0編集部が注目した重点ポイント
① 業務用カメラ等に続きヘルスケア事業から撤退
「VISION2025」における再構築事業の構造改革の一環として、ヘルスケア事業からの撤退を決定しました。2026年9月末での医療用画像モニターなどの生産終了や、ドイツ連結子会社Rein Medicalの株式譲渡(2026年1月完了)により、セーフティ&セキュリティ分野の事業ポートフォリオ整理が概ね完了し、主力事業への集中投資が期待されます。
② コンテンツ販売好調でエンタテインメント分野が大幅増益を達成
エンタテインメント ソリューションズ分野においては、メディア事業が米国関税措置の影響を受けたものの、エンタテインメント事業のコンテンツ販売が好調に推移しました。さらに業務用ビデオカメラの撤退効果も発現し、同分野の事業利益は前年同期比36.2%増と大幅な増益を達成しています。
③ 自己株式の取得と消却を実行し次期配当を20円に増配予想
安定的な利益還元と資本効率性の向上を目的とし、当期において約30億円の自己株式取得および全株の消却を実行しました。また、次期(2027年3月期)の配当予想については、新中期経営計画「VISION2030」の方針に基づき、1株当たり年間配当金を20円(前期比2円増配)に設定するなど、株主還元の強化を進めています。
1連結業績ハイライト
出典:決算説明資料 P.5
売上収益
3,568億円 (前年同期比 3.6%減)
事業利益
208億円 (前年同期比 17.5%減)
営業利益
205億円 (前年同期比 5.7%減)
税引前利益
216億円 (前年同期比 7.8%減)
※事業利益 = 売上収益 - 売上原価 - 販売費及び一般管理費(主として一時的な要因からなる収益・費用、為替差損益などを含まない、経常的な業績を測る指標)
2026年3月期の通期決算は、売上収益が前年同期比3.6%減、事業利益が同17.5%減となりました。セーフティ&セキュリティ分野において無線システムの部品供給不足による生産・販売減が主に民間市場で発生したことに加え、モビリティ&テレマティクスサービス分野およびエンタテインメント ソリューションズ分野のメディア事業において米国の関税措置による影響を大きく受けたことが、全社的な減収減益の主な要因です。
進捗状況の評価としては、通期実績として減収減益となったものの、会社側は期初の想定に基づき「全社ではほぼ業績予想通りの結果」と評価しており、着地としては概ね順調と捉えられています。構造改革に伴う一時費用の減少や、固定費の削減策が一定の利益下支え効果をもたらしています。
2事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:決算説明資料 P.6
モビリティ&テレマティクスサービス分野
事業内容:カーナビ、ドライブレコーダー、車載用スピーカー等のOEM製品、テレマティクスソリューションなどの製造・販売を展開しています。
業績推移:売上収益は1,957億円(前年同期比3.7%減)と減収でしたが、事業利益は53億円(同10.6%増)の増益でした。
注目ポイント:米国関税措置や海外OEMの中国経済低迷の影響を受けましたが、国内用品の好調な販売とアフターマーケットでの価格改定が利益改善に大きく貢献しました。複雑化する車載機器のサプライチェーンにおいて、利益水準を確保しつつ需要を最適化するための調達・供給管理の専門人材が重要視されています。
注目職種:サプライチェーンマネジメント(SCM)担当、国内・海外OEM向け法人営業、車載機器の価格戦略担当
セーフティ&セキュリティ分野
事業内容:業務用・アマチュア無線機器、セキュリティシステムなどの製造・販売を行っています。
業績推移:売上収益は946億円(前年同期比5.3%減)、事業利益は127億円(同31.4%減)と減収減益でした。
注目ポイント:部品供給不足や米国政府機関の閉鎖による予算執行遅延の影響を受けました。一方で、ヘルスケア事業の撤退を決定し主力である無線システム事業へのリソース集中を鮮明にしています。アナログからデジタルへの切り替え需要や危機管理需要は堅調であり、次世代通信システムの高度化を担うエンジニアの役割が拡大しています。
