IHIの転職研究 2026年3月期決算に見るキャリア機会

IHIの転職研究 2026年3月期決算に見るキャリア機会

IHIの2026年3月期決算は、売上収益や営業利益など主要利益項目で過去最高を達成。「なぜ今IHIなのか?」「転職希望者がどの事業で、どんな役割を担えるのか」を整理します。


0 編集部が注目した重点ポイント

物流事業の売却を合意し、成長領域へ経営資源をシフトする

当期(2025年度)にIHIは、IHI物流産業システムの株式80%を2027年4月に豊田自動織機へ売却することを合意しました。新潟トランシスなどの売却完了も含め、前年比の単純比較は難しくなるものの、売却等で得た資金は成長事業へ再投資されます。転職者にとっては、成長領域での新規キャリア機会が拡大する好機となります。

成長事業へ過去最大規模の投資を実行し、事業成長を加速する

同社は、今後3年間(2026年度〜2028年度)で総額6,500億円におよぶ投資計画を策定しました。特に中長期的な成長が見込める民間航空エンジン、防衛、原子力の各事業や宇宙・アンモニア等の育成事業へ優先的に配分し、開発や能力増強を進めます。最先端の技術分野で高い専門性を発揮したい人材にとって大きな魅力です。

過去最高の売上・利益を達成し、3期連続の最高値更新を見込む

2025年度の通期決算は、売上収益が1兆6,434億円、営業利益が1,655億円と、すべての主要項目で過去最高を更新しました。さらに、2026年度は売上収益1兆8,300億円、営業利益2,400億円を計画しており、民間エンジンや防衛、大規模な計画的資産売却などを追い風に、3期連続での最高値更新を見込んでいます。

1 連結業績ハイライト

主要利益項目で過去最高を達成。航空エンジン・防衛・原子力の成長が構造改革費用を十分にカバーし、盤石な財務基盤を構築しています。
2025年度 連結決算実績概要

出典:2025年度(2026年3月期)決算説明資料 P.6

売上収益

1兆6,434億円

+1.0% (YoY)

営業利益

1,655億円

+15.3% (YoY)

親会社株主帰属当期利益

1,609億円

+42.8% (YoY)

※EBITDA = 2,418億円(前年比+12.1%)
※EBITDA = 各セグメント営業利益 + 各セグメント減価償却費(事業活動によるキャッシュ創出力を測る非GAAP財務指標)

当期(2025年度)の連結業績は、航空旅客需要の中長期的な成長を受けた民間エンジンのアフターマーケット事業の拡大や、防衛予算増額に伴う大型案件の進捗、原子力事業の採算向上などにより、主要利益指標で過去最高値を達成しました。エネ海外事業における一部の採算悪化に対して構造改革を徹底的に実行したほか、計画的な資産売却も増益に貢献しています。

本連結決算は通期実績であるため、期初および第3四半期時点の予想を大幅に上回って着地しており、100%以上の極めて順調な推移で完了したと評価できます。収益力の高まりに伴う税効果の改善もあり、親会社の所有者に帰属する当期利益は前期比で482億円の増益となる1,609億円に達し、財務の健全性がさらに向上しています。

2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド

民間エンジンの急回復や防衛の大型案件受注に加え、非コア事業の売却・構造改革を通じた選択と集中をグローバルで加速させています。
報告セグメント別業績内訳

出典:2025年度(2026年3月期)決算説明資料 P.20

資源・エネルギー・環境

【事業内容】 陸用・舶用原動機プラント、カーボンソリューション、原子力機器などの提供および関連するライフサイクルビジネスを展開。

【業績推移】 売上収益3,767億円(前期比8.4%減)、営業利益59億円(同63.1%減)。海外PJの採算悪化に対し、徹底的な構造改革を断行中。

【注目ポイント】 カーボンニュートラルに向け、アンモニアガスタービンの実用化や次世代原子炉(SMR)の製造開発が本格化しています。国内原子力発電の再稼働や除染廃炉を含むライフサイクルビジネスが急拡大しており、エネルギー構造転換を先導するプラント設計や最先端開発を担う専門人材が強く求められています。

