レイズネクスト 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

レイズネクスト 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

レイズネクストは東証プライム市場に上場し、石油・化学プラント等のメンテナンスおよびエンジニアリング事業を展開する企業です。ENEOSグループとの強固な関係基盤を持ちます。直近の業績は、定期修理工事の増加等により完成工事高、営業利益ともに増加し、増収増益のトレンドにあります。


※本記事は、レイズネクスト株式会社 の有価証券報告書(第121期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. レイズネクストってどんな会社?


石油・石油化学プラントのメンテナンスとエンジニアリングを中核事業とし、高度な技術で産業インフラを支える企業です。

(1) 会社概要


同社のルーツは1938年に設立された株式会社法専組鉄工所に始まります。2000年に新潟工事株式会社と合併し、新興プランテック株式会社へ商号変更しました。その後、2019年7月にJXエンジニアリング株式会社と経営統合を行い、現在のレイズネクスト株式会社が発足しました。2022年4月の東京証券取引所の市場区分見直しに伴い、プライム市場へ移行しています。

同社グループは連結従業員2,155名、単体1,691名の体制で事業を展開しています。筆頭株主は、エネルギー事業を行うENEOSホールディングスであり、同社は持分法適用関連会社としてENEOSグループの一翼を担っています。第2位株主は株式会社UH Partners 2となっています。

氏名 持株比率
ENEOSホールディングス 21.61%
UH Partners 2 9.09%
光通信 7.51%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性2名(うち社外2名)の計10名で構成され、女性役員比率は20.0%です。代表取締役社長 社長執行役員は毛利 照彦氏が務めています。社外取締役比率は40.0%です。

氏名 役職 主な経歴
毛利 照彦 (代表取締役)取締役社長社長執行役員 1988年新潟工事入社。同社工務本部長などを経て、2020年6月より現職。
野呂 隆 (代表取締役)取締役会長 1980年日本石油精製入社。JXTGエネルギー副社長、JXエンジニアリング社長などを経て、2020年6月より現職。
上田 秀樹 取締役副社長副社長執行役員社長補佐(工務本部、安全・品質本部)営業本部、タンク本部 管掌 1983年興亜石油入社。JXエンジニアリング取締役、同社常務執行役員などを経て、2023年4月より現職。
木村 裕之 取締役副社長副社長執行役員社長補佐(プロジェクト事業部、エンジニアリング本部) 1986年日本鉱業入社。ENEOS常務執行役員などを経て、2024年6月より現職。
中宅間 大作 取締役副社長副社長執行役員社長補佐(DX本部、メンテナンス事業部) 1982年新潟工事入社。同社第3事業部長、専務執行役員などを経て、2025年4月より現職。
福久 正毅 取締役 1985年新潟工事入社。同社人事部長、取締役副社長などを経て、2025年4月より現職。


社外取締役は、伊佐 範明(元丸紅執行役員)、佐分 紀夫(元テンプホールディングス常務取締役)、水地 啓子(元横浜弁護士会会長)、西田 まゆみ(北海道大学名誉教授)です。

2. 事業内容


同社グループは、「エンジニアリング業」および「その他」事業を展開しています。

(1) エンジニアリング業


石油、石油化学、一般化学などの各種プラント設備におけるメンテナンスおよびエンジニアリングを提供しています。具体的には、装置・機器の設置、土木建築、電気計装、配管等の工事の設計、施工、監理から、設備の保全業務、さらには研究開発や技術支援まで、プラントのライフサイクル全般に関わる総合的なサービスを顧客である素材・エネルギー関連企業等に提供しています。

収益は、顧客であるプラントオーナー等からの請負工事代金や保全業務の対価として得ています。運営は主にレイズネクストが行っており、連結子会社であるSMS、東海工機、レイズアクト、港南通商、鹿島エンジニアリング、京浜化工、PT.SHINKO PLANTECHなども各得意分野や地域において工事施工等を担当しています。

(2) その他の事業


エンジニアリング業以外の付帯事業として、不動産の総合管理、人材派遣業、損害保険代理店業などを行っています。

これらの事業による収益は、不動産の賃貸料や管理料、人材派遣の手数料などが中心となります。運営は、主に連結子会社であるレイズネクスト総合サービスなどが担当しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 1,459億円 1,298億円 1,401億円 1,404億円 1,574億円
経常利益 107億円 113億円 112億円 103億円 111億円
利益率(%) 7.3% 8.7% 8.0% 7.3% 7.0%
当期利益(親会社所有者帰属) 73億円 77億円 77億円 72億円 81億円


直近5期間の業績を見ると、売上高は2022年3月期に一時減少したものの、その後は増加傾向にあり、特に2025年3月期は大きく伸長しています。経常利益は100億円台で安定的に推移しており、底堅い収益力を維持しています。当期純利益も安定しており、直近では81億円と過去5期で最高益を記録しています。

