0編集部が注目した重点ポイント
①ファミリーマートの主管を食料へ変更し横連携を推進する
2026年度よりファミリーマートの主管カンパニーを第8から食料カンパニーへ変更します。同社からの取込損益は食料と第8に3対7の割合で認識されるため、前年同期比較時には注意が必要です。この体制刷新により全社での横串機能が強化され、リテールや物流を軸にした新たなキャリア機会の拡大が期待されます。
②セブン銀行へ653億円を出資し多様な金融サービスを創出する
2025年度にセブン銀行と資本業務提携を締結し、653億円を投じて20%の株式を取得して持分法適用会社化しました。全国16,400店のファミリーマート店舗網に高機能ATMを設置し、各社の金融事業を掛け合わせた新ビジネスを創出します。リテールと金融が融合する先端領域で、専門人材の重要性が一段と高まっています。
③純利益9,003億円で初の9,000億円台に到達し最高益を更新する
2025年度の連結純利益は前期比200億円増の9,003億円に達し、初の9,000億円台突破とともに2年連続の過去最高益を達成しました。実質営業キャッシュ・フローも過去最高を記録するなど、稼ぐ力が着実に伸長しています。強固な財務基盤を梃に、2026年度計画でも9,500億円の増益に向けて積極的な投資を継続しています。
1連結業績ハイライト
出典:2025年度 決算実績 / 2026年度 経営計画 説明資料 P.2
収益
14兆8,231億円
(前期比 +0.7%)
営業利益
7,019億円
(前期比 +2.6%)
連結純利益
9,003億円
(前期比 +2.3%)
※基礎収益 = 一過性損益を除く、各事業の経常的な稼ぐ力を測る指標(当期実績:7,815億円、前期比 +115億円)
当期は世界経済に不透明感が漂う中でも、国内の個人消費や設備投資が底堅く推移し、情報・金融や食料、繊維などの非資源分野を中心に売上総利益が拡大しました。また、デサントの連結子会社化に伴う再評価益や、C.P. Pokphand(CPP)の売却などに伴う一過性利益1,190億円も、最高益更新の大きな原動力となっています。
期初計画で掲げていた連結純利益9,000億円の目標に対し、実績は9,003億円に到達しており、通期業績の達成状況としては計画を上回る着地であり極めて堅調に推移したと評価できます。不確実性の高い外部環境下においても、ブレずに利益を創出し続ける強固なポートフォリオの有効性が証明されています。
2事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:2025年度 決算実績 / 2026年度 経営計画 説明資料 P.9
繊維カンパニー
事業内容:紳士服・婦人服、スポーツウェアの製造・販売、衣料用副資材の生産管理やグローバルトレードを広く展開しています。
業績推移:一過性利益の反動などから連結純利益は前期比305億円減の433億円となったものの、デサント等のスポーツアパレル分野が堅調に推移し基礎収益は130億円の増益です。
注目ポイント:(注:当期にデサントを連結子会社化したため前年単純比較不可)非公開化を通じたハンズオンでの経営改革を断行中であり、直営店拡大やシューズ事業強化、中国市場での成長加速を自ら牽引できるブランドマーケティングのプロが必要とされています。
機械カンパニー
事業内容:国内・国際リースをはじめ、北米電力、欧州環境投資、船舶保有、航空宇宙、外車ディーラーのヤナセなどを幅広く統括しています。
業績推移:北米電力事業の売電収入増加や日立建機の取込比率上昇が寄与し、連結純利益は前期比191億円増の1,556億円と大幅な成長を遂げました。
注目ポイント:(注:当期にカワサキモータースやアイチコーポレーション等への出資を開始しました)モビリティやインフラ等の優良資産を積み上げており、事業会社への経営参画やアライアンス強化を推進する事業開発・管理人材の価値が高まっています。
金属カンパニー
事業内容:豪州やブラジルでの鉄鉱石・石炭の資源開発投資・販売、および伊藤忠丸紅鉄鋼を通じた鉄鋼製品のトレードを担います。
業績推移:鉄鉱石・石炭の市況価格下落やコスト増加の影響を直接的に受け、連結純利益は前期比348億円減の1,435億円へ減少しました。
注目ポイント:市況に左右されない収益基盤に向けて豪州原料炭事業の再編など聖域なき資産入替を断行しています。グローバルな資源権益マネジメントや、市況変化を読み解く高度なトレードスキルを持つ専門人材の活躍フィールドです。
エネルギー・化学品カンパニー
事業内容:原油・ガスの開発生産、エネルギー製品トレード、伊藤忠エネクスでのLPガス・モビリティ販売、合成樹脂や化学品トレードを展開しています。
業績推移:LNGプロジェクトからの受取配当金減少や再エネ関連の減損損失により、連結純利益は前期比93億円減の693億円となりました。
注目ポイント:2026年度よりエネルギー部門と電力・環境ソリューション部門を統合し「エネルギー・電力ソリューション部門」を新設する組織改編を行います。タキロンシーアイ機能材トレードの強化も含め、新時代の環境・化学品ビジネスをリードする人材が求められています。
食料カンパニー
事業内容:不二製油、ウェルネオシュガー等の原料製造、Doleの生鮮・加工食品、プリマハム、食品卸大手の日本アクセスなどを多面的に展開しています。
業績推移:食糧関連取引の採算改善やDoleの生産・販売数量増加が寄与し、連結純利益は前期比70億円増の921億円と順調に拡大しました。
注目ポイント:2026年度より伊藤忠食品の完全子会社化を進めるほか、ファミリーマートの主管一部変更に伴い食料バリューチェーンの再編を加速します。食品流通におけるプラットフォームの構築や効率化を推進できる実務人材を必要としています。
住生活カンパニー
