【面接対策】シスメックスの中途採用面接では何を聞かれるのか

シスメックスは、ヘマトロジーと呼ばれる血球計測や尿検査の分野で世界トップシェアを誇る医療機器メーカーです。検体検査に必要な機器・試薬・ソフトウェアの研究開発から販売、サポートまでを一貫しておこなっているのが特徴で、その事業領域は世界190カ国以上におよびます。競合他社のほとんどが海外勢というなかで、兵庫県神戸市に本社を置く日本発のグローバル企業です。

海外売上比率は約8割を占め、口コミにも「世界的に高シェアなので、看板を背負っての仕事は大変進めやすい」「世界の経済の一翼を担っている実感があり満足度が高い仕事」など、グローバルを意識したコメントが見られます。その一方で、国内事業に携わる社員からは「国内営業は低く見られる」というコメントも。

また、中途採用を積極的におこなっていることから、「中途社員にとって働きやすい環境」という声が多く聞かれます。さらに、「研究施設内には会社の託児所が設置されており、子育てをしながらでも働きやすい」「女性が管理職を目指すことも十分に可能」といった口コミからは、女性活躍に対する意識の高さがうかがえるでしょう。

このようにグローバル企業としてダイバーシティを推進している同社ですが、報酬や出世に関しては「年功序列」という口コミが散見されます。また、「確立したビジネスモデルがあり、良くも悪くも依存している」「企業文化は保守的になりつつある」「上司の言うことをそのままするような社風」といった声も聞かれるなど、保守的な側面もあるようです。

伝統的な社風を残しながらも、グローバル企業としてダイバーシティの推進に積極的なシスメックス。こうした社風にフィットするかどうかは応募者・採用側双方にとって大事なポイントとなりますので、自己分析を通じて整合性を確認する必要があるでしょう。

コーポレートサイトに掲載されている選考フローは、以下の通りです。

1．Web応募
2．書類選考
3．適性検査
4．面接（2回）
5．内定

適性検査の詳細は不明ですが、口コミによるとクレペリン検査が必須という情報もあります。応募から内定までの期間はおおむね1カ月程度となっています。

同社では通年採用をおこなっており、随時コーポレートサイトに採用情報が掲載されるので、こまめにチェックするとよいでしょう。

また、コーポレートサイトでは採用情報のほか、事業内容の紹介ムービーや、世界各国で活躍する社員と視聴者がチャットを通して質疑応答をする「世界同時中継LIVEセミナー」などが配信されています。こうしたものを積極的に活用し、シスメックスへの理解を深めておくことをおすすめします。

「転職理由」や「志望動機」、「入社後のビジョン」といった一般的な質問が中心です。前職の経歴を整理し、どんな仕事をしてきたのか、それによって組織にどのように貢献してきたのか、また、シスメックスでの仕事にどう繋げるつもりなのか、わかりやすく伝えられるようにしておきましょう。

なかには、「体験したピンチとその解決方法」について問われた人もいます。このような質問に対する回答からは、その人の価値観、人柄、行動力、リーダーシップなどを見極めるほか、ストーリー展開から論理的思考力を見ていると考えられます。さまざまなエピソードを用意しつつ、メインメッセージを意識しながら話を構成し、誠意をもって伝えられるとよいでしょう。

シスメックスでは、2025 年に向けた長期ビジョンとして、「Unique&Advanced Healthcare Testing Company『特徴のある先進的なヘルスケアテスティング企業』」を掲げています。

そして、この長期ビジョンにもとづく5つのポジショニングの達成に向けて策定されたのが、2020年3月期～2022年3月期を対象とした中期経営計画です。

具体的には、ヘマトロジーや尿検査分野などのIVD（検体検査）事業において、地域の特性に応じた製品ラインアップの拡充と販売体制の強化を通じ、成長力の再強化を図ります。

ライフサイエンス事業においては、個別化医療に資する新たな診断価値創出に加え、高品質な製品のスピーディーな市場導入に向けたバイオ診断薬拠点の稼働、品質保証体制、薬事・臨床開発機能などの事業を支える体制強化により、持続的な成長を実現させたい考えです。

また、こうした計画達成に不可欠な人材の獲得や育成を進め、新たな価値創造に向けたビジネスプロセスの改革を推進していくとしています。

このように、同社では計画達成に向けて、次世代リーダーと高度な専門性をもつ人材が求められています。中期経営計画の内容をよく理解し、自分がどの分野で力を発揮できるかという視点から自己分析を進めてみてください。

面接では、「なぜシスメックスか」という問いに対する回答が重要視されます。

面接官はこの質問によって、「応募者がやりたいことは何か」「それがこの会社で実現できるのか」「社風にフィットした人材か」を確かめると同時に、応募者がしっかり企業研究をしたうえで応募しているかを確認します。業界や職種の魅力だけでなく、シスメックスでしか実現できないことを見つけ出し、「シスメックスである理由」を伝えることが大切です。同社の競合は主に海外の企業になりますので、外資系との違いも含めて回答できるとよいでしょう。

ここでは、研究の参考として3社を挙げてみます。

• シーメンスヘルスケア・ダイアグノスティクス株式会社
• ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社
• アボット ジャパン株式会社

シスメックスが目指している方向性や求める人材像が分かってきたのではないでしょうか。

同社は、検査情報システムを軸として、機器、試薬、さらにサービスやサポートを組み合わせたトータルソリューションの提供を強みとしています。そのなかで、高い専門性をもった多様な人材が求められていると言えるでしょう。社風には保守的な部分があるものの、グローバル企業としてダイバーシティを推進するといった側面ももちあわせています。面接では、こうした同社の環境の中で、専門性を発揮できる人材であることを具体的に伝えたいところです。

面接経験者が実際に聞かれた質問をいくつかご紹介します。こうした質問に対してどう答えるか、自分なりの視点で考えてみるとよいでしょう。

シスメックスの採用面接を受けるにあたって、ぜひ押さえておきたい重要なことをご紹介してきました。面接対策として準備しておきたいのは、以下の3つです。

• 伝統的な価値観とグローバル企業としてのダイバーシティ&インクルージョンが共存する社風を理解し、その中でどういった働き方ができるのかを伝えられるようにする。


• 中期経営計画を理解して、これに沿った自己分析を行い、自己PRへとつなげる。


• 競合他社についての理解を深め、「なぜシスメックスか」に対する答えを明確にしておく。