0 編集部が注目した重点ポイント
①SAP事業撤退と子会社合併で営業益18.6%増を達成
当連結会計年度において、不採算であった高吸水性樹脂(SAP)事業からの撤退を完了させ、製造子会社SDPグローバルを吸収合併しました。事業構造改革の推進とサプライチェーン効率化により、売上高は減少したものの営業利益は前期比18.6%増の100億円へ伸長し、収益構造の抜本的改善が実現しています。
②2027年3月期より新セグメントへ移行し成長加速
次期(2027年3月期)より従来の5事業領域から「コアマテリアル」「ウェルネス」「ICT」の3セグメント体制へ再編します。SAP撤退後の新たな成長エンジンとしてウェルネス(医療・医薬、ヘルスケア)領域に集中投資を行う方針を明確化しており、高付加価値領域での採用機会拡大が見込まれます。
③総還元性向40%以上と累進配当を新導入し還元強化
「中期経営計画2030」の始動に伴い、株主還元方針を改定しました。従来の配当性向30%目安から、連結総還元性向40%以上を目標とし、原則として減配を行わず維持または増配を続ける「累進配当」を導入することを決議。機動的な自己株式取得も掲げ、資本効率と財務健全性の両立を強力に推進しています。
1 連結業績ハイライト
出典:2026年3月期 決算説明資料 P.4
当連結会計年度の売上高は1,278億59百万円(前期比10.1%減)となりましたが、営業利益は100億7百万円(前期比18.6%増)、経常利益は為替差益8億30百万円の計上などもあり122億56百万円(前期比26.7%増)と大幅増益を達成しました。また、連結子会社であったSDPグローバルの吸収合併に伴い、引き継いだ税務上の繰越欠損金等に係る繰延税金資産を追加計上したことで、税金費用が大きく減少し、親会社株主に帰属する当期純利益は156億37百万円(前期比276.6%増)という過去最高水準の純利益を記録しました。
前中期経営計画で掲げた営業利益目標150億円に対しては未達となったものの、外部環境悪化(中国安価品の流入等)を「ものづくり大改革」によるサプライチェーン効率化や事業撤退などの構造改革で跳ね返し、前年度(84億円)から明確な回復を遂げて着地した点は、転職希望者にとっても安心材料と言えます。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:2026年3月期 決算説明資料 P.6
生活・健康産業関連分野
【事業内容】洗剤・洗浄剤用界面活性剤、ヘアケア製品用界面活性剤、医薬品原料等の製造販売を行います。
【業績推移】売上高175億61百万円(前期比42.8%減)、営業損失1億67百万円(前期は1億76百万円の利益)となりました。
【注目ポイント】紙おむつ用途などの高吸水性樹脂(SAP)事業からの完全撤退に伴い大幅な減収減益となりましたが、不採算事業の整理が完了したことで今後は医療・医薬関連やバイオ素材(シルクエラスチン等)への集中展開が可能となります。ヘルスケア領域への事業転換を牽引する研究開発・薬事申請人材の存在感が急速に高まっています。
石油・輸送機産業関連分野
【事業内容】自動車内装表皮材用ウレタンビーズ(TUB)、ポリウレタンフォーム原料、潤滑油添加剤等を展開します。
【業績推移】売上高483億28百万円(前期比1.8%減)、営業利益56億28百万円(前期比41.4%増)と大幅増益でした。
【注目ポイント】自動車シート用ポリウレタン原料(PPG)は中国安価品の攻勢で苦戦したものの、高付加価値製品群に位置づけられる潤滑油添加剤の販売伸長および製品・原料価格差の改善が大きく寄与しました。収益性の高い中核事業へのリソース集中が進んでおり、グローバル展開を加速する技術営業や生産管理体制の強化が急務となっています。
プラスチック・繊維産業関連分野
【事業内容】永久帯電防止剤、樹脂改質剤、炭素繊維・ガラス繊維用薬剤、合成皮革用ウレタン樹脂を供給します。
【業績推移】売上高265億6百万円(前期比1.2%減)、営業利益24億36百万円(前期比15.0%減)となりました。
【注目ポイント】永久帯電防止剤の需要回復や自動車内装向け合成皮革用ウレタンの復調が見られた一方、風力発電向け炭素繊維用薬剤や塗料用薬剤が停滞しました。高機能ポリマー・樹脂改質技術の深化が求められており、産業資材の高付加価値化をリードできる材料開発プロフェッショナルが求められています。
情報・電気電子産業関連分野
【事業内容】トナーバインダー、アルミ電解コンデンサ用電解液、半導体プロセス材料等を製造販売します。
【業績推移】売上高225億17百万円(前期比7.7%増)、営業利益35億95百万円(前期比42.0%増)と大幅伸長しました。
【注目ポイント】トナーバインダーの需要回復に加え、世界的な半導体市場の活況を捉えて半導体プロセス材料が大きく売上を伸ばしました。利益率が極めて高く、同社の収益を牽引する中核部門へと成長しています。先端半導体および電子材料の技術革新に対応するため、高度なケミカル合成知見を持つ研究開発者の採用ニーズが旺盛です。
環境・住設産業関連分野他
【事業内容】廃水処理用高分子凝集剤、カチオンモノマー、家具・断熱材用ポリウレタン原料等を扱います。
【業績推移】売上高129億44百万円(前期比11.3%減)、営業損失1億24百万円(前期は4百万円の利益)となりました。
