0編集部が注目した重点ポイント
① 営業利益が35.5%増え、修正計画も上回った
2026年3月期通期は、売上高1,745億円(前期比10.9%増)、営業利益147億円(同35.5%増)で着地し、第2四半期に公表した修正計画を売上高・営業利益ともに上回りました。定期修理における追加工事や保全工事の増加に加え、採算性を重視した選別受注の継続で売上総利益率が14.0%(前期比2.0pt改善)に高まったことが寄与しています。
② 2029年3月期の営業利益目標を163億円へ引き上げた
第3次中期経営計画の策定当初から事業環境が大きく変化したことを受けて成長戦略を再構築し、最終年度の目標を売上高1,950億円(見直し前1,710億円)、営業利益163億円(同136億円)へ上方修正しました。成長の鍵は「供給力の拡張」とされ、採用強化とM&A(企業の合併・買収)、DX/機械化で施工体制を広げる方針です。施工を担う人材の重要性が一段と高まっています。
③ タンク事業を独立開示し、受注高が31.6%伸びた
当期(2026年3月期)より、従来「メンテナンス」「エンジニアリング」に含めていたタンク分野を、重要性が増したとして独立した事業区分として開示しています。前期の数値は同一基準で遡って修正済みのため前期比較が可能で、受注高は323億円(前期比31.6%増)、売上高は281億円(同20.4%増)と拡大しました。タンク分野でのキャリア機会が見えやすくなった変化です。
1連結業績ハイライト
出典:レイズネクスト株式会社 2026年3月期 通期決算説明資料 P.22
売上高(完成工事高)
1,745億円
前期比 +10.9%
営業利益
147億円
前期比 +35.5%
経常利益
149億円
前期比 +34.5%
親会社株主に帰属する当期純利益
104億円
前期比 +29.1%
受注面も好調で、受注高は1,882億円(前期比16.4%増)、受注残高は865億円(同18.8%増)と高水準の受注残を確保しました。利益面では、選別受注の継続に加え、前期に計上された一過性のRS(譲渡制限付株式)関連費用がなくなったことで売上総利益率が改善しています。販管費は、人件費や減価償却費の増加、採用強化を目的とした広告宣伝費の計上により前期比21.2%増の97億円となりましたが、工事量の拡大と採算改善で吸収し、営業利益率は8.4%(同1.5pt改善)に高まりました。
通期実績は、第2四半期決算発表時に公表した修正計画に対して売上高で3.9%、営業利益で6.6%上回っており、計画を超過した順調な着地と評価できます。ただし、第4四半期の受注高には2027年3月期案件の一部前倒し計上が含まれており、来期の受注高は前期比で減少する計画となっている点には留意が必要です。
2事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:レイズネクスト株式会社 2026年3月期 通期決算説明資料 P.23
メンテナンス事業
事業内容:工場内に常駐して日々の点検・修理を行う日常保全工事と、1~4年ごとに設備を止めて行う大規模法定点検である定期修理工事を担います。売上高の58%を占める中核事業です。
業績推移:売上高1,011億円(前期比10.1%増)、受注高1,142億円(同23.7%増)と売上・受注の拡大を牽引。定期修理の追加工事や保全工事量の増加が寄与しました。
注目ポイント:石油精製・石油化学分野は経済安全保障の観点から安定供給が求められ、設備の高経年化(老朽化)対応も重なって工事需要が継続しています。一方で人材不足により施工体制を組める企業は限られ、全国90拠点以上・協力会社4,000社以上の動員力がそのまま受注機会になる構図です。なお2025年4月1日付で、子会社のレイズアクト株式会社が京浜化工株式会社を吸収合併し、愛媛県・岡山県の地域一体的な体制を強化しています(連結業績への影響は軽微)。
タンク事業
事業内容:エネルギー資源を貯蔵するタンクの建設から日常保全、開放点検、改造・改修までを一貫して手掛けます。建設実績は5,300基以上で、売上高の16%を占めます。
業績推移:売上高281億円(前期比20.4%増)、受注高323億円(同31.6%増)。老朽化による補修箇所の増加などで保全工事が伸びました(注:当期から独立開示、前期は同一基準で遡及修正済み)。
注目ポイント:自社工場(磯子、千葉)を活用して法対応に必要な検査やタンク部材の生産も行う点が強みです。カーボンニュートラル社会での低温タンク建設需要の増加を見込み、受注体制を構築中で、2025年4月には川崎重工とLNG及び液化水素タンク事業に関する協業覚書を締結しました。中東情勢を背景とした原油タンクの計画外払い出しで、メンテナンス需要が短期的に増加する可能性も示されています。
エンジニアリング事業
