※本記事は、レイズネクスト株式会社の有価証券報告書(第122期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月22日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. レイズネクストってどんな会社?
プラントの安全稼働を支えるメンテナンスとエンジニアリングに強みを持つ、東証プライム上場企業です。
■(1) 会社概要
1938年に法専組鉄工所として創立し、その後三興製作所に商号変更しました。2000年に新潟工事と合併して新興プランテックへ社名変更し、事業基盤を拡大しました。2019年にJXエンジニアリングと合併し、現在のレイズネクストが誕生しています。近年も子会社間の合併を通じて体制強化を進めています。
同社グループは連結で2,153名、単体で1,704名の従業員を擁しています。筆頭株主は事業会社であり主要顧客でもあるENEOSホールディングスで、第2位は投資ファンド、第3位は資産管理業務を行う信託銀行です。親会社を持たない独立した経営体制でありながら、強固な事業基盤を築いています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| ENEOSホールディングス | 28.77% |
| UH Partners 2 投資事業有限責任組合 | 9.08% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 6.85% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性8名、女性2名の計10名で構成され、女性役員比率は20.0%です。代表取締役社長 社長執行役員は毛利照彦氏が務めています。社外取締役比率は40.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 毛利 照彦 | (代表取締役)取締役社長社長執行役員 | 1988年新潟工事入社。同社工務本部長等を経て2020年6月より現職。 |
| 上田 秀樹 | (代表取締役)取締役副社長副社長執行役員社長補佐(営業本部、タンク本部) | 1983年興亜石油入社。JXエンジニアリング執行役員等を経て2026年4月より現職。 |
| 木村 裕之 | 取締役副社長副社長執行役員社長補佐(プロジェクト事業部、エンジニアリング本部) | 1986年日本鉱業入社。ENEOS常務執行役員等を経て2024年6月より現職。 |
| 中宅間 大作 | 取締役副社長副社長執行役員社長補佐(DX本部、メンテナンス事業部) | 1982年新潟工事入社。同社第3事業部長等を経て2025年4月より現職。 |
| 佐久間 裕 | 取締役副社長副社長執行役員社長補佐(コーポレート本部) | 1987年日本石油入社。JXエンジニアリング執行役員等を経て2026年4月より現職。 |
| 川村 雅彦 | 取締役常務執行役員社長補佐(工務本部、安全・品質本部) | 1989年新潟工事入社。同社工務本部長等を経て2026年4月より現職。 |
社外取締役は、伊佐範明(元丸紅執行役員)、佐分紀夫(元テンプホールディングス常務取締役)、水地啓子(元日本弁護士連合会副会長)、西田まゆみ(元広栄化学工業執行役員)です。
2. 事業内容
同社グループは、「エンジニアリング業」および「その他の事業」を展開しています。
■(1) エンジニアリング業(メンテナンス)
石油、石油化学、一般化学等のプラントにおける日常保全工事および定期修理工事を提供しています。プラントの安全で安定的な操業を支えるため、既存設備の経年化対策や長寿命化に向けたサービスを展開しており、同社の主力事業として位置付けられています。
収益源は、顧客である石油精製会社や化学メーカー等からの工事請負代金です。主に同社および連結子会社のレイズアクトなどが各拠点で連携しながら運営を行っており、効率的な施工体制と高度な安全・品質管理によって収益基盤を支えています。
■(2) エンジニアリング業(タンク)
各種タンクの建設工事や改造・改修工事、および日常的な保全工事を提供しています。国内の旺盛なメンテナンス需要に対応するだけでなく、次世代エネルギー分野であるLNGや液化水素タンクなどの新たな需要開拓にも積極的に取り組んでいます。
収益源は、エネルギー企業等からの工事請負代金です。同社が全国のネットワークを活用して事業を展開しており、自動溶接技術やタンク底板検査ロボットなどの先進技術を導入することで、施工の効率化と品質の向上を実現しています。
■(3) エンジニアリング業(エンジニアリング)
プラントの新設工事をはじめ、大規模な改造・改修工事を提供しています。既存の設備投資だけでなく、カーボンニュートラル社会に向けたグリーンアンモニア製造実証プラントや半導体関連設備など、脱炭素や新素材領域での事業機会にも対応しています。
収益源は、プラントオーナーからの総合的なエンジニアリング業務や工事請負代金です。運営は同社が主体となり、3D設計やBIMなどのデジタル技術を活用した業務効率化を進めながら、高度なプロジェクト遂行能力を通じて収益を獲得しています。
■(4) その他の事業
エンジニアリング業を補完する事業として、不動産の総合管理や人材派遣業、損害保険代理店業などを提供しています。主に自社グループおよび関連企業向けのサービスを展開し、業務の効率化や福利厚生の充実をサポートしています。
収益源は、グループ各社や従業員等からの管理手数料やサービス利用料、派遣料金などです。主に連結子会社のレイズネクスト総合サービスがビル管理や事務管理業務、技術者の派遣などを担っており、グループ全体の円滑な事業運営に貢献しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績は、経常利益が103億円から149億円へと推移しており、当期利益も順調に拡大しています。安定した利益水準を維持しつつ、当期にかけて大幅な増益を達成するなど、収益力の向上が見られます。
