0 編集部が注目した重点ポイント
①海外2社を子会社化しグローバル展開を加速
海外拠点の拡充として、2025年5月にイタリアのEdizioni BD S.r.l.、同年11月にシンガポールのSOZO Pte. Ltd.のM&Aを完了し連結子会社化しました。これにより欧州での翻訳出版や東南アジアでの大型アニメイベントの展開が強化され、海外事業でのキャリア機会が大きく広がる見込みです。
②新スタジオ設立等でアニメ制作体制を強化
2026年3月に育成・制作一体型の新アニメスタジオである株式会社KADOKAWAクリエイターズを新設したほか、同年秋には巨大アニメ制作拠点「Studio One Base」を稼働予定です。中長期的な利益成長に向け、アニメ内製率を50%へ向上させる制作体制の構築を推進中です。
③出版事業の構造改革が発現し4Qで営業増益
国内出版事業において、価格改定や販売施策の最適化など事業構造改革の成果が第4四半期(当4Q)から顕在化しました。前年のサイバー攻撃影響が消失したことやメディアミックス効果も相まって、第4四半期の出版セグメント営業利益は前期比70.7%増と大幅な改善を見せています。
1 連結業績ハイライト
出典:2026年3月期_通期_決算説明資料 P.4
売上高
282,908百万円
前期比: +1.8%
営業利益
8,102百万円
前期比: ▲51.3%
経常利益
11,701百万円
前期比: ▲34.1%
EBITDA
17,600百万円
前期比: ▲29.3%
※EBITDA = 営業利益 + 減価償却費 + のれん償却額
当期の連結業績は、売上高が前年のサイバー攻撃影響からの回復や海外拠点の成長により微増収となった一方で、営業利益は出版事業におけるタイトルの小規模化、アニメ事業での制作コスト上昇等により大幅な減益を余儀なくされました。経常利益は為替差益の発生が寄与し、営業利益よりも減益幅が縮小しています。また、通期の売上高への為替影響は約+3億円のプラス要因となりました。
通期予想に対する進捗評価としては、売上高は期初見通しを上回り堅調に推移しましたが、利益項目に関しては構造改革の遅れや評価損の計上により計画未達となっており、進捗が遅れている状況です。ただし、第4四半期単体では複数セグメントで増益に転じており、来期に向けた収益体質の改善兆しが見られます。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:2026年3月期_通期_決算説明資料 P.9
出版・IP創出事業
【事業内容】
株式会社KADOKAWA等が、紙・電子書籍の出版販売やWeb広告販売を展開。「カクヨム」等を通じた新規IPの創出も担う中核事業です。
【業績推移】
売上高は1,556億34百万円(前年同期比+2.8%)、営業利益は40億54百万円(同▲51.6%)。海外や第4四半期の改革成果が寄与も、通期では減益。
【注目ポイント】
国内市場でのタイトル小規模化に対し、製造流通DXプロジェクトを通じた価格戦略の推進や適正な部数設定が急務です。また、イタリアのEdizioni BD等海外拠点の拡張に伴い、作品をグローバルにローカライズ・流通させる知見を持つ人材の重要性が高まっています。
アニメ・実写映像事業
【事業内容】
株式会社KADOKAWAや株式会社角川大映スタジオ等が、アニメ・実写映像の企画制作・配給、配信権許諾などを行います。
【業績推移】
売上高は482億56百万円(前年同期比▲5.6%)、営業損失は4億65百万円。新作構成比の上昇と制作費高騰により減収減益となりました。
【注目ポイント】
中長期のIP価値最大化のため、アニメ制作の内製化率向上を掲げ「Studio One Base」や株式会社KADOKAWAクリエイターズを新設。また、株式会社アニメックを通じた配給事業強化も進んでおり、高品質な制作進行管理やグローバル配給の知見を持つ人材が不可欠です。
ゲーム事業
【事業内容】
株式会社フロム・ソフトウェアや株式会社スパイク・チュンソフト等が、コンソール・PC・モバイル向けゲームの開発・販売を担います。
【業績推移】
売上高は297億81百万円(前年同期比▲11.4%)、営業利益は75億41百万円(同▲20.9%)。前期の大型作の反動により減収減益です。
【注目ポイント】
『ELDEN RING』等での高いブランド力を活かし、新作『The Duskbloods』などのパイプライン拡張が進んでいます。また自社アニメIPのモバイルゲーム化も注力領域であり、ハイエンドゲームの開発力とモバイルの運用ノウハウの双方で技術力が求められています。
Webサービス事業
【事業内容】
株式会社ドワンゴが、「ニコニコ」を中心とした動画コミュニティ運営や、大型イベントの企画運営を行います。
【業績推移】
