長野計器の転職研究 2026年3月期通期決算に見るキャリア機会

長野計器の転職研究 2026年3月期通期決算に見るキャリア機会

長野計器の2026年3月期通期決算は、半導体市場の在庫調整に伴い減収減益となったものの、国内インフラ需要や米国子会社が堅調に推移し基盤を支えました。新中期経営計画2028に基づく生産棟新設プロジェクトなど、「なぜ今長野計器なのか?」や転職希望者がどの事業でどんな役割を担えるかを徹底整理します。


0編集部が注目した重点ポイント

2025年6月に不動産事業を売却し終了する

その他事業におけるショッピングタウン事業(テナントビル)を2025年6月に売却完了いたしました。これにより当連結会計年度で同事業は終了し、グループの経営資源をコア事業へ集中させる構造的変化が生じています。転職者にとっては、今後の本業強化に伴うキャリア機会の変容に注目すべきマイルストーンです。

前中計の売上目標753億円に対し未達となる

第2次中期経営計画の実績は、半導体産業の調整局面入りなどが響き、最終年度目標の売上高753億円に対し676億91百万円で未達に終わりました。営業利益率も目標12.9%に対し10.3%にとどまり、世界的な市況変化による長期調整が業績に大きく影響したため、課題克服に向けた人材の需要が高まっています。

新中計で2029年3月期に売上755億円を狙う

新たに策定された「新中期経営計画2028」では、対象最終年度となる2029年3月期に売上高755億円、営業利益率12%の達成を掲げています。既存事業の「進化」と新領域への「挑戦」を両輪に、丸子電子機器工場内での生産棟新設の検討など、持続可能な事業基盤の強化へ向けた積極的な投資を推進する計画です。

1連結業績ハイライト

2026年3月期は半導体向けの需要調整が続き減収減益となるも、新中期経営計画を始動し新たな価値創造へ舵を切ります。
連結業績概要

出典:2026年3月期 決算説明資料 P.4

売上高

67,691百万円

前年同期比 △2.7%

営業利益

6,978百万円

前年同期比 △8.8%

経常利益

6,862百万円

前年同期比 △9.4%

親会社株主に帰属する当期純利益

5,397百万円

前年同期比 △10.9%

当連結会計年度の業績は、半導体向けを中心に需要調整が続いたことから、売上高は前年同期比2.7%減、営業利益は同8.8%減の減収減益の着地となりました。国内インフラ需要の老朽化対策やプラント関連需要が下支えした圧力計事業が増益となったほか、計測制御機器やダイカスト事業が大幅増益を達成したものの、好調だった前年の半導体業界向け売上の減少を補うには至りませんでした。

本決算は通期の実績確定報告であるため、期中における通期予想に対する進捗評価ではなく、前中期経営計画(2023-2025)の最終目標に対する評価となります。結果として、世界的な市況変化による長期調整が大きく響き、目標売上高753億円に対して実績は676億91百万円にとどまり、目標に対しては進捗が遅れ未達の評価となりました。今後は新中計のもとで巻き返しを図る局面にあります。

2事業別分析:転職者が活躍できるフィールド

各事業セグメントおよび地域別の詳細なパフォーマンスを分析し、専門人材が求められる背景とキャリアの可能性を明らかにします。
セグメント別業績

出典:2026年3月期 決算説明資料 P.7

報告セグメント

圧力計事業

事業内容:圧力計、圧力スイッチ、温度計等の製造および販売を担う基盤事業です。

業績推移:売上高は36,470百万円(前期比1.4%減)と微減も、営業利益は3,141百万円(前期比7.1%増)の増益を達成しました。

注目ポイント:国内のプロセス業界における保守・メンテナンス需要の増加や、米国子会社での産業機械向け売上増加が利益を牽引しました。一方でFA空圧や半導体向けが減少しており、長寿命製品が多い圧力計事業の機種統廃合や部品標準化を推進するため、生産効率化を主導する専門人材が強く求められています。

注目職種:生産技術、機械設計、価格改定・購買マネジメント

圧力センサ事業

事業内容:多様な産業ニーズに対応する各種圧力センサの製造および販売を行っています。

業績推移:売上高は19,459百万円(前期比8.9%減)、営業利益は2,957百万円(前期比31.7%減)の減収減益となりました。

注目ポイント:国内のプロセス・新エネルギー向けや建設機械用は増加したものの、半導体業界の在庫調整局面の継続や産業機械向けの流通在庫滞留が顕著に響きました。丸子電子機器工場敷地内への工程集約やMEMS技術の深化を進めており、急拡大する需要回復期を見据えた開発・製造体制の強化に携わる人材が必要です。

