※本記事は、シスメックス株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月22日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は IFRS です。
1. 企業概要:どんな会社?
シスメックスは、医療分野における検体検査機器及び検体検査試薬の開発、製造、販売、サービス、輸出入を主としています。同社グループは、これらの製品に加え、ソフトウェアやメンテナンス、学術サポートを融合したソリューションを医療機関に提供しています。
単体従業員数は3,011名、連結従業員数は10,861名です。同社グループの事業セグメントは、本社統括、米州統括、EMEA統括、中国統括、AP統括の5つです。
主な国内グループ会社は、シスメックスRA、メディカロイドなどです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
シスメックスは、グローバルに事業を展開する医療機器メーカーとして、専門性の高い人材が活躍できる環境を提供しています。長期的な視点での人材育成と、成果に応じた公正な報酬制度を通じて、従業員の成長と企業価値の向上を目指していることがうかがえます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は、従業員の平均年齢が40代前半であり、平均勤続年数も10年を超えています。このことから、比較的長期にわたって安定して働く従業員が多い傾向にあると考えられます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 8,835,000円 |
| 平均勤続年数 | 12.8年 |
| 平均年齢 | 42.4歳 |
| 単体従業員数 | 3,011人 |
| 連結従業員数 | 10,861人 |
| 単体のグループ内比率 | 27.7% |
同社グループは、確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)と確定拠出型(会社が拠出した資金を従業員が運用する)の両方の退職給付制度を採用しています。これらの制度は、国内および海外のグループ会社に適用されます。なお、退職一時金の有無や支給条件、従業員ごとの会社拠出額などは、有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
連結ベースの従業員給付費用は1,501億円(従業員1人あたり1,382万円)です。連結の従業員1人あたりの給付費用は、単体の平均年間給与よりも高い水準となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、グループ企業理念「Sysmex Way」及び「Shared Values」のもと、人材を最も重要な経営資源の一つと位置付けています。人材戦略に関する基本方針として「グローバルHRポリシー」を定め、長期的な雇用を前提とした多様な人材の能力開発・育成を推進しています。事業活動や企業価値の向上に貢献する能力と成果の発揮に対して、公正に報いることを基本原則としています。
給与の決定にあたっては、「同一価値労働に対する同一報酬」という考え方に基づき、職務等級制度(ジョブ型人事制度)及び評価制度を通じて、職務・役割及び成果に応じた公正で透明性の高い処遇を行っています。グローバルにおけるキーポジションを担う従業員に対しては、中長期的な企業価値の向上に向けたインセンティブとして、従業員向け株式付与制度(株式付与ESOP信託)を導入しています。また、「付加価値生産性(付加価値額÷労働量)」を重要な経営指標の一つとし、人的資本への継続的な投資と過重労働の抑制を両立させた報酬配分を行っています。
長期経営戦略においては、人的資本戦略を設定し、持続的成長を可能にする人的資本ポートフォリオの最適化、高いエンゲージメントの実現、最高のチームワーク発揮による組織力最大化に取り組んでいます。具体的には、経営戦略が目指す事業領域や機能、スキル・専門性、多様性等多面的な視点での組織づくりによる「人材ポートフォリオの最適化」を進めています。従業員一人ひとりが心身共に充実し、個々の働きがいが実現される「高いエンゲージメント」のため、ウェルビーイングを向上させる職場環境の構築や成長機会の提供、DE&Iの推進、多様な人材が活躍できる仕組みを構築しています。さらに、自主性を尊重し、チャレンジを促進する企業風土と豊富なリーダー層の確保・育成による「最高のチームワークの発揮」を目指し、グローバルキーポジションの後継者育成にも注力しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、提出会社単体のデータを示します。シスメックスグループでは、性別に関係なく、グループ共通のグローバルHRポリシーに基づき職務・役割に応じた同一基準で報酬を定めており、同一労働における賃金差はありません。一方で、管理職に占める女性労働者の比率が男性労働者よりも低いことや、パート従業員に占める女性労働者の比率が男性労働者よりも高いこと等が、男女の賃金差として表れている要因であると捉えられています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 11.3% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 80.4% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) | 66.9% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(うち正規雇用労働者) | 76.6% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(うちパート・有期労働者) | 47.5% |
