マツダは中堅自動車メーカー。ロータリーエンジンやSKYACTIV(スカイアクティブ)などのパワートレイン技術が強く、これらを搭載した車は世界的に大ヒットしました。近年では「CASE」分野での競争力を上げるため資本提携や生産合弁会社設立などトヨタとの協業体制を強化しています。
損益計算書(PL):営業利益は前期比43%減
マツダの2019年3月期の売上高は3兆5646億円で、前期比2.6%増の増収となったものの営業利益は同43.3%減の830億円と大幅な減少。営業利益率は同1.9pt減の2.3%で自動車メーカーの適正利益率8%を大きく下回る結果となりました。
売上原価は前期比4.5%増で、粗利率は同1.4ptの悪化。販管費は同5.3%増とコストも上がっています。
有価証券報告書によると、中国向けの海外生産用部品の売上は減少したが、国内での新型「CX-5」や「CX-8」等のクロスオーバーSUVの出荷台数の増加や、アセアン市場向けの出荷台数の増加等により、全体の売上は増加。
一方、営業利益は米国での販売費用の増加や為替の円高影響、米国販売ネットワーク改革への投資、品質関連費用の増加などにより減益となったとのことです。
減益要因の中では、為替の影響によるものが最も大きくなっています。マツダは国内生産の約8割を輸出するため、円高に振れると業績が厳しくなる傾向にあります。
販売費用には様々なものがありますが、マツダの場合は、販売店への販売奨励金(インセンティブ)が当てはまります。かつてのマツダは、ブランド力のなさから多額のインセンティブを積み新車を大幅に値引きして販売していました。値引き額が大きすぎたためマツダ車の下取り価格が大幅に下落してしまい、マツダ販売店に下取りをお願いしてマツダ車を乗り続けることとなる「マツダ地獄」と言われる負の連鎖を招いていました。
2012年の初代CX-5の登場時から大幅値引きによる販売を控えるようになりましたが、近年は米国でのCX-5のインセンティブが増加し続け、2017年12月の時点で1台当たり2806ドルにまで達しており、売っても儲からない状態になっています。
なお、2020年3月期第2四半期決算(2019年11月1日)にあわせて、通期連結業績予想の下方修正が発表されました。円高に推移している為替相場を踏まえ、売上高は3兆7000億円から3兆5000億円へ、営業利益が1100億円から600億円へ、当期純利益も800億円から430億円へと引き下げられています。
セグメント分析:北米と中国で販売台数が減少
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