0 編集部が注目した重点ポイント
①売上高は過去最高の885億円を達成する
当連結会計年度の売上高は、ソリューション事業の大幅な成長が牽引したことで、過去最高となる88,548百万円(前年同期比5.4%増)を記録しました。通販事業の苦戦を新領域が補う理想的なポートフォリオへの転換点を迎えており、専門人材のキャリア機会が広がっています。
②海外子会社を移管し管理体制を刷新する
当期(FY2025)より、従来グループ管轄事業に含めていた一部海外子会社を通販事業セグメントへ移管する報告セグメントの区分変更を断行しました。この組織再編により管理体制が効率化され、グローバル展開を視野に入れた通販事業での新たなキャリア構築のチャンスが生まれています。
③不採算事業から撤退し構造改革を完遂する
eコマース事業において、価格競争激化に伴い収益性が悪化していた並行輸入事業および旅行事業からの撤退を決議しました。これに伴い事業整理損など1,615百万円の特別損失を計上したものの、今後は成長分野である高収益なDtoCモデル(消費者直接取引)へと経営資源を集中させます。
1 連結業績ハイライト
出典:2026年3月期 決算説明資料 P.4
売上高
88,548百万円
+5.4%
営業利益
5,727百万円
-5.4%
経常利益
6,166百万円
-4.0%
当期純利益
2,768百万円
-35.1%
当連結会計年度の業績は、売上高が過去最高を更新して増収となったものの、営業利益、経常利益、純利益はともに前年同期を下回る増収減益となりました。純利益の大幅減は、不採算事業からの撤退に伴う事業整理損1,006百万円や、ZonExpert株式会社におけるのれんの減損損失548百万円など、合計1,615百万円の特別損失を計上した一過性の要因によるものです。自己資本比率は63.9%と高水準を維持しており、財務基盤は健全です。
当期は通期実績の確定であるため通期予想に対する進捗率は100%に達しており、抜本的な事業リストラを断行したことで、翌期以降の持続的な収益力回復に向けた基盤が整い、業績推移は堅調であると評価できます。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:2026年3月期 決算説明資料 P.9
ソリューション事業
【事業内容】株式会社スクロール360や株式会社キャッチボール等のグループ会社を通じ、EC・通販事業者向けに物流代行、決済代行、SNSなどのマーケティングサポート、BPO(業務委託代行)をワンストップで提供しています。
【業績推移】売上高は37,605百万円(前年同期比20.4%増)と大幅な増収を達成し、セグメント利益も1,570百万円(前年同期比76.5%増)と圧倒的な成長率を記録して収益の柱へ躍進しました。
【注目ポイント】新規物流拠点「SLCつくば」の開設によるキャパシティ拡大に加え、不採算案件の値上げや条件変更といった収益構造の是正が劇的な成果を上げています。決済代行での貸倒リスク低減や、SNS主軸のマーケティング支援も極めて堅調です。現場実行力から付加価値型のコンサルティング営業への進化を進めており、戦略的な提案力を持つ専門人材が強く求められています。
通販事業
【事業内容】株式会社スクロールおよび株式会社スクロールインターナショナル等の傘下企業により、全国の生協組合員向けに衣料品、インナー、生活雑貨などのカタログ・インターネット通信販売を展開しています。
【業績推移】売上高は36,662百万円(前年同期比6.0%減)、セグメント利益は4,181百万円(前年同期比19.8%減)となりました(注:当期より一部海外子会社をグループ管轄から移管した組替後の数値で比較)。
【注目ポイント】物価高騰による生活防衛意識の定着や猛暑・暖冬といった天候不順の影響を受け、夏から盛夏にかけての受注に苦戦を強いられました。しかし、在庫管理の徹底や販促費等のコスト削減を進め、2桁以上の高いセグメント利益率(11.4%)を死守しています。アパレル特化型AIシステム「LightChain」の機能を拡充し、商品企画や調達のデジタル変革を急速に推進しており、テクノロジーを活用できるMD人材に勝機があります。
eコマース事業
【事業内容】株式会社ナチュラム(アウトドア用品)や株式会社キナリ(化粧品)、株式会社ミヨシ(防災用品)などを通じ、専門性の高い特化型ECサイトやオンラインモールを展開しています。
【業績推移】売上高は15,312百万円(前年同期比0.2%増)と横ばいながら、不採算事業の整理を進めた結果、セグメント利益は385百万円(前年同期比136.0%増)と大幅な黒字拡大を記録しました。
【注目ポイント】ECモール内の価格競争激化に対応し、並行輸入事業および旅行事業からの完全撤退を断行したことが収益改善の大きな原動力となっています。一方で、住民の防災意識の高まりを受け防災関連商材が非常に好調に推移しています。今後は自社開発のオリジナル商品(DtoCモデル)の強化による高収益体質への転換を図っており、独自ブランドの育成を主導できるブランドマネジメント人材が必要とされています。