連結子会社の法定開示
主要事業会社3社の数値のみ掲載します。
▼ シスメックスCNA株式会社
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 3.8% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 100.0% |
▼ シスメックスRA株式会社
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 11.1% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | - |
グループ全体(連結)
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性マネジメント比率 | 19.7% |
インプット 人的資本の投下に関する項目
※項目は当社を対象としております。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 要員計画・人員数 | 12,313人 |
| 平均教育時間 | 29.5時間 |
| 人件費 | 1,501億円 |
スループット 従業員エクスペリエンス・企業カルチャーに関する項目
※項目は当社を対象としております。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 従業員エンゲージメントスコア | 74% |
| 「Sysmex Way」好意的回答率 | 69% |
| 「ウェルビーイング」好意的回答率 | 59% |
| 女性マネジメント比率 | 19.7% |
アウトプット 人的資本の活用の成果に関する項目
※項目は当社を対象としております。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 一人当たり付加価値生産性 | 1,901万円 |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
シスメックスは、医療分野における検体検査機器と検体検査試薬の開発、製造、販売、サービスをグローバルに展開している企業です。検体検査機器や試薬だけでなく、ソフトウェアやメンテナンス、学術サポートといった幅広い製品とサービスを組み合わせ、医療機関が抱える多様な課題を解決するソリューションを提供しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、主に医療分野の検体検査に関する製品とサービスを提供し、その対価として収益を得ています。検体検査機器や試薬の販売に加え、保守サービスやソフトウェアの提供も収益源となっています。同社グループの事業は「本社統括」「米州統括」「EMEA統括」「中国統括」「AP統括」の5つの報告セグメントで構成されており、各地域特性に応じた戦略で事業活動を展開しています。
海外売上高比率が88.3%と高く、グローバルな事業展開が特徴です。そのため、為替変動が業績に影響を与える可能性があります。特定の顧客への売上高が連結売上高の10%以上を占めることはありません。
本社統括
日本および東アジア地域を統括し、製品の開発、製造、国内における販売とサービスを担当しています。一部の製品については、国内外での販売も行っています。収益は、ヘマトロジー分野や血液凝固検査分野の機器・試薬、メディカルロボット事業の機器や保守サービスなどから得ています。運営は、シスメックス、シスメックスRA、オックスフォード ジーン テクノロジー アイピー リミテッド、シスメックス パルテック ゲーエムベーハー、シスメックス コリア カンパニー リミテッド、他国内子会社13社、他海外子会社11社が行っています。
米州統括
北米や中南米を含む米州地域を統括し、製品の製造と販売を行っています。収益は、ヘマトロジー分野の機器・試薬、尿検査分野の機器・試薬などから得ています。運営は、シスメックス アメリカ インク、シスメックス リエージェンツ アメリカ インク、シスメックス ドウ ブラジル インダストリア エ コメルシオ リミターダ、他米州地域子会社5社が行っています。
EMEA統括
欧州、中東、アフリカ地域を統括し、製品の製造と販売を行っています。収益は、ヘマトロジー分野の試薬、尿検査分野や血液凝固検査分野の機器・試薬などから得ています。運営は、シスメックス ヨーロッパ エスイー、シスメックス ドイチュラント ゲーエムベーハー、シスメックス ユーケー リミテッド、シスメックス フランス エスエーエス、他EMEA地域子会社25社が行っています。
中国統括
中国地域を統括し、製品の製造と販売を行っています。収益は、ヘマトロジー分野の機器・試薬、血液凝固検査分野の試薬などから得ています。運営は、希森美康医用電子(上海)有限公司、済南希森美康医用電子有限公司、他中国地域子会社2社が行っています。
AP統括