[活躍が期待される主な職種]
プラント設計エンジニア、次世代エネルギー開発、プロジェクト管理者

社会基盤

【事業内容】 橋梁・水門、交通システム、シールドシステム、コンクリート建材等の社会インフラ構築および保全。

【業績推移】 売上収益1,319億円(前期比9.6%減)ながら、営業利益は37億円の黒字(前期は42億円の赤字)と大幅な黒字転換を達成。(注:コンクリート建材・交通システムの事業譲渡完了に伴い、前年同期実績からの単純比較は不可)

【注目ポイント】 国土強靱化や既設インフラの予防保全、老朽化更新の需要が強固です。2025年11月1日には橋梁・水門事業会社の統合を行い、業界トップクラスの地位確立を構築。深刻な人手不足に対応するための生産性向上や自動化・DX施工技術を導入できるリーダーが不可欠な状況です。

[活躍が期待される主な職種]
土木施工管理技士、インフラメンテナンス技術者、自動化技術開発

産業システム・汎用機械

【事業内容】 車難過給機、パーキング、回転機械、熱・表面処理、物流・産業システム等の製造・販売およびサービス。

【業績推移】 売上収益4,505億円(前期比7.1%減)、営業利益307億円(同185.0%増)。運搬機械事業などの事業譲渡、車両過給機の構造改革反動が大幅増益に貢献。

【注目ポイント】 欧州拠点の最適化や販売価格改善を進めた車両過給機事業が好調です。また、深刻な労働人口減少に伴う省人化ニーズを追い風に、プロセスの最適化やモビリティ変革に対応した高付加価値自動化ソリューションを現場へ提供できる機動力のある技術職に大きなニーズがあります。

[活躍が期待される主な職種]
機械設計エンジニア、制御系エンジニア、サービス営業

航空・宇宙・防衛

【事業内容】 民間航空エンジン、宇宙利用・ロケットシステム、防衛機器システムなどの先端開発およびサービス。

【業績推移】 売上収益6,517億円(前期比17.3%増)と大幅増収。研究開発費等の先行投資増により、営業利益は1,124億円(同8.4%減)。

【注目ポイント】 運航時間増加による民間エンジンのアフターマーケット事業が堅調に拡大しています。次期戦闘機(GCAP)用エンジンの国際共同開発、防衛力強化政策に伴う大型案件の受注、および修理能力強靱化に向けた鶴ヶ島工場修理棟の新設など、最先端航空宇宙分野で世界最高峰の技術に関わるキャリア機会がかつてない規模で広がっています。

[活躍が期待される主な職種]
航空宇宙技術エンジニア、防衛開発エンジニア、サプライチェーン管理(SCM)

その他

【事業内容】 検査・計測事業、都市開発(豊洲地区を中心とする不動産販売・賃貸)、その他サービス業。

【業績推移】 売上収益843億円(前期比9.2%増)、営業利益358億円(同113.2%増)と大幅な増収増益を達成。(注:当期より都市開発のセグメント組み替えを実行)

【注目ポイント】 豊洲地区の賃貸収入が129億円を稼ぎ出し、グループを下支えする非常に安定的なキャッシュ創出源として機能しています。保有投資不動産の期末公正価値が3,571億円に上り含み益が莫大であるなど、グループ全体の安定経営と投資の裏付けとなる確固たる資産を有しており、アセット開発や保全・計測での専門人材が活躍できます。

[活躍が期待される主な職種]
不動産開発・管理スペシャリスト、計測技術開発、事業企画

【地域別】日本

【事業内容】 国内向けの主要インフラ、原子力発電再稼働、防衛関連事業などの先端開発およびライフサイクルビジネスの展開。

【業績推移】 売上収益比率は49%(前連結会計年度の46%から上昇)となり、国内を主軸とした安定的な事業拡大が続いています。

【注目ポイント】 国内の防衛力強化政策に伴う防衛機器システムの開発加速や、インフラ予防保全・長寿命化工事の拡大が顕著です。安定した顧客基盤から生み出されるストック型ビジネス(ライフサイクルビジネス)を主導し、最先端エンジニアリングを国内現場で主導する管理者が必要とされています。

