システムエグゼ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

システムエグゼ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

システムエグゼは東京証券取引所スタンダード市場に上場する独立系IT企業です。特定業種に特化した業務知識と開発力を強みに、顧客企業の基幹システム構築から保守・運用までを一気通貫で提供するシステムインテグレーション事業を展開しています。直近の業績は増収増益と好調に推移しており、安定した成長を続けています。


※本記事は、株式会社システムエグゼの有価証券報告書(第29期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月26日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準はJapan GAAPです。

1. システムエグゼってどんな会社?


システムエグゼの主要事業と企業の特徴を概観します。

(1) 会社概要


1998年に顧客企業のシステム開発を目的として設立されました。その後、大手IT企業とのパートナー契約締結や国内外への拠点展開を進め、事業を拡大してきました。直近では2020年にウイングアーク1stと資本・業務提携を締結し、2026年4月には東京証券取引所スタンダード市場への上場を果たしています。

従業員数は連結で867名、単体で685名です。大株主については、筆頭株主がアセット310合同会社、第2位が東京中小企業投資育成です。上位には創業者や経営陣のほか、資本・業務提携先であるウイングアーク1stも名を連ねており、安定した事業基盤とパートナー企業との強固な関係性が伺えます。

氏名 持株比率
アセット310合同会社 20.96%
東京中小企業投資育成 20.69%
大場康次 6.68%

(2) 経営陣


同社の役員は男性10名、女性0名の計10名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長執行役員は大場康次氏が務めており、社外取締役の比率は20.0%です。

氏名 役職 主な経歴
大場 康次 代表取締役社長執行役員 元日本エンジニアリングシステムズ、大場石材工業所を経て1998年同社入社。2019年より代表取締役社長を務め、2024年より現職。
荻野 弘昭 取締役副社長執行役員 インテリジェントパワー等を経て2008年同社入社。SYSTEMEXE VIETNAM Chairmanを務め、2024年より現職。
後藤 清孝 取締役専務執行役員 エニックを経て1999年同社入社。取締役、常務取締役、専務取締役を歴任し、2024年より現職。
藤林 隆司 取締役専務執行役員 ニッコクソフト等を経て2002年同社入社。2013年より取締役を務め、2024年より現職。
新船 幸広 取締役上席執行役員 CBSリサーチ等を経て2002年同社入社。2015年より取締役を務め、2024年より現職。


社外取締役は、佐藤健(元エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ部門長)、中山裕之(元ジャパンネット銀行常務取締役CIO)です。

2. 事業内容


同社グループは、「システムインテグレーション」事業の単一セグメントで事業を展開しています。

同社グループは、システムインテグレーション事業を展開しています。創業以来培ってきた不動産業、保険業、製造業などの特定業種に特化した業務知識と開発力を強みとし、顧客企業の基幹システム等の企画、設計、構築から保守・運用までを一気通貫で提供するほか、自社開発製品の販売や導入支援も行っています。

収益は、顧客企業から直接受け取るシステム開発や保守・運用にかかる対価が中心であり、直近の連結売上高の約9割が直接取引によるものです。事業の運営は同社が主体となり、連結子会社のシステムエグゼベトナムと連携しながら国内外でのシステム開発やサービス提供を推進しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は順調な拡大を続けており、直近の5期間で一貫して増収を達成しています。利益面についても、安定して黒字を計上しており、当期は前期から大幅な増益となりました。IT投資需要の拡大を背景に、強固な収益基盤を維持しながら成長を続けていることが読み取れます。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 95億円 101億円 114億円 116億円 124億円
経常利益 6億円 6億円 8億円 6億円 8億円
利益率(%) 5.8% 6.0% 7.2% 5.6% 6.5%
当期利益 6億円 9億円 7億円 4億円 6億円

(2) 損益計算書


売上高の増加に伴い、売上総利益および営業利益ともに前期を上回る実績を計上しています。利益率も改善傾向にあり、高付加価値なサービス提供やプロジェクト管理の徹底による収益性向上の取り組みが成果として表れています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 116億円 124億円
売上総利益 33億円 38億円
売上総利益率(%) 28.5% 30.8%
営業利益 6億円 8億円
営業利益率(%) 5.6% 6.5%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が13億円(構成比42%)と最も大きく、次いで支払手数料が3億円(同11%)、賞与引当金繰入額が2億円(同6%)を占めています。売上原価については、外注費が57億円(構成比66%)、労務費が28億円(同32%)を占めており、システム開発における人的リソースへの投資が中心となっています。

