0編集部が注目した重点ポイント
①連単ともに経常収益が過去最高を更新した
2026年3月期の連結経常収益は2,200億円(前期比+2.6%)、セブン銀行単体も1,429億円(同+5.3%)となり、連単ともに過去最高を更新しました。一方、クレジットカード事業で資産価値の切り下げ(減損損失)を特別損失として計上したため、親会社株主に帰属する当期純利益は134億円(同26.0%減)と大幅な減益となっています。
②ファミリーマートへ約16,000台のATM設置を始める
2026年初夏からファミリーマートへのATM設置を開始し、4年程度で約16,000台を設置する計画です。国内ATM台数シェア(当社推計)は2026年3月末の15.7%から2030年3月末には32.6%へ拡大する見込みです。設置・運営や提携先との連携など、国内ATM事業でキャリア機会が拡大する可能性があります。
③伊藤忠商事との資本業務提携で株主構成が変わった
2025年6月の取締役会決議に基づく自己株式取得により、セブン&アイ・ホールディングスは当社の親会社ではなくなりました。さらに同年9月の決議で伊藤忠商事と資本業務提携を締結し、同社の議決権比率は20%を超えています。連結範囲に変更はなく前年同期比較への影響はありませんが、新たなパートナーとの協業領域で活躍の場が広がる可能性があります。
1連結業績ハイライト
出典:セブン銀行 2026年3月期 決算説明資料 P.7
経常収益
2,200億円
前期比 +2.6%
経常利益
301億円
前期比 -0.4%
親会社株主に帰属する当期純利益
134億円
前期比 -26.0%
EBITDA
611億円
前期比 +2.8%
※EBITDA = 経常利益 + 減価償却費(資料上の定義。ATMなど設備の減価償却費の影響を除いた収益力を見る指標)
当期は、預貯金金融機関の取引件数や各種キャッシュレス決済の現金チャージ取引件数が堅調に推移し、国内のATM総利用件数は1,122百万件(前期比+3.0%)と過去最高を記録しました。一方、新型の第4世代ATMへの更改に伴う減価償却費の増加などで経常利益は301億円とほぼ横ばいにとどまり、クレジットカード事業の減損損失(連結で84億円)を特別損失に計上したことで純利益は大きく減少しました。
通期決算のため修正後計画に対する達成度で評価すると、経常収益は計画2,160億円に対して101.8%、経常利益は計画270億円に対して111.4%、純利益は計画110億円を21.8%上回っており、本業は計画を上回って順調に着地したと評価できます。
2事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:セブン銀行 2026年3月期 決算説明資料 P.6
国内事業(銀行業その他):セブン銀行
事業内容:セブン銀行が担う中核事業です。全国28,536台のATMを基盤とするATMプラットフォーム事業に加え、個人向けの口座・預金、ローン、「セブン銀行後払いサービス」などのリテール事業を展開しています。
業績推移:経常収益は1,467億円(前期比+5.2%)、経常利益は271億円(同0.2%減)。個人向けローン残高は792億円(同+30.8%)、後払いサービス取扱高は1,035億円(同+35.5%)と大きく伸長しました。
注目ポイント:ATMの役割を「現金プラットフォーム」から「サービスプラットフォーム」へ進化させる戦略を推進中です。金融機関などの各種手続きをATMで受け付ける「+Connect」は地方銀行の預金量ベースで約6割をカバーし、自治体との提携先は58先と1年で3倍に拡大しました。リテールでは在留外国人が入国直後から口座開設できる強みを持ちます。2027年度にはATM受入手数料の引き上げも予定しており、提携推進やサービス企画を担う人材の重要性が高まっています。
クレジットカード・電子マネー事業:セブン・カードサービス
事業内容:連結子会社のセブン・カードサービスが、クレジットカード事業と電子マネー「nanaco」事業を運営しています。
業績推移:経常収益は306億円(前期比5.7%減)、経常損益は5億円の損失(前期は27億円の利益)。クレジットカード会員数は308万人(同2.8%減)、電子マネー取扱高は14,574億円(同10.1%減)と苦戦しました。
注目ポイント:3か年の重点施策で「黒字化最優先」と位置づけられた立て直し局面の事業です。2026年8月下旬に「nanacoクレジットカード」へのリニューアルを予定し、会員数の純増や独自与信によるショッピング取扱高・金融商品残高の増加を目指します。nanaco会員数は8,470万人(同+1.6%)と大きな顧客基盤を持ちます。なお当期は同事業で減損損失79億円を計上し、2027年3月期も減損を主因とする特別損失35億円を見込んでいます。
海外事業(米国):FCTI, Inc.
