AlbaLink 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

AlbaLink 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

AlbaLinkは東京証券取引所グロース市場に上場し、「2100年、空き家ゼロ」をミッションに全国で空き家マッチング事業を展開しています。自社WEBメディアで集客し、訳あり物件の買取再販を行っています。直近の業績は販売件数の増加により大幅な増収増益を達成し、事業規模を順調に拡大しています。


※本記事は、株式会社AlbaLinkの有価証券報告書(第15期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月27日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準はJapan GAAPです。

1. AlbaLinkってどんな会社?


同社は「2100年、空き家ゼロ」を目指し、全国規模で空き家の買取再販を行う空き家マッチング事業を展開しています。

(1) 会社概要


2011年にルームセレクトとして設立され、2019年に現代表の河田憲二氏らが全株式を譲り受けて現社名に変更し、不動産買取再販業へと転換しました。その後、積極的な新規出店により全国へ支店網を拡大し、2023年にTOKYO PRO Marketへ上場、2025年12月に東京証券取引所グロース市場への上場を果たしました。

現在の従業員数は単体で184名です。筆頭株主は創業経営者である代表取締役の河田憲二氏で、第2位も創業に関わった元共同代表の内木場隼氏、第3位はネット証券会社のSBI証券となっています。

氏名 持株比率
河田 憲二 53.83%
内木場 隼 17.34%
SBI証券 3.46%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役は河田憲二氏が務めています。社外取締役比率は62.5%です。

氏名 役職 主な経歴
河田 憲二 代表取締役 2008年個人事業主としてインターネット広告事業を開業。フィガロ等を経て2019年5月より同社代表取締役社長に就任。
大友 裕樹 取締役COO 2015年インターグロースを設立し代表取締役就任。Clamppy等を経て2023年同社に入社し、2024年3月より現職。
仲川 周 取締役CFO 2011年新日本有限責任監査法人に入所。ジャパンエレベーターサービスホールディングス等を経て2024年3月より現職。


社外取締役は、洲崎智広(アイ・コーリング代表取締役)、小野晃嗣(BuySell Technologies取締役CFO)、岡口瑞穂(アスクル等を経て常勤監査等委員)、野口剛(野口剛行政書士事務所所長)、竹澤大格(汐留総合法律事務所所長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「空き家マッチング事業」を展開しています。

空き家マッチング事業


日本の社会課題である空き家問題の解決を目指し、自社WEBメディアを通じて集客した空き家を手放したい売主から物件を買い取り、賃貸運用等を目的とする買主へ販売するマッチングサービスを提供しています。法律的・物理的瑕疵のある「訳あり物件」を広く取り扱い、全国に支店網を構築して適時適切な査定を行っています。

主な収益源は、買い取った空き家を買主へ販売して得られる不動産売買収益です。三為取引(第三者のためにする契約)を活用し、仲介手数料の上限規制に縛られない適正な利益水準を確保しつつ、在庫保有期間の極小化を図っています。また、買取り困難な物件については有料引取や処分コンサルティングによる収益も得ており、事業の運営はAlbaLinkが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


過去5年間の業績推移を見ると、売上高と利益ともに急激な成長を遂げています。支店網の拡大や人員増強に伴う取扱物件数の増加により、売上高は右肩上がりで拡大しています。経常利益も順調に伸びており、利益率も10%台半ばで高水準を維持するなど、非常に力強い成長トレンドを示しています。

項目 2021年12月期 2022年12月期 2023年12月期 2024年12月期 2025年12月期
売上高 8.9億円 13.4億円 30.0億円 54.4億円 81.9億円
経常利益 0.6億円 1.6億円 4.0億円 5.2億円 12.6億円
利益率(%) 6.2% 11.6% 13.3% 9.6% 15.4%
当期純利益 0.3億円 1.0億円 2.8億円 3.8億円 9.8億円

(2) 損益計算書


売上高の大幅な成長に伴い、売上総利益および営業利益ともに前期から倍増以上の伸びを記録しています。高収益な取引の増加により売上総利益率が約10ポイント改善し、営業利益率も16.0%へと大幅に向上するなど、規模の拡大と収益性の向上が同時に進んでいます。

項目 2024年12月期 2025年12月期
売上高 54.4億円 81.9億円
売上総利益 24.3億円 44.8億円
売上総利益率(%) 44.6% 54.7%
営業利益 5.5億円 13.1億円
営業利益率(%) 10.2% 16.0%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当が7億円(構成比23%)、広告宣伝費が6億円(同18%)を占めています。売上原価においては、販売用不動産取得費が30億円(構成比81%)、外注費が4億円(同11%)を占めており、仕入れと集客・人材への投資が主要なコスト構造となっています。