アジア・パシフィック地域を統括し、製品の製造と販売を行っています。収益は、ヘマトロジー分野、血液凝固検査分野、尿検査分野の試薬などから得ています。運営は、シスメックス アジア パシフィック ピーティーイー リミテッド、シスメックス インディア プライベート リミテッド、他アジア・パシフィック地域子会社9社が行っています。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) | セグメント利益(2025年3月期) | セグメント利益(2026年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| EMEA統括 | 1,357億円 | 1,521億円 | 106億円 | 99.0億円 | 6.5% |
| 米州統括 | 1,229億円 | 1,305億円 | 67.4億円 | 85.1億円 | 6.5% |
| 中国統括 | 1,178億円 | 893億円 | 106億円 | 93.4億円 | 10.5% |
| 本社統括 | 940億円 | 876億円 | 591億円 | 178億円 | 20.3% |
| AP統括 | 382億円 | 406億円 | 35.8億円 | 37.1億円 | 9.1% |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
過去5期の業績を見ると、同社グループの売上高は増加傾向にありましたが、当連結会計年度は減少に転じました。利益面も同様に、税引前利益、親会社の所有者に帰属する当期利益ともに大きく減少しています。この利益減少は、売上高の減少に加え、売上原価率の上昇や販売費及び一般管理費の増加、さらに減損損失の計上が主な要因となっています。しかしながら、営業活動によるキャッシュ・フローは引き続き資金を生み出しており、本業によるキャッシュ創出力は維持されています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 3,638億円 | 4,105億円 | 4,615億円 | 5,086億円 | 5,000億円 |
| 税引前利益 | 643億円 | 687億円 | 746億円 | 792億円 | 491億円 |
| 税引前利益率 | 17.7% | 16.7% | 16.2% | 15.6% | 9.8% |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 | 441億円 | 458億円 | 496億円 | 537億円 | 355億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 210.88 | 72.94 | 79.27 | 86.07 | 56.89 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高は前期から減少しています。従業員1人あたり営業利益も前期から減少しており、生産性指標は低下傾向を示しています。これは当期の売上高および営業利益の減少が影響していると考えられます。特に、減損損失の計上など一時的な要因も利益に影響を与えています。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 48.3百万円 | 46.0百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 8.3百万円 | 4.8百万円 |
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループは、当連結会計年度において減収減益となりましたが、本業で安定した資金を生み出し、投資活動後も手元に資金が残る状況です。これは、同社グループが安定した事業運営を継続し、将来の成長に向けた投資余力も有していることを示しています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの自己資本比率はプライム市場の製造業平均を大きく上回る水準で推移しており、強固な財務基盤を維持しています。ROE(自己資本利益率)は前期から低下し、プライム市場平均を下回っています。手元資金も潤沢に確保されており、不況時にも耐えうる安定性を示しています。これらの財務状況は、入社後の雇用や給与の安定性につながる要素と言えます。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 自己資本 | 4,638億円 | 5,050億円 |
| 自己資本比率 | 69.7% | 71.4% |
| ROE(自己資本利益率) | 12.0% | 7.3% |
| 現金及び現金同等物 | 896億円 | 841億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループの当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前利益の減少があったものの、減価償却費及び償却費、減損損失の増加などにより、738億円のプラスとなりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産や無形資産の取得による支出が主な要因となり、△515億円のマイナスとなっています。財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払額やリース負債の返済による支出などにより、△377億円のマイナスとなりました。結果として、フリーキャッシュ・フローは224億円のプラスとなっており、本業で安定的に資金を生み出し、成長のための投資を行った上で、なお余剰資金を確保している状況です。これは、同社グループが安定した事業運営を継続し、将来の成長に向けた投資余力も有していることを示しており、入社後の雇用や給与の安定性、そして会社の成長性につながるものと言えます。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 882億円 | 738億円 |