事業内容:連結子会社のFCTI, Inc.が、米国のセブン‐イレブン店舗等にATMを設置・運営しています。
業績推移:2025年12月期の経常収益は182.3百万米ドル(前年差+4.6百万米ドル)、経常利益は15.9百万米ドルと前年の赤字から黒字化。平均利用件数は48.9件と計画を上振れしました。
注目ポイント:計画を大幅に上回る黒字化を達成した市場です。2026年度はSpeedway等への設置完了を予定し、2026年12月期の期末ATM台数は11,825台(計画)へ拡大する見込みです。一方、設置拡大の影響で平均利用件数は一時減少を見込んでいます。CRM機(紙幣還流式ATM)の設置拡大や、入金を中心とした新サービスのスケール化も掲げており、拡大期のオペレーションを担う人材が求められます。
海外事業(インドネシア):PT. ABADI TAMBAH MULIA INTERNASIONAL
事業内容:連結子会社がインドネシア現地のコンビニチェーン店舗等にATMを設置・運営しています。
業績推移:2025年12月期の経常収益は75.3億円、経常利益は9.3億円で黒字を確保。ATM設置台数は9,073台(前年末比2.5%減)でした。
注目ポイント:不採算ATMの撤去を進めたものの、競争環境の激化で平均利用件数は減少し、利用件数・台数ともに計画未達となりました。重点施策では「事業モデルの変革」を掲げ、金融機関代替や直接提携先の獲得による収益向上、ATM利用者の会員化といった新たな取組みを進めます。なお2026年12月期の経常利益は6.9億円と減益計画です。
海外事業(フィリピン):Pito AxM Platform, Inc.
事業内容:連結子会社のPito AxM Platform, Inc.が、フィリピンのセブン‐イレブン店舗等にATMを設置・運営しています。
業績推移:2025年12月期の経常収益は85.5億円、経常利益は4.3億円(前年差+1.3億円)。ATM設置台数は4,009台(前年末比+14.0%)に増えました。
注目ポイント:大手提携行の手数料有料化に加え、景気減速の影響などで利用件数は減少しました。2026年度は海外発行カード対応やDCC(多通貨決済サービス)等の新サービス追加、デジタルウォレットとの提携拡大によって収益性の改善を目指しており、提携先・サービスの拡大を担う人材の活躍が期待されます。
海外事業(マレーシア):Reachful Malaysia Sdn. Bhd.
事業内容:連結子会社のReachful Malaysia Sdn. Bhd.が、2025年1月からマレーシアのセブン‐イレブン店舗等へATMを設置しています。
業績推移:2025年12月末のATM設置台数は98台、平均利用件数は216.6件。計画通りに設置を進め、初年度で黒字化しました。
注目ポイント:2026年度中にCRM機400台の設置拡大を計画し、期末台数は500台(計画)を見込みます。設置拡大により平均件数は減少見込みですが、通期で増収・黒字着地を目指すとしています。エリア等による利用件数のパフォーマンス検証も進めており、立ち上げ期の事業を一から育てる経験が積める領域です。
3今後の見通しと採用の注目点
出典:セブン銀行 2026年3月期 決算説明資料 P.36
2027年3月期の連結業績予想は、経常収益2,355億円(前期比+7.0%)、経常利益295億円(同2.2%減)、純利益170億円(同+26.1%)です。2028年度には経常収益2,800億円・経常利益400億円・ROE(自己資本利益率)8%以上を目標に掲げています。重点施策は、国内ATMの「面の拡大と質の向上」(ファミリーマート設置開始、2027年度予定のATM受入手数料の引き上げ)、クレジットカードの「黒字化最優先」、海外の「国毎に戦略推進」です。あわせて、AI・データを活用した業務効率化や事業ポートフォリオの再編などで利益率・効率性の向上も推進中です。
一方で、2027年3月期もクレジットカード事業の減損を主因とする特別損失35億円を見込み、経常利益は減益計画です。前中期経営計画(2021年発表)についても会社は「財務目標は未達も多角化は進捗」と総括しており、金利・為替相場の変動やキャッシュレス化の進展など先行き不透明な事業環境も課題として認識されています。なお連結損益の為替レートは1米ドル=154.00円を前提としています(2026年3月期実績149.61円)。
4求職者へのアドバイス
HINT志望動機のヒント
・創立25周年を迎え、「あったらいいな」から社会の「なくてはならない」へというメッセージを掲げています。ATMを社会インフラとして進化させる点に共感を示すと説得力が増します。
・「+Connect」や自治体の給付金受取など、ATMをサービスプラットフォームへ広げる取組みに、自身の経験をどう生かせるかを語るのが効果的です。
・『第6回CSA賞~20代に薦めたい「次世代型人材」創出企業~』を受賞し、「DX銘柄2026」にも初選定されました。若手に大きな裁量を与える風土やAI・データ活用への関心を志望理由に結びつけられます。
Q&A面接での逆質問例
・「ファミリーマートへのATM設置を4年程度で約16,000台進めるにあたり、現場ではどのような体制や人材が必要になるとお考えですか」
・「伊藤忠商事との資本業務提携により、新たに生まれるシナジーとして、どのような取組みを想定されていますか」
・「クレジットカード事業の黒字化最優先に向け、2026年8月のリニューアル後にどのような指標を重視して改善を進めるのでしょうか」
5転職者が知っておきたい現場のリアル(口コミ)
休んでも復帰しやすい
選択肢は色々ある。時差出勤、リモートなど色々選べる。休んでも復帰しやすい。会社としてはできる限り対応していた印象だった。
(労務・20代後半・女性) [キャリコネの口コミを読む]新卒は給料が低く、食べていくのも大変だったと聞いたことがある
新卒は給料が低く、食べていくのも大変だったと聞いたことがある。あまりに低かったので先輩たちに食べさせてもらっている人がいたと聞いた。
(労務・20代後半・女性) [キャリコネの口コミを読む]※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- セブン銀行 2026年3月期 決算説明資料
- セブン銀行 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)



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