| 項目 | 第118期 | 第119期 | 第120期 | 第121期 | 第122期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 経常利益 | 113億円 | 112億円 | 103億円 | 111億円 | 149億円 |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 86億円 | 77億円 | 72億円 | 81億円 | 105億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間の損益構成を見ると、売上総利益は189億円から245億円へと大きく増加しています。営業利益も109億円から147億円へと大幅な増益を達成しており、本業の収益性が高まっていることが伺えます。
| 項目 | 第121期 | 第122期 |
|---|---|---|
| 売上総利益 | 189億円 | 245億円 |
| 営業利益 | 109億円 | 147億円 |
販売費及び一般管理費のうち、従業員給料手当が18億円(構成比18%)、雑費が13億円(同13%)を占めています。
■(3) キャッシュ・フローと財務指標
同社は営業CFがプラス、投資CF・財務CFがマイナスの「健全型」です。営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良な状態にあります。
| 項目 | 第121期 | 第122期 |
|---|---|---|
| 営業CF | -1億円 | 144億円 |
| 投資CF | -23億円 | -51億円 |
| 財務CF | -65億円 | -70億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は11.9%で、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は75.5%で、いずれも市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「産業インフラを支える。豊かな未来を拓く。」という企業理念を掲げています。安全で安定的なプラントの操業を支えることで、人や暮らし、環境の未来に貢献することを使命としています。また、メンテナンスとエンジニアリングの両輪によって設備を最適化し、多様性を尊重しながらステークホルダーの幸せを追求する方針です。
■(2) 企業文化
行動指針として「進取果敢」「誠心誠意」「共存共栄」の3つを掲げています。既存の枠組みに捉われず新しい発想で積極的に挑戦する姿勢を重んじ、顧客に寄り添い心を込めて業務に取り組むことを大切にしています。関係する全ての人を尊重し、ステークホルダーと共に発展していく風土が根付いています。
■(3) 経営計画・目標
同社は「RAIZNEXT Group V-2032」という長期ビジョンと、第3次中期経営計画を策定しています。カーボンニュートラル社会への貢献を目指し、以下の具体的な経営数値目標を掲げて事業構造の高度化に取り組んでいます。
* 完成工事高:1,950億円
* 営業利益:163億円
* 親会社株主に帰属する当期純利益:112億円
* 自己資本当期純利益率(ROE):10%以上
■(4) 成長戦略と重点施策
持続的な成長に向けて「経営基盤の強化」「メンテナンス事業の強化」「エンジニアリング事業の強化」「タンク事業の強化」を基本戦略としています。人材の確保・育成を進めると共に、施工の機械化やDX化による業務効率の向上を図ります。また、次世代エネルギー分野における事業機会の獲得や、低温タンク分野での受注拡大に注力する方針です。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
労働集約型事業の特性を踏まえ、人材の確保と育成を最重要課題と位置付けています。定年延長や複線型人事制度の導入により、多様な人材の活躍機会を拡大するとともに、高度な技術の伝承を促進しています。「健康経営宣言」のもとで心身ともに健康で働き続けられる環境整備を進め、人的資本投資を加速させる方針です。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 第122期 | 42.0歳 | 15.4年 | 9,750,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 2.3% |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 71.1% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 73.6% |
| 男女賃金差異(有期労働者) | 54.7% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、障がい者雇用率(2.52%)、年次有給休暇取得率(86.3%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 受注工事高の減少
石油燃料に関わるプラントの停止などに伴い、メンテナンス市場が縮小し受注工事高が減少するリスクがあります。同社は既存顧客のシェア拡大や新規顧客の開拓、カーボンニュートラル等の脱炭素社会に向けた新たな投資案件の受注拡大を目指し、影響の軽減に努めています。
■(2) 資機材価格の高騰
工事に使用する資機材価格が高騰した場合、長期間にわたる工事において見積りと発注時点の価格差が生じ、収益が低下するリスクがあります。同社は資機材の早期発注や多様な調達先の確保、工事価格への転嫁などの対策を実施し、リスクの低減を図っています。
■(3) 工事従事者の不足
建設業界における労働人口の減少により、工事監督者や作業員が不足し、工事の遅延が発生するリスクがあります。同社は中期的な工事需要の予測に基づいて必要な人員を把握し、協力会社と情報を共有して連携を強化することで、労働力の安定的な確保に努めています。



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