0 編集部が注目した重点ポイント
①海外事業で減損損失229億円を計上し構造改革へ
2026年3月期において、海外子会社MIMSグループ等にかかる無形固定資産の減損損失229億円を特別損失として計上しました。製薬会社の予算抑制長期化や中東情勢の悪化が要因です。今後は低コスト国へのオペレーション移管や外部提携を通じ、収益構造の抜本的見直しを進める計画です。
②2027年3月期より報告セグメントを3区分に再編
2026年1月の新経営体制移行に伴い、従来の単一セグメントから「キャリア」「介護・障害福祉経営支援」「海外」の3セグメントへ報告区分を変更します。事業ご手の責任明確化と成長投資の最適配分が推進され、求職者にとっても各事業領域での専門キャリアの道筋が明確化されます。
③2031年3月期に向けた新成長ロードマップを発表
第三創業期の開幕として、2031年3月期に売上高1,220億円以上、EBITDA 280億円以上、ROE 30%以上を目指すロードマップを策定しました。労働集約型からAI・データを活用した資本集約型モデルへ変革し、企業価値向上委員会を新設してガバナンス体制を強化します。
1 連結業績ハイライト
出典:2026年3月期 決算及び会社説明資料 P.6
※EBITDA = 営業利益 + 減価償却費 + のれん償却費(事業の創出キャッシュフローを測る指標)
2026年3月期の連結業績は、売上高が前期比6.2%増の64,735百万円となり22期連続の増収を達成しました。営業利益は同7.1%増の6,787百万円、EBITDAは同11.0%増の11,406百万円と堅調に推移したものの、キャリア分野や海外分野での売上回復の遅れと成長投資により、期初計画(売上高67,544百万円、営業利益7,287百万円)に対しては未達となりました。
また、海外事業におけるMIMSグループ等の無形固定資産について22,957百万円の減損損失を特別損失として計上した結果、親会社株主に帰属する当期純損益は△14,317百万円の赤字に転落しました。ただし、減損損失はキャッシュアウトを伴わないため、年間配当は1株当たり29.5円と1.0円増配を維持しています。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:2026年3月期 決算及び会社説明資料 P.20
キャリア分野(医療・介護人材紹介 / DR)
【事業内容】
看護師、介護職、保育士等の医療・介護従事者に特化した人材紹介(「ナース専科 転職」等)およびダイレクトリクルーティング(DR「ウェルミージョブ」)の運営。
【業績推移】
売上高 38,276百万円(前期比 +5.7%)、介護キャリア売上20,487百万円(同 +6.0%)、医療キャリア売上17,788百万円(同 +5.3%)。
【注目ポイント】
求職者の入職リードタイム長期化や勤続支援金廃止などの外部環境変化に対し、第4四半期から改善傾向が見られます。今後はキャリアパートナー(CP)のマッチングノウハウをAIによりモデル化し、CP1人当たり生産性を50%向上させるAIプラットフォーム化を推進します。
介護・障害福祉経営支援分野(カイポケ・かべなしクラウド)
【事業内容】
介護・障害福祉事業者向けのクラウド型経営支援SaaS「カイポケ」「かべなしクラウド」、ファクタリングや金融・M&A支援等の提供。
【業績推移】
売上高 13,715百万円(前期比 +14.7%)。会員数は60,800事業所(27,000法人)に拡大し、通期純増5,250事業所を達成。
【注目ポイント】
月次解約率0.6%未満と極めて高い顧客粘着性を誇り、有料オプション利用拡大やM&A仲介が成長に寄与しています。居宅介護支援等のハブとなる「カイポケコネクト」への進化や、成長ポテンシャルの高い障害福祉領域への横展開を進めており、SaaSのプロ幹部やカスタマーサクセス人材の需要が急増しています。
海外分野(メディカルプラットフォーム / グローバルキャリア)
【事業内容】
APACを中心とした製薬会社向けマーケティング支援(MIMS)および国際間の医療従事者クロスボーダー人材紹介。
【業績推移】