注目職種:無線通信システムエンジニア、公共安全市場向け海外営業、プロジェクトマネージャー
エンタテインメント ソリューションズ分野
事業内容:ヘッドホン、プロジェクター、コンテンツの販売・配信などのエンタテインメント事業を展開しています。
業績推移:売上収益は568億円(前年同期比1.9%減)でしたが、事業利益は25億円(同36.2%増)の大幅増益でした。
注目ポイント:メディア事業が関税の影響を受けましたが、エンタテインメント事業でのコンテンツ販売の好調と、業務用ビデオカメラ撤退による収益性改善が利益を押し上げました。より利益率の高いソフト・コンテンツ領域での企画開発や、関税対策を含めた海外生産地の最適化を進める人材が求められています。
注目職種:コンテンツ企画担当、生産地移管・グローバル購買戦略スペシャリスト
その他
事業内容:サービスパーツなどの提供を行っています。
業績推移:売上収益は96億円(前年同期比5.3%増)、事業利益は2億円(前年は赤字)の黒字転換でした。
注目ポイント:全社に占める売上規模は限定的であるものの、売上高を確実に伸ばし事業利益の黒字化を達成しており、顧客基盤を支える安定的なサービス提供の維持に貢献しています。
注目職種:サービスパーツ管理、アフターサポート部門
3今後の見通しと採用の注目点
出典:決算説明資料 P.17
次期(2027年3月期)の通期業績予想は、売上収益3,640億円(前年同期比2.0%増)、事業利益234億円(同12.1%増)の増収増益を見込んでいます。セーフティ&セキュリティ分野においては、上期を中心に米国政府機関の閉鎖による予算執行の遅延影響などのリスクを想定しつつも、無線システムの部品供給不足からの回復やアナログからデジタルへの置き換えによる堅調な需要の継続を見込んでいます。
一方で、メモリーの供給不足および価格高騰、緊迫する中東情勢などの地政学リスクへの対応が引き続き課題として認識されており、全体最適を図るサプライチェーンマネジメント(SCM)の徹底が急務です。また、ハイブリッド通信(LMRとブロードバンドの融合)領域における外部企業との協業深化なども推進しており、従来のハードウェア中心からソリューション・サービス型のビジネスモデルへの移行を推進できる人材の需要がますます高まっています。
4求職者へのアドバイス
志望動機のヒント
JVCケンウッドは「VISION2025」での再構築事業の構造改革(ヘルスケア事業の撤退など)を完了し、現在は成長牽引事業への集中投資とソリューション提供企業への進化を進めています。志望動機では、同社が推進する「アナログからデジタルへの切り替え」や「ハイブリッド通信領域での協業」に対し、自身のスキルをどう生かして顧客課題を解決する価値創造に貢献できるかをアピールすると非常に効果的です。
面接での逆質問例
- ヘルスケア事業の撤退により再構築が完了したとのことですが、今後は既存のセキュリティ分野や無線システム事業へどのようにリソースを再配分していくご予定でしょうか。
- 関税措置やメモリー価格の高騰といった外部環境の変化に対して、現場レベルではどのようなサプライチェーン最適化の工夫や意思決定を行っていますか。
- 新規事業領域としてIP無線などハイブリッド領域での協業を推進されていますが、今後の中長期的なサービス展開やビジネスモデルの展望についてどのようにお考えでしょうか。
5転職者が知っておきたい現場のリアル(口コミ)
※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- JVCケンウッド 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)
- JVCケンウッド 2026年3月期 決算説明資料



上場企業の四半期決算から、面接で差がつく「志望動機」や「逆質問」のヒントを導き出す専門チーム。3ヶ月ごとの業績推移と戦略の遂行状況をキャリコネ独自の現場データと照合し、求人票だけでは見えない企業の「現在地」を可視化します。投資家向け情報を、転職希望者が選考を有利に進めるための武器に変える、実戦的な企業研究を配信中。