| 投資CF | △525億円 | △515億円 |
| 財務CF | △243億円 | △377億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 358億円 | 224億円 |
※フリーCF(フリーキャッシュ・フロー)とは、会社が事業活動と投資活動を通じて自由に使える余剰資金のこと。
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、世界的な経済情勢の悪化や各国政府の医療財政ひっ迫、医療機関における予算縮小等により、設備投資意欲が低下し、経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。特に中国における医療費抑制政策の影響は既に顕在化しています。また、連結売上高に占める海外売上高の比率が88.3%と高水準で推移しており、為替が円高に推移した場合、海外売上・資産の減少等により業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、グローバルな人材市場における獲得競争の激化により、事業推進に必要な人材が獲得できない場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、職場環境の安全衛生の確保が不十分な場合、従業員の心身の健康を損ない、士気低下や人材流出につながるおそれがあります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
シスメックスは、創業以来の経営基本方針である「3つの安心」を再定義したグループ企業理念「Sysmex Way」を掲げ、ステークホルダーからの高い信頼獲得とさらなる飛躍を目指しています。長期ビジョン「より良いヘルスケアジャーニーを、ともに。」のもと、サステナビリティを重視した経営を推進しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
シスメックスグループは、創業以来の経営基本方針である「3つの安心」を再定義したグループ企業理念「Sysmex Way」と「Shared Values」を定めています。これにより、ステークホルダーからの高い信頼獲得とさらなる飛躍を目指しています。
2033年度を最終年度とする長期経営戦略2033(VA33)のもと、長期ビジョンとして「より良いヘルスケアジャーニーを、ともに。」を掲げています。同社グループは、健康で長生きしたいという人々の願いに寄り添い、一人ひとりの身体状態を正確に捉え、個々に最適な医療・サービスが提供されることで、生涯にわたり健康な状態が維持できる社会の実現を目指しています。
「ヘルスケアジャーニー」とは、人が一生の中で自身のヘルスケアについて経験する各種イベントと、医療機関等を含む対応プロセスを「旅路」として捉える同社グループ独自の概念です。同社グループは、この「より良いヘルスケアジャーニーの実現」を通じて、社会にとって不可欠な存在として成長していくことを目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
シスメックスグループは、グループ企業理念「Sysmex Way」と「Shared Values」をグループ全体で実践することを重視しています。サステナビリティを重視した経営を推進し、ステークホルダー全般への「安心」の提供に努めています。
同社グループは、事業活動を通じて取り組むべき重要課題(マテリアリティ)として、「健康社会への価値創出」「イノベーションの創出」「責任ある製品・サービス・ソリューションの提供」「人的資本の最大化」「環境への負荷低減」「ガバナンスの強化」を特定しています。
人的資本戦略では、「人材ポートフォリオの最適化」「高いエンゲージメント」「最高のチームワークの発揮」の3つを目指す姿としています。自主性を尊重し、チャレンジを促進する企業風土と豊富なリーダー層の確保・育成を重視し、組織風土の向上に取り組んでいます。また、「Sysmex Way」に基づく高い倫理観のもと、コンプライアンス、人権、情報管理に関するガバナンス体制を強化し、透明性と説明責任の高い経営を目指しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
シスメックスグループは、長期ビジョンの実現を目指し、2026年4月より新たな中期経営計画をスタートさせ、重点アクションを設定し具体的施策の実行を推進しています。
地球環境の持続可能性が喫緊の課題となっている中、長期的な環境マネジメントの指針として「シスメックス・エコビジョン2033」を策定しています。製品ライフサイクルにおけるCO2排出量や水消費量の削減、環境に配慮したグリーン調達等を継続して推進しています。
