1日 ~ 2025年12月31日、2026年3月24日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
ムービン・ストラテジック・キャリアは、ハイエンド人材領域に特化した人材紹介事業を展開しています。特に経営コンサルタントの採用支援に強みを持ち、約25年にわたる実績を通じて幅広いコンサルティングファームの採用を支援しています。
単体従業員数は90名、連結従業員数は124名です。セグメントは人材紹介事業の1つです。
主な国内グループ会社は、エージェント1(人材紹介事業)などです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
株式会社ムービン・ストラテジック・キャリアは、人材紹介事業を専門とする企業です。同社は、個人のキャリア形成支援を通じて社会課題の解決を目指しており、その事業特性から、専門性と成果を重視する働き方が特徴的であると考えられます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、平均勤続年数や平均年齢から、比較的若手の人材が活躍し、キャリアを築いている傾向が見られます。人材紹介という専門性の高い分野において、経験を積みながら成長していく環境があると言えるでしょう。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 9,899,000円 |
| 平均勤続年数 | 2.1年 |
| 平均年齢 | 32.9歳 |
| 単体従業員数 | 90人 |
| 連結従業員数 | 124人 |
| 単体のグループ内比率 | 72.6% |
退職給付制度に関する記載はありません。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、事業を通じて働く一人ひとりに柔軟な働き方や自律的なキャリア形成、活躍の場の広がりを提供することで、社会課題の解決に取り組んでいます。人材の多様性の確保を含む人材育成方針と社内環境整備方針を定めています。
具体的には、働きやすい環境づくりへの取り組みや、外部講師を招いた研修の実施などによる人材育成に注力しています。また、業務を通じたキャリア形成を促進するため、適性と能力に応じて多様な人材が活躍できるよう人事評価制度を導入し、社内環境整備に努めています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
当社及び連結子会社は、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律及び育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の規定による公表義務の対象ではないため、法定開示データは開示されていません。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
ムービン・ストラテジック・キャリアは、人材紹介事業を単一セグメントとして展開しており、ハイエンド人材領域に特化したサービスを提供しています。同社グループのビジネスモデルは、コンサルティング業界をはじめとするプロフェッショナルファームへの人材紹介を通じて収益を上げています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、コンサルティングファームを中心に、プロフェッショナルファームへの人材紹介サービスを提供しています。特に経営コンサルタントの採用支援に強みを持っており、約25年にわたる豊富な実績を誇ります。日系・外資系、大手・新興系を問わず幅広いコンサルティングファームの採用を支援しています。
収益モデルは成功報酬型であり、紹介した候補者が企業に入社した時点で、求人企業から紹介手数料を請求する仕組みです。同社グループは自社ホームページや書籍を通じてコンサルティング業界の情報を発信し、コンサルティング業界に関心を持つ多数の求職者を効率的に集客しています。これにより、広告宣伝費用を抑えつつ高い収益性を実現しています。
約11.1万人のハイエンド人材データベースを保有しており、CRMツールを活用して登録者との中長期的な関係を構築しています。キャリアアドバイザーが継続的なフォローアップや情報提供を行うことで、数年ごとにサービスを利用するリピーターの獲得にもつながっています。また、コンサルティングファーム以外にも投資ファンド、金融機関、外資系・日系大手事業会社、スタートアップなど、幅広いクライアントとの取引を有しています。
同社グループは生成系AIをはじめとする最先端テクノロジーを業務に活用し、履歴書・職務経歴書の添削システムや面接対策システムを開発・活用しています。DX推進としてCRMツールを活用した営業マネジメントシステムの刷新も図り、効率的な業務遂行体制を整えています。同社グループの事業は国内に限定されており、海外での売上高はありません。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの業績は、直近3期間において売上高、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益のいずれも増加傾向を示しています。特に当期は、売上高が前期から大きく伸び、それに伴い各利益も大幅な成長を達成しました。この成長は、キャリアアドバイザーの採用強化や育成、自社メディアの集客力強化、顧客ポートフォリオの機動的な入れ替えなどが寄与しています。
| 項目 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | - | - | 23.2億円 | 23.9億円 | 38.0億円 |
| 経常利益 | - | - | 5.1億円 | 8.6億円 | 17.6億円 |