売上高 8,851百万円(前期比 △5.7%)。製薬顧客の特許切れに伴う予算削減や中東情勢悪化が影響。
【注目ポイント】
大型減損処理を機に、オペレーションの低コスト国移管による収益性改善や、他社との業務提携・外部資本の活用を含めた抜本的な事業見直しを推進中です。一方で欧米・豪州等の巨大市場における医療人材供給ニーズは強固であり、海外事業の再構築を担う経営企画・PMI人材が必要とされています。
その他(事業開発分野:ヘルスケア / シニアライフ等)
【事業内容】
企業・健康保険組合向け特定保健指導・リモート産業保健(ヘルスケア)およびリフォーム・終活プラットフォーム(シニアライフ)。
【業績推移】
事業開発分野売上高 3,893百万円(前期比 +14.6%)。新領域サービスの開発・育成が順調に進展。
【注目ポイント】
健康経営需要の高まりを受けてICTを活用した遠隔保健指導や産業保健支援が拡大しています。高齢社会の困りごと解決に向けた新規事業を継続創出しており、0から1を生み出す事業開発人材や新規営業プロフェッショナルが活躍できるフィールドです。
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:2026年3月期 決算及び会社説明資料 P.19
2027年3月期の通期連結業績見通しは、売上高が前期比11.0%増の71,834百万円(23期連続増収計画)、営業利益は同0.2%増の6,801百万円、EBITDAは同9.0%減の10,431百万円を見込んでいます。2027年3月期は中長期の飛躍に向けた「足場固めの年」と位置づけ、将来の収益基盤構築に向けて約20億円の成長投資を投下します。
主な投資項目として、キャリアパートナーの通年積極採用、DRにおける営業・カスタマーサクセス機能強化、カイポケコネクトの開発、障害福祉SaaSの営業体制強化などを挙げ展展開します。また、キャピタルアロケーションにおいて5年間で750億円以上の営業キャッシュフローを創出し、プログラマティックM&Aやプロダクト投資を積極的に推進する方針です。
4 求職者へのアドバイス
志望動機のヒント
エス・エム・エスは、「労働集約型ビジネス」から「AI・データを活用した資本集約型モデル」への構造転換という大きな変革期を迎えています。
面接では、「単に人材紹介やSaaSの営業を行うだけでなく、AIやデータを掛け合わせた高付加価値な情報インフラを構築したい」という姿勢や、「カイポケのプラットフォーム化(カイポケコネクト)や障害福祉領域への横展開を通じて、高齢社会の構造課題解決に直接寄与したい」というストーリーを語ることがきわめて有効です。
面接での逆質問例
- 「新ロードマップで示されたキャリアパートナーのマッチング能力のAIモデル化に関して、現場の営業・CP業務プロセスは今後具体的にどのように進化する予定でしょうか?」
- 「カイポケコネクトの構築や障害福祉SaaS(かべなしクラウド)の拡張にあたり、配属予定部署で今最も期待されている役割や課題は何ですか?」
- 「2027年3月期の先行投資20億円の実行において、私が関わる事業領域ではどのような新規取り組みや組織強化が優先される計画でしょうか?」
5 転職者が知っておきたい現場のリアル(口コミ)
良い会社だと思いました
良い会社だと思いました。とくに大きなギャップはなかったです。多くの社員は年収500万を超えることに対してある程度メリットを享受している印象でした。
(企画営業・30代前半・男性) [キャリコネの口コミを読む]月の残業時間40時間程度、大幅な減給も近年は無くなるなど居座りやすい構造
長く在籍している一部社員がマウントを取っていたりと、実力がないものの会社に残ろうとする人もおり(年収500万以上、月の残業時間40時間程度、大幅な減給も近年は無くなるなど居座りやすい構造になっている。
(企画営業・30代前半・男性) [キャリコネの口コミを読む]※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)
- 2026年3月期 決算及び会社説明資料



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