同社グループは、製品・サービスの提供を通じた医療課題解決に取り組むとともに、環境への配慮や魅力ある職場の実現といった優先的に取り組むべき課題(マテリアリティ)をグループ全体で推進しています。これにより、多様なステークホルダーへ安心を届け、サステナビリティ経営の実現を目指しています。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
シスメックスでは、監査等委員会設置会社制度を採用し、経営の健全性、透明性、スピード及び効率性の向上を目指しています。業務執行の意思決定を迅速化するため、執行役員制度も導入されています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
シスメックスの筆頭株主は日本マスタートラスト信託銀行(信託口)であり、機関投資家が上位を占める構成となっています。また、公益財団法人中谷財団や公益財団法人神戸やまぶき財団、有限会社中谷興産など、創業家や関連する財団・会社が上位株主として複数名を占めている点が特徴です。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 11.52% |
| 公益財団法人中谷財団 | 6.18% |
| 公益財団法人神戸やまぶき財団 | 5.75% |
| 有限会社中谷興産 | 5.48% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 4.76% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は13名(男性11名・女性2名)で構成され、女性役員比率は15.4%です。代表取締役社長は松井石根氏が務めています。社外取締役比率は46.2%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 家次 恒 | 取締役会長 (代表取締役) | 1973年4月 株式会社三和銀行(現株式会社三菱UFJ銀行)入行。1986年9月 同社取締役就任。1996年2月 同社代表取締役就任。1996年6月 同社取締役社長就任。2023年4月 同社取締役会長グループCEOより現職。 |
| 松井 石根 | 取締役社長 (代表取締役) | 1985年4月 同社入社。2001年7月 シスメックス ヨーロッパ ゲーエムベーハー(現シスメックス ヨーロッパ エスイー)社長。2019年6月 同社取締役常務執行役員就任。2026年4月 同社代表取締役社長より現職。 |
| 浅野 薫 | 取締役 | 1987年8月 同社入社。2009年4月 同社執行役員中央研究所長。2014年6月 同社取締役上席執行役員就任。2023年4月 同社代表取締役社長。2026年4月 同社取締役より現職。 |
| 立花 健治 | 取締役 | 1980年3月 同社入社。1998年4月 シスメックス シンガポール(現シスメックス アジア パシフィック)社長。2014年6月 同社取締役上席執行役員就任。2026年4月 同社取締役より現職。 |
| 吉田 智一 | 取締役 | 2000年6月 同社入社。2017年4月 同社執行役員 中央研究所長 兼 MR事業推進室長(本部長)。2021年6月 同社取締役常務執行役員就任。2023年4月 同社取締役常務執行役員 CTOより現職。 |
| 小野 隆 | 取締役 | 1987年4月 同社入社。2010年4月 シスメックス リエージェンツ アメリカ インク 社長。2023年6月 同社取締役常務執行役員より現職。 |
社外取締役は、太田和男氏(元川崎重工業常務取締役・報酬委員会委員長)、井上治夫氏(元三菱UFJニコス代表取締役社長・指名委員会委員長)、藤岡由佳氏(藤岡金属代表取締役社長・指名委員会構成員)、大島まり氏(東京大学生産技術研究所教授)、橋本和正氏(元関西みらい銀行取締役会長・監査等委員会構成員・指名委員会構成員・報酬委員会構成員)、岩佐道秀氏(元神鋼物流代表取締役社長・監査等委員会構成員・指名委員会構成員・報酬委員会構成員)です。
同社は監査等委員会設置会社制度を採用しています。社外取締役は、取締役会や内部統制委員会への出席を通じて内部監査の報告を受け、監査等委員会と連携し、取締役の職務執行に対する経営の監督機能を果たしています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
シスメックスの役員報酬は、固定報酬、業績連動報酬、非金銭報酬の3種類で構成されています。業績連動報酬は親会社の所有者に帰属する当期利益に連動して決定され、非金銭報酬は中期経営計画の財務指標や企業価値指標の達成度と連動する業績連動型株式報酬(F-PSU、EV-PSU)となっています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 6名 | 7.0億円 | 1.16億円 |
| 監査等委員(社外除く) | 1名 | 23百万円 | 23.0百万円 |
| 社外役員 | 6名 | 50百万円 | 8.3百万円 |
個人別報酬が開示されている役員は、家次 恒氏(1.96億円)、浅野 薫氏(1.74億円)です。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。
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