事業内容:北米建材事業、欧州タイヤ卸・小売のETEL、製紙用パルプのIFL、総合物流、DAIKENや伊藤忠建材を通じた建設資材、不動産開発を網羅しています。
業績推移:パルプ市況の低迷や北米建材における住宅用構造材事業の低調から、連結純利益は前期比89億円減の608億円に留まりました。
注目ポイント:西松建設の持分法適用開始に加え、2026年度にはサンフロンティア不動産への出資を予定するなど、国内外の不動産バリューチェーン強靭化を推進中です。止血を完了したIFLの再編など、再生ビジネスやアライアンスのノウハウを持つ人材が求められています。
情報・金融カンパニー
事業内容:システム開発大手のCTC、ベルシステム24ホールディングス、ほけんの窓口グループ、ポケットカード、外為どっとコムなどを包含しています。
業績推移:CTCの取引好調や海外リテール金融の収益性改善が寄与し、連結純利益は前期比98億円増の930億円と最高益を更新しました。
注目ポイント:(注:前第3四半期に非公開化したCTCの貢献度が上昇しています)生成AIやDX、データセンター需要をグループ主導で一手に取り込む戦略を展開しており、最先端テクノロジーを用いたITソリューションやリテール金融の企画を主導する人材に最適な環境です。
第8カンパニー
事業内容:ファミリーマートの店舗網活用を主軸に、医薬品製造のアンドファーマ、セブン銀行とのアライアンスなど機動的な新規ビジネス創出を担います。
業績推移:一過性利益の反動により連結純利益は前期比201億円減の450億円となりましたが、コンビニエンスストアの日商増加により基礎収益は109億円の着実な成長を遂げています。
注目ポイント:(注:2026年度よりファミリーマートの主管変更に伴う配分調整が行われます)全社案件における「横串」機能を一層強化する方針にシフトしており、リテールメディアや店舗データを活用した異業種連携など、先進的な事業を構想・実行できるタフな企画人材が求められます。
3今後の見通しと採用の注目点
出典:2025年度 決算実績 / 2026年度 経営計画 説明資料 P.14
2026年度(2027年3月期)の利益計画では、中東影響や景気下押しリスクを織り込んだ400億円の損失バッファーをあらかじめ設定しつつも、前期比497億円増となる連結純利益9,500億円の着実な増益を見込んでいます。特に飛躍的な利益成長に向けて総額1.5兆円規模の積極的な成長投資枠を設定しており、日立建機への追加投資(1,341億円)や、食品流通プラットフォームの再編を担う伊藤忠食品の完全子会社化など、ビジビリティの高い中核事業への資本投下を次々と確定させています。 また、低効率資産やピークアウト事業の積極的な資産入替も同時に断行する方針が示されており、ポートフォリオ変革のスピードアップに伴って、M&Aや大規模アライアンスの実務を主導できるプロフェッショナル中途人材への引き合いは、今後ますます高まっていくことが予測されます。
4求職者へのアドバイス
志望動機のヒント
同社は「利は川下にあり」を経営方針の根幹とし、160年超にわたり川上・川中で築いた強固な資産を活用して、より消費者に近い川下ビジネスを進化させるマーケットインの発想を貫いています。志望動機を練る際は、単なる大規模なトレーディングへの憧れを語るのではなく、ファミリーマートの店舗網やデサントなどの強力なリテールアセットをベースとした「セグメントを横断した新たなバリューチェーンの構築やデジタルシナジーの創出」に対し、自身の専門性(IT、事業開発、マーケティング等)をどう活かして価値創造できるかを具体的に語ることが重要です。
面接での逆質問例
・「2026年度の計画において、ファミリーマートの主管を食料カンパニーへ一部変更し、第8カンパニーは全社案件の『横串』機能の発揮に注力する体制に刷新されると拝見しました。この新管理体制下で、中途入社者が各カンパニーを巻き込んで『クロスセグメントでの新規リテールビジネスを創出する』にあたり、現場で今最も必要とされるマインドセットや突破力について教えてください。」
・「2026年度は1.5兆円規模の成長投資を実行する一方で、低効率資産やピークアウト事業の積極的な入替も断行する方針が明示されています。このようにドラスティックな事業ポートフォリオの変革期において、中途入社者が『既存事業のアセットバリュー向上やターンアラウンド(事業再生)』に携わる際、最初期に発揮すべき最も重要なスキルや経験は何でしょうか。」
5転職者が知っておきたい現場のリアル(口コミ)
若手から中堅層の離職率が増えている
若手から中堅層の離職率が増えているのも、成長を実感できるフィールドがなかなかないことや、トゥーマッチな利益至上主義に対しての嫌悪感からくるものではないかと感じている。
(30代前半・海外営業・男性) [キャリコネの口コミを読む]非常に働きやすい環境
社員の働く環境を社長自らが改善してくれるため、制度の浸透スピードも速く、非常に働きやすい環境が整っています。総合商社としての規模感を活かしつつ、個人の意見やアイデアを受け入れてくれる社風が魅力で、若手でも早くからチャレンジできる機会が豊富です。
(40代後半・経営コンサルタント・男性) [キャリコネの口コミを読む]※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- 伊藤忠商事株式会社 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)
- 伊藤忠商事株式会社 2025年度 決算実績 / 2026年度 経営計画 説明資料



上場企業の四半期決算から、面接で差がつく「志望動機」や「逆質問」のヒントを導き出す専門チーム。3ヶ月ごとの業績推移と戦略の遂行状況をキャリコネ独自の現場データと照合し、求人票だけでは見えない企業の「現在地」を可視化します。投資家向け情報を、転職希望者が選考を有利に進めるための武器に変える、実戦的な企業研究を配信中。