| 経常利益率 | - | - | 22.0% | 36.2% | 46.2% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | - | - | 3.4億円 | 5.8億円 | 11.5億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | - | - | 41.72 | 71.52 | 142.11 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの売上高および営業利益は、前期から当期にかけて増加しています。これは、従業員一人ひとりの生産性が向上している傾向を示しており、組織全体の効率化が進んでいることがうかがえます。従業員が効率的に収益を生み出していることは、安定した事業運営と将来的な成長基盤の強さにつながると考えられます。
| 指標 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 28.1百万円 | 30.6百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 10.1百万円 | 14.2百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
ムービン・ストラテジック・キャリアの経営の安定性を、財務基盤と資金の流れから分析します。同社グループは本業で安定した資金を生み出し、将来に向けた投資も行っています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
ムービン・ストラテジック・キャリアの財務基盤は、自己資本比率とROE(自己資本利益率)から見て堅固な状態を示しています。自己資本比率はプライム市場の平均と比較して高い水準にあり、財務の安定性がうかがえます。ROEも高い水準で推移しており、効率的な経営が行われていることを示しています。手元資金である現金及び預金も潤沢であり、事業運営における安定性が期待できます。
| 指標 | 2024年12月期(前期) | 2025年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 18.8億円 | 37.3億円 |
| 自己資本比率 | 76.0% | 76.9% |
| ROE(自己資本利益率) | 36.2% | 41.2% |
| 現金及び預金 | 18.6億円 | 41.7億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
ムービン・ストラテジック・キャリアのキャッシュフローを見ると、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローは増加しており、税金等調整前当期純利益の計上や未払費用の増加が主な要因となっています。投資活動によるキャッシュフローは、差入保証金の差入や投資有価証券の取得による支出が増加し、将来に向けた投資を積極的に行っている状況を示しています。財務活動によるキャッシュフローは、新株の発行による収入があり、資金調達を行っています。結果として、事業活動で得た資金が投資活動の支出を上回るフリーキャッシュフローは増加しており、事業の成長と安定した資金創出能力がうかがえます。これは、入社後の雇用や給与の安定性、そして会社の持続的な成長に繋がる傾向を示しています。
| 項目 | 2024年12月期(前期) | 2025年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 6.8億円 | 17.8億円 |
| 投資CF | △0.1億円 | △1.4億円 |
| 財務CF | △0.1億円 | 6.8億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 6.7億円 | 16.4億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、コンサルティング業界向け人材紹介サービスを展開する企業が増加しており、競争激化が経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、特定のコンサルティングファームとの取引が多く、取引先の予期せぬ方針変更や業績不振が経営に影響を与えるリスクも認識しています。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、事業拡大のために優秀な人材の確保と育成が重要な課題であると認識しています。求める人材を適切な時期に確保・育成できない場合や、既存人材の社外流出等があった場合には、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
ムービン・ストラテジック・キャリアは、「リーダーが育つプラットフォームの創造」をビジョンに掲げ、日本社会の発展に貢献することを目指しています。真のリーダーを育成し、社会の課題解決と新しい価値創出を推進する企業文化を築いています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
ムービン・ストラテジック・キャリアは、「リーダーが育つプラットフォームの創造」をビジョンとして掲げています。真のリーダーが育つプラットフォームを創造することで、日本社会の発展に貢献することを目指しています。
同社グループは、グローバル競争の激化やテクノロジーの進展といった環境変化の中で、社会の課題解決と新しい価値やイノベーションの創出が求められていると考えています。この状況において、真のリーダーこそが新しい価値を生み出す鍵であると信じています。リーダーを目指すハイエンド人材に対し、人材紹介サービスを通じてコンサルティング業界をはじめとするプロフェッショナルファームでの成長機会獲得を支援し、企業、産業、社会の課題解決とイノベーション創出に貢献することを経営の基本方針としています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