事業内容:中小規模プラントの新設(設計・調達・工事)と、既存プラントの能力増強・省エネ化・老朽化対策などの改造・改修を担います。売上高の26%を占めます。
業績推移:売上高452億円(前期比7.4%増)。大型案件が寄与した一方、工事進行基準(工事の進み具合に応じて売上を計上する方法)の影響で計画比は5.3%未達。受注高は417億円(同7.2%減)でした。
注目ポイント:当期は半導体関連化学原料の生産設備の建設を受注(完成予定2028年4月)し、BDP(基本設計の成果物一式)作成から設計・調達・建設工事までを担います。日揮ホールディングス株式会社がオーナーとなるグリーンアンモニア製造プラントの建設実績もあり、脱炭素や先端素材など成長領域へ対応範囲を広げています。2027年3月期は受注高554億円(前期比32.9%増)を計画しています。
その他事業
事業内容:人材派遣業および運送業等です。
業績推移:売上高41百万円(前期比16.4%増)と増収でしたが、連結売上高に占める割合はごくわずかです。
注目ポイント:決算短信では、報告セグメントはエンジニアリング業のみで、「その他」は重要性が乏しいとされています。転職先としての主なフィールドは、上記3事業となります。
3今後の見通しと採用の注目点
出典:レイズネクスト株式会社 2026年3月期 通期決算説明資料 P.38
2027年3月期は売上高1,750億円(前期比0.3%増)、営業利益130億円(同11.6%減)の計画です。一部案件の前倒し計上や、前期のような追加工事による利益率の押し上げを見込まないこと、供給力拡張に向けた人的資本投資などで販管費が増える見通しであることが背景にあります。定期修理のサイクル上、大型工事の完工は下期に集中する見込みです。
中期的には、2029年3月期にROE10%以上を掲げ、3年間で約270億円の営業キャッシュ・フローを株主還元と成長投資に配分します。採用面では、ブランディングによる認知向上、教育体制の充実、定年延長で活躍を続けるベテランと若手のペアリングによる早期戦力化を進める方針です。熱交換器チューブ自動洗浄の導入で作業時間を最大20%短縮するなど、機械化・自動化も進んでいます。
一方で、中東情勢の影響で一部資材の供給が逼迫しており、完工遅延リスクを慎重に見極めるとしています。また主要顧客であるENEOS株式会社向けの売上高は659億円と連結売上高の約38%を占め、石油・石油化学業界の動向が業績に影響し得る点も事業等のリスクとして示されています。
4求職者へのアドバイス
HINT志望動機のヒント
同社は「産業インフラを支える。豊かな未来を拓く。」を企業理念に掲げ、プラントの安定操業という社会インフラの根幹を支えています。人材不足で施工を完遂できる企業が限られるなか、供給力の拡張を成長戦略の中心に据えている点は、現場を担う人材への期待の大きさを示しています。「メンテナンスで築いた顧客接点を、改造・新設や脱炭素関連設備へ広げる事業モデルに共感した」「低温タンクや半導体関連設備などの新領域で経験を生かしたい」といった切り口で、自身の専門性と結びつけると説得力が増します。
Q&A面接での逆質問例
- 中期経営計画で掲げるベテランと若手のペアリングは、配属先の現場で具体的にどのように運用されていますか。
- タンク事業が独立開示されましたが、低温タンク分野の受注体制構築において、今後どのような経験を持つ人材が求められますか。
- 熱交換器チューブ自動洗浄のような機械化・自動化や3D/BIMの活用は、今後どの工程まで広げていく計画ですか。
5転職者が知っておきたい現場のリアル(口コミ)
人手の少ない部署以外はキャリア採用ではマネージャー以上になる
人手の少ない部署以外はキャリア採用ではマネージャー以上になる人は少ない。もともとキャリア採用は即戦力としてのスペシャリストを募集しているためだと思う。20代30代のキャリア採用は少なく殆どが40代のイメージ。
(プラント設計・30代前半・男性) [キャリコネの口コミを読む]仕事上どうしても時期の読めない長期出張が付き纏う
仕事上どうしても時期の読めない長期出張が付き纏うため、結婚して子供を持とうと考えた場合に不安を覚えたため。決定権はあくまで発注者(ユーザー)であるため、基本設計部分の自由度が少ない。 上記2点からユーザーサイドへ転職した。
(プラント設計・30代前半・男性) [キャリコネの口コミを読む]※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- レイズネクスト株式会社「2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」
- レイズネクスト株式会社「2026年3月期 通期決算説明資料」



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