(3) セグメント収益


同社は空き家マッチング事業の単一セグメントであるため、全社の業績がそのままセグメントの業績となります。全国的な支店網の拡大と人員増強により販売件数が順調に増加したことで、売上高および利益ともに大幅な成長を遂げています。

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CFがプラス、投資CFがマイナス、財務CFがプラスの積極型です。営業での利益創出と新規上場による資金調達を行いつつ、事業拡大のための投資を行っています。

項目 2024年12月期 2025年12月期
営業CF 8.6億円 11.1億円
投資CF -2.2億円 -1.5億円
財務CF -0.4億円 11.3億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は67.1%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は38.3%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「2100年、空き家ゼロ」というミッションのもと、日本の空き家問題の解決を目指しています。自社WEBメディアを通じて空き家を手放したい売主と活用したい買主をつなぐ空き家マッチング事業を全国で展開し、流動性が低く放置されがちな「訳あり物件」を流通させることで、地域社会の課題解決に貢献することを経営方針として掲げています。

(2) 企業文化


空き家が活用されない状況を「もったいない」と考え、事業成長の機会と捉える実利と社会貢献を両立する文化があります。また、全国の自治体と連携協定を結び地域活性化に取り組む姿勢や、女性が活躍しやすい組織風土の醸成、人材育成のための研修や資格取得支援制度の拡充に注力するなど、人的資本の強化を重視する組織文化が根付いています。

(3) 経営計画・目標


同社は中長期的な数値目標は設定していませんが、経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標として以下の項目を重視し、事業の進捗を管理しています。

* 仕入決済数
* 販売件数
* 支店数
* 半期末の在庫残高

(4) 成長戦略と重点施策


当面の成長戦略として、既存事業の拡大、AI活用、新たな販路・収益の獲得を掲げています。具体的には、採用と育成を通じた営業人員の増加や新規出店、オフライン広告や自治体提携によるリード獲得を進めます。さらに、AIを活用した生産性向上を図るほか、買取り物件を活用した民泊や賃貸物件運営による新たな収益源の確保に注力します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


事業拡大の要となる営業人員の確保に向けて、新卒採用やリファラル採用を拡充しています。数万件の査定データを蓄積し研修に反映することで、未経験者でも早期にノウハウを習得できる育成体制を構築し、採用のハードルを下げています。また、女性が活躍しやすい組織風土の醸成や資格取得支援制度の拡充を通じて、人的資本の強化を図っています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年12月期 32.1歳 1.7年 7,294,000円


※平均年間給与は、賞与および基準外賃金を含みます。また、営業担当者には成果に応じた歩合賞与を支給するインセンティブ制度が導入されています。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 11.8%
男性育児休業取得率 0.0%
男女賃金差異(全労働者) 58.2%
男女賃金差異(正規雇用) 60.1%
男女賃金差異(非正規雇用) 57.6%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 検索エンジンへの集客依存


自社WEBメディアからの集客が主体であり、検索エンジンのアルゴリズム変更によって検索順位が下落した場合、集客数が減少し業績に悪影響を及ぼすリスクがあります。SNS広告やテレビCMなど流入経路の多様化を図ることで、特定の検索エンジンに依存しない体制整備を進めています。

(2) 宅地建物取引士の確保と育成


宅地建物取引業法に基づき、事業所ごとに一定割合の宅地建物取引士を配置する義務があります。資格保有者の採用難易度は高く、従業員の資格取得が想定通りに進まない場合、新規出店計画の遅れや既存支店の運営に支障が生じ、事業成長が阻害される可能性があります。

(3) 中古住宅政策による競争環境の変化


政府や自治体による空き家対策や中古住宅活性化の政策は市場拡大を促す一方で、新規参入事業者の増加を招き仕入・販売競争が激化するリスクがあります。これに対し、AIを活用した生産性向上やマーケティング力の強化により、他社に対する競争優位性の確保に努めています。

(4) 収益計上の期末偏重と在庫リスク


成果に応じた累進的な歩合賞与制度を導入しているため、営業担当者の成果が集中する第2四半期および第4四半期の末月に物件の引き渡しと売上計上が偏重する傾向があります。また、三為取引により在庫期間の短縮を図っていますが、市況悪化等で在庫が長期化した場合、資金効率の低下を招くリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。