注目職種:MEMS技術開発、センサ回路設計、生産ライン立ち上げ

計測制御機器事業

事業内容:空気圧機器、エアリークテスタ、圧力試験器などの開発・製造販売を手掛けます。

業績推移:売上高は4,456百万円(前期比10.2%増)、営業利益は507百万円(前期比69.6%増)と大幅な増収増益を記録しました。

注目ポイント:自動車関連の設備投資は鈍かったものの、医療機器や空気圧機器、食品・電子部品関連のリーク検査装置需要が後半に増加しました。保有技術を結集した複合装置ビジネスや、計測データ活用によるDXソリューション、アフターメンテナンスの強化を進めており、顧客提案力を備えた技術営業やシステムエンジニアの活躍フィールドが広がっています。

注目職種:アプリケーションエンジニア、システム設計、サービスエンジニア

ダイカスト事業

事業内容:自動車業界を主要取引先とし、自動車用ダイカスト製品の製造販売を行います。

業績推移:売上高は5,488百万円(前期比4.4%増)、営業利益は233百万円(前期の赤字から黒字転換および大幅増益)を達成しました。

注目ポイント:主要顧客である自動車業界の生産台数回復を背景に、稼働率が向上し収益性が改善しました。自動車業界の変革に伴う新規案件の獲得や、原材料・エネルギーコスト高騰に耐えうる製造原価の低減が引き続き重要なテーマとなっており、現場の工程改善や原価管理を推進できる人材への期待が高まっています。

注目職種:鋳造技術エンジニア、生産管理、原価企画

地域別売上高の状況

日本

事業内容:グループ全体の売上の43.8%を占める最大の基盤市場です。

業績推移:売上高は29,660百万円となり、前年同期比で1.8%の微減水準となりました。

注目ポイント:社会インフラの老朽化対策や各種プラント関連需要が底堅く推移し、圧力計需要は比較的安定していました。一方で従来用途の半導体需要の停滞や産業機械の設備投資抑制が逆風となりました。政府の戦略17分野への積極関与や産学官連携、データセンター冷却向けなど、新領域の開拓を牽引するビジネス開発人材の採用可能性が期待されます。

注目職種:新規事業開発、産学官連携コーディネーター、営業企画

米国

事業内容:Ashcroftブランドを展開し、北米市場を中心とする重要な成長エリアです。

業績推移:売上高は20,788百万円に達し、前年同期比で7.4%の堅調な売上成長を記録しました。

注目ポイント:現地子会社において、米国および欧州向けのOEM事業が好調を維持し、産業機械関連製品を中心に圧力計・圧力センサともに売上を伸ばしました。新中計の2大戦略として「北米における圧力センサの拡販」や地産地消の強化が明記されており、日本のコア技術と現地ニーズを結びつける技術サポートやグローバル連携を担う人材の重要性が高まっています。

注目職種:海外営業サポート、技術派遣エンジニア、グローバルSCM企画

アジア

事業内容:半導体市場において強固な地位を持つ、成長余力の大きな海外地域です。

業績推移:売上高は9,081百万円にとどまり、前年同期比29.0%減と大幅な売上減少に見舞われました。

注目ポイント:地政学的リスクの高まりや世界経済の減速が複合的に作用し、中国等の内需減速に伴う産業機械・設備投資の抑制が直撃しました。今後は巻き返しに向け、タイ・ベトナムを中心に現地販売店との連携を緊密にする「東/東南アジア地域における営業強化」が掲げられており、海外チャネル開拓や差別化製品の投入を進める人材が求められます。

注目職種:海外チャネル営業、アジア地域マーケティング

欧州

事業内容:製造業の不振が続く中、戦略的なアプローチを進める市場です。

業績推移:売上高は5,739百万円に伸長し、前年同期比で16.0%増の二桁成長を達成しました。

注目ポイント:域内経済としては輸出減少など製造業の停滞感が強かったものの、米国子会社を通じたOEM事業などが比較的堅調に推移し、売上高を大きく伸ばす成果を出しました。グローバル市場全体での圧力センサのシェア拡大を見据え、欧州特有の環境規制(RoHS対応等)への製品適合や販売網の維持拡充が求められており、国際規格や規制対応に強みを持つ技術・法務人材にチャンスがあります。

