※本記事は、株式会社ミラティブの有価証券報告書(第8期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月30日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ミラティブってどんな会社?
ミラティブは、スマートフォン一つで簡単にゲーム実況などのライブ配信ができるプラットフォームを提供しています。
■(1) 会社概要
同社は2018年2月にエモモとして設立され、同年3月にディー・エヌ・エーのMirrativ事業を承継して事業を開始し、ミラティブに商号変更しました。2024年10月にアイブレイドを完全子会社化し、配信者向けの支援事業を拡大しています。その後、2025年12月に東京証券取引所グロース市場への上場を果たしました。
現在の従業員数は連結で151名、単体で149名です。筆頭株主は創業者で代表取締役の赤川隼一氏であり、第2位は信託業務を行う日本カストディ銀行、第3位はベンチャーキャピタルのグロービス5号ファンド投資事業有限責任組合となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 赤川隼一 | 14.72% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 12.55% |
| グロービス5号ファンド投資事業有限責任組合 | 10.52% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性5名、女性1名の計6名で構成され、女性役員比率は16.7%です。代表取締役最高経営責任者は赤川隼一氏が務めており、社外取締役の比率は16.7%となっています。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 赤川隼一 | 代表取締役最高経営責任者 | 2006年ディー・エヌ・エー入社。同社執行役員社長室長を経て、2018年エモモ(現ミラティブ)を設立し代表取締役に就任。2019年より現職。アイブレイド取締役。 |
| 須山敏彦 | 取締役最高財務責任者コーポレート本部長 | 2007年ローランド・ベルガー入社。ディー・エヌ・エー、リクルートマーケティングパートナーズ等を経て、サイトビジット(現フリー)取締役等に就任。2022年より現職。 |
社外取締役は、青木耕平(クラシコム代表取締役)です。
2. 事業内容
同社グループは、「ミラティブ事業」および「その他」事業を展開しています。
■ミラティブ事業
スマートフォンアプリを通じて、ライブ配信、視聴、コメント、ギフト、コミュニティなど、ユーザー間のコミュニケーションを促進するライブ配信プラットフォーム「Mirrativ」を開発・運営しています。モバイルゲームとの親和性が高く、ゲーム実況配信者やゲーム好きの視聴者を中心に利用されています。
視聴者が配信者に贈るギフトなどのアイテム購入に消費される「Mirrativコイン」の課金収入が主要な収益源です。また、プラットフォーム上でのゲーム会社等の広告掲載による広告収入も得ています。運営は同社が行っています。
■その他関連事業(ストリーマープラットフォーム事業)
Mirrativプラットフォーム外の配信者(個人VTuber等)に対しても、配信を盛り上げるコンテンツや収益機会を提供する事業を展開しています。イベント企画・運営やグッズ販売など、ユーザー体験の向上と新たな収益機会の創出に取り組んでいます。
インフルエンサーマーケティングを行いたい企業と配信者を結びつけるプラットフォームの運営や、配信支援ツールの提供などから収益を得ています。運営は同社のほか、子会社のアイブレイドや持分法適用関連会社のキャスコードが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
同社の業績は、売上高が順調に拡大傾向にあり、直近の2025年12月期には72億円規模に成長しています。利益面では、ライブゲーミング開発やマーケティングへの先行投資により過去数期間は経常損失を計上していましたが、課金売上の増加や決済手数料率の低減等のコスト効率化が進んだことで、2025年12月期に黒字転換を果たしました。
| 項目 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 32.2億円 | 43.2億円 | 54.4億円 | 61.0億円 | 71.9億円 |
| 経常利益 | -0.6億円 | -15.6億円 | -11.9億円 | -2.6億円 | 2.9億円 |
| 利益率(%) | -1.7% | -36.1% | -21.9% | -4.2% | 4.0% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -0.6億円 | -15.7億円 | -11.9億円 | -2.6億円 | 7.4億円 |
※2021年12月期~2024年12月期は単体、2025年12月期は連結業績です。
■(2) 損益計算書
当期において、増収に伴うサーバー比率の減少等により売上総利益が改善し、営業黒字を計上しています。なお、下記の業績はすべて単体の数字です。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 61.0億円 | 70.6億円 |
| 売上総利益 | 13.1億円 | 22.7億円 |
| 売上総利益率(%) | 21.5% | 32.1% |
| 営業利益 | -2.5億円 | 3.7億円 |