(2) 損益計算書

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 1,404億円 1,574億円
売上総利益 172億円 189億円
売上総利益率(%) 12.3% 12.0%
営業利益 100億円 109億円
営業利益率(%) 7.1% 6.9%


売上高の増加に伴い、売上総利益、営業利益ともに増加しています。売上総利益率は若干低下しましたが、増収効果により利益額は拡大しました。営業利益率は約7%の水準を維持しており、安定した収益性を確保しています。

販売費及び一般管理費のうち、従業員給料手当が16億円(構成比20%)、雑費が10億円(同12%)を占めています。売上原価においては、外注費や労務費等の工事原価が主要な構成要素となっています。

(3) セグメント収益

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期)
エンジニアリング業 1,403億円 1,573億円
その他 1億円 0.4億円
連結(合計) 1,404億円 1,574億円


エンジニアリング業が全売上のほぼ全てを占めています。同セグメントでは、メンテナンス分野の定期修理工事や、エンジニアリング分野の中小規模工事が増加したことにより、前期比で大幅な増収となりました。その他の事業は規模が小さく、連結業績への影響は限定的です。

(4) キャッシュ・フローと財務指標


* **営業CF:** 利益は出ているものの、売上債権の増加等が大きく、キャッシュ・フロー上はマイナスとなっています。
* **投資CF:** 固定資産の取得等によりマイナスとなっています。
* **財務CF:** 配当金の支払いや自己株式の取得等によりマイナスとなっています。
* **判定:** 営業・投資・財務がいずれもマイナスの状態ですが、営業CFのマイナスは売上拡大に伴う運転資本(売上債権)の増加が主因であり、本業の収益力自体は維持されています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 36億円 -1億円
投資CF -17億円 -23億円
財務CF -72億円 -65億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は9.6%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は73.8%で市場平均を大きく上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「産業インフラを支える。豊かな未来を拓く。」を企業理念として掲げています。安全で安定的なプラントの操業を支えることで、人、暮らし、環境の未来に貢献し、メンテナンスとエンジニアリングによってプラント設備の最適化を実現することを使命としています。

(2) 企業文化


行動指針として「進取果敢」「誠心誠意」「共存共栄」を定めています。既存の枠組みにとらわれず新しい発想で挑戦すること、顧客に寄り添い心を込めて取り組むこと、そして関係する全ての人を尊重しステークホルダーと共に発展することを行動の拠り所としています。

(3) 経営計画・目標


第3次中期経営計画(2025年3月策定)において、最終年度である2028年度(2029年3月期)の数値目標を掲げています。

* 完成工事高:1,710億円
* 営業利益:136億円
* ROE:9.5%以上
* 連結配当性向:60%以上

(4) 成長戦略と重点施策


「RAIZNEXT X CHALLENGE」をテーマに、DXや技術革新による変革に挑戦します。経営基盤、メンテナンス、エンジニアリング、タンク事業の4つを基本戦略の柱とし、業務プロセス改革や施工作業の機械化・自動化、3D/AI設計の推進、低温タンク分野への進出などを重点的に推進します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「マルチステークホルダー方針」に基づき、経営資源である「人」を最大限に活かすため、階層別の教育プログラムを策定し、メンテナンスとエンジニアリングの両事業で活躍できる監督者の早期育成に注力しています。また、テレワークや男性育休の推進など、多様な人材が活躍できる社内環境の整備を進めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 42.0歳 15.5年 8,310,000円


※平均年間給与は、賞与および基準外賃金を含んでおります。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 1.6%
男性育児休業取得率 91.4%
男女賃金差異(全労働者) 68.6%
男女賃金差異(正規) 71.1%
男女賃金差異(非正規) 52.8%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、障がい者雇用率(2.94%)、年次有給休暇取得率(84.4%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 受注工事高減少(メンテナンス事業)


石油・化学等のプラントメンテナンスをコアビジネスとしていますが、石油燃料に関わるプラントの停止や市場縮小による受注減が懸念されています。これに対し、既存顧客のシェア拡大や新規顧客の開拓を推進することで、経営成績への影響を最小限に抑えるよう対処しています。

(2) 受注工事高減少(エンジニアリング事業)


主要顧客の設備投資減少に伴う受注減のリスクがあります。これに対し、大型装置改造・改修工事やFS・FEED業務からの参入、さらにはカーボンニュートラル案件等の脱炭素社会に向けた新規領域での受注拡大を目指し、中期的な投資計画の情報収集に努めています。

(3) 資機材価格高騰


プラントメンテナンスや建設に使用する資機材等の価格高騰が、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。特に長工期の案件では、見積時と発注時のタイムラグによるリスクがあります。価格動向の注視、早期発注、調達先の多様化、契約条件への反映等の対策を実施し、リスク低減を図っています。

(4) 工事従事者不足


工事監督者や作業員の不足により、工事の遅延が発生する恐れがあります。建設労働力の動向や中期的な工事需要予測に基づき必要人員を把握するとともに、協力会社との連携強化や情報共有を通じて、労働力確保のリスク低減に努めています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。