グループ管轄事業
【事業内容】スクロールロジスティクス等により、全国各拠点のグループ保有物流施設の運営・管理、不動産の有効活用、およびグループ内の共通インフラ機能(物流オペレーション)を担っています。
【業績推移】外部顧客獲得の進展に伴い、売上高は4,032百万円(前年同期比13.8%増)と堅調に伸長したものの、拠点整備費用等の影響によりセグメント利益は22百万円(前年同期比86.1%減)に留まりました。
【注目ポイント】東海・関西・関東エリアにおいてセンター運営機能の大幅な強化を継続しており、グループ内の安定稼働に寄与しています。グループ内取引の枠を超えて、外部顧客開拓に向けた積極的な営業活動を展開している点が大きな特徴です。広域物流インフラの安定稼働と効率化はグループ全体の稼ぐ力の源泉であり、物流ネットワークの設計や現場オペレーションを統括できる実務主導型のマネジメント人材に最適な環境が用意されています。
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:2026年3月期 決算説明資料 P.16
翌期である2027年3月期の連結業績予想は、売上高90,000百万円(前年同期比1.6%増)、営業利益6,100百万円(同6.5%増)、経常利益6,500百万円(同5.4%増)を見込み、親会社株主に帰属する当期純利益は一過性の特別損失が解消されることで4,300百万円(同55.3%増)と大幅なV字回復を計画しています。国内市場の少子高齢化や人手不足を背景にビジネスプロセスアウトソーシングの需要は着実に拡大しており、同社が掲げる「Direct Solution Company」への進化は外部環境に極めて合致しています。断行した不採算事業の整理を礎に経営資源を成長領域へ集中させる方針が鮮明であり、次世代インフラ構築や新規M&A、自社ブランドの再生に向けたコア人材の採用意欲が飛躍的に高まる見通しです。
4 求職者へのアドバイス
志望動機のヒント
同社は通販会社からBtoB企業のEC・通販事業を多角的に支える「Direct Solution Company」へと急速なビジネスモデルの転換を成し遂げました。面接では、これまでの通販事業で培った現場実行力や独自のノウハウを起点に、あらゆる事業者の課題を最短・最適な方法で解決していくという同社の成長ビジョンに共感している点を伝えるのが効果的です。特に、「付加価値型の提案営業への進化」や「DtoCモデルへのビジネスモデル転換」といった構造改革の具体策に対し、自身の専門スキル(コンサルティング、デジタルマーケティング、インフラ設計など)がどのように直接貢献できるかをロジカルにアピールすると、即戦力としての評価が大きく高まります。
面接での逆質問例
質問例1:「ソリューション事業において、これまでの『現場力』を基盤とした運営から『コンサル力』を活かした付加価値型営業へとシフトを進められていますが、現場を統括する人材には今後どのようなスキルやマインドセットが最も求められるでしょうか?」
質問例2:「eコマース事業では不採算事業からの撤退を完遂し、今後は高収益なDtoCモデルへの転換とオリジナル商品の開発に注力されるとのことですが、新規の顧客開拓とリピート育成においてクリアすべき現在の一番の組織的・戦略的課題はどこにあるとお考えでしょうか?」
質問例3:「中長期ビジョンにおいて、非連続的な成長を実現するための手段として150億円規模の戦略投資(M&Aなど)が掲げられていますが、新機能の獲得に伴いグループ内の組織間シナジーや人材交流をさらに加速させるために、現在どのような人事教育制度や体制づくりを進められているかお聞かせください」
5 転職者が知っておきたい現場のリアル(口コミ)
残業を減らされモチベーションが下がった
仕事があってやらざるを得ないのに、残業を許可されない。当時は実績があまりよくなく、無理やり残業を減らされた。残業するくらいならやらなくて良い、という仕事が多くなりモチベーションが下がった。基本給が低く、残業でなんとか賄っていたので生活が苦しくなった。
(20代・広告宣伝・女性) [キャリコネで給与明細を見る]オンオフのメリハリはつけやすい
残業は多いが休みがしっかりとれ、有休もとりやすく、連休も年2回夏季休暇と、リフレッシュ休暇として5日連続で取ろうと思えばとれる。部署にもよるが、だいたいみんなその制度で有休を消化して、連休をとっている。オンオフのメリハリはつけやすい。
(30代前半・商品企画・女性) [キャリコネの口コミを読む]※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- 株式会社スクロール 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)
- 株式会社スクロール 2026年3月期 決算説明資料



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