| 営業利益率(%) | -4.0% | 5,2% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が6億円(構成比29%)、広告宣伝費が3億円(同15%)を占めています。また、売上原価においては、決済手数料が12億円(構成比25%)、外注費が11億円(同23%)を占めています。
■(3) セグメント収益
同社は「ミラティブ事業」の単一セグメントであるため、全社の売上高がそのまま同セグメントの収益となります。当期はエモモやライブゲーミングにおけるコイン消費を通じたアプリ課金収入の拡大により、順調な増収を達成しています。
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
以下の表は2024年12月期は単体、2025年12月期は連結の業績です。2025年12月期は、営業CF黒字でフリーCFほぼ均衡の中、IPOでエクイティを厚く入れつつ借入は減らし、投資も継続する「やや積極型グロース」のCF構造と言えます。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | -3.5億円 | 2.9億円 |
| 投資CF | -1.0億円 | -3.2億円 |
| 財務CF | -0.8億円 | 6.7億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は27.3%で市場平均を上回り、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も67.7%でいずれも市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「わかりあう願いをつなごう」をミッションに掲げています。また、「好きでつながり、自分の物語が生まれる居場所」をビジョンとして定めており、ユーザー一人ひとりの「物語(ナラティブ)」が輝き、共感を通じて新たな繋がりが生まれる場を提供することを目指して事業を運営しています。
■(2) 企業文化
「語りわかりあう会社」というコンセプトのもと、従業員が中長期で働き続けることができる環境の構築を目指しています。相互理解や交流を深めることを意図した福利厚生制度の導入などを行っており、フレックスタイム制度やリモートワーク制度を活用しながら、多様な価値観を持つ社員が活躍できる組織風土を醸成しています。
■(3) 経営計画・目標
同社は、良好なユーザー体験を反映する結果の指標として、ログインユーザー数ではなく、有償コイン消費ユーザー数の拡大と、ARPPU(有償コイン購入ユーザーあたり月間平均課金売上金額)の上昇を重視しています。中でも特にエンゲージメントの高いロイヤルユーザー数の増加と、その月間平均課金金額であるARPLUの上昇を重要指標として掲げています。
■(4) 成長戦略と重点施策
プラットフォームの健全性確保や認知度向上を通じたユーザー獲得に加え、新たな「ライブゲーム」の研究開発やプラットフォームのオープン化を進めています。また、決済手段の多様化によるWeb決済比率の向上を通じて決済手数料率を低減し、収益性の改善を図る方針です。さらに、培ったノウハウを外部の配信者へ展開し、必要に応じてM&Aによる事業提携も検討しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
高い成長率を維持していくために、優秀な人材の確保と定着を重要視しています。性別、国籍、新卒・中途の区別なく、経験、能力、多様な価値観を有する社員を採用する方針です。適正な人事評価を行うことで優秀な人材の定着を図るほか、人材の教育・育成を進め、中長期的に働き続けることができる環境整備を推進しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年12月期 | 34.9歳 | 2.9年 | 6,931,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 18.2% |
| 男性育児休業取得率 | 150.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 83.6% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 77.7% |
| 男女賃金差異(パート・有期労働者) | 110.9% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 業界の成長性とライブゲーミング市場の動向
「ライブゲーミング」は新市場であり、今後の法規制や経済状況、個人の嗜好性の変化に大きな影響を受ける可能性があります。市場の成長が鈍化した場合や予測できない事情により事業が成長しない場合、同社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) プラットフォーム事業者やゲーム会社への依存
「Mirrativ」はプラットフォーム事業者を介して提供されており、手数料等の規約変更があった場合、収益に影響を及ぼす可能性があります。また、ゲーム配信が中心であるため、ゲーム会社の配信ガイドライン等の方針変更により配信継続が困難になるリスクがあります。
■(3) サービスの健全性とトラブル対応
不特定多数のユーザーが利用するため、利用規約に違反する行為や著作権侵害などの違法行為が発生するリスクがあります。モニタリング等の対策を行っていますが、不適切な行為を完全に予測・防止することは困難であり、プラットフォームの安全性や信頼性が低下し、ユーザーが離反する可能性があります。



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