ムービン・ストラテジック・キャリアは、変化が激しく不確実性の高い社会において、創造性を発揮して付加価値を生み出す原動力は「人」、特に変革を推進する「リーダー」としての資質と志を持つハイエンド人材であると考えています。この考えに基づき、真のリーダーを育成し、社会の課題解決と新しい価値やイノベーションの創出に貢献することを重視しています。
同社グループは、プロフェッショナル人材がキャリアのあらゆる局面で頼れる「生涯キャリアハブ」(一生涯にわたりキャリアアップやキャリアチェンジの起点となれるサービス提供体制)への発展を目指しています。事業を通じて、働く一人ひとりに柔軟な働き方や自律的なキャリア形成、活躍の場の広がりを提供することで、社会課題の解決に取り組む企業風土があります。従業員が能力を存分に発揮できるよう、働きやすい環境づくりを推進し、人的資本の価値最大化に努めています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
ムービン・ストラテジック・キャリアは、持続的な成長のために人的資本投資を重要な経営課題と位置づけています。事業を牽引する人材の確保と育成を推進し、生産性を高めるとともに、将来の経営を担う中核人材の育成を進めています。また、従業員が能力を存分に発揮できるよう、働きやすい環境づくりを推進し、人的資本の価値最大化に努めています。
自社メディアの集客力強化も重点テーマの一つです。従来のSEO対策に加え、動画コンテンツ配信、SNS、転職系YouTuberとの連携など多様なチャネルを通じた人材獲得施策を実施し、コーポレートブランディングや広報活動を通じて認知度向上に取り組んでいます。
さらに、自社データベースの更なる活用も進めています。顧客データベースマーケティングチームを立ち上げ、人員を拡充することで、フォロー対象人数を拡大し、潜在的な転職ニーズへの早期対応を図っています。持続的な成長と中長期的な企業価値向上を実現するため、内部管理体制の強化とコーポレート・ガバナンスの充実も進めています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
ムービン・ストラテジック・キャリアは、取締役会と監査役会を設置し、業務執行の監督と適法性監査の二重チェック機能を持つ体制を採用しています。取締役会は社外取締役を含み、監査役は全員が社外監査役で構成されています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
ムービン・ストラテジック・キャリアの株主構成を見ると、筆頭株主は代表取締役社長である神川貴実彦氏の資産管理会社であるリオディオスです。代表取締役社長の神川貴実彦氏個人も上位株主であり、創業家およびその関連会社が上位を占める資本構成となっています。これにより、特定の株主グループが同社の経営に強い影響力を持つ体制であることがうかがえます。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| リオディオス | 29.02% |
| 神川 貴実彦 | 20.14% |
| 神川 宏子 | 8.29% |
なお、前事業年度において主要株主であった神川宏子氏は、当事業年度末では主要株主ではなくなりました。
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は6名(男性6名・女性0名)で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は神川貴実彦氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 神川 貴実彦 | 代表取締役社長 | 1995年1月株式会社ボストン・コンサルティング・グループ入社。1997年11月株式会社ムービン(現:株式会社リオディオス)設立、代表取締役就任。2000年12月同社設立、代表取締役社長就任より現職。 |
| 西田 和雅 | 取締役 | 2008年4月株式会社日本政策投資銀行入行。2010年6月同社入社。2019年3月同社取締役就任より現職。 |
社外取締役は、椎名茂氏(マーヴェリック代表取締役・慶應義塾大学訪問教授)、杉本哲也氏(杉本公認会計士事務所開所)、森山雅勝氏(トランス・コスモス専務執行役員)、三河宏彰氏(パラベラム・パートナーズ代表取締役社長)です。
同社は監査役会設置会社であり、業務執行に対する取締役会による監督と監査役会による適法性監査の二重チェック機能を持つ体制を採用しています。社外取締役1名と社外監査役3名が独立役員として届け出られており、独立した立場から経営の監督・監査を担っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
ムービン・ストラテジック・キャリアの役員報酬は、業務執行取締役に対しては固定報酬と業績連動報酬で構成されています。固定報酬は役位と職務、従業員の給与水準を考慮して決定され、業績連動報酬は前事業年度の営業利益額の達成度合いに応じて総枠が設定され、各取締役の業績貢献度により配分されます。社外取締役には固定報酬のみが支給される体系です。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 2名 | 41百万円 | 20.5百万円 |
| 社外役員 | 4名 | 8百万円 | 1.9百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。