0 編集部が注目した重点ポイント
① 通期の主要利益項目で過去最高の更新を見込む
民間エンジン事業の堅調な伸びと防衛事業の拡大を背景に、2025年度の通期業績予想を上方修正しました。受注高、売上収益、営業利益、当期利益のすべてにおいて過去最高を達成する見通しであり、成長事業へのリソース集中が具体的な数値として結実しています。
② 原子力や防衛の旺盛な需要で受注高が過去最高を記録
第2四半期累計の受注高は前年同期比17.5%増の8,934億円に達し、中間期として過去最高を更新しました。特にエネルギー分野での原子力関連や、防衛力強化の流れを受けた航空・宇宙・防衛事業での大型案件獲得が牽引しており、中長期的な収益基盤の厚みが増しています。
③ 大胆な事業ポートフォリオ改革による構造変化を断行
収益性向上のため、2025年度中に汎用ボイラや運搬機械、交通システムなどの事業譲渡を順次実施しています。さらに、2025年11月1日には橋梁・水門事業の主要2社を統合しました。これら選択と集中により、特定領域での専門性を活かしたキャリア機会が鮮明化しています。
1 連結業績ハイライト
出典:2025年度第2四半期決算説明資料(IFRS) P.3
2025年度第2四半期の売上収益は、前年同期の大型案件の反動や事業譲渡の影響により7,136億円(前年同期比5.8%減)となりましたが、利益面では為替や税金費用の良化等により、親会社所有者帰属中間利益で過去最高を達成しました。民間エンジンのスペアパーツ販売が予想を上回るペースで拡大しており、収益構造の強化が進んでいます。
通期予想に対する進捗については、売上収益で約43.5%、営業利益で約43.4%となっており、年度末に売上が集中する業界特有の傾向を考慮すると、概ね順調に推移していると評価できます。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:2025年度第2四半期決算説明資料(IFRS) P.6
資源・エネルギー・環境
事業内容:原動機、原子力、カーボンソリューション(CS)を展開。脱炭素化を牽引するクリーンエネルギー分野に注力。
業績推移:大型案件の反動で減収、海外子会社の採算悪化により1億円の営業損失となりましたが、受注は前年比+1,846億円と大幅増です。
注目ポイント:原子力事業での旺盛な需要を背景に、事業拡大が加速しています。海外子会社の構造改革を加速させ、早期の収益改善を目指しており、プロジェクト管理やコスト管理の専門スキルを持つ人材の必要性が高まっています。
社会基盤
事業内容:橋梁・水門、シールドシステム等。2025年11月1日にインフラシステム社とインフラ建設社が統合。
業績推移:売上高は592億円と前年並みを維持。橋梁・水門の収益改善により、営業損失は前年の48億円から33億円へ縮小しました。
注目ポイント:事業譲渡予定の交通システム事業での減損計上はありますが、主力である橋梁・水門では安定的な収益化が進んでいます。統合によるシナジー創出が進む中、国内トップクラスの地位を確立するための技術者・管理者の活躍の場が広がっています。
産業システム・汎用機械
事業内容:車両過給機、パーキング、物流・産業システム等。事業ポートフォリオ改革の最前線セグメント。
業績推移:事業譲渡による減収がある一方、営業利益は170億円(前年比+180億円)と大幅に黒字転換しました。
注目ポイント:車両過給機事業において販売価格の改善や固定費削減の取り組みが奏功しています。米国関税影響を顧客負担とする交渉が進むなど、タフな事業環境下で収益を守る経営力が発揮されており、合理化・効率化の実務経験が重視される環境です。
航空・宇宙・防衛
事業内容:民間航空エンジン、防衛向けエンジン・装備品、宇宙事業(ロケットシステム等)を展開。
業績推移:売上高2,739億円(前年比+262億円)。民間エンジンのアフターマーケットと防衛事業が共に増収を記録。
注目ポイント:利益率は20.0%と高い水準を維持。民間エンジンではスペアパーツ販売がCAGR(年平均成長率)20%程度の拡大を見込んでおり、鶴ヶ島工場での修理棟新設など、積極的な設備投資が進行中です。防衛・宇宙という国の重要戦略に関わるキャリアを構築できます。
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:2025年度第2四半期決算説明資料(IFRS) P.18
2025年度通期では、営業利益を前回予想から100億円上方修正し、1,600億円の過去最高益を目指しています。民間航空エンジンのアフターマーケット需要の拡大と防衛事業の拡大が最大の牽引役です。一方で、リソース確保に向けた人財への集中投入や、DX高度化による生産性向上が急務となっており、キャリア採用を通じた即戦力確保への期待が高まっています。
質疑応答等でも言及されている通り、カーボンソリューション事業の海外子会社における構造改革や、明星電気の事業譲渡(2026年2月完了予定)など、「持続的な高成長企業」への飛躍に向けたポートフォリオ改革が継続されます。グローバルなサプライチェーンの逼迫に対応するためのパートナー連携など、外部環境への適応力も今後の鍵となります。
4 求職者へのアドバイス
IHIは現在、重厚長大産業の枠を超え、「ライフサイクルビジネス(LCB)」への転換を強力に推進しています。特に航空エンジンのアフターマーケットでの高成長や、原子力・防衛といった「社会の重要課題」に直接関われる点は大きな魅力です。「安定した基盤の上で、新しいビジネスモデルの構築に携わりたい」という意欲が、高く評価される時期にあります。
「民間エンジンのスペアパーツ需要の伸びに対応するため、人財の集中投入を行っているとのことですが、具体的に中途入社者にはどのような役割が期待されていますか?」「事業ポートフォリオ改革により組織が再編されていますが、異なる事業文化の融合に向けてどのようなマネジメント上の工夫をされていますか?」といった、構造改革の具体性に踏み込んだ質問が有効です。
5 転職者が知っておきたい現場のリアル(口コミ)
寮や社宅が非常にリーズナブルで魅力的
福利厚生については、寮や社宅が非常にリーズナブルな価格で提供されており、数千円から1万円程度で利用できるのが魅力です。
(40代前半・システムエンジニア・男性) [キャリコネの口コミを読む]管理職としてのプレッシャーが大きい
育児休暇を取得しても昇進が早い分、求められる成果や能力は高く、実力が伴わないと管理職としてのプレッシャーが大きくなることもあります。
(40代前半・コンサルティング営業・男性) [キャリコネの口コミを読む]※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- 2025年度(2026年3月期) 第2四半期決算説明資料(IFRS)
- 2026年3月期 第2四半期(中間期)決算短信〔IFRS〕(連結)



2019年より企業口コミサイト「キャリコネ」担当として、数多くの企業の口コミ情報、決算資料、中期経営計画を横断的に分析。現在はリサコ編集部長として、一次情報と現場の声を突き合わせた企業研究コンテンツの企画・編集・品質管理を統括し、転職希望者の意思決定に資する情報提供を行っている。