【注目ポイント】高分子凝集剤用モノマーは堅調に推移したものの、家具や断熱材向けの汎用ポリウレタン原料が海外安価品との激しい価格競争に晒され損失を計上しました。環境負荷低減型ケミカルへのシフトが急務となっており、既存の汎用製品から環境配慮型素材への転換を担うプロセス技術者がキーマンとなります。
地域別実績(所在地別セグメント)
【事業内容】日本、米国、中国、その他地域(韓国、タイ、台湾など)のグローバル製造販売ネットワークです。
【業績推移】日本は営業益76億82百万円(前期比9.8%増)、米国は10億78百万円(同155.5%増)、中国は2億56百万円(同81.6%増)、その他は9億64百万円(同16.4%増)でした。
【注目ポイント】中国事業の再編(南通子会社の持分譲渡)を経て、中国向け売上高比率は低下したものの、米国でのウレタンビーズや潤滑油添加剤の販売伸長、さらに台湾拠点の連結化など、成長市場へのグローバルシフトが鮮明です。海外子会社とのサプライチェーン連携やクロスボーダーでの技術提案を担う人材の活躍余地が広がっています。
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:2026年3月期 決算説明資料 P.30
2027年3月期の通期連結業績は、売上高1,500億円(前期比17.3%増)、営業利益100億円(前期比0.1%減)、経常利益115億円(前期比6.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益90億円(前期比42.4%減)を予想しています。原料価格上昇分の価格転嫁で大幅増収を見込む一方、成長事業への積極的な先行投資費用(研究開発費等)を織り込むため営業利益は横ばいを想定しています。
中長期では「中期経営計画2030」を策定し、2030年度に売上高1,600億円、営業利益200億円(営業利益率12%以上)、ROE8%以上を目指します。総額約1,500億円の投資枠のうち、1,000億円を戦略的成長投資(ウェルネス、ICT、コアマテリアル高付加価値化、新規事業投資枠200億円、経営基盤強化550億円)に配分。さらに内製DXプラットフォーム「Sanyo DX Engine」の確立や新研究所の設立、研究員の積極増員を掲げており、R&DやDX推進を担う中途採用の重要性が一段と高まっています。
4 求職者へのアドバイス
志望動機のヒント
三洋化成工業は、過去の主力であったSAP事業からの完全撤退を断行し、ウェルネスや半導体プロセス材料などの高付加価値領域へ事業ポートフォリオを大胆にシフトさせています。選考では、単に化学品開発の経験をアピールするだけでなく、不採算事業の整理を経て生まれ変わろうとする同社の「変革のスピード」に自身がどう貢献できるかを言語化することが鍵です。
特に「ものづくり大改革」や内製DXプラットフォーム「Sanyo DX Engine」の活用など、研究開発(MI:マテリアルズ・インフォマティクス)やサプライチェーン全体の最適化に注力しています。自身の専門性が、同社の掲げる「界面でイノベーションを起こす必要不可欠企業」というビジョン実現にどう直結するのかを具体的に示すと説得力が高まります。
面接での逆質問例
質問例1:「2027年3月期より新セグメント『コアマテリアル』『ウェルネス』『ICT』へ再編されますが、特に重点強化されるウェルネス分野(ヘルスケア)において、中途入社者に期待される最大のミッションは何でしょうか?」
(意図:事業ポートフォリオの重点領域に対する理解と、自らの貢献意欲をアピールする)
質問例2:「中期経営計画2030において研究開発・デジタル開発費に約550億円を配分し、新研究所設立やMIツールの全研究員展開を進めるとあります。現場の開発プロセスや組織風土はどのように進化していますか?」
(意図:経営基盤強化やDX投資の現場への浸透度合いを確認し、研究開発への本気度を見極める)
質問例3:「サプライチェーン全体の改革『ものづくり大改革』において、DHL社への国内物流機能継承や生産設備の集約・自動化が進められていますが、事業部間の連携やオペレーション面で現在最も注力している課題は何ですか?」
(意図:構造改革の実態やオペレーションの現実的な課題に深く切り込み、実務への即応性を示す)
5 転職者が知っておきたい現場のリアル(口コミ)
全体的には男性中心の雰囲気が残っている
前社長から女性活躍に非常に力を入れ始め、現在たくさんの女性の方が管理職に引き上げられ活躍しておられます。しかし、まだ全体的には男性中心の雰囲気が残っていると思います。
(技術関連職・40代前半・男性) [キャリコネの口コミを読む]やりたいことはやらせてくれる
やりたいことはやらせてくれる方だと思いますが、上司はどちらかというと放置タイプが多くて、問題になりそうになってから慌てるタイプが多い気がします。
(技術関連職・40代前半・男性) [キャリコネの口コミを読む]※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)
- 2026年3月期 決算説明資料



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