第一実業の転職研究  2026年3月期決算に見るキャリア機会

第一実業の転職研究 2026年3月期決算に見るキャリア機会

第一実業の2026年3月期決算は、売上高が横ばいながらも各段階利益で3期連続の過去最高益を更新 。急成長するヘルスケア、航空・インフラ事業の動向やインドでの合弁会社出資を踏まえ 、「転職希望者がどの事業で、どんな役割を担えるのか」というキャリア機会をアナリストの視点でわかりやすく整理します 。


0 編集部が注目した重点ポイント

小型バイナリー発電事業を譲渡し注力分野へ集約する

当連結会計年度において、小型バイナリー発電装置(地熱などの熱源を利用した発電システム)の製造権および販売権の事業譲渡を実行しました。これにより中・大型バイナリー発電装置などの高付加価値分野へ経営資源を最適配分します。事業構造の最適化に伴い、プラント・エネルギー事業におけるエンジニアのキャリア機会が注力領域へ集中・洗練される可能性があります。

インド合弁会社へ出資し海外展開を加速する

当期にNITTOKU株式会社とのインド合弁会社(NITTOKU FA INDIA)への出資を決定し、今期より事業投資を 본격化させます。グループ全体で成長が著しいインドエリアを最重点地域の一つとして位置づけており、自動車事業や産業機械事業を中心としたグローバル人材の活躍機会が大きく拡大する好機を迎えています。

各段階利益で過去最高を更新し営業利益率6.3%を達成する

2026年3月期連結決算において、売上高は横ばいながらも各セグメントの収益性改善により、営業利益が136億96百万円に達しました。エンジニアリング機能を核とした独自の付加価値提供が功を奏し、各段階利益で過去最高益を更新したことで、ソリューション提案を担う専門人材の必要性が一段と高まっています。

1 連結業績ハイライト

売上高は横ばい圏内での推移となったものの、徹底した収益性の改善により、営業利益をはじめとする各段階利益は過去最高益を更新しました。
2026年3月期連結決算概要

出典:2026年3月期決算説明会資料 P.5

売上高
219,140百万円
前期比 1.2%減
営業利益
13,696百万円
前期比 +4.5%
経常利益
14,353百万円
前期比 +5.6%
当期純利益
9,951百万円
前期比 +12.6%

当連結会計年度の売上高は2,191億40百万円(前期比1.2%減)となりました。医療関連機器製造装置やエアライン向けの航空機地上支援機材などの売上が大幅に増加した一方、国内外向けのリチウムイオン電池製造設備などの売上が減少したため、全体としては横ばい圏内での着地となっています。しかし、ソリューション提供の進展に伴う粗利率の改善やコスト管理の徹底により、営業利益は136億96百万円(前期比4.5%増)を記録し、各段階利益で最高益を更新しました。

確定した当期実績に対する評価としては、収益性改善の取り組みにより営業利益率6.3%を達成しており、中期経営計画「MT2027」のスタート初年度として極めて堅調な実績を確保したと評価できます。

2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド

ヘルスケアや航空・インフラ事業が驚異的な成長率を記録したほか、自動車やエレクトロニクスなどの基盤領域もエンジニアリング機能を核に堅調を維持しています。
セグメント別業績

出典:2026年3月期決算説明会資料 P.6

プラント・エネルギー事業

【事業内容】エネルギー開発生産、ガス石油精製、化学、環境関連等の各種プラント用設備・器具部品を取り扱います。

【業績推移】売上高 22,415百万円(前期比6.0%減)、営業利益 1,625百万円(前期比11.8%減)。国内向け各種プラント用設備の減少が影響しました。

【注目ポイント】小型バイナリー発電事業の譲渡を実行し、今後はアンモニア関連、バイオリファイナリー(生物資源を用いた資源循環)、半導体材料プラントといった高付加価値な環境・次世代エネルギー分野へリソースを集中させます。プラントの設計や配管・配線施工のトータルソリューションを担えるエンジニアリング専門人材への期待が高まっています。