[活躍が期待される主な職種]
プロジェクトマネージャー、国内営業、インフラエンジニア

【地域別】北米

【事業内容】 民間航空エンジン用スペアパーツの販売、車両過給機のローカル開発・供給事業。

// 業績推移】 海外売上収益の中で最大のシェアを誇る、売上比率26%(前連結会計年度比+1pt改善)の重要地域です。

【注目ポイント】 米国における堅調な経済と航空旅客需要を背景に、航空エンジンの高収益アフターマーケット事業が力強く成長しています。現地の航空事業者やグローバルパートナーとの複雑なサプライチェーンを構築し、国際的な契約交渉や世界基準のMRO(整備)能力の最適化を担う中核人材が不可欠となっています。

[活躍が期待される主な職種]
グローバルSCMスペシャリスト、国際業務担当、航空技術開発

【地域別】アジア

【事業内容】 社会インフラ建設およびエネルギーEPCプロジェクトの推進、地域特化型ライフサイクルサービスの展開。

【業績推移】 売上収益比率は11%(前連結会計年度の16%から低下)。一部のプラント工事や大型案件の進捗、および非コア拠点の整理による影響。

【注目ポイント】 アジア新興国の人口増加・経済開発に紐づくインフラ需要は依然として旺盛です。カーボンニュートラル社会移行を見据え、マレーシアなど現地でのバイオマス燃料、燃料アンモニアなど新しい育成事業のバリューチェーン構築や海外合弁の推進を現地で主導できる機動力のあるビジネスパーソンに活躍の場があります。

[活躍が期待される主な職種]
海外インフラ営業、現地アライアンスマネージャー、EPC技術担当

【地域別】中国

【事業内容】 自動車メーカー向けの車両過給機製造・供給、産業機械関連サービス。

【業績推移】 売上収益比率は6%(前連結会計年度と同水準を維持)となり、現地の急激な自動車トレンドの変化に対応し推移。

【注目ポイント】 世界的なEV普及ペースの鈍化がみられる中で、内燃機関やハイブリッド(HEV)用の車両過給機の開発価値は依然として健在です。現地競合や日系自動車メーカーの動きを正確に把握し、急激に変化する現地メガマーケットでの調達や生産・品質管理を先導できる実力派が歓迎されます。

[活躍が期待される主な職種]
グローバル生産管理、海外ベンダー開発、品質管理マネージャー

【地域別】欧州

【事業内容】 車両過給機事業、熱・表面処理事業、国際共同航空エンジンプロジェクトの推進。

【業績推移】 売上収益比率は6%(前連結会計年度と同水準)。エネルギー高騰や地政学的逆風への対応が続いています。

【注目ポイント】 欧州事業における固定費の最適化など、筋肉質な体質への変革を進める「欧州事業構造改革費用」を計上し、将来の収益力アップに備えています。グローバルな拠点の再編、事業コストの構造改革を一手に担い、現地法人の競争力を再生させる手腕をもつ経営企画・財務プロフェッショナルの需要が高まっています。

[活躍が期待される主な職種]
海外事業企画、経営・組織変革担当、国際財務

【地域別】その他地域(中南米など)

【事業内容】 中南米等の自動車市場向け過給機ビジネス、新興国インフラの技術サービス対応。

【業績推移】 売上収益比率は2%(前連結会計年度の1%から微増)。現地拠点を軸にした小規模ながら機動的なライフサイクルビジネスを展開。

【注目ポイント】 南米等の自動車生産拡大に連動した供給を行いつつ、現地のメンテナンス需要を補足的に取り込んでいます。現地の複雑な法規制や商習慣に対応し、限られたリソースの中で営業基盤を新しく開発しサービスの展開を広げられるフットワークの軽いグローバル開発人材に向いたフィールドです。

[活躍が期待される主な職種]
海外ビジネス開発、技術サポート、海外フィールドサービス

3 今後の見通しと採用の注目点

次期3か年は将来の大幅拡大を見据えた「先行投資と財務基盤強化」の期間。来期は売上・営業利益ともに3期連続での最高値更新を狙います。
2026年度 連結営業利益増減要因見通し

出典:2025年度(2026年3月期)決算説明資料 P.13

IHIは次期3か年(2026年度〜2028年度)において、2029年度以降の営業利益・営業キャッシュ・フローの大幅拡大を実現するための「先行投資と財務基盤強化」に集中的に取り組みます。来期(2026年度)は民間航空エンジンや防衛の飛躍的な成長、および大規模な計画的資産売却により、売上収益1兆8,300億円(前期比11.4%増)、営業利益2,400億円(同45.0%増)と、3期連続の最高値更新を目指す見通しです。

