0編集部が注目した重点ポイント
① 社外取締役過半の新経営体制でガバナンスを刷新する
2026年6月より、千歳喜弘代表取締役社長のもと社内取締役体制を一新し、社外取締役を過半数(5名中3名新任)とする新経営体制を構築しました。取締役会事務局や経営改革室を新設し、透明性と監督機能を備えた内部管理体制の再整備を推進しています。
② 内部統制再構築に向け100〜200名規模を増員する
不適切会計事案の再発防止策として、経理・会計処理や内部統制の機能を劇的に強化するため、100〜200名規模の社内増員計画を進めています。ガバナンスと経理基盤を強化し、2027年内の特別注意銘柄指定解除を目指す中で、管理部門プロフェッショナルの採用枠が拡大しています。
③ 事業利益745億円を確保しコア事業へ集中する
減損損失等の計上により最終赤字となったものの、本業の収益力を示す事業利益は前期比6.1%増の745億円を達成しました。強みを持つ産業ガスや先端半導体、防災、エネルギー等のコア事業への選択と集中を加速させ、再成長軌道への転換を進めています。
1連結業績ハイライト
出典:2025年度 通期業績 決算説明資料 P.12
売上収益
1兆668億円
前期比 +5.3%
事業利益
745億円
前期比 +6.1%
営業利益
△372億円
前期比 赤字転換
親会社所有者帰属利益
△639億円
前期比 赤字転換
※事業利益=営業利益から非経常的な事由・要因(減損損失、事業撤退影響、段階取得差益、調査関連費用等)により一時発生した損益を除いて算出する独自の数値指標
当連結会計年度の売上収益は、産業ガスの価格改定や半導体向けガス、歯愛メディカルの新規連結効果等により、前期比5.3%増の1兆668億円と増収を確保しました。営業利益から一時要因を除いた事業利益も、ガス価格施策や防災・デンタル領域の伸長により前期比6.1%増の745億円へ成長しました。一方で、海外投資案件を中心としたのれん・固定資産の減損損失(▲1,080億円)や不適切会計調査関連費用(▲130億円)を計上したため、営業利益は▲372億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は▲639億円の赤字着地となりました。
通期業績としては減損損失の一括処理により最終損失となったものの、本業の収益力と過去最高の営業キャッシュ・フロー(1,076億円)を背景に年間配当75円を維持しており、経営基盤の立て直しと再成長に向けた進捗は順調と評価できます。
2事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:2025年度 通期業績 決算説明資料 P.30
デジタル&インダストリー
事業内容:国内・海外における産業ガス(酸素、窒素、アルゴン等)の供給、半導体向け特殊ガス・機器、高出力UPS(無停電電源装置)等を展開しています。
業績推移:売上収益3,299億円(前期比4.2%減)、事業利益326億円(同3.6%減)、営業損益は海外事業の減損計上(▲704億円)等により▲409億円となりました。
注目ポイント:生成AI向けの先端半導体向けガスや製造装置向け熱制御装置が絶好調です。産業ガスの価格転嫁を進める一方で、インド・北米等の海外事業再構築やサプライチェーン合理化を進めるプラントエンジニアや海外事業管理人材が求められています。
注目職種:半導体用ガス技術エンジニア、産業ガプラントエンジニア、海外事業PMI担当
エネルギーソリューション
事業内容:LPガス・灯油の販売、LNG関連機器・工事、炭酸ガス・水素ガスの供給、液化バイオメタン等の低炭素事業を手掛けます。
業績推移:売上収益985億円(前期比6.3%増)、事業利益101億円(同23.2%増)と大幅な増益を達成しました。
注目ポイント:炭酸ガス・水素の価格改定や家庭向けLPガスの単価調整が奏功しました。データセンター向け水素需要やバイオメタン等のグリーンイノベーション推進に伴い、エネルギー事業の企画開発者や営業専門職の採用が活発化しています。
注目職種:エネルギー事業開発、水素・脱炭素技術エンジニア、エネルギー法人営業
ヘルス&セーフティー
事業内容:医療用ガス、病院設備工事、在宅医療、注射針、ガス消火設備工事、歯科材料・通販等を包括展開します。(注:当期より歯愛メディカルを新規連結したため単純比較不可)