売上高は205億15百万円(前年同期比+13.7%)、営業利益は21億17百万円と黒字転換を果たしました。
【注目ポイント】
サイバー攻撃影響からの回復に加え、ITインフラ費用の適正化が奏功しました。今後はサブスクモデル依存からの脱却と、クリエイターエコノミーの最大化が目標となります。また、同社のエンジニア人材をグループ全体のDX推進に活用する方針も示されています。
教育・EdTech事業
【事業内容】
株式会社バンタンが専門校を、株式会社ドワンゴがN高等学校等や「ZEN大学」向け教育システム・コンテンツを提供します。
【業績推移】
売上高は171億66百万円(前年同期比+13.5%)、営業利益は28億44百万円(同+19.4%)と順調な成長です。
【注目ポイント】
「KADOKAWAアニメ・声優アカデミー」等、グループシナジーを活かしたスクール展開や「ZEN大学」の開学により生徒数が力強く増加しています。グループ全体のクリエイティブを支える人材輩出機関としても位置づけられており、教育コンテンツ企画やEdTech開発の重要性が増しています。
その他事業
【事業内容】
株式会社KADOKAWAがMD事業や「ところざわサクラタウン」等の施設運営、SOZO Pte. Ltd.等がイベント事業を行います。
【業績推移】
売上高は170億31百万円(前年同期比▲4.7%)、営業損失は39億66百万円。組織再編の影響もあり減収です。
【注目ポイント】
当事業よりSOZO Pte. Ltd.が新規連結され、東南アジアでのアニメイベント展開が本格化しています(前年同期は未連結のため単純比較不可)。施設運営では不採算事業の撤退とパートナー共創によるコスト適正化が進められており、事業再建の手腕が問われるフェーズです。
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:2026年3月期_通期_決算説明資料 P.35
2027年3月期は、売上高3,003億円(前期比6.1%増)、営業利益101億円(同24.7%増)と増収増益を見込んでいます。新中期経営計画では、出版部門での価格戦略や返品率改善を通じた構造改革効果の刈り取りと、アニメ部門でのラインナップ強化・スタジオ内製化によるLTV(顧客生涯価値)の最大化が中核に据えられています。
特に海外事業においては、北米のリテール事業新設(KADOKAWA Retail Ventures, LLC)やイタリア・東南アジア拠点のM&Aを通じ、グローバルなIP流通網の構築が急務となっています。採用市場においては、単なるコンテンツ制作にとどまらず、テクノロジーを活用した出版DXの推進や、データ分析に基づくマーケティング、さらには海外拠点を巻き込んだグローバルな版権ビジネスを牽引できるプロフェッショナル人材の需要が極めて高くなっています。
4 求職者へのアドバイス
志望動機のヒント
面接では、「IPのLTV最大化」に対するあなた自身の貢献方法を具体的に語ることが有効です。例えば、アニメ内製化の推進や、出版製造流通DXプロジェクトによる返品率改善など、企業が直面している事業構造改革の課題に対して、これまでの経験(データ分析、業務プロセス改善、海外展開など)をどう活かせるか結びつけると説得力が増します。
面接での逆質問例
- 新中期経営計画で掲げられているグローバル・メディアミックスの推進において、配属予定の部署では具体的にどのような海外拠点との連携業務が発生しますか?
- アニメ事業の内製率50%という目標に向けて、クリエイターとビジネスサイドが連携する上で、現在現場で最も重視されている課題は何でしょうか?
5 転職者が知っておきたい現場のリアル(口コミ)
自分で仕事を進めていける部分はやりがいがあった
上司にうまく提案できれば、ある程度の裁量をまかされ、自分で仕事を進めていける部分はやりがいがあった。ただ実績に対する評価は上司次第で、理解があれば協力や評価をしてもらえるが、なければそれなりの結果を出しても評価してもらえないことあった。
(30代後半女性・クリエイティブ関連職・契約社員) [キャリコネの口コミを読む]他部署などと連携を取って広げていくことが出来る
出版から映像、その他事業も含めたエンターテインメントカンパニーです。そのため、全社的に動くことなどに携われば、大きなことに携わることとなり勉強になりました。その人次第で、他部署などと連携を取って広げていくことが出来るので、大きなことを行うやりがいはあると思います。
(30代前半女性・法人営業・契約社員) [キャリコネの口コミを読む]※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)
- 2026年3月期 通期 決算説明資料



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