0 編集部が注目した重点ポイント
① 大阪・関西万博関連の事業が収益を大きく牽引する
大阪・関西万博におけるオフィシャルストア運営が業績に大きく貢献し、売上高は前年比9.0%増、営業利益は25.5%増と大幅な増収増益を達成しました。一時的なイベント需要に留まらず、万博で培った運営ノウハウや集客力を既存事業へ還元するフェーズに移行しており、エリア活性化のプロフェッショナルとしての存在感を強めています。
② 名古屋店の閉店と不採算店の減損で収益基盤を強化する
2026年2月28日をもって名古屋店「近鉄パッセ」を閉店し、特別利益として受取補償金4,531百万円を計上しました。同時に四日市店や奈良店で減損損失を計上するなど、不採算拠点の整理と資産の健全化を一気に断行。転職者にとっては、整理された健全な財務基盤の上で、攻めの戦略に集中できる環境が整いつつある点は注目に値します。
③ 「百“価”店」への進化で地域共創型プラットフォームを築く
従来の百貨店モデルから、地域の価値を創造・発信する「百“価”店(ひゃっかてん)」への転換を加速させています。あべの・天王寺エリアでの医療モール開業や、地方自治体と連携した情報発信拠点「ハルカス・ニッポン博覧会」の開催など、非小売領域への拡張が鮮明です。単なる販売職ではなく、地域活性化や事業開発に関わりたい人材にとって魅力的なキャリア機会が広がっています。
1 連結業績ハイライト
出典:2026年2月期 決算説明資料 P.2
売上高
125,450百万円
+9.0%
営業利益
6,718百万円
+25.5%
経常利益
6,613百万円
+28.5%
当期純利益
3,709百万円
+6.4%
当連結会計年度の業績は、売上高が125,450百万円(前年比9.0%増)となり、営業利益は6,718百万円(同25.5%増)と大幅な伸びを記録しました。百貨店業における国内売上の堅調な推移に加え、大阪・関西万博オフィシャルストアの運営による寄与が最大の増益要因です。一方で、将来の収益性改善に向けて四日市店や奈良店などで4,314百万円の減損損失を計上しましたが、名古屋店閉店に伴う受取補償金などでカバーし、最終利益も増益を確保しています。
通期予想に対する達成状況については、期初計画を上回り、着地数値は非常に順調と評価できます。不確実な経済環境下でも、万博という大型プロジェクトを完遂し、並行して「名古屋駅地区再開発」に伴う店舗閉鎖などの大きな構造変化を乗り越えた点は、組織としての実行力の高さを示しています。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:2026年2月期 決算説明資料 P.4
百貨店業
事業内容:あべのハルカス近鉄本店を中心とした百貨店運営、外商、友の会事業など。
業績推移:売上高 103,168百万円(前年比10.9%増)、営業利益 5,692百万円(前年比45.2%増)。
注目ポイント:旗艦店のデパ地下リモデルや外商の好調に加え、万博ストアの成功が収益を大きく押し上げました。今後は「百貨店外商から近鉄グループ外商へ」の合言葉のもと、グループ各社の商材を網羅的に提案する総合提案型営業への移行を進めています。ラグジュアリー層への深耕や、インバウンドVIP向けの個別対応を強化しており、高付加価値な接客経験やCRMの専門性を持つ人材のニーズが高まっています。
卸・小売業(シュテルン近鉄 等)
事業内容:輸入自動車販売(シュテルン近鉄)や食料品卸売など。
業績推移:売上高 15,024百万円(前年比1.0%増)、営業利益 196百万円(前年比47.5%減)。
注目ポイント:株式会社シュテルン近鉄において中古車販売が好調に推移し増収となりましたが、益率の低下や経費増により大幅な減益となりました。同社が強みとする富裕層ネットワークを活用した高単価商材の販売はグループの戦略と合致しており、運営のローコスト化と販売効率の改善が急務となっています。リテール営業の経験に加え、収益管理やオペレーション改善のスキルを持つ人材にチャンスがあります。
内装業(株式会社近創)
事業内容:ホテルや商業施設の内装工事、什器製造など。
業績推移:売上高 4,470百万円(前年比10.7%増)、営業利益 788百万円(前年比9.7%減)。