業績推移:新規連結効果等により売上収益2,685億円(前期比21.8%増)、事業利益162億円(同20.0%増)と大幅増収増益となりました。
注目ポイント:データセンターや電力施設向けガス消火設備が好調で、歯愛メディカル連結によるデンタル通販が拡大しています。医療・防災・衛生領域で高いマーケットシェアを誇り、新領域での営業や技術開発人材への需要が非常に高まっています。
注目職種:防災設備設計施工エンジニア、医療用ガス・機器営業、デンタルEC企画
アグリ&フーズ
事業内容:農産物の調達・加工・流通・小売、ハム・デリカ・冷凍野菜製造、清涼飲料OEM受託を行っています。
業績推移:売上収益1,530億円(前期比2.2%増)、事業利益71億円(同9.2%増)と着実に増分を積み上げました。
注目ポイント:原材料高に対しハム・デリカの価格マネジメントや青果小売の店舗運営合理化が進展しました。契約農場拡大や農産物の高付加価値加工・流通プラットフォーム構築を進めるアグリビジネスおよび商品開発担当者が活躍できます。
注目職種:アグリビジネス開発、食品商品開発エンジニア、農産物調達バイヤー
その他の事業
事業内容:製塩・環境資材・バイオマス発電(赤穂・苅田等)、食品・医療ロジスティクス、エレクトロニクス専門商社等を包括します。
業績推移:売上収益2,169億円(前期比5.4%増)、事業利益134億円(同13.6%増)と堅調な伸長を示しました。
注目ポイント:物流での受託料金適正化や米穀物流の新規獲得、バイオマス発電の燃料価格低下が貢献しました。グループ全体の物流網最適化や新素材・技術の商社機能を担う物流企画・ソリューション営業が求められています。
注目職種:物流ソリューション企画、運行管理オペレーター、専門商社営業
3今後の見通しと採用の注目点
出典:2025年度 通期業績 決算説明資料 P.25
2027年3月期(2026年度)の通期業績予想は、売上収益1兆1,400億円(前期比6.9%増)、事業利益764億円(同2.6%増)、営業利益480億円(黒字転換)と、本業の拡大によりV字回復を見込んでいます。不適切会計事案に対する外部サポート費用(自主点検対応、特別調査委員会、監査対応等で約250億円)が一時的に発生するものの、社内人件費への置き換えを含め100〜200名規模の内部管理人材の増員計画を進めています。社外取締役過半数の新体制のもと、ガバナンスと内部統制の再構築を進め、2027年内の特別注意銘柄指定解除と産業ガス・先端分野への集中的な成長投資による再成長軌道を目指しています。
4求職者へのアドバイス
志望動機のヒント
企業風土・ガバナンス・内部統制の根本的改革を進めると同時に、強みを持つ産業ガスや先端半導体、エネルギー、防災分野への選択と集中を加速させています。「これまでの経理・ガバナンス経験や技術的専門性を活かして、組織の信頼回復と成長事業の拡大にどのように貢献できるか」を力強く語ることが面接での大きな評価に繋がります。
面接での逆質問例
- 100〜200名規模の管理部門増員が計画されていますが、新設された経営改革室や経理部門において中途採用者が早期に活躍するための育成・サポート体制はどのように整えられていますか。
- 社外取締役が過半数を占める新経営体制のもとで、事業ポートフォリオの見直しや現場の意思決定プロセスはどのように変化していますか。
- 生成AI向け先端半導体やデータセンター向けエネルギー需要が旺盛な中、デジタル&インダストリー等の成長分野における今後の技術開発・投資の注力テーマを教えてください。
5転職者が知っておきたい現場のリアル
住宅関連の制度が充実している
借上社宅制度や独身寮、退職金制度、持株会、財形貯蓄制度、資格取得支援制度などが整備されており、住宅関連の制度が充実している。
(30代前半・研究開発・男性) [キャリコネの口コミを読む]※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)
- 2025年度 通期業績 決算説明資料(自主点検 補足資料)



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