0 編集部が注目した重点ポイント
①売上高が前期比15.2%増となり過去最高の878億円を記録する
2026年3月期の通期連結業績において、売上高は前年同期比15.2%増の87,815百万円を達成し、過去最高を更新しました。多田建設による建設事業の採算性改善や、日神管財が牽引する不動産管理事業の大幅な伸長が寄与しており、全てのセグメントで増収増益を記録するなど、極めて強い成長トレンドを示しています。
②前期の繰越物件がスライド計上され営業利益が93.7%増加する
当期の好決算の大きな要因として、前期に計画されていた物件が当期へと繰越計上(スライド計上)されたという一過性の増益効果が挙げられます。これにより、営業利益は前年同期比93.7%増の6,678百万円、経常利益は同95.6%増の6,004百万円へと急拡大し、現中期経営計画の利益目標を1年前倒しで完全達成しました。
③先行投資として不動産事業支出金を前年比38.2%増加させる
人手不足や働き方改革に伴う業界全体の工期長期化を見据え、2期先までを含めた積極的な開発の先行投資を実施しています。バランスシート上の不動産事業支出金(主に土地代や建築代金の一部)は、前年度末比38.2%増の38,158百万円へと大きく積み上がっており、中長期の成長に向けたキャリア機会が確実なものとなっています。
1 連結業績ハイライト
出典:2026年3月期 通期決算説明資料 P.9
当連結会計年度における我が国経済は、雇用・所得環境の改善に支えられ、回復基調が継続しました。不動産・建設業界においては、土地・資材価格の高騰や慢性的な人手不足という厳しいコスト環境に直面したものの、市場全体の需要は堅調に推移しました。同社グループはこの良好な市場環境のもと、繰越案件の確実な利益計上に加え、各事業における価格転嫁や組織マネジメント強化による徹底的な採算性向上が結実し、売上高は過去最高を更新しています。期初予想に対して営業利益は121.4%、経常利益は122.5%の実績を記録し、大幅な上振れ着地を成し遂げました。
当期の業績進捗状況の評価について、今回の実績は期初に公表した通期計画(売上高84,000百万円、営業利益3,800百万円、経常利益3,400百万円)をすべての利益指標において大きく凌駕しています。現中期経営計画の最終年度目標すら1年前倒しで達成するという驚異的な進捗を見せており、文句なしに「順調」であり、グループ全体の経営基盤が極めて強固な拡大局面にあると評価できます。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:2026年3月期 通期決算説明資料 P.11
建設事業
【事業内容】100年以上の歴史を誇る多田建設株式会社を主軸とし、グループ外受注比率が90%を超える強固なマンション建設請負を展開。
【業績推移】売上高 39,382百万円(前年同期比6.9%増)、セグメント利益 3,841百万円(同87.6%増)。粗利率が14.9%へ劇的に改善。
【注目ポイント】建設費高騰のインフレ圧力や「2024年問題(残業時間の上限規制強化にともなう人手不足問題)」という逆風のなか、提案型営業の強化による特命案件(入札を経ない個別契約)の比率向上に成功しました。下期のセグメント利益率は10%を超える高水準をマークしています。技術力の維持・向上やノウハウの若手への伝承に向け、積極的な人的資本投資(採用・育成)を推進中であり、原価管理や徹底した品質管理を牽引できる現場のリーダー候補を強く求めています。
不動産事業
【事業内容】日神不動産株式会社および日神不動産投資顧問株式会社を実務主体とし、1都3県を中心に新築分譲マンション等の開発・販売を展開。
【業績推移】売上高 31,414百万円(前年同期比10.0%増)、セグメント利益 1,515百万円(同76.1%増)。新築マンション引渡が大幅増加。
【注目ポイント】100名以上の営業人員を擁する「対面営業の徹底」が強みであり、前期からの繰越案件を確実に当期へ取り込むことで、売上・利益ともに約1.7倍の利益成長を記録しました。工期長期化や1案件あたりの大型化を踏まえ、販売計画約80,700百万円に相当する用地仕入れを戦略的に進めています。激しい用地競争のなかで、付加価値の高いプロジェクトを最前線で創出する用地仕入れのプロフェッショナルの重要性が極めて高まっています。
不動産管理事業
【事業内容】株式会社日神管財を実務主体とし、マンション共用部や賃貸物件の管理、ビルメンテナンス、大規模修繕、リフォームなどを展開。
【業績推移】売上高 16,998百万円(前年同期比57.1%増)、セグメント利益 1,820百万円(同91.3%増)。一棟販売の計上もあり急拡大。
【注目ポイント】グループ内販売物件の自動的なストックに加え、グループ外の他社管理案件のリプレイス(管理会社の切り替え)獲得へ積極的に注力した結果、管理戸数は前年比1,232戸増の36,470戸へ拡大、外部比率も33.0%へ上昇しました。リフォームや大規模修繕など、7つの事業シナジー効果による高い収益力を誇ります。強固なストックビジネスに守られながら、デジタル技術を活用した次世代の管理モデル運営を担える実務経験者が高く評価される環境です。
その他事業
【事業内容】日神ファイナンス株式会社を中心に構成され、グループの周辺ビジネスとして少額の新規貸付や金融サービスを提供。