注目ポイント:ホテル工事の受注が引き続き好調に推移しています。営業利益は前年の高益率案件の反動で減益となりましたが、グループ内外からの受注は安定しています。宿泊施設や商業施設の「体験価値」が重視される中で、企画設計から施工まで一貫して担える強みは大きく、建築士や施工管理技士などの有資格者にとって、大規模案件に関われる魅力的な環境です。
不動産業
事業内容:保有物件の賃貸、エリア開発マネジメントなど。
業績推移:売上高 340百万円(前年比16.6%増)、営業利益 241百万円(前年比11.5%増)。
注目ポイント:あべの・天王寺エリアの魅力最大化を掲げ、2025年7月には医療モール「あべのウェルビーイングテラス」を開業。単なる小売業の枠を超えたタウンマネジメントを実践しています。近隣の商業施設(Hoop、and)と連携したエリア活性化を主導しており、不動産開発や施設運営(プロパティマネジメント)の経験を活かせるフィールドが拡大しています。
その他事業
事業内容:運送業など。※Kサポートは2025年2月期より連結除外。
業績推移:売上高 2,446百万円(前年比14.3%減)、営業利益 57百万円(前年比13.8%減)。
注目ポイント:労働者派遣業を営んでいた株式会社Kサポートが連結範囲から外れたことで減収減益となっていますが、運送業を中心にグループの物流基盤を支えています。物流効率化やサステナブルな配送体制の構築など、現場でのオペレーション改善が継続的な課題となっています。
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:2026年2月期 決算説明資料 P.7
2027年2月期の見通しは、売上高115,000百万円(前年比8.3%減)、営業利益5,400百万円(同19.6%減)を見込んでいます。これは万博ストアの終了や名古屋店の閉店による「特殊要因の剥落」を織り込んだ堅実な計画です。一方で、あべのハルカス近鉄本店を含む「ハルカスタウン」4館での集客力向上や、海外富裕層向けの「VIPカード」発行による顧客戦略の推進を掲げています。
人事面では、65歳までの段階的な定年延長や、フレックスタイム制度、時間単位有給休暇の導入など、人事制度改革に注力。多様な人材が長期的に活躍できる基盤作りを急ピッチで進めています。また、いちごの生産事業といった「地域共創」プロジェクトも深化させており、従来の百貨店の枠に捉われない柔軟な発想を持つ人材が求められる環境と言えます。
4 求職者へのアドバイス
志望動機のヒント
同社は今、百貨店という業態を再定義する「百“価”店(プラットフォーマー)」への進化を本気で進めています。単に物を売るだけでなく、「地域共創」や「エリア価値の最大化」に重きを置いているため、「小売の枠を超えた地域活性化に挑戦したい」という動機は非常に親和性が高いです。特に万博プロジェクトを成功させた実績をどう次世代の店舗作りや顧客体験に繋げていくか、という視点を持つことが評価に繋がります。
面接での逆質問例
・「百“価”店」への進化に向けて、既存の百貨店スタッフに最も期待されているマインドセットの変化は何でしょうか?
・インバウンドVIP向けの「VIPカード」戦略において、デジタル活用やCRMデータ分析はどのように進化させる計画ですか?
・名古屋店閉店や地域店の改革など、スピーディーな意思決定の背景にある組織文化の変化について伺いたいです。
5 転職者が知っておきたい現場のリアル(口コミ)
育休産休については柔軟に対応している
育休、産休については柔軟に対応しているとおもいます。女性も多い職場ですので、育休だから、産休だからと文句言われることももちろんなく、おおよそ希望通りの働き方ができるとおもいます。
({20代後半・ショップスタッフ・女性) [キャリコネの口コミを読む]ザ年功序列な風土
ザ年功序列な風土なので、ある程度覚悟しておいた方がいい。また、男女の性別によって、上司の対応も全く変わるのでそこも把握しておいた方がいい。
(20代前半・フロアスタッフ・男性) [キャリコネの口コミを読む]※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料:
- 2026年2月期 決算短信〔日本基準〕(連結)
- 2026年2月期 決算説明資料



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