注目職種:プラント設計エンジニア、施工管理、技術営業

エナジーソリューションズ事業

【事業内容】リチウムイオン電池(LIB)や燃料電池などの次世代エネルギー製造関連の機械・器具を展開します。

【業績推移】売上高 40,044百万円(前期比26.0%減)、営業利益 2,644百万円(前期比1.5%減)。国内向けが減少したものの、北米向け売上は堅調です。

【注目ポイント】北米市場におけるLIB製造設備等の大口案件が引き続き安定して貢献しています。今後はEV(電気自動車)向け車載電池のほか、データセンター向けの定置用蓄電池の全工程一括ラインといったエネルギーマネジメント周辺の提案に注力する方針であり、グローバルな大型プロジェクトを統括するマネジメント人材の採用が期待されています。

注目職種:海外プロジェクトマネージャー、電池製造設備エンジニア

産業機械事業

【事業内容】プラスチックス、ゴム、食品業界向けの成形機、塗装関連設備および周辺機器等を取り扱います。

【業績推移】売上高 27,210百万円(前期比7.8%減)、営業利益 740百万円(前期比16.9%減)。前期に計上した大型案件の一巡による反動が響きました。

【注目ポイント】国内向けの各種成形機や塗装関連のライン案件の獲得に加え、医療機器関連組立装置への提案を強化しています。また、独自の物流自動化ソリューション「LOGITO」の展開を通じてモノづくりプロセス改革を支援しています。現場の自動化・省人化ニーズを捉えた複合的なFA(工場自動化)システム営業の知見を持つ中途採用者の活躍フィールドが広がっています。

注目職種:FAシステム営業、自動化機械設計エンジニア

エレクトロニクス事業

【事業内容】電子、情報通信、電機、精密、光学関連などの電子部品製造設備や半導体装置を取り扱います。

【業績推移】売上高 51,073百万円(前期比2.1%増)、営業利益 2,747百万円(前期比2.0%増)。中国・アジア市場向け販売が好調に推移しました。

【注目ポイント】車載や産業機器向けの実装機が伸長しているほか、半導体関連は海外顧客向けへの売上計上が進んでいます。さらに、AIサーバー向け実装機やAIチップ用パッケージ基板・半導体後工程設備などの成長分野の需要獲得を狙います。最先端ラインの立ち上げや海外フィールド対応を担える、専門知識を持った技術人材が強く求められています。

注目職種:半導体装置エンジニア、海外フィールドエンジニア、技術営業

自動車事業

【事業内容】自動車業界向けの自動組立ライン、塗装ライン、車載電子部品製造関連設備などを提供します。

【業績推移】売上高 42,508百万円(前期比4.3%増)、営業利益 2,581百万円(前期比18.1%増)。国内外の大型案件が業績を大きく牽引しました。

【注目ポイント】車載デバイス(カメラ)向け自動組立ラインや、ADAS(先進運転支援システム)製品関連装置などの次世代モビリティ関連の需要が極めて旺盛です。インド合弁会社への出資など非日系顧客の攻略に向けた取り組みを強化しており、海外拠点のエンジニアリング機能拡充に対応できるグローバルな視野を持った技術人材が強化されています。

注目職種:自動車設備エンジニア、グローバル技術営業

ヘルスケア事業

【事業内容】薬品・医薬品関連業界向けの製造装置、錠剤印刷検査装置、パッケージング機器などを展開します。

【業績推移】売上高 23,826百万円(前期比51.4%増)、営業利益 2,400百万円(前期比44.9%増)。売上・利益ともに驚異的な成長を記録しました。

【注目ポイント】製薬・化粧品会社向けの高度なエンジニアリング案件や、OTC(一般用)医薬製造会社向けの新工場建設案件が絶好調です。医薬品製造ラインのサプライチェーン強化に伴い、液剤製造一貫ラインなど難易度の高い大型請負工事案件が増加しており、製薬プラントのエンジニアリング経験者が最も力を発揮できる事業領域です。

注目職種:医薬プラントエンジニア、生産設備設計

航空・インフラ事業

【事業内容】エアライン向けの航空機地上支援機材、官公庁向けの特殊車両やインフラ設備等を取り扱います。

【業績推移】売上高 11,990百万円(前期比57.0%増)、営業利益 1,049百万円(前期比105.2%増)。空港省人化ニーズの継続により利益は倍増しました。