追加情報や質疑応答ベースの取引として、2026年4月に締結された東京都江東区の非流動資産(信託受益権)の譲渡により、その他の収益として約393億円を2027年3月期に計上予定であることが開示されています。さらに、2026年5月にはIHI物流産業システム(ILM)の豊田自動織機への株式譲渡(2027年4月譲渡予定)を合意するなど、中核事業の取捨選択が徹底されています。売却益による投資原資の獲得やリソースのシフトを推進する中、最先端技術のインフラを構築・改革するエンジニアリング職や、経営体制改革を推進するコーポレート系専門人材の採用を強く強化していく方針が明確に示されています。

4 求職者へのアドバイス

HINT

志望動機のヒント

IHIは、2025年度において売上収益、営業利益ともに過去最高を達成し、今後は「グループ経営方針2023」による構造改革を経て、より高成長を果たすステージへと移行します。特に、世界的な旅客需要拡大に伴う民間航空エンジンのアフターマーケット事業や、地政学的リスクを背景にした防衛・宇宙事業の拡大、カーボンニュートラル社会に向けたアンモニアおよび次世代原子炉(SMR)開発など、中長期の成長トレンドに直接貢献できることが大きな魅力です。同社が掲げる2040年の「ありたい姿」の実現に向けて、自身が有する高度な専門技術やプロジェクト管理能力を、これらの社会的インパクトの大きい成長事業に役立てたい、という情熱を示すことが志望動機の強い軸となるでしょう。

Q&A

面接での逆質問例

・民間航空エンジンのアフターマーケット事業(MRO等)や、防衛宇宙、原子力といった成長事業への設備投資やリソースのシフトが急ピッチで進んでいますが、中途入社者が早期にこれらのプロジェクトのコアメンバーとして立ち上がるために、今最も不足しているリソースや期待されるスキルは何ですか?

・2026年度から2028年度までの3か年を「先行投資と財務基盤強化」の期間として、総額6,500億円の投資を推進されています。今後、育成事業であるアンモニアバリューチェーンの構築や宇宙分野の衛星コンステレーション事業において、どのような他社とのアライアンスや新規技術開発が、中途採用の専門人材に期待されていますか?

・物流・産業システム事業の豊田自動織機への譲渡(2027年4月予定)をはじめとする事業ポートフォリオ改革が断行されていますが、これに伴うコーポレート部門や他の事業本部における人的リソースの再配置、あるいは生産性向上に向けた自動化・DX推進について、今から入社する中途採用者に求めている変革の役割について詳しく教えてください。

5 転職者が知っておきたい現場のリアル(口コミ)

決算資料や公式発表だけでは見えにくい、現場で働く社員・元社員の実体験(口コミ)を、転職判断の参考となるよう編集部で選定しています。
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残業時間は非常に短い

月でおよそ10-30時間ほどのため、

ワークライフバランスは取れる会社である。

また、休日出勤について出勤する部署もあるが

もししても振替代休は気軽に取ることが可能な環境である。

(20代後半・男性・経理) [キャリコネの口コミを読む]
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手当を含めて満足できる水準であり、残業代も細かく支給される

特に、専業主婦の妻と子供2人を持つ家庭でも、安定した生活が可能です。ただし、一部の部署ではサービス残業が問題視されており、改善が求められています。

(40代後半・男性・コンサルティング営業) [キャリコネの口コミを読む]

※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。

使用した主な公開資料

  • 株式会社IHI 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)
  • 株式会社IHI 2025年度(2026年3月期)決算説明資料(IFRS)

この記事の執筆者

上場企業の四半期決算から、面接で差がつく「志望動機」や「逆質問」のヒントを導き出す専門チーム。3ヶ月ごとの業績推移と戦略の遂行状況をキャリコネ独自の現場データと照合し、求人票だけでは見えない企業の「現在地」を可視化します。投資家向け情報を、転職希望者が選考を有利に進めるための武器に変える、実戦的な企業研究を配信中。


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