注目職種:環境規制対応エンジニア、国際品質保証

その他

事業内容:中南米を含むその他のグローバル各地域への製品供給を含みます。

業績推移:売上高は2,421百万円となり、前年同期比で8.1%の着実な増加を示しました。

注目ポイント:北米や欧州と同様、海外市場の底堅いトレンドを捉えることで、小規模ながらプラス成長を維持しています。新中期経営計画ではグローバル市場展開による競争力強化を大方針として掲げており、これら周辺地域における代理店網のマネジメントや、新規のニッチ需要獲得を狙うことで、広範な海外市場の動向を見通せる国際営業人材の知見が活きる環境です。

注目職種:グローバルディストリビューター管理、海外営業

3今後の見通しと採用の注目点

不透明な外部環境を乗り越え、半導体市場の本格回復や新工場の建設検討を通じて事業拡大の加速を目指します。
設備投資・減価償却費・研究開発費の見通し

出典:2026年3月期 決算説明資料 P.24

今後の経営環境は、世界経済が堅調に推移する一方で、為替の想定レートを1米ドル=150円、1ユーロ=175円と保守的に設定しています。注目すべきは、半導体業界向け製品の在庫調整影響が残るものの、本格的な回復を見込む2026年度後半からの需要急拡大です。さらに、データセンター向けセンサ需要の拡大や製造業の自動化加速が追い風となります。新中計の3年間で総額約50億円の成長投資を投じ、丸子工場内での新生産棟新設プロジェクトを進めるほか、2027年3月期には研究開発費を1,572百万円へ拡大する計画です。技術革新に伴走する企業として、次世代センシング(光学式等)開発や生産革新を推進できる優秀な技術者の獲得が急務となっています。

4求職者へのアドバイス

HINT志望動機のヒント

同社は国内の圧力計シェア60%以上を誇る圧倒的な基盤を持ちながら、「新中期経営計画2028」において既存事業の「進化」と新領域への「挑戦」を掲げています。特に、従来の限界を超える極低温・超高温向けの光学式センサ技術の確立や、データセンター向け、カーボンニュートラルといった最先端分野への参入を進めています。「安定した経営基盤の上で、社会的インパクトの大きい次世代センシングテクノロジーの社会実装に挑戦したい」という軸は、企業の方向性と深く合致するため、強力なアピールとなるでしょう。

Q&A面接での逆質問例

質問例1:新中期経営計画において、丸子電子機器工場内での新生産棟(2棟)建設の検討が進められていると伺いました。このプロジェクトの始動に伴い、生産性の革新や省人力化、DX化の推進に向けて、中途採用の技術者には具体的にどのような役割や成果が期待されているでしょうか。

質問例2:グローバル市場展開として、北米における圧力センサの拡販や、タイ・ベトナムを中心とした東/東南アジア地域での営業強化が掲げられていますが、現地の競合動向を踏まえて差別化した新製品の投入を成功させるために、日本側の開発・営業部門が今最も注力すべき課題は何だと認識されていますか。

5転職者が知っておきたい現場のリアル(口コミ)

決算資料や公式発表だけでは見えにくい、現場で働く社員・元社員の実体験(口コミ)を、転職判断の参考となるよう編集部で選定しています。
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有給もとりやすい環境です

自分でどんどん独学で理解できる人なら最高の環境だと思います、ほぼ残業はありませんし、休日も多い給料は年収300ぐらいとそこそこですし、有給もとりやすい環境です、また仕事さえ終わればOKという環境なので皆で協力して効率よく仕事を終わらせれば休憩時間が延びることも結構な頻度であります。

(20代前半・空調設備施工管理・男性) [キャリコネの口コミを読む]
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会社に成長性がない

会社に成長性がないので経験をつみ給与を上げていこうという人には合っていません。また、会社の売上高がすくないので賞与ですが、1年半勤めていましたが、夏冬あわせて10万程度と思ってください。

(20代前半・空調設備施工管理・男性) [キャリコネの口コミを読む]

※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。

使用した主な公開資料

  • 長野計器株式会社 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)
  • 長野計器株式会社 2026年3月期 決算説明資料

この記事の執筆者

上場企業の四半期決算から、面接で差がつく「志望動機」や「逆質問」のヒントを導き出す専門チーム。3ヶ月ごとの業績推移と戦略の遂行状況をキャリコネ独自の現場データと照合し、求人票だけでは見えない企業の「現在地」を可視化します。投資家向け情報を、転職希望者が選考を有利に進めるための武器に変える、実戦的な企業研究を配信中。


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東証プライム市場に上場する圧力計測・制御機器の専業メーカー。圧力計、圧力センサ、計測制御機器、ダイカスト等の製造販売を主力とし、半導体業界や産業機械向けに製品を展開しています。第103期の連結業績は、円安効果や産業機械関連の好調により増収増益を達成しました。