【注目ポイント】エアライン向けの地上支援機材に加え、防衛関連等の特殊車両(消防車や待機車等)の販売が非常に好調です。従来の売り切り型ビジネスから「メンテナンス付リース」といった新たなコト売りビジネスの展開や、特殊車両の共同開発など、ビジネスモデルの変革を能動的に推進しており、新規事業開発やサービスエンジニアの活躍機会が拡大しています。

注目職種:インフラ新規事業開発、特殊車両サービスエンジニア

3 今後の見通しと採用の注目点

来期は大型案件一巡を踏まえて堅実な計画を立てる一方、中期経営計画の最終的な定量目標の必達に向け、成長投資の更なる拡大を維持する方針です。
2027年3月期通期業績予想

出典:2026年3月期決算説明会資料 P.18

2027年3月期の通期連結業績予想は、売上高2,100億円(前期比4.2%減)、営業利益120億円(前期比12.4%減)、経常利益124億円(前期比13.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益94億円(前期比5.5%減)と、大口案件の一巡などを背景に慎重な見通しを策定しています。前提となる為替レートは米ドル158円、ユーロ183円、人民元23円です。なお、中東情勢の緊迫化に伴う原油価格高騰や、サプライチェーンへの波及といったマクロ環境の不確実な変動要因については、現時点で合理的な算定が困難であるため、本業績予想には織り込んでいないことが公表されています。一方で、中期経営計画「MT2027」の最終年度(2028年3月期)における計画値(売上高2,500億円、営業利益150億円、3年間累計営業利益400億円)に変更はなく、手元資金や借入を活用した総額150億円規模の積極的な成長投資をさらに推し進める方針です。

4 求職者へのアドバイス

HINT

志望動機のヒント

第一実業は、特定の資本系列に属さない「独立系総合機械商社」としての自由度を最大限に活かし、独自のエンジニアリング機能を内包する「次世代型エンジニアリング商社」としての変革を力強く牽引しています。直近で圧倒的な成長を記録しているヘルスケア事業をはじめ、AIサーバーやEV向けLIB製造ラインといった最先端の成長市場に対して、単なる機械の仲介にとどまらない全工程一括提案など高付加価値型のソリューションに強みを有しています。顧客のモノづくり現場の最前線に深く関わり、「高度なエンジニアリング機能を通じてグローバル企業の競争力を支えたい」というストーリーを軸にアピールすることで、同社の事業方針に深く合致する志望動機を構築できます。

Q&A

面接での逆質問例

・中期経営計画「MT2027」において、当期より事業投資が本格的な実行フェーズに移行するとのことですが、新設された事業戦略室やCSO(最高戦略責任者)を中心に、現在「新たなコト売りビジネスの創出」や「新規領域への進出」に関してどのような具体化が進んでいるか、差し支えない範囲でお聞かせいただけますでしょうか。

・2026年3月期は最高益を更新した一方で、来期の業績見通しは地政学リスクやサプライチェーンへの影響を踏まえ慎重な計画が組まれています。このように不確実性の高まる市場環境において、第一実業の営業やエンジニアに今最も求められている対応力やコアスキルについてお聞かせください。

5 転職者が知っておきたい現場のリアル(口コミ)

決算資料や公式発表だけでは見えにくい、現場で働く社員・元社員の実体験(口コミ)を、転職判断の参考となるよう編集部で選定しています。
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社員寮や家賃補助は充実している

社員寮や家賃補助は充実している。年収も比較的高い方だが、家賃補助を金額に換算すると大企業並みの所得感はあるのではないか。

(30代前半・法人営業・男性) [キャリコネの口コミを読む]
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女性の働きやすさは皆無だ

女性の働きやすさは皆無だと思う。必然的に仕事量が多いので、家庭と両立しようと思うと営業職では厳しい。

(30代前半・法人営業・男性) [キャリコネの口コミを読む]

※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。

使用した主な公開資料

  • 第一実業株式会社 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)
  • 第一実業株式会社 2026年3月期 決算説明会資料

この記事の執筆者

上場企業の四半期決算から、面接で差がつく「志望動機」や「逆質問」のヒントを導き出す専門チーム。3ヶ月ごとの業績推移と戦略の遂行状況をキャリコネ独自の現場データと照合し、求人票だけでは見えない企業の「現在地」を可視化します。投資家向け情報を、転職希望者が選考を有利に進めるための武器に変える、実戦的な企業研究を配信中。


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