(3) セグメント収益


同社はシステムインテグレーション事業の単一セグメントですが、幅広い顧客業種に対してサービスを提供しています。特にサービス業や製造業向けの売上が好調に推移しており、既存顧客を中心とした基幹領域での大型案件の受注が全体を牽引しています。特定の業界に過度に依存しないバランスの取れた事業構造となっています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
不動産業 - 28億円
製造業 - 23億円
保険業 - 15億円
サービス業・その他 - 57億円
連結(合計) 116億円 124億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CFがプラス、投資CFおよび財務CFがマイナスとなっており、本業で稼いだ資金で投資や借入金の返済を賄う健全型のキャッシュ・フロー状態を示しています。企業の収益力を測るROEは10.9%で市場平均を上回る一方、財務の安定性を測る自己資本比率も70.8%で市場平均を上回っています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 1億円 10億円
投資CF -1億円 -1億円
財務CF -3億円 -2億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


三方よしの経営理念を柱に、顧客と共に成長し続け、常に顧客の価値を最大化することにより自社も持続的な成長を果たすことを目指しています。「ITで豊かな未来を創る」をミッションに掲げ、社員が成長する環境を作り、顧客から感謝され、社会に役立つ会社であり続けることを使命としています。

(2) 企業文化


「公平、公正を旨とし、明るくやりがいのある会社」「さわやかに、キビキビと礼儀をまもり、お客様に信頼される会社」などの理念を掲げています。全員参加・全員主役にこだわる「ALL-EXE」の精神のもと、エンドユーザーとの直接取引で培った現場力と解決する力を重んじ、社員自身の成長が会社の成長に繋がるという価値観を持っています。

(3) 経営計画・目標


持続的な成長を実現するため、中長期的な視点で事業変革による収益構造の転換を目指しています。今後の事業拡大に備えた財務体質の強化を図りつつ、株主還元に関する具体的な数値目標として以下の指標を掲げています。

* 連結配当性向:40%以上
* 連結株主資本配当率(DOE):3.5%以上

(4) 成長戦略と重点施策


コアコンピタンスの強化と新たな付加価値の創出による事業変革を成長戦略に掲げています。大型プロジェクトを安定遂行できる体制整備や、独自開発標準「ExecTORA」による品質向上を進めます。さらに、アライアンスパートナーとの連携深化、ベトナムでのオフショア開発の規模拡大、生成AIの活用による生産性向上に注力していく方針です。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


人材こそが価値創出の源泉であり、競争力を左右する最も重要な経営資源であると位置付けています。新卒採用による中核人材の確保とキャリア採用による即戦力人材の獲得を進め、体系化された多彩な研修制度で早期戦力化を図る方針です。また、実績や能力に基づく公正な評価・報酬体系を導入し、多様な働き方に対応した環境整備を進めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 36.9歳 7.7年 5,085,990円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 10.5%
男性育児休業取得率 30.7%
男女賃金差異(全労働者) 71.2%
男女賃金差異(正規) 74.1%
男女賃金差異(非正規) 33.4%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、システムエグゼベトナムにおけるエンジニア人数(157名)、当期エンジニア総数(734名)、当期のキャリア採用数(36名)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 三井不動産グループ等特定顧客への依存


同社は三井不動産グループから安定した受注があり、売上高の約2割を占めています。深い業務理解に基づく継続的な取引が強みである一方、同社グループの事業方針やIT投資動向の変化によっては、同社の業績に影響を与える可能性があります。これに対し、複数業界への展開や新規顧客の開拓によりリスク分散を図っています。

(2) 大手クラウド事業者等への仕入依存


クラウドシフトの加速に伴い、アライアンスパートナーである外資系IT企業からのクラウドライセンス等の仕入が一定の割合を占めています。特定仕入先の業績動向や方針変更により仕入先の変更を余儀なくされた場合、業績に影響を及ぼす懸念があります。そのため、他の大手クラウド事業者との関係構築も推進し、仕入先の拡充に努めています。

(3) システム開発における品質と不具合


顧客に提供するシステムにおいて、誤作動、バグ、納期遅延などの不具合が生じた場合、損害賠償責任の発生や社会的信用の喪失につながるリスクがあります。同社では、独自の開発標準体系である「ExecTORA」を構築し、企画から納品までの各工程で厳格なレビューと品質指標検証を行うことで、全社横断的な品質管理体制を敷いています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。