【業績推移】売上高 20百万円(前年同期比15.5%増)、セグメント利益 12百万円(同57.5%増)。堅実な運用により黒字を確保。
【注目ポイント】グループの財務ガバナンスと効率化の観点から、現在は事業の縮小均衡を経営方針として掲げています。新たな拡大を追う組織ではないものの、限られたリソースの中で精緻な与信審査や効率的な債権回収を徹底するリスクマネジメントを担っています。グループ全体の信用力を裏から支えるための強固な法務・コンプライアンス意識や、堅実な金融バックオフィス実務能力を発揮し、グループの安定経営を陰から支えるポジションです。
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:2026年3月期 通期決算説明資料 P.31
中期経営計画の最終年度となる2027年3月期の通期連結業績見通しについて、売上高88,000百万円(前期比0.2%増)、営業利益6,000百万円(同10.2%減)、経常利益5,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益3,500百万円を想定しています。前期に繰越物件の引き渡し集中という特異な利益スライド要因があったため、表面上は減益の計画となっています。しかし、これらは一過性の上振れ反動に過ぎず、ビジネス自体は非常に好調です。中期経営計画当初に掲げていた目標数値(売上高88,000百万円、営業利益5,000百万円)を利益面で大きく上回る上振れ計画を策定しており、実質的な収益力は一段上のステージへ向上しています。
市場環境としては、地政学的リスクの長期化に伴う資材・エネルギー価格の上昇局面が続く見通しですが、同社は既に2期先までの開発を見据えた豊富な不動産事業支出金を積み上げており、次期の利益原資は確実に確保されています。多田建設をはじめとするグループ各社で、組織マネジメントの強化や独自のバリューチェーン強化を通じた「人への投資」を本格化させており、中長期の競争力強化を担う優秀な中途採用人材の獲得・育成に引き続き注力していく方針が示されています。
4 求職者へのアドバイス
志ボー動機のヒント
同社は、開発・販売から施工、さらに引き渡し後の建物管理・修繕までをグループ内で一気通貫して完結できる「総合不動産・建設業」としての強固なバリューチェーンを有しています。この強みを軸に、志望動機を構築するのがお勧めです。特に当期は、多田建設の提案営業強化による特命案件比率の上昇でセグメント利益が87.6%増となり、日神管財の他社案件リプレイス強化によって管理戸数が36,470戸へと着実に純増しています。市況に左右されない安定したストック型経営へ進化する同社において、「これまでの施工管理、不動産仕入れ、PM実務経験を活かし、案件の採算性向上やグループのシナジー最大化にどのように貢献できるか」をロジカルに訴求することで、高い評価を得ることができます。
面接での逆質問例
- 多田建設において提案型営業の強化による特命案件比率の上昇が利益率向上(セグメント利益率9.8%への大幅改善)に繋がったと拝見しました。資材高騰が続く市場環境のなかで、今後さらにグループ外受注における特命案件の単価や採算性を適正化させていくために、新しく参画する施工管理職や技術職に最も求められる現場マネジメントの役割について教えてください。
- 不動産管理事業(日神管財)において他社物件の獲得強化を進め、外部比率が33.0%へ上昇するなどストックビジネスが非常に順調に積み上がっています。中期経営計画の更なる拡大に向け、従来のグループ内物件の管理手法に固執せず、他社競合とのリプレイス競争に勝ち抜くためにプロパティマネジメント職やリフォーム工事提案に求められる新たな専門性やマインドについてお伺いしたいです。
- 工期の長期化や1案件あたりの大型化を見据え、不動産事業支出金が381億円へと大きく積み増しされており、将来への強固な先行投資が行われていると感じました。1都3県を中心とした今後の厳格な用地取得競争において、事業コストの上昇局面をこなしながら、2期先までの安定的な販売計画を担保するために、用地仕入れ部門の組織体制や人材採用で今後強化していかれる方針を教えてください。
5 転職者が知っておきたい現場のリアル(口コミ)
全く残業はありませんでした
女性の事務の場合、私の部署では全く残業はありませんでした。休日もきっちりと休めて、プライベートはしっかりと休めて、アフターも充実している社員がほとんどでした。
(40代後半・管理関連職・女性) [キャリコネの口コミを読む]キャリアのある仕事を任せてもらえる事
私がいた部署では、事務の女性社員は、あまりキャリアのある仕事を任せてもらえる事はありませんでした。
(40代後半・管理関連職・女性) [キャリコネの口コミを読む]※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)
- 2026年3月期 通期決算説明資料



上場企業の四半期決算から、面接で差がつく「志望動機」や「逆質問」のヒントを導き出す専門チーム。3ヶ月ごとの業績推移と戦略の遂行状況をキャリコネ独自の現場データと照合し、求人票だけでは見えない企業の「現在地」を可視化します。投資家向け情報を、転職希望者が選考を有利に進めるための武器に変える、実戦的な企業研究を配信中。